0259fusianasan
2021/10/10(日) 20:35:21.89その野生の逞しさをこの赤いツララが物語っていた。私には、それが必死に生きた証に思えた。」
「ナイフを取り出しシカの腹を裂いた。その腹腔に凍えてかじかんだ両手をもぐりこませて温める。シカの最後のぬくもりが、痛いほどの熱さで両手に染み込んでくる。
私はそのまましばしの間じっとしていた。最後の温もり、生命の温もりの全部を両手にもらった。」
「シカは生命の温もりで私の凍えた手を温め、うまい肉となって腹におさまり、私の生命に置き換わってくれた。
あのシカが生きていた価値、生きようと努力した価値は、そこから恩恵を得た私が誰よりもわかり得るのではないか、そんな気がした。」
ちなみに久保さんはアイヌとかでなく北海道出身・在住の1947年間生まれの日本人男性。