やがて地獄へ下るとき、
       そこに待っている父母(ちちはは)や
       友人に私は何を持って行かう。

       たぶん私は懐(ふところ)から
       蒼白(あおざ)め、破れた
       蝶の死骸をとり出すだろう。
       さうして渡しながら言ふだろう。
   
       一生を
       子供のやうに、さみしく
       これを追ってゐました、と。^B^