ふえええ(´・ω・`)

その頃、地上ではインゲルのうわさが広がっていました。
「バチ当たりめ、パンを踏むからさ」
「あの娘は、もともとそんな娘だったんだよ」
と、誰も良い事は言いませんでした。
 でも、その中でたった1人、話を聞いて泣き出した女の子がいました。
「可愛そうに。悪い事をしたら、謝っても駄目なの? その人がもし、この世に戻って来たら、わたし、お人形箱をあげるわ」
 やがてその女の子はおばあさんになり、神さまにめされました。
 おばあさんは神さまの前で、またインゲルの為に泣きました。
「わたしだって、インゲルの様な間違いをおかしたかもしれません。どうか、インゲルを助けてあげてください」
 その優しい心に、天使(てんし)の1人がホロッと涙をこぼしました。
 涙は沼に落ちて行って、インゲルの胸に入りました。
 やさしいおばあさんのおかげで、インゲルは地上に戻る事が出来たのです。
 でも人間ではなく、小鳥の姿になっていました。
 小鳥はお腹の空いた鳥たちにパンくずを拾っては与え、自分は食ベませんでした。
 そしてそのパンくずがドロ水に投げたパンと同じ量になった時、小鳥はカモメになって飛び立ちました。
 はるか、遠い太陽に向かって。
 それから、その鳥を見た者はいません。