一番一等頑張ったな、きつみは
今日ものんびりゆっくりダラダラと過ごして・・・
あ、今日は雛祭りだった
昨日までは覚えていたけど、当日になったら忘れていた俺
いやあ年かな、忘れっぽくて嫌になる
さてと、じゃあお祝いっぽくちらし寿司でも作ろうか
「稲荷寿司も!!」
きつみはよお前・・・昨日、あれだけ食ったのにまだ欲しいのか、稲荷寿司?
「うんっ!」
そんな満面の笑顔で言われたら俺、もう・・・作るしかないじゃないか
くそう・・・その稲荷寿司に向ける分の情熱を俺の方にもちょっとだけくれないかな?
無理かハハハ・・・
とにかくだ、今日の夕飯の献立は雛祭りがメインだからな 稲荷寿司はほんのおまけくらいだと思っておけよ
「わあい!稲荷寿司稲荷寿司!!」

くそっっ!なんであいつはあんなにも好かれているんだ!
住宅地の中にある、敷地はほどほどあるのに、小ぶりの目立たない家
その家を覗き見するように見ていた俺は、悔しさで頭がいっぱいになるのを感じてた
悔しい・・・そして羨ましい・・・
この家の住人はデブな男と何故かキツネの気ぐるみを着ている子供
子供の方は自分がキツネだと思い込んでいる様で、周りの人間たちもそれに違和感を持っていない
きつみは、と呼ばれるその子供は、太陽に様にキラキラとしていて
始めてみたときは輝いてまぶしくて・・・俺は虜になってしまった
何とか顔見知りくらいの仲になりたいと思っているが、その子の周りには何故か怪しい大人たちが常にいて
子供を守っているようだった
毎日、昼過ぎに散歩に行くらしいが、ガードが固くて声をかけることもできない
何とかその子の事が知りたい、とこの家を外から覗いたりしていたら、誰かに警察に通報されて
職務質問をされそうになったりもした
何故だ・・・俺はただ、あの子と知り合いになりたいだけなんだよ
何かいい方法はないものかな、例えば大好きな食べ物とか・・・
「稲荷寿司!油揚げ!!サイコー!!!」
稲荷寿司に油揚げ、まさにキツネの好物だよな・・・そうだ、いいことを考えついた!  続く、と思う