誘拐あかんことやけどモロこれなんよな


 少年つりは非常に計画的な巧妙な方法で実行される場合がある。

 今、仮に上級生のAが、Bと云ふ美少年を発見して、それを自分の稚児さんにしやうと思ふ時、Aは四五人の友人と共謀して、Bの挙動を難詰なんきつせしめる。
Aは諄々じゅんじゅんと少年を口説く。

「なに、心配することはないよ、三四年の奴には生意気な奴が多いから、是これからは僕についてゐ給たまへ。さうすれば誰も君に手出しをするものはないから。」

概して十四五歳の少年時代は誰でも物事に感動し易く、英雄崇拝的な気持を抱くものだ。