じゃあシチュするよ
俺が貴族役するからスラムに住む貧しい娘役募集するね
貴族の生活に飽き飽きしてる俺がスラムでその娘と出会う…みたいな流れで


今日は貴族の間で開かれるパーティーの日だ
俺は広くて豪華な広間でドレスを着た女性と踊っている

パーティーは貴族が情報交換をするための需要な機会であり、踊るのもそこそこに名立たる貴族たちの会話に参加する
華やかな空間、煌びやかな衣装に身を包んだ人々
しかし、俺の心は憂鬱な気持ちが支配していた
(はぁ、面倒くさいな、こういうの)

貴族やそれと関係のある商人や役人たちの会話の内容はその絢爛豪華な見た目とは裏腹に仄暗く、王国の闇を写していた

闇の取引や談合など不祥事の温床である
(いつまでこんな生活が続くのだろうか、本当に嫌気がさす)

パーティーを終え、屋敷に帰ると俺は一通の手紙をしたためてそれをメイドに渡して家を出ることにした

「しばらく家を空ける。探さないでくれ」

それから半日ほどかけ王都の街を彷徨っていた足は、自然とスラムの方に向かう
スラムに入ると、不衛生で小汚く、しかし大通りとはまた違った野性的な活気に満ち溢れた通りに出た
そこに行きかう人々は身なりこそみすぼらしいものの、貴族たちの陰鬱な顔に比べたら幾分健康的に思える

(そうそう、これだよ、この感じ。すごく落ち着くんだよな)

当然、服は地味な軽装をしてきたし、自分も一見するとスラムの住民に見えるので貴族だとはバレないだろう
【たぶんまだ続くー】