頑張っているな、きつみは!
よーしよしよし、今日も何か美味しいものを作ってたんと食おうな
ん?良く見るとお前・・・尻の部分というか、体と尻尾の連結部分がぶっといよな
それにこの下腹の丸み・・・
なんとなく俺ときつみはの共通点が知れて嬉しく思う
しかしこの尻尾
もうね、ギュッ!と掴んでモミモミしたくなるよ
やったらやったで、きつみはに嫌がられるんだけどな
だから今日はもその鬣に顔を埋めてクンカクンカさせてくれよ
きつみはの独特の甘さの混じったケモノ臭さがたまんないよな
春はそれにお日様の匂いも混じってすんごく・・・例えようのないいいにおい・・・
ああ、このまま嗅ぎ続けていたい
クンカクンカクンカクンカ・・・陶酔・・・

ん?、と三橋が振り向いた
一緒に歩いていた俺はどうかしたか?と聞くと
「ん・・・何でも、ない」とまた俺と共に歩き始めた
今日は野球部の部活が無い日でついでに俺も予定がない
こんな時は俺は三橋と一緒に帰ることが多い
ふと、三橋がまた歩みを止め、振り返った
やっぱり何かあるのかな、と聞くと「ん・・・」と変な顔をした
「何か・・・こう、頭とかうなじとかを誰かに触られている気がするんだ」
誰かって誰だ?三橋の後ろはおろか、周りには俺がいるだけだ
きっと気のせいだ、とは言ってみたが三橋はまだ変な顔をしている
「それに・・・なんというか・・・首筋に生暖かい感触がして・・・気持ち悪い
誰かが息を吹きかけているみたいで・・・」
それはきっと生暖かい春風のせいだ、と三橋に納得させて、俺たちは帰路を急いだ
そう、きっとそうだよな、今日は少し風が強いし・・・

うんうん、きつみはのこの毛皮
ずっと顔を埋めていたいなぁ・・・クンカクンカ・・・