0660fusianasan
2021/02/10(水) 14:42:12.88よしよし、今日は久しぶりに牛丼でお祝いしようか
そういや牛丼屋には最近行っていないな
世の中色々と大変だし、家で作っても良いわけなんだが
でもたまには店で食べてみたいな
確か持ち帰りも出来たはずだから、夕飯の買出しのついでに買ってこようそうしよう
「こんなもんで悪かったな」
「そ、そんなことないよ 俺、好きだよ」
三橋の口から出た「好き」という言葉に俺の心臓はドキッと反応した
この場合の「好き」は、俺ことをではなく、今、三橋がかっこんでいる丼の牛丼の事
それは判っている
だけど、でもやっぱり、ちょっとだけ、期待なんかしてしまう俺もいるのだ
「そうか、好きか 俺も、好きだよ」
だから俺も、こんな風に言ってしまう
これで三橋が少しでも、俺みたいにドキッ、としてくれたら嬉しい
三橋の事は、好きだ 友達としても、それ以上な感情としても
今日はたまたま二人で帰ることになって、それで小遣いを貰ったばかりの俺が三橋に牛丼を奢る話になった
「この牛の肉の脂がまたおいしいよね それに紅生姜をたっぷりとかけて食べるのがたまんない」
「追加で生卵を乗せるのも美味いぞ」
「うん、それもいいよね 今度やってみようかな」
三橋はこんな安い牛丼でも、まるでご馳走のように喜んで食べてくれる
ああ、この喜ぶ顔が見れただけでももう・・・たまんないよ
「牛肉といえばすき焼きも美味いよな いい肉を使うと特に」
「うん、そうらしいね」
「そのうち三橋に・・・特上の牛肉のすき焼きを食べさせてやりたいな」
いつの日か稼げるようになったら三橋に奢ってやりたいし、そのくらいずっと付き合って行きたいという俺の切なる願い
「うん、でも・・・俺は牛丼がいいな だって・・・すき焼きは鍋だから・・・
ほら、取るタイミングとか取り分とかの色々なアレがあるから面倒なんだよね
俺、毎年おじいちゃんちの正月で食べているから、毎回気を使うんだよねハハハ
だから同じ牛肉でも、輸入肉でもこっちの牛丼の方が食べ応えがあって美味しいよね・・・あれ?俺くん、どうかした?」
いや・・・なんでもない・・・そうか、三橋は牛肉を食べなれているのか、そうか・・・