0482fusianasan
2023/11/17(金) 12:44:06.71「違う!違うのよ、ミハエル!」
だん、と有人の拳が、ミシェルの厚い胸板を叩いた。
その瞳から零れた涙が素肌を伝って、岩に吸い込まれて、消える。
「私は…男……なのに…なのに、私が…オレが…演じた女にしか、誰もが価値を認めない……あただって…そうじゃない…」
〜中略〜
「男のさ…男のセックスのための理想型にされて、毎日みたいに性欲剥き出しにした目でみられてさ…!芸のため、美のため、道のため……それが一体なんなんだ!オレは…男だってんだよっ……」
「…顔、拭けよ。涙でえらいことになってるぞ」
「ミハエル…」
様々な感情を押し殺して、ミシェルは有人の涙をハンカチで拭いてやった。目の前で泣きじゃくる友人が可憐な乙女にしか見えなくなって、ミシェルはアルトが男なのかどうか、直に性別を確認したい衝動にさえ襲われた。