谷にむかってこれやから盾とは別やん?

「これ磨いとけ」
宇佐美は軍衣から仁方やすりを取り出し、地面に積まれた防楯に放った。
かあんと甲高い音が鳴った。
「菊田特務曹長が髭を剃るのに使うんだとさ。なんで僕があいつのためにそんなことしなくちゃなんないんだ。お前がやっとけよ」