サムスピ総合エロ萌えSS 4
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0001名無しさん@ピンキー2006/11/20(月) 01:06:01ID:7zC1vlf2
ここはサムライスピリッツシリーズの
萌えSSやエロSSを書き込むスレッドです。

サムライスピリッツ天下一剣客伝公式
ttp://www.snkplaymore.jp/official/samurai_tenka/
0357名無しさん@ピンキー2009/11/22(日) 19:20:29ID:aWPgODNK
354でつ。
数日に分けて今から投下しやす。

捏造、妄想が禿げしい上
オリキャラ出るんで苦手な人はスルー推奨。

エロまでの道のりがめちゃめちゃ長いんで
エロしかイラネの人もスルー推奨。

マイナーすぎるカプだが
お口に合えば幸いッス。
0358半蔵×楓 12009/11/22(日) 19:27:22ID:3UiQVe5H
「秋風」

青年は若いながらも「服部半蔵」の名を襲名し、既に数々のお役目を果たしていた。
冷静沈着さと判断力、忍術、体術、剣技、統率力は歴代の「半蔵」達と引けを取らないどころか
それ以上と言われている。

しかし、半蔵は成人しているというのに未だ伴侶を迎えていない。
伊賀の里の者達がそれを放っておくはずもなく
年頃の娘がいる者達はこぞって半蔵に縁談を持ちかける。
が…、肝心の半蔵はそれを全て流していた。

「お主、まさか男色ではあるまいな?」

里のご隠居に問われ、常に感情を表に出さない事でも有名な半蔵だが
想像だにしない事を問われ一瞬目を見開いた。

「ご隠居様、冗談にも程がございます…。」

「お主、猿丸の娘との縁談も断ったそうじゃな?あそこの娘は器量良し、控えめのええ女子じゃ。
それにその前に断った佐助の娘。あそこの娘はくの一として有能じゃ。
どれもお前にとって申し分ない縁談ばかりの筈、何が不満なんじゃ?」

「拙者はまだ未熟者でございまするが故、伴侶を持つなど…」

「もう18位であろう?お前と同じ歳の者達はお前以外既に伴侶を迎え子を成しておる。
お前ほど優秀な者の血は後世に残す義務がある。それは即ち徳川幕府の御ため。分かっておるな?」

ご隠居様と呼ばれる伊賀忍頭領の老人は白く長い髭を撫でながら、厳しい目つきで半蔵を見やると同時に
半蔵の目前の囲炉裏の炭がパチンと弾けた。

「…否、女人が嫌いという訳では…。」

「つまり、お前の目に叶う女人がこの里におらぬという事か?」

「否、そのような事は…」

少々は図星だったようだ。
動揺すると表情が一瞬崩れる。まだ「心」が未熟だったかと老人がため息をつく。

そんな半蔵を見たのは子供の時以来だろうか?
鬼の半蔵も女人の事で心を乱すようではまだまだという事か…。
半蔵の人間らしい部分を久しぶりに見た隠居の顔が呆れながらもほころびる。

「三月やろう。それまでに伴侶を決めなければ里の意思に従ってもらうぞ。」
「御意。仰せの通りに…」
その一言を残すと半蔵は煙と共に消える。

隠居の屋敷を出、自分の屋敷に戻る途中に半蔵の肩に緑色を残す紅葉がひらりと舞い落ちる。
0359半蔵×楓 22009/11/22(日) 19:32:26ID:3UiQVe5H
「お前のモズ落としはいつ見ても最高だな!」

とても忍とは思えない落ち着きのない男が半蔵に話しかける。
声をかけた男は半像と幼少の頃からの幼馴染であり、
度々仕事を組む相棒の「弥彦」である。
下人だが幼馴染という事もあり、「半蔵」という名を襲名してからも
昔と変わりなく接してくれる数少ない友人でもある。

今回のお役目は吉原に出没する女郎を狙った辻斬りを二人で闇に葬る事であった。

一瞬のうちに半蔵の制裁を受け、首がへし折られた浪人の亡骸を夜が明ける前に手早く処理すると
伊賀の者が経営する、吉原での拠点となる廓へと向かう。

表通りから少し奥まった一軒の店の裏口の門を弥彦が叩くと扉がすっと開く。
中には中年の気が強そうな小太り女が傅いている。
吉原内でお役目を果たす時は常にここが拠点となる。
「半蔵殿。弥彦殿。お帰りなさいませ。さあ、中へ。」

女は伊賀の者だが、ここ吉原では一軒の薬商屋のおかみという顔を持つ。
この吉原ではこの女以外にも何人かの伊賀者が傍らに商いを開き常駐しているという。
彼女らのもっぱらなお役目は「情報収集」である。

吉原には侍や大名、老中が出入りする事も多く
酒の席や枕の中でうっかり情報を漏らす者も少なくない。
その時のための「草」である。
幕府にとって有益な情報、無益な情報。全てが使いを通じて幕府の隠密達に知らされる。

吉原の朝は早い。
遠くから大勢の女人達の声が聞こえてくる。
忍装束から侍袴に着替えた所で、この店の主人が起床した。

「おお、もう帰ってきていたか。おえんの一番上の姉の次男の弥彦殿と、二番目の兄の末子の半蔵殿だったかな?
昨日は廓で遊んだようだな。それにしても朝帰りとは元気なものよのう。」
主人は言いたい事を言い終えたのか、かっぷくの良い体をひきずるように奥へと消えていった。

主人は忍ではない。おそらく自分の女房が忍だという事はこれから先も知る事はないだろう。
0360半蔵×楓 32009/11/22(日) 19:35:57ID:3UiQVe5H
おえんの出した茶を一口飲んだ後、半蔵は昨日の夜から疑問に思っていた事を口に出す。
「昨日の浪人…。確かに多少は腕がたつ者だったが、お主と拙者の二人もいらなかったのではないか?
お役目に与えられた日数は四日。だが一日もあれば充分なお役目だ。
そして支給された経費の額が多すぎる。」

半蔵は懐から金子三枚を取り出し、卓袱台の上に置く。

おえんは弥彦と目くばせすると、後方から書状を取り出す。
書状には十数名の女人の名前が書き連なっている。

「これは何だ?」
半蔵は自分の前に置かれた書状の意味が分からなかった。

「お前、他の事にはこれでもかって位敏感なのに、どうしてこういう事には鈍感なのかねえ…。」
弥彦が大きなため息をつく。

半蔵の眉が少し動く。どうやら不快に感じたようだ。

「半蔵様にはこれから里に帰り、三月かけてこの女人達と見合いをしてもらうという命が伊賀から届いてまして。
三月後にこの中から嫁を選ぶようにーとの事でございます。」
おえんがにやりと笑う。

名前をよく見ると年頃の娘を持つ伊賀の権力者者達の名前が各女人の横に書かれている。

ーしてやられた。ー

三月の猶予は自分で嫁を見つける猶予ではなく、この中から選ばなければならないという猶予だったのだ。
三月以内にこの中から決められなければ、里が選んだ女人と添い遂げなければならぬという事を意味する。

「各地に散らばってる伊賀の者達がここぞとばかりに自慢の娘達を連れてやってくるらしいぜ。」

「弥彦。お主知っておったのか?!」
半蔵が卓袱台を叩くと湯のみが大きく揺れる。

「そう怒るなよ。で、その金子と残りの三日は里の相談役達からの素敵な贈り物ってことだ。」
弥彦は金子の一枚を取ると半蔵の目の前に突き出す。

「贈り物とは何だ?」
半蔵は目の前の弥彦の手を金子と共に振り払うと眉間に皺を寄せる。
明らかに怒っている。

「だーかーらー、三日間は吉原で好きに遊べって事だよ。お前に与えられた最後の青春ってやつだ。」

半蔵が頭をかかえたのと、弥彦が腹をかかえて笑いだしたのは同時だった。
0361半蔵×楓 42009/11/22(日) 19:42:11ID:3UiQVe5H
日がちょうど真上にきた頃、半蔵と弥彦はおえんから近辺の廓について説明を受けていた。
「…で、この廓は技が、ここは芸を売りに…って、聞いてます?」
おえんの説明を熱心に聞いてたのは弥彦のみだ。

「弥彦…、お主、先月初子が産まれたばかりではなかったか?」
半蔵が少し怪訝な表情を浮かべる…と言っても傍から見ればほとんど変わらない。

「何お堅い事言ってるんだよ。吉原に来たからには女を買わなきゃ男が廃るってもんよ。
俺はお前の付き添いでここまで一緒に来てやってるんだからこれくらいの恩恵を受けたって罰はあたらねえよ。」

どうりで今回のお役目はやけに乗り気だったわけだ。
お役目より色事優先とは情けない。だが、それが弥彦の持ち味でもある。

その後、おえんに追い出されるように外に出ると
二人はあてもなく通りに出る。

昼見世が始まり、各廓の格子窓にはきらびやかな羽織をまとった女郎達が鎮座する。
通りを歩く男達の気を引くために格子の中から手招きをしている。

以前にも何度かお役目がない時に弥彦に連れられて吉原に来た事はある。
女達は皆手厚い対応をしてくれ、男の性もあり満足しなかったわけではないが
情事の後、偽りの情と何ともいえない虚しさが半蔵には心地が悪く感じるようになり、
ここ最近は吉原への誘いを断っていた。


弥彦が一軒の廓の格子窓の前で足を止める。
その前にはふくよかな女郎がお福人形のような笑顔をみせている。
なるほど。弥彦の妻にどことなく似ているかもしれない。

「って事で俺はこの店に決めたから、お前も好みの女見つけてさっさと楽しめよ!」

棒立ちの半蔵を残したまま、弥彦は店の中へと消えていった。
0362半蔵×楓 52009/11/22(日) 19:45:54ID:3UiQVe5H
さて…、どうしたものか。

弥彦に言われた通りに覚悟を決めるか否かを考えていると、どこかで揉めている声が耳に入る。
常人では聞き分けられないだろう。

聴覚を頼りに入り組んだ裏の路地へと入ると
若い女人が五人のごろつき達に囲まれている。
紅い着物を着ているという事は女人はかむろであろう。


「いいかげん通していただける?姐さんのおつかいの帰りなだけで、私…暇じゃないのよ?」

女人が淡々とした口調で静かに、強く言い放つ。
後ろ向きで顔までは確認できないが、赤みを帯びた茶色でくせのある髪の毛を高い位置でくくっている。
首をかしげるとくせのある長い後ろ髪がゆらゆらと揺れる。

「ちょっと変わった毛色だが、えらくべっぴんで色っぽいかむろだなぁ。」
「こんな裏路地歩いてるおめえが悪いんだぜ〜。」
「オレ達がおめえの水揚げの相手になってやるよぉ!」
「今なら賭博に使ってる部屋空いてるしなあ。」
「こっち来いよ!」

ごろつきの一人が女人の腕を掴む。
物陰から様子を伺っていた半蔵が懐から手裏剣を取り出すと同時にごろつきが宙を舞う。
男達は何が起こったのか暫く理解できなかったようだ。
半蔵でさえ、一瞬目を疑ったが女人が大の男を受け流して投げ飛ばしたは間違いない。

「気安く触らないで欲しいわ。この身体は売り物でありんす。
私を抱きたいなら廻船問屋の旦那が水揚げ代として出す
金百両を超える額を用意していただかないと。」

女人がごろつきに捕まれた部分をさすり、大きなため息をつく。

「何だあ?!この女。」
男達が腕を振り上げ女に襲い掛かるも、あっというう間に五人のごろつき達が地に転がる。
紅い着物の裾がめくり上がり、白くしなやかな脚が舞い、羽のような手刀が空を斬る。
まさに蝶のようで「見事」という他なかった。

何人かは腕なり足なりの骨が折れたかヒビが入ったのだろう。
地面の上でうめき声をあげている。
南の地方の武術だろうか。かなりの使い手と見た。

半蔵はただ、その流れるような動きに見とれているしかなかった。
0363半蔵×楓 62009/11/22(日) 19:51:13ID:3UiQVe5H
「これでも手加減してあげてよ?」

女人は着物の裾を直し、転がった男達の間を通ると
比較的動けるごろつきが懐から刀を取り出し、再度女人に襲いかかる。

「ぶっ殺してやる…!」

「キィイン…」という金属同士のぶつかる音が辺りに響くと
ごろつきの持っていたドスが転がっている仲間の頬を掠め、地面に突き刺さる。

反射的に飛び出た半蔵は左手で女人を庇うように抱え、
右手でごろつきのドスを自分の刀で弾いたからだ。

ごろつき達はその威圧感に圧倒され冷や汗を流す。
怪我人数名で刀を持った武士に勝ち目がないと判断したようで
動ける者は重傷の者を引きずる形で無言でその場を逃げ出した。

半蔵は男達が去ったのを確認すると、刀を降ろし、女人を見やる。
先ほどは癖のある前髪で顔がよく見えなかったが
なるほど。整った目鼻立ちにぽってりした唇。
そして意思の強そうな茶色の瞳はどことなく妖艶さを感じ、
半蔵は思わず女人に見とれる。

腕の中の女人の体温が僅かに上昇したのを感じると、女人が眉をひそめる。

…パァァン…!

女人から頬をはたかれ、半蔵は動揺する。

「いつまで私の胸を掴んでいるつもりなのかしら?…助兵なお人。」

半蔵はその時初めて抱えた女人の胸を掴んでいる事に気がつき、慌てて手を離す。

「す、すまぬ。わざとでは…!」

「それに、誰が助けを請いましたの?あれ位の太刀捌きなら避けられましてよ。」

お礼を言われるどころか、顔をはたかれた上に文句を言われ、さすがの半蔵も気分を害したようだ。
眉間に皺を寄せる。

「それは悪い事をした…!」
大人気ないと思いつつも語尾が強くなる。
女人は茶色の髪の毛をゆらゆらゆらし、数歩歩いてから足を停める。

「…一応、助けて貰ったのは間違いないから礼をしませんと。
姐さんから駄賃を貰ってますから、そこの茶屋でよろしいなら団子でもご馳走しますわよ。
…嫌なら構わなくてよ。」

女人は半分振り返ると流し目で半蔵を見る。
つまり、あまのじゃくのような表現だが
女人は半蔵に感謝しているというのは間違いないらしい。

歳はおそらく半蔵よりも年下だが
妙に艶っぽい。
掴みどころがない所にも興味が沸く。

「…馳走になろう。拙者は半蔵と申す。そなたは?」

「今は『お蝶』と呼ばれてますわ。」
0364半蔵×楓 72009/11/22(日) 19:56:50ID:3UiQVe5H
半蔵はこの不思議なかむろに誘導されるまま、茶屋の長椅子に腰をかける。

「半蔵殿。ここの団子は口に合わなくて?」お蝶が茶色の瞳で半蔵を見つめる。

「否…。」
お蝶を見ていて好物の団子の存在を忘れていたようだ。

「お蝶殿、武術の心得があるようだが…?」
半蔵が団子を一つ口に入れる。

「ここに来る前はもっと南の地方に住んでましたの。
父はそこそこ名の知れた武術家でしたのよ。」

お蝶の瞳に影がさす。ここ吉原にいる女郎は皆理由あって売られてきた者だという事を半蔵は思い出す。

「悪い事を聞いてしまったようだな。…すまぬ。」

沈黙は突然破られる。
女のかん高い叫び声が通りに響く。

「嫌ぁ!放して!誰か助けてー!」
通りで男二人に抱えられた女郎がかなきり声をあげている。
その傍らに人相の悪い男が数名、通りから見る者を睨みつける。

「見せものじゃねぇ!」
通りを歩く者達が一行を避けるように道を広げる。
人の間から見えた女郎の顔は腫れていた。
抵抗したのか髪は乱れ、着物は土で汚れている。

半蔵が無意識に刀に手をかけるとお蝶が半蔵の手を抑える。

「何をなさる気?あの女郎はここの禁を犯して罰を受け、
これからもっと酷い罰を受けるだけの事…ここでは日常茶飯事。」

茶屋の主人が通りを歩く浪人に話しかける。
「また足抜けかい?」
「そうらしい。でも、一緒に逃げた客の男は足が早い奴だったらしく、何処にもいなかったらしいぜ。」
「女を置いて逃げたのか。後味悪いねえ。」

「大門を抜けて外に出れば追手に連れ戻され見せしめのために殺される。
私達女郎が大門を出るには身請けされるしか方法が無いのよ。」

目の前を過ぎた一行は女郎を引きずりながら近くの廓へと入っていった。
あの女郎が日の目を見る事はもうないだろう。
足抜け女郎と抜け忍、立場は違えど辿る道は同じ。
半蔵は何とも言えない気分になる。
0365半蔵×楓 82009/11/22(日) 20:10:50ID:3UiQVe5H
「半蔵殿、お国に良い人はいまして?」
「…否。だが、このままいけば意に添わぬ女人と婚姻せねばならぬ…。それもまた運命かもしれぬな。」
半蔵が自嘲をふくめて静かに笑う。

「では、私と同じ…。私達は常に意に添わぬ殿方達と毎夜枕を共に。それも運命でしょう。」
冷たい風がふき、楓の髪が舞う。
秋がまた一段と深まったようだ。

半蔵が串とみたらしの蜜だけになった皿を店の主人に渡す。
皿が横に傾き、みたらしの蜜が半蔵の指にかかる。
「お客さん、すみませんねえ。」
「構わぬ。」
半蔵が指に付いた蜜を舐めとろうとした時、横から出た白い手が半蔵の腕を取る。

「お蝶殿、一体何を…?」
お蝶は無言で半蔵の指に絡みついた蜜を舌で舐めとり始める。

舌先で丁寧に。器用に。

…くちゅ。…

親指についた蜜を取る時は更に入念に。
まるで男根を扱うかの如く。
舌が指に絡みつく度、淫音が発せられる。
お蝶の艶のある視線もあり、情事の最中かと錯覚する。
身体の芯が熱い。

「…はぁ…」

半蔵の指から口を離すと、お蝶は自分の唾で濡れた指を手ぬぐいで拭き取る。

「勘違いしないでくださる?お礼のおまけよ。
私達かむろは姐さんが客を待たせてる間、お客様の時間潰しに指を一物に見立ててしゃぶるの。
たいしたことじゃなくてよ。」

顔を少し赤らめたお蝶が長椅子を立ち、茶屋の主人を呼ぶ。

「そろそろ帰らなきゃ…。私、明日から忙しくなるから。」

お蝶が茶屋の主人に銭をわたす。
気がつけば日が傾き始めていた。

「…また、逢えるか?」

半蔵は思わずお蝶の手を掴んだ。
何故そうしたのか、分からなかった。
自分の手も、お蝶の腕も熱い。

「明日から扇屋の『茜』という名前の花魁になるのよ。私。
本当は金子の山を三回積まなければ口も聞かない所だけど
半蔵殿が扇屋に来てくれるのなら…
…私が自分の花代を出しましょう…。
…嫌なら構わなくてよ。」

半蔵の手を軽く払うと、顔を見る事なくお蝶が人混みに紛れて行く。

吉原慣れしていない半蔵はお蝶の言っている意味が分からなかった。
ー客としてなら逢っても良いという事だろうか。

今まで感じた事のない感情が半蔵の胸を締め付けた。
0367名無しさん@ピンキー2009/11/22(日) 20:26:43ID:aWPgODNK
354でつ。
今日はここまでッス。
これから続きをまた創作して
明日投下しやす。


分かりにくい表現使っててスマンお。

かむろ(禿)→女郎見習い。(処女)

引き込かむろ→おいらんになれる素質を持つ将来有望なかむろ。

水揚げ→かむろがお金で処女買われる事。これを経て一人前の女郎に。

※誰でもおいらんになれるわけじゃなくて
教養や芸事をそれなりに身に付けないとなれなかったらしい。
03683542009/11/23(月) 19:45:55ID:ZsCUt37g
>>367
ありがとん。


今から続き投下しやす。
既に間違いを色々発見してしもうたorz

2話→「吉原での拠点となる廓へと向かう」×
「吉原での拠点となる薬屋へと向かう」○

8話→「冷たい風がふき、楓の髪が舞う」×
「冷たい風がふき、お蝶の髪が舞う」○

ではよろしくお願いしやす。
0369半蔵×楓 92009/11/23(月) 19:52:31ID:SahHzTlQ
おえんの薬屋に戻るとせがれの番頭が昨夜、辻斬りに襲われかけた女郎が
二人の黒い人影に救われたという噂が広まっているー
という噂話を、薬を買いにきている客と話していた。

息子も母親が忍という事はこれからも知る事はないだろう。

番頭に軽く会釈し部屋に入ると、困った表情を浮かべているおえんと、
にやけた弥彦が茶をすすっていた。

「お前、清純系の正統派なヤマトナデシコ的おなごが好みとばかり思ってたが
艶っぽいそそる女が好みだったんだなぁ。里にも色っぽいのが何人かいるが、ああいう華のある女いねえもんな。」

「見ていたのか?!」
半蔵の顔が真っ赤になる。

「団子食べながら鼻の下伸びてたぜ〜。」

弥彦に見られていた事にきづかなかったとは不覚極まりない。

「扇屋は敷居が高い廓で有名でしてね。一緒にいたのは「お蝶」でしょう?
明日、水揚げされ一人前の花魁になるそうですよ。
ただ…ね。普通の女郎ならともかく、お蝶は昔から名を馳せる花魁になると言われていますから…
金三枚では門前払いでしょう。
それに明日は廻船問屋の旦那との水揚げが決まっているのはここらでは有名な話です。
他にもたくさんおなごがいますから…ね。」

遠まわしにお蝶はやめておけ。という事らしい。

普段はあまり飲まない酒を弥彦と交わす。
お蝶の事を考えると胸が熱くなる。
気を紛らわせようと酒を仰いだはずが、気がつくと弥彦にお蝶の事ばかり話していた。

「お前、その女郎に惚れたのか?」
「分からぬ…、只、お蝶殿の事を考えると胸が苦しい。これが俗に言う恋患いという病気か?
…それにまだお蝶は女郎ではない。かむろだ。」
半蔵が何度も大きな溜息をつく。

弥彦が畳に寝そべる。

ーこれは重症だ。ー

お役目に関しては里一番の手錬れのくせに、おなごに関しては下人の自分以下。
まあ、そのうち嫁でも貰えば多少の免疫もつくだろう。
半蔵の若い青年らしい部分を垣間見、弥彦は皮肉を込めて笑う。

「…しかし、拙者は忍。お蝶殿は吉原の女人。住む世界が違いすぎる。その上、拙者の片思いだ。」

「そうだ!良い事思いついた。」

弥彦が起き上がると満面の笑みを浮かべる。
弥彦がそんな顔をする時は決まってよからぬ事を思いつく時だという事を半蔵は知っていた。
0370半蔵×楓 102009/11/23(月) 19:59:35ID:SahHzTlQ
癖のある髪の毛を椿油で固め花魁髷に結い上げる。
かんざしをさし、煌びやかな羽織に身を包み
三つ指をたて、しなを作り男を迎える。
「お蝶」は昨日の引き込かむろ時代の名前。今日からは花魁の「茜」が自分の名前。
水揚げ用に造られた離れの座敷で初めての相手を待つ。

「旦那様。今夜はたくさん可愛がってくださいまし…。」


父が信頼していた兄弟弟子に騙され、多額の借金を背負ってしまい
自暴自棄になった父は自決。母や兄、姉達と共に毒を服した。
その前に食した物と一緒に毒を吐いてしまい、自分だけ生き残ってしまった。
借金を取りにきた輩にそのまま人売り引き渡された。
毛色が変わっているとこんな遠くの地に売られ今に至る。

父親から教授された技や捌きの鍛錬は怠らなかった。
毎夜、廓の者達が寝ている時に父親の姿を思い出し型を練習する。
吉原では武術など必要ない。
只、父の生きた道を残したかっただけだ。生きた証を…。
それは幾度となく自分を助ける事になるとは知らずに。

少し変わった毛色で他のかむろから馬鹿にされる事も多かったが
根っからの負けず嫌いの気性で踊り、琴、三味線、茶道、歌を極め
将来有望の引込かむろして期待される。
いかにして男の気を引くか、喜ばせるか、興奮させるか
姐女郎達の情事を隠し窓から見ては
目線、しぐさを一人勉強した。

水揚げ代も相場では異例の金百両。
吉原に名を馳せる花魁になり、吉原で一花咲かせる。
その後はどこかの金持ちに身請けされて大門を出る。

夢も希望もないここでの唯一の道だ。

姐女郎から貸して貰った本を読み漁る。
ここでは味わえないような恋愛が綴られている。
こんなものは絵空言。
ここでの情は全て仮初め。
恋は身を滅ぼす…。


だが、出会ってしまった。
一目で恋に落ちてしまった。
黒い髪、黒い瞳。端正な顔立ちに影があるものの、どこか純粋さを持った瞳。
自分の気持ちを悟られぬよう思わずはたいてしまった。
つい気持ちと裏腹な事を口にしてしまう。

すぐにその場を離れるつもりだったが、もう少しだけ一緒にいたいという気持ちが勝ってしまった。
口数は少ないが、正義感と優しさを秘めている。
その男に抱かれる事を想像しながら指を吸った。
いつか自分の元を訪れてくれる事はあるだろうか?
あの男は生真面目な男。
嫁を貰えば廓に足を踏み入れる事はないだろう。

今夜から毎夜、好いてもいない男を迎える。
あの男に抱かれている事と考えれば…きっと耐えられる。
0371半蔵×楓 112009/11/23(月) 20:05:34ID:SahHzTlQ
「茜〜。もっとちこう寄れ。ささ、もっと酒を注げ!」
古狸のような風貌の廻船問屋の主人・荒川が茜の肩を抱き自らの方に寄せる。

「旦那様。酒も良いですが琴などいかがです?わちき、今日のために練習しましたの。」

「音楽なんぞどうでも良い良い。はようお主を味わいたくてワシの愚息がウズいておるわ。」
茜の耳に酒とヤニ臭い息がかかる。

「その前にちょっと厠に行ってくる。良い子にして待っておれ〜!」
「旦那様、早く帰ってきてくださいまし。」
荒川は席を立つと赤ら顔でいやらしい表情を浮かべ、襖を閉め外に出ていく。


下品な人…。
これから毎夜、こんな日が続くのだから慣れなくては。
茜は大きな溜息をついた。

暫くすると、荒川が部屋に戻り茜の隣に座る。

…?

茜は先程と何か違う違和感を覚える。

「夜風に当たってちょと酔いが覚めた。何か一曲弾いてくれんかのう。」

離れから見事な琴の旋律が響く。
廓の主人は琴の音を聞きながら、荒川から渡された金百枚を数え、その後の予定を打算する。


おかしい…。

先程まで楽に全く興味を示さなかった男が今は奏でた曲について風流な感想を述べた。
先程のようにしつこくまとわりつかず、一定の距離を保っている。
酒もあまり進まない。

「旦那様。そろそろ…。」
茜が布団の敷かれた隣の部屋に目を向ける。
荒川に違和感を覚えつつもさっさと終わらせてしまいたい気持ちでいっぱいだった。

煌びやかな羽織が何枚も畳に落ちる。
肌着一枚の姿になり寝所に足を踏み入れる。

この男があの方だったら…。
ありえない事を思いながら布団に腰を落とす。
0372半蔵×楓 122009/11/23(月) 20:12:06ID:SahHzTlQ
「明かりがあってはそちも恥かしかろう。灯を消してやろ…。」

荒川が行灯に手をかけようとすると茜が言葉を遮る。
「お待ち下さい。その前にもう一口お酒を…。」

寝所に用意されている徳利を出すと茜は右肩の肌着を下にずらす。
年相応ではない大きめの胸がこぼれ出る。
とれたての桃のようだ。
徳利を鎖骨のくぼみに少したらすと溢れ出た酒がほのかに赤みを帯びた胸の中心に流れ落ちる。

「さあ…わちきの器でお酒を楽しんでくだしゃんせ…。」

茜が妖艶な笑みを浮かべると荒川は術にかかったかのようにゆっくりと茜に近づく。
茜の前に膝を落とすと茜の右肩を抱くとゆっくりと口を鎖骨に近づける。

酒と共に茜の鎖骨を口に含む。
こんなに美味な酒を口にした事はない。
荒川の体温が一気に上昇する。
茜の甘い息が耳にかかった。

「…そのお姿で私を抱くおつもりですか?半蔵殿。」

…!…

荒川が一瞬にして茜から離れると大きく跳びながら外に通じている障子まで下がる。
0373半蔵×楓 132009/11/23(月) 20:19:58ID:SahHzTlQ
「…何故、分かった?」
姿は荒川だが声が半蔵の声に変わる。

「厠から戻ってからの荒川様と身なりは同じでも中身は別人…。
それに荒川様は廻船問屋。常に川の傍にいるので川の水…それにタバコの香りがします。
でも、…今の荒川様からはほのかに火薬の香りがします。…半蔵殿と同じ香り。」

ふうっ…と荒川の姿をした半蔵が小さなため息をつき、立派な羽織を脱ぎ捨てると
一瞬のうちに変わった着物の逞しい青年の姿になる。

「常人に見破られるとは、拙者の変装もまだまだのようだ…。見ての通り、拙者は忍。
…恥ずかしながら、荒川氏に化けたままそなたを夜這いするつもりだったが
正体を見破られてはもうここにはおれん。それに…拙者はそなたの客にはなれぬ。」

何より、そなたに本気で懸想しているから…この姿では抱けぬ。
とは、言葉に出せなかった。
踵を返すと障子に向かう。

「荒川様は…?」

「眠り薬で夢の中だ。厠近くの物置にいる。すぐこちらに戻すから安心されよ。」

「…でしたら、荒川様はしばらくそのままに。今、この場にいる者が私を抱く権利がありましてよ。
半蔵殿の事ですから、分かっていなかったかもしれませぬが、女郎が自分の花代を出すというのは
本当に慕ってる殿方のみだけ…。」

それは即ち、この女も自分を慕ってくれているという事なのか?!

半蔵が後ろを振り向く。
布団の上に座った茜が肌着をめくるとゆっくりと脚を開き、一指し指と中指でゆっくりと未発達な花弁を広げる。

…くぱぁ…

「この花の蜜を吸うてみたいとは思わないのかしら?」

この機会を逃したらこの男とはもう逢えないという事を本能で感じていた。
ならば、姐女郎が客を虜にするという奥の手で…。

艶を帯び、泣きそうな表情を浮かべた茜が流し目で半蔵を見つめる。
行灯の弱い明かりに照らされた小さな花弁から蜜が一滴流れ布団を濡らす。

何かが切れたような気がした。
半蔵は気がつくと着ている忍衣装束を脱ぎ捨て、女人を布団の上に組み敷いていた。

「茜殿…。」
「『楓』と呼んでくださる?…私の本当の名前…。」
0374半蔵×楓 142009/11/23(月) 20:27:47ID:SahHzTlQ
「かえで…。」
「半蔵殿…。」

楓が半蔵の首に手を回し、どちらともなく唇を合わせる。

…ちゅ…。くちゅ…。
お互いの舌が絡む。それだけで二人の体温が上がる。

半蔵が器用に楓の帯を解き、肌着を脱がす。
形の良い胸が二つ踊り出る。
半蔵は唇から首、鎖骨に舌を這わせると左の楓の胸の中心を口に含む。
右の胸は揉まれる度に形を手のひらで変え、先をつまむとわずかに楓の身体が跳ねる。


「では、次は私が…。」
楓は半蔵の上に馬乗りになると白い指を身体に這わせる。

「逞しい身体…。」
身体のいたる所に細かい傷が見える。
指は胸から腹、下へと下りていく。
既に半蔵の男根は堅く脈打ち上を向いていた。

「男性は皆、荒ぶる刀を身体にお持ちなのね…。」
間近で男根を目にしたのは初めて。
しかし、どうすれば良いかは分かっている。

両の手で男根を優しく包むと股間に顔を沈め、亀頭を口に含む。
舌を絡めながらゆっくりと頭が上下すると
半蔵の男根は更に堅く太く、熱を上げていく。
舌は的確に半蔵の快楽のツボを抑えている。

ちゅ…ちゅば…じゅる。

そろそろ快楽の波が近づき、半蔵が腰を引くが楓は半蔵を放さなかった。

…!…

楓の口の中にこれまで口にした事のない苦く、どろりした液が広がる。
半蔵の男根から口を離すと楓の口の端から白い液が流れる。

「無理をしなくても良い…!吐き出せ。」
昔、性技の指南を受けた年上のくの一から男の精液は苦く不味いものだと教えられたのを思い出す。
楓の喉が鳴る。どうやら飲んだようだ。

心配そうな表情を浮かべる半蔵を横目に、楓は口の端から流れた白い液を指でぬぐい取り、口へと運ぶ。

…ちゅぱっ…

「姐さん達は不味いと言っていたけれど、半蔵殿の味…、私は嫌いじゃなくてよ。」
楓が色っぽく、優しく笑いかける。

その顔を見て、半蔵の男根はすぐに熱を取り戻した。
0375半蔵×楓 152009/11/23(月) 20:35:48ID:SahHzTlQ
「そなたの花の蜜を吸うてみたい。」

半蔵は楓の腰をかかえ脚を開かせると楓の秘所に口をつける。
小さな花から少しずつ蜜が溢れてくる。
どことなく甘く感じる。

「そなたの蜜はとても美味だ。」

楓の顔が真っ赤になる。
姐女郎達が毎夜客に囁いていた言葉がこんなにも卑猥な事だったと知る。

花の芯を舌で刺激すると楓の息が荒くなるのに気付く。
芯に吸い付き刺激をあたえ続けると、やがて楓の身体が大きく跳ねる。

「あっ…。」
一瞬、目の前が白くなった。
これが姐女郎達が言っていた「極楽」というものだろうか。

更に蜜で湿った花の小さな穴に半蔵の指がねじ込まれる。
「きゃっ!」
楓の顔が苦痛に歪む。

「すまぬ…!」
慌てて楓の中から指を抜く。
今まで生娘を相手にした事がなかったため、加減が分からない。
どうしたら良いかと固まっていると、楓が半蔵の指を舐め、自らの花へと導く。

「もういちど…。」
半蔵が少しずつ楓の中に指を入れ、優しく出し入れする。
何度も出し入れすると、一定の場所をこすると反応する箇所をみつける。
そこを何度もこすると楓の身体がもう一度大きく跳ねる。

「あぁ…。」
半蔵が指を抜くとそこから更に多くの蜜があふれ出る。

半ば惚けた眼を半蔵に向ける。

「女は花の中に殿方の荒ぶる刀を納める鞘があると言います…。…貴方様の刀を私の中へ…。」

半蔵は小さく頷くと荒ぶった自分の刀を楓湿った花にあてがう。
くちゅり。と蜜が溶け合う音がする。
0376半蔵×楓 162009/11/23(月) 20:42:13ID:SahHzTlQ
大きく、堅く、熱いものが楓の中に進入し始める。
目鼻立ちの整った綺麗な顔が苦悶の表情を浮かべ、首をふるとかんざしがぽとりと布団に落ちる。
楓が半蔵の背中に爪を立てる。

女人達が初めての時と出産の時は気が遠くなる程の痛みを伴うという。
だが、頭では分かっていても身体が言う事を聞かない。

根本まで楓の中に静めると中の肉壁が半蔵の男根を締めあげる。
その時、今まで味わった事のない快楽が半蔵の中を電流のように駆け巡る。
「…くっ…」
思わず声が漏れる。

女の中には「名器」を持つ者がいるという。
それは膣の中に数の子を持っていたり、みみずを千匹飼っていたり、巾着を持っているという。
半蔵を締めつける楓の中は沢山のみみずがいるかの如く、肉壁が男根を這い、締め上げる。

男根を出し入れする度に電流のような快楽が支配し、やがて楓の鞘の中に欲望を解き放つ。
だが、楓の鞘が締め付けると、すぐに中で大きさを取り戻す。

楓を四つんばいにすると更に後ろから責める。
身体が揺れ、またひとつかんざしがふとんに散る。

初めは痛み以外感じなかったが、楓の中に少しずつ快楽の波が押し寄せる。
半蔵が貫く度、少しずつ。

…ぬっぷ…じゅぷ…

卑猥な音と腰を打つ音、二人の荒い息使いが部屋に響く。

「はぁ…ん、はんぞ…殿。…あぁ…ん。わた…し、もう…、あっあっ…!」

楓の身体さ大きくのけぞり、同時に半蔵をきつく締め上げると、再度半蔵は楓の中に欲望を流す。
後ろから楓を抱き込むとそのまま二人で布団に突っ伏す。

楓の中から自身を抜くと、太ももをつたい白い液と紅い血が流れる。
二つの液は途中で交わり、布団に桃色の染みを作る。

「かえで…殿?」
緊張が切れたのと疲労と痛み、初めての快楽によりそのまま寝入ってしまったようだ。
楓の目には涙が浮かんでいた。
0377半蔵×楓 172009/11/23(月) 20:46:05ID:SahHzTlQ
快楽の中、夢を見た。
これが極楽の夢なのだろうか?
可愛らしい二人の童達が自分を母と呼ぶ。
自分は台所で食事の用意をする。
ふり返るとその先には大きな背中の男。
愛する私の旦那様…。


目を開けるとそこは暗闇。
障子を抜けた月の光が部屋をぼんやり照らす。
自分には来るはずのない幸せな夢を見ていたようだ。

ゆっくりと身体を起こす。
少し身体がだるい。そして所々が痛む。
辺りにはかんざしが散らばっていた。
布団をめくると汚れていた自分の身体が綺麗になっている事に気がつく。
だが、隣には誰もいない。


「行ってしまったのね。」
楓が寂しそうに一人呟く。

せめてもの先程の事が夢でなかった事に安堵する。
もう逢えないと思っていた。
けれど逢いにきてくれた。
抱いてくれた。
これ以上の事は望んではいけない…。自分は吉原の女だから。

隣の部屋からかすかに明かりが漏れている。
枕元に丁寧にたたまれた肌着に袖を通すと襖を開ける。

部屋の中央には変わった着物を着た半蔵が正座で鎮座していた。

「もうすぐ夜が明けますわ。そろそろ荒川様も帰していただかないと…。」
まだ男がいた事に喜びを感じつつも、現実に戻らなければならないと自分に言い聞かせる。

「楓殿。そなたに頼みがある。」
0378半蔵×楓 182009/11/23(月) 20:55:38ID:SahHzTlQ
楓は半蔵の前に腰を下ろす。
くせのある前髪と、情事でほどけた後ろ髪がゆらりと揺れる。

半蔵は一度大きく深呼吸をすると畳に額をつける。
後ろに縛った黒い髪が首から畳へと落ちる。
つまり、土下座である。

「拙者の嫁になってくれ…!」

楓は想像しなかった願いに驚きの表情と共に目を見開く。

「拙者はこの通り、忍の者。影で生まれ、影に死ぬ。
お役目で長く留守にする事もあり、いつ命を落とすかも分からぬ身。
だが、武家以上の暮らしは保証する…!

「半蔵殿…?面を上げてくださいまし。」

「逢って一日だが、拙者はそなたに懸想…いや、愛してしまった!
これから先、他の男がそなたを抱く事を想像すると拙者の胸が張り裂けそうになる。
男達を片っ端から闇に葬る鬼と化してしまいそうで自分が恐ろしい。
そなたが少しでも拙者を想っているというなら…頼む!」

半蔵の耳までもが真っ赤に染まった。

楓がそっと半蔵の肩に手を置く。
てっきり今晩の事は忘れてくれと頼まれるものだと思っていた…。

「分かりましたから、面を上げてくれないかしら?」

「楓…殿?」
半蔵がゆっくりと顔を上げる。
楓が困ったように笑っていた。

「私も逢って一日ですが、貴方を愛しております。
貴方様が初めての相手で本当に良かった。
…ひとつ、約束してくださるかしら?…私より、先に死なないで…。」

もう残されるのは嫌だから…。

半蔵が楓の手をとる。
「では…!」

楓が顔を赤らめながら小さく頷く。
「ふつつか者ですが、よろしくお願いします…。あなた…。」

半蔵が強く楓を抱きしめると、楓の頬を一滴の涙が伝った。
0379半蔵×楓 192009/11/23(月) 21:07:50ID:SahHzTlQ
スパーン…!
小気味良い音と共に目の前の障子が大きく開く。

半蔵と同じ変わった着物を着た男が荒川を抱えて部屋に入る。

「弥彦…。もう少し空気を読んでくれぬか?」
半蔵が弥彦と呼ばれる男を見ずに言い放つ。

「お前がお楽しみ中、俺はこの狸おっさんと狭い物置の中で一夜を過ごしたんだぞ!」
手際よく荒川の肌着をはぎとり、裸にすると寝所に蹴り込む。
薬が効いているのか荒川は大いびきで布団に転がる。

「おい、そろそろ用意しろ。連れて帰るんだろ?そろそろ夜が明けるぞ。」
弥彦が荒川の肌着を放り投げる。

「かえでど…楓。何か持ち出したい大事な物はあるか?」
楓が首を横にふる。

「では…。御免!」
楓の首にちくりと痛みが走ると意識が遠のいていく。

楓の肌着を手早く脱がせ荒川の着物の近くに放りなげる。
「弥彦。こちらを見るでない。」
自分の忍着物の上着で楓を包む。

こりゃ、嫉妬深い旦那になるな。と弥彦は心で思った。
弥彦が二つの風呂敷を半蔵に投げる。
「一つはお前の荷物。もう一つはおえん殿から。
中には女人の旅着物、草履等一式が入っているらしい。女の勘ってすげーな!」

おえんはこうなる事を予想していたのだろうか?

半日前、冗談半分に
「そんなに好きなら水揚げ相手に化けて夜這いすればいいだろ。どうせ相手が誰でも違いねえんだから。」
と、軽く言った事が大事になってしまった。
夜這いした花魁をそのまま嫁に決めてしまったのだから。
これは大変な事になるなと思いつつ、これから里で起こる事を想像すると笑いが止まらなかった。


その朝、一人の女郎が吉原から消えた。
女郎の持ち物や着物はそのまま。情事の痕跡もある。
だが、相手の男は厠に行ってからの記憶がないという。

人々は口々に「神隠し」だと噂したという。
0380半蔵×楓 202009/11/23(月) 21:15:49ID:SahHzTlQ
外から鳥の鳴き声と多くの人が行き交う声が聞こえる。
楓が再度目を覚まし見渡すと、見知らぬ部屋の天井が見えた。

「ここは…?」

部屋に急須と湯飲み、ささやかな朝げを盆に乗せた人の良さそうな老婆が部屋に入ってくる。
「おや、目をさましたのかい?気分はどうだい?」
老婆の後ろから半蔵が姿を現す。今は武士の着物を着ていた。
老婆は半蔵に軽く会釈すると襖を閉めて出ていく。

「ここは里近くにある宿。今から出れば昼刻には伊賀の里に着く。」

宿…?!

楓は布団から出ると近くの窓から外を伺うと
外には旅の路を行き交う大勢の旅人達や馬を連れた者達。
近くの山々は紅く色付いている。

ここは「外」。
大粒の涙が楓の頬を伝っては着た覚えのない山吹色の着物を濡らす。

「…どうした?どこか痛むのか?…ここまで来るのにいくつかの関所があり
荷物と共にそなたを運ぶ必要があり、少々眠って貰う必要があったのだ。許せ。」
表情はあまり変わらないものの、困っているようだ。

風が部屋に吹き込み楓の髪が上に舞う。
日光が当たったその髪はより赤みを増して見え
まさしく大きな「楓」となり風に乗る。


宿を出て、山に入り獣道を暫く登ると開けた場所に出る。
「ここで少し休むとしよう。ここからもう少し先に行くと伊賀領に入る。」
自分を気遣っての事だろう。
さりげない優しさに楓の胸が熱くなる。
0381半蔵×楓 212009/11/23(月) 21:21:35ID:SahHzTlQ
水を飲むと楓は袖をまくり、着物の裾をまくし上げ裾を帯に入れる。
白く長い手足が外気にさらけ出される。
楓は半蔵の前に進み出ると構えた。
「何を…?!」

「毎日鍛錬を忘れた事がなかったのよ。昨日までは…ね。組み手の相手になっていただける?」
半蔵は無言で頷くと侍袴から忍装束へと一瞬のうちに着替える。

「手加減は無用。真剣になさらないと骨が折れましてよ。」
楓がにっこりと妖しく笑う。

拙者はこの顔に弱いのかも知れぬ…だが!
忍び刀を地面に置くと半蔵も構える。

「いざ…尋常に…!!」


女人だからと心のどこかで軽く考えていたのかもしれない。
だが、彼女の繰り出す技はまともに受ければ間違いなく自分の骨をも砕く。
隙を付き、寝技に持ち込めば…!
楓の身体を掴んだはずが、空を掴む。
半蔵の手から逃れ、白い脚が半蔵の脚を払い、地面へと転ばすと
体制を立て直した楓のかかとが空を斬り、そのまま半蔵の顔へと降り落とされる。

「参った…!」
楓のかかとが半蔵の鼻の先で動きを止める。

手をぬいたわけではない。
刀と忍術を使わなければ今、この女には勝てないだろう。
我ながらとんでもない女に惚れてしまったと思いつつも
まだまだ武術に関して修行が足らないと静かに笑う。

「久しぶりに手応えのある人と組み手ができて、私…楽しかったわ。」
白い脚が半蔵の目前にくる。
一昨日の夜の事を思い出し、半蔵の身体が急激に熱くなる。

無意識に楓を立ったまま木にもたれかけさせるとそのまま乱暴に唇を奪う。

「すまぬ…我慢できぬ。」
0382半蔵×楓 222009/11/23(月) 21:27:36ID:SahHzTlQ
着物の前合わせを乱雑に広げ、踊りでた桃のような胸にしゃぶりつく。

「あ…なた…。」
指が楓の花をそっと撫でると中に進入する。
一昨日よりも滑らかに進入する事ができた。
そのまま傅くと楓の右脚を肩にかけさせ、指を中に進入させたまま花の芯を吸う。

…ちゅり。…

「昼…に、こん…な場所で…、ダメよ…あんっ!」
楓の身体が跳ねる。

「はあ…。でも、嫌じゃないわ…。私…。」
熱っぽい視線を投げかける。誘っている目だ。

…ずりゅ…。ぬぷ…

荒ぶった自身を忍袴の隙間から取り出すとそのまま楓の中を貫く。
またもや電流のような快楽が身体じゅうを走る。
木に背に立ったままもたれかけさせ、右脚を抱え腰を打つ。

今この場に刺客が現れれば、間違いなく討たれるだろう。
だが、それでも止められない。

身体が揺れるとその振動が木を伝わり枝をかすかに揺らす。
二人の上に紅葉がひらひらと降り注ぐ。

半蔵の動きがいっそう速くなると楓の息も激しくなる。

「はぁん…!あな…た。私の中に…出し…て!」

更に大きく身体が揺れると再び半蔵を中から締め上げる。
それと同時に半蔵の男根が大きく脈打ち、楓の中に自分自身を全て吐き出す。

楓の中から抜くと白くどろりとしたものが脚を伝い足元の落ち葉に落ちる。
紅い紅葉に白い斑点が広がる。
楓はゆっくり半蔵の前に腰を下ろすと自分の蜜と半蔵自身の体液で汚れた男根をしゃぶり、綺麗にする。

「綺麗にしないと。その黒い着物が汚れてしまうわ。」

「も、もう良い…!」

これ以上刺激を与えられたらまた抱きたくなる…!とまでは口に出せなかった。
急いで楓から離れると身支度を整える。

あのまま吉原にいたら、間違いなく名を馳せる花魁となっていただろう…
と、半蔵は身を持って実感する。
0383半蔵×楓 232009/11/23(月) 21:38:03ID:SahHzTlQ
二人が出羽山中にある伊賀の里に着いたのは夕刻を過ぎていた。
隠居の屋敷の広間で大勢の相談役達が到着を待ちかねている。
先に里に着いた弥彦から、事の次第が報告され
先代半蔵が甲賀のくのいちを連れて戻った時以来の衝撃が里を取り巻いた。

里の相談役や、娘を嫁にと企んでいた者達が
自分達の目論見が崩れ、思い思いに愚痴を吐いていた。

先代半蔵の時もこんな事があったなと隠居は思い返していた。
現半蔵の師である先代半蔵も同じく、端正な顔立ちだったが、
今の半蔵と違うのは女人に対して手が早かったという事だった。

里の女はもちろんの事、吉原の遊女や町娘、どうやらとある大名の側室まで手を出していたというのだからタチが悪い。
それが事もあろうかお役目を邪魔してきた甲賀のくのいちにも手を出した。
そのくのいちが本気になってしまい、押しかけ女房のような形で伊賀に居着いてしまったのだ。

くのいちは勝気な女で、文句を言う輩達やくのいち達に腕比べを申し込み
力と技で捻じ伏せた。

「さっさと娘に半蔵殿の床に夜這いをかけさせれば良かった。」
「ふんっ、お主の娘は顔がいまいちじゃから勃たんじゃろ。」
「何を?!」
「誰が半蔵殿に吉原を薦めたんじゃ?!」
「まさか花魁の色仕掛けに落ちるとは…。」

「そろそろ静かにせんか!!」

隠居の声と共に人々が一斉に声を噤む。

「服部半蔵、只今戻りました。」
襖が開き、半蔵と若い女人が部屋へと入る。
誰もが連れてきた女を穴が開くほど見つめる。

「その女がそなたの嫁か?」

茶色の髪の毛をゆらし、ゆっくりと頭を下げる。
「楓と申します…。よろしくお願いいたします。」
再びゆっくりと面を上げると流し目で周りの者達を見やり
艶を含めた瞳で妖しげに笑みを浮かべる。

相談役の男衆達が喉を鳴らした。

面白い…この場にいる男衆達を色仕掛けで落としよった。

隠居はにやりと笑うと静かに口を開く。
「約束は約束じゃ。三月以内に嫁を決めたのじゃから、その女を嫁にするが良い。
半蔵よ。今以上にお役目に励めよ。…以上じゃ。」

「御意。」

小さく安堵の息を漏らすと半蔵が深々と頭を下げた。
0384半蔵×楓 242009/11/23(月) 21:49:44ID:SahHzTlQ
隠居はいまだに不満を漏らす一部の者達を部屋に残すと、そのまま縁側に出て月を仰ぐ。
暗闇を丸い月がぼんやりと照らす。

先代半蔵は甲賀の手錬れくのいち。
今の半蔵は吉原の花魁。
それぞれ面白い女を嫁に迎えたものだ。
では…、次に半蔵の名を襲名する者は一体どんな女を嫁にするのか。

「まだまだ長生きせねばならんのう…。」


半蔵の屋敷へと歩いている途中、半蔵は自分の首巻を外すと優しく楓の首に巻く。
「秋の風が一段と冷えるようになった。風邪などを召さぬよう…。」
「ありがとう…ございます。」

「新しいお役目を先程拝命した。一週間後に発ち、暫く留守にする…大丈夫だ。お主より先には逝かぬ。」
「あなた…。私に忍術とやらを教えていただけないかしら?私…、負けず嫌いなのよ?
それに…一方的に待つのは好きじゃなくてよ。」

「分かった。」
半蔵は優しく楓の肩を抱き、自分の方に寄せるとゆっくりと再び歩き出す。

秋の冷たい風が吹き、楓の首巻を空へと舞い上げるが
二人の心と身体は暖かかった。

半蔵の肩に真っ赤に染まった紅葉がひらりと舞い落ちた。
―もうじき冬が来る。


(終)




〜おまけ 数年後〜

「父上、はやくかえってきてね!」
楓に良く似た子供が心配そうに半蔵をみつめる。
半蔵に似た子供も楓の腕の中から心配そうな瞳を半蔵に向ける。

今回のお役目は三月かかると言われている。

「真蔵。わがままを言って父上を困らせてはいけませんよ。」
優しく諭すと腕の中の子供を下に下ろす。

「あら、あなた、肩に糸くずが…」
楓が半蔵に近づき、糸を払う仕草をしながら耳元で囁く。

「あなた…。早く帰ってきてくれないと、私…寂しくて、違う刀を私の鞘に刀を納めてしまうか…も。」

その後、三月かかるであろうと言われたお役目は、一月という異例の早さで遂行されたという。
0385名無しさん@ピンキー2009/11/23(月) 22:01:26ID:ZsCUt37g
354でつ。

何とか終了できやした。

名前がコロコロ変わったのは
かむろ時代とおいらん時代では別の名前をつけられるからでつ。


この連休はヒッキーしながら
半蔵×楓の初夜話ずっと創ってたお。
でも後悔してないんだぜ!(`・ω・´)
03863542009/11/23(月) 22:26:35ID:ZsCUt37g
間違ってあげてしもうた。

早速間違い発見。
24話おまけ→「違う刀を私の鞘に刀を納めて」×
「違う刀を私の鞘に納めて」○

他にも誤字脱字とか
ちょっとおかしい部分が色々あるかもしれない。
申し訳ない。
0387名無しさん@ピンキー2009/11/24(火) 01:18:10ID:4CPzbjHE
>>354
乙でした!
初々しい二人の交流とエロをごちそうさまでした

>私より、先に死なないで
に真サムEDを思い出してじんわり来ました
03883542009/11/25(水) 23:44:08ID:hPAUnppw
>>387
少しでも楽しんでいただけたなら幸いです。

真サムのキャラ設定イラストを初めて見た時から
自分の中での楓さんのイメージが「えっちな奥さん」なもので

またいつか短編エロを投下するかもしれないです。
0389名無しさん@ピンキー2009/11/28(土) 02:27:37ID:zlGCyLZW
久々に覗いたら凄く面白そうなのが投下されててよかった
明日読み始めるのが楽しみだ
0391名無しさん@ピンキー2009/12/05(土) 00:34:37ID:ZvbhvS8Z
いい物読ませてもらったぜ
0392名無しさん@ピンキー2009/12/11(金) 23:36:03ID:fLJ13kfw
陸捨肆氏のリムルルシリーズ、もうあれ(保管庫掲載分)で完結なのか?何度読んでも続きがあるようにしか見えないんだが…続きあるなら帰ってきてほしいなぁ…
0393名無しさん@ピンキー2009/12/20(日) 00:23:06ID:cM9uo22m
保守あげ
0394名無しさん@ピンキー2009/12/23(水) 11:19:25ID:ij5tzHQJ
投下が少ないから書いちゃった
色とリムルルと閑丸
0395名無しさん@ピンキー2009/12/23(水) 11:21:04ID:ij5tzHQJ
「おててで白目」

 振り向いた女の目は死んだ魚や人形の目のようにも見えるどこか奇妙
な目だった。錯覚を起こさせる奇妙な目は狙いを定めると動きを止めた
。女の目が捉えたのは、緋雨閑丸だった。
 無関心を閑丸は装う。しかし、あるかないかの一瞬の戸惑いに動揺が
表れていた。それでも無関心を敢えて貫こうとする閑丸は、ふと目を女
に向けた。女はまだ目を離していなかった。相変わらずあの調子の目だ
った。
 「何を、していたの」
 「何を、って…何も」
 「何を、していたの」
 どこかこの世の物ならざる様に、あるいはカラクリ人形の様に女が
問いかけてきた。喋れる事を意外に思いつつもはぐらかそうとした閑丸で
あったが、女には通じなかった。
 「何をしていたの」
 閑丸の中に不思議を超えて恐怖の感情がわきあがった。ただの美しい大
人の女かと思ったが、とんでもない存在に遭ってしまった。
 「ごめんなさい!!あなたがあまりにもきれいだったから、ついもう
少し長く見ていたいと思って追いかけてしまいました」
 傘も放り出して閑丸は頭を下げた。何度も頭を上げては下げている間
に、恐ろしい予感がした。
 (許してくれないのかな)
 「そうなの。わかった」
 閑丸の悪い予感は裏切られた。女は相変わらずの無表情だがかすかに
和らいで見えた。閑丸が安心している間に、女の視線が下がった。閑丸
の股間は盛り上がっていた。
 「それで、何をするつもりだったの。私を見た後何をするつもりだったの」
 「え?そ、それは…」
 「わからないのね。教えてあげる」
 感情を持たない女の動きに閑丸は後れを取った。女の手は閑丸の股間
の逸物を取り出すと、閑丸の手をとってそれに沿わせていた。
 「いや、その、…知って…ます」
 閑丸の声は段々と小さくなって蚊の鳴く様な声になっていった。女の
手に引かれて閑丸の手はその閑丸自身の股間を緩くにぎって摩る。女が
背後に回っても手は休む事が無かった。そして
 「うわぁっ!!」
 閑丸は体をこわばらせて身震いすると股間から迸らせていた。目は白
目を剥いていた。
0396名無しさん@ピンキー2009/12/23(水) 11:22:08ID:ij5tzHQJ
「おててで白目」(続き)

 「あれ?リムルルさん?」
 「閑丸くん目が覚めた?」
 気がついた閑丸はリムルルに介抱されていた。
 継げる言葉が見つからなかった。既に乱れた衣は直されていた。あの
女は影も形も残っていない。しかし言葉が見つからない。
 (言えるわけないよな。きれいな女の人を追いかけたら捕まってあん
な事されたなんて)
 リムルルの顔が赤みを増していったが二人は無言だった。揃って口を
開こうとするが閑丸の口もリムルルの口も結局閉じたままだった。
 (いいのかな。このままリムルルさんに黙ったままで)
 閑丸はそう思ったがやはり黙ったままだった。
 「あのね、閑丸くん」
 真っ赤になったリムルルが恥ずかしげに切り出した。
 「閑丸くんおなか出して倒れちゃったけど、あの女の人と何してたの?
遠くて見えなかったけど」
 そこまで言った時閑丸は駆け出していたが滑って転んだ。いつの間にか
地面が光っていた。
 「言わなきゃダメなんですか?」
 リムルルはうなずいた。逃げる事は出来そうに無い。観念した閑丸はた
め息をつくと語り始めた。
 「あの女の人がね、僕の…あそこを取り出して…、…そしてこうやって
僕の手を…」
 「もう一回やってみて」
 興味津々なリムルルに心底困りながらも、閑丸はため息を更につくと股間
の逸物を取り出して摩り始めた。
 「すごいすごいどんどん大きくなってってる!!どこまで大きくなる
のかな」
 「やめて…」
 息も絶え絶えな閑丸の声を無視してリムルルは楽しげに閑丸の股間を遠慮
せず摩り始めた。間もなく
 「まだいけないのにいっ!!」
 閑丸は再び身を固まらせて激しく身震いすると、白目を剥いて股間から迸
らせていた。
 「うわっ!!また白目剥いちゃった!!閑丸くん!!閑丸くんしっかり!!」
(終わり)
0397名無しさん@ピンキー2010/01/23(土) 15:43:13ID:3TvSWOrG
誰かまた投稿して欲しいのう
0398名無しさん@ピンキー2010/01/23(土) 20:44:02ID:NmHl3mwc
354ですがエロパロまとめの方修正ありがとうございました。
gjくれた方もありがとう。投下した甲斐がありました。

マイナーで申し訳ないですが半蔵×楓ものをあと3本
くの一×真蔵 筆おろしもの1本 をいつか投下する予定です。

現在創作中なので2月〜3月辺りに1本投下させていただきます。


どうでも良い事ですが、自分の中でのイメージは
楓さん→杉●彩
真蔵→タ●キー だったりします。
0400名無しさん@ピンキー2010/01/27(水) 19:44:08ID:1qai6dbb
あるぇ、次男は??
半蔵似はどうみても勘蔵の方だと思いますが。
0401名無しさん@ピンキー2010/01/29(金) 05:36:52ID:Q5crfgj1
公式年表みると楓は10代で真蔵、勘蔵産んでるみたいだなw
0402名無しさん@ピンキー2010/01/29(金) 12:49:05ID:CB4xs9HH
10代というか年表や公式設定から推測すると
出生〜15歳(推定 →不明、忍出身ではないがすぐに忍術マスター)
16〜17歳(推定 →真蔵 出産 忍者業引退)
17〜18歳(推定 →勘蔵 出産)
32〜33歳(推定 →死去)

今で言えば女子高校生が…というようなもんだ。
0403名無しさん@ピンキー2010/01/30(土) 05:40:05ID:KftLpplO
真蔵と勘蔵は年子じゃないだろ、幼いから厳しい忍の修業できない年齢てあった。だけど楓死んだあと普通に修業してる謎。
0404名無しさん@ピンキー2010/01/30(土) 11:33:35ID:aDlly+dS
真蔵が16歳位だとして
勘蔵は真サムのグラ見る限りそんなに歳離れてないかと。

弟の発育が良かったとしても2歳違い位か?
厳しい修業をするボーダーラインが15歳以上からとか。

エロパロ的には若かりし頃の半蔵が
15、16歳位(場合によっては14とか)のおにゃのこな楓にあんな事や
こんな事をし尽くしたという事が年表から判断できる事が重要だろ。
0405名無しさん@ピンキー2010/01/30(土) 15:39:55ID:Ufk+IWR0
スレの容量って512MBが限界だっけ
まだまだ大丈夫だな
0406名無しさん@ピンキー2010/01/30(土) 19:25:09ID:KftLpplO
>>404
だが、楓は半蔵より歳下は確かだが、一つ違いの可能性もありw半蔵夫婦は10代で親なったのは間違いないな。
勘蔵はリムルルより一つ年下ぐらいだからそんなもんか
0407名無しさん@ピンキー2010/01/30(土) 22:29:21ID:aDlly+dS
>>406
もっとロマン持ってくれw
オイタしてから出産までに10ヶ月かかる事を忘れてはならんぞ。
ましてや1回で懐妊するとは限らんしな。

新米くノ一のまだ何も知らない純情娘の楓(リムルル位の年齢、でも巨乳)が
修業の一貫だからと言いくるめられて半蔵に色々開発されて
段々とエロ素質を開花する話を妄想してたんだよ(´Д`;)

文章にできないけどな。
0408名無しさん@ピンキー2010/01/31(日) 21:43:23ID:0LQgTthS
真蔵16歳、勘蔵14歳と仮定した場合、最初の4年間はラブラブだった半蔵夫婦だったが、その後14年間セックスレスとなりました
0409名無しさん@ピンキー2010/02/02(火) 04:29:22ID:ly8gYoyx
ここは携帯大丈夫ぽいな

次は真蔵に弟ができる話しですねwお待ちしております
0410名無しさん@ピンキー2010/02/17(水) 22:59:42ID:HD7KPyrs
おちちゃうよage
0411名無しさん@ピンキー2010/02/20(土) 16:25:24ID:+an3MVTq
>>401
時代的には10代でケッコンスサーンなんぞ当たり前だろ
0412名無しさん@ピンキー2010/02/21(日) 10:16:02ID:UD+eJ6dP
おシャル様で何か書きたいけどうまくまとまらん
これがスランプか
0414名無しさん@ピンキー2010/03/08(月) 00:23:41ID:mxi9eUtv
「羅将神は悪さ大好き」

 (うわぁ、なんだか凄い所に来ちゃったなぁ)
 閑丸はイタコの口寄せに興味が出て恐山に登りました。しかし登ったは
いいものの、上に行くほどどんどん辺りの様子がおかしくなってきてしま
いました。水晶が立ち並び稲光のような光が走っている中を閑丸はそれで
も登っていき、水晶の群れの中の神社に辿りついたのでした。
 (すごい神社だなあ)
 神社の真ん中には二つの玉がふわふわと浮いていて、そこにきれいな女
の人が一人立っていました。
 「あのう、イタコの人はどこへ行けば会えるんでしょうか」
 女の人はとても不機嫌で鬱陶しそうに言いました。
 「ええいお前の魂は必要なのじゃないラキ!いや待てよ…」
 怒鳴られた閑丸が驚いていると女の人が玉串を振りました。すると閑丸
の体が宙に浮いてしまいました。
 「いい暇つぶしになりそうラキ」
 浮かばせられた閑丸に近寄ると、女の人は閑丸のおちんちんを引きずり
出しました。
 「やめて…」
 「やめないラキ。これは楽しくなりそうラキ」
 怖がる閑丸のおちんちんを、女の人はいきなりしゃぶりました。
 「うっ」
 「ふふっさては女をあまり知らないか、全く知らないなラキ」
 閑丸は顔が赤くなりました。その間にも女の人は、もっとビックリする
ような事を始めました。
 「あっ」
 女の人は飲み下すような勢いで喉の奥にまでおちんちんを吸い込んでから
外に出しました。女の人がとてもきれいなだけに、閑丸はとてもドキドキし
ました。
 (こんなきれいな人に、おちんちんしゃぶられて、こんな事されるなんて、
恥ずかしい。でも、少し気持ちい…)
 「うああっ」
 女の人は舌をからめておちんちんをいじりました。閑丸は耐えれなさそう
になりました。
 「本当にやめてください!!」
 しかし女の人は全く耳を貸しませんでした。女の人の唇はとてもきれいで、
あの口の中であんな事をされていると思って、閑丸は更にドキドキして頭の
中が真っ白になりそうでした。
 「あのすみません!もう出ちゃいそうなんですけど」
 「何!?もう出る!?お前早過ぎるラキ!!もう少し恥ずかしがって抵抗
しろラキ!!せっかくおもしろか…」
 「ごめんなさい!!もう行きます!!」
 そう言うと同時に、真っ白な液体がミヅキの顔に噴きかかりました。しばら
く呆然としていたミヅキは我に返るとカンカンになって怒りました。
 「小僧ぉぉぉ!!引き裂いてくれる!!」
 「そそんな!!勝手に悪戯しておいて出しちゃったら怒るなんてワガママ
すぎますよ!!」
 「黙れ小僧!!」
 閑丸はほうほうの体で逃げ出しました。ひたすらに逃げて気がつくと、空が
青く澄み渡り、水晶も稲光もどこにも無くなっていました。
 「何だったんだろう」
 でも夢ではありませんでした。閑丸の足は自分の白い汁でまだ少し汚れてい
ました。
 (終わり)
0415名無しさん@ピンキー2010/03/25(木) 23:58:10ID:+pp6nQBw
書きたいのにうまくまとまらない
寝不足だとダメなのか
0416名無しさん@ピンキー2010/03/28(日) 14:11:37ID:5bxtp0y5
保守かねてシャルロットとナコルル
0417名無しさん@ピンキー2010/03/28(日) 14:38:35ID:5bxtp0y5
「はるかなる山女壁女」

 「はあ」
 ナコルルの脳裏にまた胸が浮かぶ。あのフランスから来た摩天楼の様な大女
の胸はナコルルの心を乱した。他にも胸の大きな女はいたのだが、あの胸が忘
れられない。
 (あの人の胸に比べて私の物は)
 ナコルルが胸の小ささをこれほど気にしたのは初めてだった。
 (揉めば大きくなるって)
 「あ…」
 自然と手が動いていた。薄い胸の上にかぶせられた手が動く。沈めれるほど
の豊かさが元々無い。薄い胸にかぶせられた手が、指を押し付けて、離す。押
し付けて、動かす。
 「ううん…」
 衣をはだけて直に触れた。薄さが痛々しい。しかしいずれは大きくする。し
かし大きくなるのか。本気で大きく出来ると思っているのか。
 「あっはぁっ」
 乳首がいつの間にか起き上がっていた。白い裸身は赤みをほのかに帯びてい
った。その裸体に、手が触れた。
 「!!」
 シャルロットがいた。すぐそばにいたのだろう。それにも気がつかないほど
熱中していた事を察してナコルルが赤くなった。目にあの大きな胸が映る。更に
顔が赤くなった。
 「私も、手伝ってやろうか」
 大きな手が直に胸に覆いかぶさった。足が震える。息は湿り、温もりが高まる。
 「シャルロットさん、すごく、いい」
(終わり)
0418名無しさん@ピンキー2010/03/28(日) 19:19:19ID:3K078pyd
もうすぐ4年か…w懐かしいスレをみつけたもんだ
その間に3回就職活動経験したのぜ、全部潰れたけれどな
0419名無しさん@ピンキー2010/04/02(金) 22:48:20ID:Vr1MLYwF
保守代わりに投下
シャルロットと閑丸で
0420名無しさん@ピンキー2010/04/03(土) 00:09:36ID:IL34X6Ka
「異人との遭遇」1of3

 「和尚様、あの田んぼの向こうには何があるんでしょうか」
 「あの向こうは、長いこと行っていないが、こうなっている」
 「わあ凄い。山の向こうもあの山の向こうも町の向こうもこうなっていたんですか」
 「そうじゃ閑丸。世界はとても広い。一生の間には恐らく歩ききれない程度にな」
 「和尚様、じゃあ海の向こうは海だけなんでしょうか」
 「そうではないのだ。この地図だけが世界なら一生をかけずとも歩ききり、船を使えば
渉りきれるだろう。だが世界はこの地図に描かれていない所がとても広いのだ。そこには
お前が見たことも無い人が住んでいる。雪の様に白い肌の人もいるし漆のように黒い肌の
人もいる。真っ青な衣の染料が染み付いて青い肌をした人もいるそうだ。火を吹くほど辛
い物を毎日食べる人がいるかと思えばどうやって作るのかわからないほど甘いおやつを食
べる人もいる。おっとこれ以上はやめておこう。国の外に出るのはご法度じゃからな」

 閑丸の遭遇した相手は見たことも無い肌と髪をしていた。何より閑丸を驚かせたのはそ
の背丈であった。まさしく外国人だった。
 「なんだその目は」
 「す、すみません」
 見上げるような大女は、しかしとても美しかった。奇妙な剣を弾き飛ばして油断した所
を、痛烈な浴びせ蹴りを受けて閑丸は敗れたのであった。
 「まったく敗者の身で、負け惜しみどころか怪物を恐れるような…」
 「とんでもない。こんな綺麗な方をそんな風に見るだなんて」
 「何!?怪物扱いかと思ったら娼婦扱いか!?」
 何とも扱い辛い美女に閑丸は困った。
 「ち、違います!!でも、本当に…あ!!いやその…」
 うつむいた美女が黙った。怒りをこらえているように見える。怒りで前後不覚になった
ようにも見える。閑丸が怯えた時美女がくすくすと笑った。
 「ふふ、最初は腹が立ったが、あまりに可笑しいうろたえ方だからどうでもよくなったよ」
 気が抜けてしりもちをついた閑丸を見てまた美女は笑った。
 (それにしても)
 視点が下がった閑丸は自然にシャルロットの足を見ていた。
 (綺麗な足だなぁ)
 「もう立つのか」
 シャルロットに言われて勃起しているのに閑丸は気がついた。慌てて隠そうとする
その手を大女がつかんで止めた。
 「今日は少し意地悪をしたいんだ」
0421名無しさん@ピンキー2010/04/03(土) 00:12:23ID:IL34X6Ka
「異人との遭遇」2of3

 「や、やめてください」
 「お前、もう自分でしてるのか?」
 「そ、それは…」
 「くくっ、お前は本当にかわいいな。言い寄ってくる女はいっぱいいるだろう?」
 「いえ、あんまり。あ!!」
 「ますます大きくなったな」
 閑丸は異人に男根をつまみ出されて揉まれていた。シャルロットもあまりそれを見たこ
とが無かった。好奇心が暴走していた。
 「やっぱり気持ちいいか?」
 「き、気持ちいいです」
 「現金な奴め」
 「ごめんなさい!!」
 「ますますかわいい奴だな」
 不慣れな手つきで面白半分にやっているのだが、しかし気の強い異国の大美人にされる
と言う衝撃的な体験に閑丸は十分に興奮した。
 「うわぁ、こんなになるのか」
 「お、お願いです。もう、やめて…」
 シャルロットは面白そうにそそり立つ男根を眺めた。幼く見えて、思った以上に立派な
物に膨れ上がらせた閑丸に更に没頭する。シャルロットの意地悪は度が過ぎていた。しか
しもう止まらない。
 「お前、触った事はあまり無いようだな。どうだ?」
 甲冑を外すと、シャルロットは閑丸が見た事も無い豊かな胸を見せた。見事なその胸に
自然に伸びた手を美しい手が払った。
 「誰が触っていいと言った」
 「ごめんなさい」
 「ふふふ、触っていいぞ」
0422名無しさん@ピンキー2010/04/03(土) 00:16:53ID:IL34X6Ka
「異人との遭遇」3of3

 閑丸は頭が真っ白になっていた。柔らかい。とても柔らかく、しかし柔らかいだけでは
なく弾み返るような固さもあった。艶もある。陶磁器を思わせる艶だ。触れるたび、正気
が隠れた。
 「あ…あ…」
 「おいおい死ぬなよ」
 閑丸の頭は火にかけたことを忘れた釜も同然だった。湯気が絶え間なく吹き上がり、中
身が白一色になる。あるのは、胸の感触と恍惚だけだった。
 「おっぱい…おっぱい…」
 その手は宙をさまよっていた。
 「もう触ってないぞ。大丈夫か?しまったなぁやりすぎたか」
 ばつの悪い顔をしていたそのシャルロットの顔に、むき出しになっていた閑丸の男根から
勢いよく白濁が飛んだ。しばしシャルロットは何が起きたかわからなかったが、真っ赤にな
りかけておさまった。
 (完全に失神してるな)
 閑丸は白目を剥いて倒れていた。怒る気も失せて、シャルロットは静かに立ち去ることに
した。

 気がついた閑丸は、直されていた衣に赤面しながら心中で感謝していた。
 (あんな事させた上に気絶した後の面倒まで見てもらって、本当にごめんなさい)
 どこかで、あの異人にまた笑われたような気がした。
0424名無しさん@ピンキー2010/04/14(水) 22:50:08ID:eIqJBge/
妖怪腐れ外道×レラ
0425名無しさん@ピンキー2010/04/14(水) 23:40:06ID:eIqJBge/
 「悪霊呼び」1/2

 (並の人間なら、立てなくなるどころか三人は死ぬくらいしたのに!!)
 「ぎゃ゙お゙ゆ゙ら゙」
 「でも当たりはしないか」
 一瞬臆したものの気をとりなおして易々と骨槍をかわす。この怪物は底
知れない胆力があるらしい。しかし最初に比べればだいぶ消耗したらしい。
 (もう少しか)
 「ぐゔぐゔぐゔゔゔ!!!」
 遠めに離した怪物がいきなり地面を叩き出した。それも、酷く恐ろしい
顔で。
 (一体何を)
 「あ!!」
 気づいた時は遅かった。地面から無数の腕が飛び出してきた。あの怪物
と大きさはまるで違うが、どこか似た、業の深さを思わせる腕が無数に。
 「やだ!」
 身動きが取れない。足が、腿まで腕につかまれてる。なんて禍々しい気
持ち悪い腕だ。嫌悪感で震え上がりそうになる。
 (こ、こいつら!!)
 ただ掴んでるだけじゃないのに気がついた。気持ち悪く足にまとわりつ
いてくる。撫でたり、擦りついたり、ゆるく包み込んだりしてくる。業が
深い腕らしいことだ。怒り半分気持ち悪さ半分だ。
 「えい!!」
 抜け出さないと。刃を振るって腕の茂みを抜け出そうとする。見えなく
ても見えても刃を当てられて腕が退いていく。いい調子だ。
 (このまま、しまった!)
 手が捕まってしまった。もう刃を振れない。後はもがいて振りほどくし
かなくなってしまったというのに、なかなかほどけそうにない。そうして
いる間にも手が、気持ち悪く足に触れてくる。
 「やめろ!!シクルゥ…バカ!!」
 助けを呼ぼうとしてみると、シクルゥは既に自分の背後で捕まっていた
。なんとも情けない顔をしている。情けなくて声一つ出せなかったらしい。
もう後は、何が何でも悪あがきするしかなくなったと言うわけだ。
0426名無しさん@ピンキー2010/04/14(水) 23:41:25ID:eIqJBge/
「悪霊呼び」2/2

 「この!えい!あっ」
 無我夢中で暴れてる隙に、また腕が気持ち悪く触ってきた。両足の内側を
絶妙な手つきで。
 「や、この!!」
 恥ずかしさと怒りがこみ上げるが、だからと言って優勢になるわけでは
ない。それどころかますます足に嫌らしく触れてくる。
 「あっ、く…ひぃ」
 手が伸びてもっと上に迫ったが限界らしく縮んで下がった。しかし他の手
まで背伸びをやり始めた。一瞬の触れが尻に、腰に、腹に、胸にまで来た。
 「や、やめろ!!」
 足が震えてきた。
 「やめて…。い…。う…。ああ…。」
 震えが、変わってきた。足の間が熱くなってきている。精神が頼りにな
らなくなり始めた。理性と気合が急速に弱まって、代わりに、恥ずかしい
感情が浮き上がってきた。それがすれ違ったら終わりだ。いつの間にか目
の前にあの妖怪変化が蹲踞していた。舌なめずりをしているが、食欲を忘
れて見入っているようだ。犯すと言う発想は忘れても助平心はまだ残って
いるらしい。
 「くうん!ああっあああ!!」
 膝を地面につけた途端、今まで一瞬触れるだけだった腕が上半身にまで
じっくり触れてきた。胸にまで。下半身は勿論なすがままになった。一番
大事な所にまで指の腹が、優しくいやらしく触れてくる。もう、私は…。

 「え…?」
 「ごろ゙じでや゙る゙ゔゔゔ!!」
 気がつくとあの怪物は退散していた。頭や背中に深々と矢が刺さってい
る。相当な勢いのある矢らしい。
 「あれ…?」
 色黒の女の子が立って怪物の逃げた先を見つめていた。こっちの醜態に
気がつかないでくれたのが幸いだった。ようやく気がつくと、とても驚か
れた。
 「あの、ありがとう」
 女の子は言葉が見つからない様子で何かを拾うと走り去ってしまった。
 「変な子だな。お礼を言ってやったのに」
0427名無しさん@ピンキー2010/04/20(火) 11:06:21ID:AmlnUG5O
GJ

ガルナコ不足
脳内自家発電だけじゃ足りなくなってきた
0428名無しさん@ピンキー2010/04/22(木) 23:43:00ID:j8MlFsRm
ガルフォードとナコルル
0429名無しさん@ピンキー2010/04/22(木) 23:46:04ID:j8MlFsRm
「偽者で御縁」1/2
 地上からの高さは測ったように15フィート。木の枝に凧が乗っている。
しかし枝は細く登るには心もとない。
 「どうしよう」
 そう悩んでいた子供達の間を一人の若者がすり抜けると、いつの間にか
凧を持って差し出した。
 「お兄ちゃんありがとう」
 不気味な妖術使いと岩から出た悪魔をめぐる冒険譚に比べれば実に小さい
が立派な正義だ。青い忍者は犬達を連れて手を振って後にした。

 船が何艘も浮かぶ港を、ぼんやりとガルフォードが眺める。
 「えっ?」
 パピィの一言に慌てる。
 「あの小さい女の子に会いに港に来たんだろうって?」
 パピィがまた一声吠えた。
 「違う違う。たまたまさ。偶然気が向いて、気が付いたらここにいただけ」
 しかしパピィは騙せない。だがそこはパピィだった。納得したフリをして
やる。ガルフォードはまた船を見ていた。
 ガルフォードは気が付いた。気配がする。覚えがある気配がする。いや、
忘れるわけがない。
 「ナコルル!!」
 あの赤い大きなリボンの少女が転がるように走ってきた。
 「どうしてここに?」
 「それは、ガルフォードさんに会いたくなったから!」
 そう言うなり飛びついてきた。軽い体重が胸にかかる。
 「え!?え!?」
 驚いたけれどうれしかった。少し恥ずかしいけれど誇らしい。
 「ずっと会いたくて…」
 ナコルルの目が輝いてる。見てるだけで空が桃色に染まって落ちてきそう
な気分だ。
 「あの、ちょっとこっちに来てくれませんか」
 「うん」
0430名無しさん@ピンキー2010/04/22(木) 23:49:31ID:j8MlFsRm
「偽者で御縁」2/2

 「実は、ガルフォードさんにですね」
 つばを飲んで続きを待つ。
 「いや、やっぱり言えない。ああでも言わなきゃ。実はですね、私の、大事な
人になってもらいたいんです」
 そこまで聞いて全身がしびれた。立っているのが危なくなる。
 「それで、それで、ガルフォードさんと、今日はその、一緒になりたいんです」
 目の前がかすむ。今顔は上を向いてるんだろうか。それとも天を仰いでるんだ
ろうか。気力を振り絞って正気に返った眼前に、薄い胸を露にしたナコルルが
立っていた。最大の衝撃だった。柔らかそうなその肌。今まで夢にも見なかった
全裸のナコルル!!なんてかわいらしく、正気を失わせるに十分な姿か。
 「ガルフォードさん…裸になって…来て…」
 言われるままに、人形のように、ゆっくりと服を脱いだ。それにしても、どう
してあの短刀を手放さないんだろう、と思った時、ナコルルが消えた。後には
ナコルルに似た服と海草と竹細工、そして粗末な短刀が落ち、その上に忘れも
しないあの赤いリボン、緑の黒髪、ナコルルが着地した。
 「ガルフォードさん!!あれは偽者!!大丈夫?」
 「あ…あ…」
 「よかった…間に合って」
 そっと足下に寄って装束を持ってくれた。
 「私でもビックリするくらいそっくりだったんです。それの後を追っていたら
ここに」
 「そうなんだ。ありがとうナコルル!!」
 あ、と気が付いて顔が赤くなる。目の前にいるのはナコルルなのだ。
 「そういえば、ガルフォードさんここで何してたんですか?」
 「ううむ、それはそれは、それはね」
 「ううん、いいんです。会えてよかった」
 「そ、そうだね」
 焦りを滲ませた照れ隠しの笑みが出た。
0431名無しさん@ピンキー2010/05/04(火) 11:12:41ID:i9q7Zv/g
↑GJです。
このスレには様々なシチュエーションと
多くの組み合わせネタを考えられる
凄い書き手様がいるみたいですね。
0432名無しさん@ピンキー2010/05/05(水) 22:43:09ID:CATn9oYL
小ネタ
シャルロットと覇王丸
0433名無しさん@ピンキー2010/05/05(水) 23:45:18ID:CATn9oYL
 (目の前の敵すべてを、斬る!!)
 閉じていた両目を見開いた。両目を見開いた剣豪はその頑丈そうな愛刀を
手に、会心の一刀を放った。

 ややあって、剣豪覇王丸の両側にあった石灯籠に線が入ると、それを境に
石灯籠はずれていき、真っ二つになってきれいな断面を晒した。
 (いい、一刀だった)
 河豚毒を握り締めて覇王丸はしばし余韻にひたった。
 (うぬぼれなんて馬鹿馬鹿しいとは思うが、この一撃には我ながらほれ込
みそうだ。いい、一刀だった)
 一刀両断された石灯籠の間に立って余韻にひたるざんばら頭の大剣豪。その
後ろに立つのは見事な桜の木。その桜の木が風に揺れている。かすかにその
揺れが大きくなった。揺れ幅はさらに大きくなり、幹にかすかな断面が見え
た。やがてずれははっきりとした物になり、その断面から上が動き出した。
下半分の上面が見え、その上面は次第に広さを増していった。それは離れて
見てもわかるようになった時、大きな影が覇王丸に飛び掛った。
 「危ない!!」
 大女が肩を掴んで手繰り寄せるが早いか、桜の木は覇王丸の立っていた跡に
倒れ込んだ。
 「なんて無用心なんだ。あと少しで潰される所だったぞ」
 「す、すまねえ」
 シャルロットの腕はまだ覇王丸を離さなかった。
 (痛いんだけど)
 言いかけて止まった。
 (これ、胸か!?)
 さっきまで感じていた柔らかさの正体に気がついて覇王丸は驚いた。今ま
で甲冑を着けているところしか見たことがなくて気がつかなかった。シャル
ロットがこんな大きな胸をしていたなんて。まさかこんな大きな胸をした女
がいたなんて。
0434名無しさん@ピンキー2010/05/05(水) 23:49:02ID:CATn9oYL
 (すげえ大きさだな)
 シャルロットが力強く掴んで離さない。甲冑を着けていないシャルロット
の大きな胸ははっきりと覇王丸に密着していた。
 (気持ち、いいかも)
 「おい聞いているのか?お前は大した使い手だがまだ甘い。それに自分の
強さを実際以上に強いと思ったり弱いと思ったりしているからこんな目に…」
 シャルロットがお説教をしているがもう上の空だ。大体当たっている所が
強烈だ。あまりにシャルロットが大きいから、覇王丸のアゴに触れんばかりに
なっている。それにしても、硬いようで柔らかくて、そして何より、大きい!!
 (もう少し背が低かったら、窒息してるな)
 「まさかどこか打ったのか?」
 (いや、それもいい気持ちかも)
 魅惑の曲線は覇王丸に当たって少し形を変えている。服越しだがその甘美な
感触はこのままでは、窒息しなくても、気を失いそうな…。
 (むにゅって音がしそうだけど、しねえんだな)
 「まったく、自業自得だが、しょうがない。すこし寝かせてやろう」
 あっと思った時には終わっていた。覇王丸の頬は、同じくらいに柔らか
い何かに乗っていた。
 (何やってんだよお前!!)
 まちがいなくふともも、シャルロットの柔らかい逞しいふとももだ。柔ら
かくて、初夏の日差しのような温かさがある。
 (シャルロット…そこまでしなくていいって)
 覇王丸に見えないが、大女はとても頬を赤くしながらも嬉しそうだった。覇
王丸は、そもそもどうして自分を助ける近さにシャルロットがいたのか考えて
る余裕がなかった。
 「あ…」
 声を洩らしたシャルロットが立ち上がって覇王丸は頭を打ちつけた。見る
と、シャルロットの視線の先に、視線の先に、お静が立っている!!
 シャルロットもお静もそして覇王丸も、顔を真っ青にして立ち竦んでいた。
 (終)
04363542010/05/08(土) 18:56:19ID:Vgq/onUy
354です。
数ヶ月前からずっと規制に巻き込まれてます。
PCからはもうダメポっぽいのでPCから転送して携帯から投下するので不自然に切れる所があったり
時間かかるかもしれないですが 以下、半蔵×楓ものを投下します。

・前回のオリジナル設定をそのまま踏襲した続編です。
・今回もオリキャラ満載。
・エロ少なめ。なのにやたらと話が長い。
・女社会のドロドロとした戦いあり。
・伊賀のくノ一がレイ−Pされる描写がちょいとありますので苦手な方は気をつけて
くれ。

それでもOKって方はどぞ。
お口に合えば幸いであります。
0437半蔵×楓(第二夜)12010/05/08(土) 19:06:53ID:Vgq/onUy
「雪解け」


楓が伊賀の里に来てから既に一年が過ぎていた。

武術を嗜んでいたため「基礎」が出来ていたからか
半蔵や師の妻であり、甲賀の「くノ一」だった綾女から忍術の指南を受け
負けず嫌いの気性もあってか、既にそれなりの忍術を身に付けていた。

最初こそは出が花街という事で周りからは疎まれていたが
元が忍の出でないにも関わらず、短期間でくないの扱いや忍術を身に付けた事や
学があり、三味や琴、お茶と言った芸事にも秀でた事が幸いし
里では楓を蔑む者もまだ少なくないものの、「半蔵の伴侶」として序々に認められた
存在へ変わりつつあった。


半蔵がじき里に戻るという知らせを聞いたのはつい先刻のこと。
早ければ明日の昼刻だという報告を聞き、楓の心は浮き足立っていた。

もう一月も半蔵には会っていない。

一緒になってから遠方でのお役目でこんなに家を空けたのは初めてであり
乾いた心と身体をやっと潤す事ができる事を想像すると、楓の全身を熱い血が駆け巡る。

「半蔵」の名を持つ者に与えられる屋敷は迷い込んだ外部の者から見れば武家屋敷そのものであり
家族のいない半蔵は楓を娶るまで一人で暮らしていたという。
二人で暮らしても充分過ぎる広い屋敷の中で、楓は孤独に苛まされる事も少なくなかった。

翌日のために料理の下拵えを終えた後、床に入り行灯の明かりを消した時点で楓が人の気配に気付く。

「あなた…?じゃないわね。どちら様かしら?」

癖のある長い前髪を掻き分け、目をこらすが半蔵のように夜目は利かない。
明かり一つない部屋の中、そっと立ち上がると集中して気配を探る。
その一瞬の隙をつかれ、楓は何者かに後ろからはがいじめにされそのまま布団へと組み伏せられた。

「一晩で良いから今晩は私と…!」
0438半蔵×楓(第二夜)22010/05/08(土) 19:13:50ID:Vgq/onUy
何者かが寝巻きの前合わせの隙間から手を中へと滑らせ、楓の胸を乱暴に掴みあげる。
荒い息が耳元にかかり、首筋に熱い息とぬるっとした感触を同時に感じる。
おそらく首に吸いつかれたのだろう。

「いけない人ね…。」

楓は何者かの腕を掴みそのまま身体を回転させ腕に力を込めると
「バキッ」と鈍い音ととともに何者かがうめき声をあげる。

「そんな…!は、話が違う…!それに体術に長けてる話なぞ…!」

楓は息を整え暗闇の中立ちあがり、手伝いに雨戸を確認すると静かに外に続く戸を開ける。
開かれた雨戸の隙間から月の光りが差し込み、侵入者を照らしだした。

三日ほど前に総帥にお役目の状況を報告しに来た、地方でお役目を担っている若い忍の男であった。

「今晩の事は忘れましょう。腕を外しましたから、夫や里の者に知られたくなければ
朝一で里の整体師に治して貰いなさい…ね。
…先生は他言するような方ではなくてよ。」

「かたじけない。今回の事は何卒お許しを…。」

若い忍の男は深く一礼すると、外の闇へと消えて行く。

このような事は初めてではない。
伊賀の中では「半蔵の妻は元遊女。半蔵の留守に訪れれば誰とでも寝る。」という噂が一部で回っているという。
楓の存在を疎ましく思う者達が流布した作り話を真に受ける者達が後を絶たない。
そして夜這いに来る者達は逆に返り討ちに遭い、自らを恥じて口を噤むため噂だけが一人歩きする事となる。

他の男に身体を許したとあれば不義密通により半蔵の妻という立場を追われる事は間違いない。
その後添えに伊賀の娘を取り立てるという目論見もあるからであろう。

里に来て「服部 半蔵」という名を継いだ者の存在の大きさと背負っているものの重さを知る事となったのだ。
0439半蔵×楓(第二夜)32010/05/08(土) 19:21:22ID:Vgq/onUy
「消えないわ…。」

昨夜、男に乱暴されかけた痕跡が昼刻になってもくっきりと首筋や胸に残っている姿が姿見に映る。

自分に負い目などない。しかし、痕跡を見れば何があったかは一目瞭然。
半蔵は有無を言わさず乱暴した男を見つけ出し、自ら闇に葬る事だろう。

しかし、里の者達の結束を重視する伊賀の中で
一々妻に手を出す者達を構っているようでは伊賀での士気が下がり「半蔵」として下の者達に示しがつかなくなるのは明白だ。

里の意思に逆らってまで自分を娶り、周りから口を出させないよう
更に危険なお役目を自ら引き受け続けている半蔵に負担をかける事だけは避けたかった。


着物を整え、首筋の跡を隠すために髪の毛を下ろす。
土間に降り草履を足を入れた所で視界に黒と赤の色が目に入る。
視線をそのまま上に移すと、待ちに待った人物が玄関に佇んでいた。

冬の冷たい空気が家の中へと流れていく。

「今、戻った…。」

最愛の人であり、夫であり、「半蔵」の名を与えられた男である。
大きな傷を負っている様子はないものの、黒い忍装束には斬った者達の返り血がこびりついている。
忍頭巾の隙間から見える目は通常の帰還時より酷く荒んでいるようにも見える。
こんな時はいつもより更に多くの人を斬った後だという事を楓は薄々感づいていた。


「あ、あなた…!おかえりなさいませ。私ったら全然あなたの気配に気づかなくて…。
夕げの支度をしようと思っていた所だけれど、湯の準備の方がよかったかしら…?」

無事に帰還した嬉しさを伝えたくとも、身体の跡が気になりぎこちない出迎えになってしまった事を楓は後悔した。
せめて夜までは、跡が消えるまでは悟られてはならない。

「湯を沸かしますから、あなたは部屋で休んでいて…。」
0440半蔵×楓(第二夜)42010/05/08(土) 19:27:56ID:Vgq/onUy
忍頭巾と額を覆っている鉢がねが土間の床にどさりと落ちる。
常人では想像もできないようなお役目を成し遂げた後とは思えない程に半蔵は汗の跡
ひとつなく、髪の乱れもなく、無表情のまま楓を見つめている。

「留守の間、大事なかったか?」

「あなた?ええ…、いつも通りでしてよ。周りの方達からも良くしていただいているわ。」

肩あてや防具が次々と床に転がり、その度半蔵は楓の前へと歩を進める。
いつもと様子が違う半蔵に驚きを隠せない楓が後ずさると、玄関の段差につまづき床板に後ろから倒れ込む。

衝撃は無い。細い腰を半蔵の右腕が支えていた。
ゆっくりと床板に寝かせられると闇のような漆黒の瞳が楓を見つめていた。

「今すぐそなたが欲しい。」

そう言い終えるか否かのうちに半蔵は楓の着物の裾と引き広げ、強引に両脚を広げると
まだ男を迎える準備の出来ていない楓の花弁に半蔵は荒々しく自身の剣をねじり込ませた。

「ひぃあ…!あなた、やめ…!」
楓の口を塞ぐように半蔵が楓の唇を貪る。
顔は無表情だが、半蔵の舌は楓を探すかの如くうごめき絡まる。

半蔵は大きなお役目を終えた後、決まって楓を激しく求める。
それはまるで人らしからぬ事を成し遂げた後、自身が人である事を確認するかのように。
衝動的な半蔵に驚きつつも、おそらく、夫婦になってからの一番の大仕事を成した後なのだと楓は悟った。
0441半蔵×楓(第二夜)52010/05/08(土) 19:35:32ID:Vgq/onUy
ぬちゅり…ぬちゅり…。と
最初こそは痛みの方が勝っていたが、何度も秘所を貫かれる度に敏感な場所を刺激され
蜜と花弁が入口で男根を絡めとり、快楽を再度求めるために男根を締めつけては引き入れる。

「あふぅ…ん、…はぁ…」

いつしか口の端から漏れる声は淫靡なる歓喜の声だった。

一月、この時を待ち望んでいた。
一度ついた火はすぐに消える事はない。
自分もずっとこの男の男根を欲していたのだから。ー

打ち付けられる度に快楽が全身を支配していく。
乱暴の跡を見られる不安な気持ちさえ忘れて、ただ、色欲を満たすために上と下、両方の口から半蔵を貪る。

妻を貪っているようでいて、逆に貪られている事に半蔵も、楓自身も気がついていない。

「あなた…愛して…る…わ。」

楓は自ら白く長い脚を半蔵の腰に絡め、絶頂を迎えると同時に身体の中と外から半蔵を締め上げた。

一瞬、視界が白くなるのと同時に中に熱いものが注がれた後、半蔵が自身を抜いたのを感じる。
息が上がっている楓の上の半蔵の顔は涼しいままだ。

「大事なかったかと問うた筈だが…?」
半蔵の指が楓の首筋を優しく撫でる。そこは間違いなく乱暴されかけた痕跡のある場所だった。

「あなた、これは…!」
赤みを帯びた箇所を楓は慌てて押さえるが、半蔵は無言のまま楓の手を軽く払い楓の着物を勢いよく開いた。

弾力のある大きく形の良い胸が勢いよく躍り出て揺れる。
白い胸に、人の手形のような跡がくっきりと浮かび上がっていた。

半蔵が大きな溜息をつき、同時に片方の眉が上がり眉間に少し皺がよる。
「妻の異変に暫く気づけぬとは、拙者もまだ夫として至らぬという事か…。して、その跡を付けたのはどこの者だ…?」

先ほどま本能の赴くままに女を抱いていたとは思えぬほどに、半蔵からは冷たい殺気が漂っていた。
0442半蔵×楓(第二夜)62010/05/08(土) 19:55:04ID:Vgq/onUy
「あなた…聞いて…!」

「拙者はそなたが男を招き入れたとは考えておらぬ。里の者とはいえ、その跡のけじめをつけさせねば。」
これは間違いなく相手の男を闇に葬る気だろう。

「乱暴されかけただけで、私は無事だったから…相手ももう二度とこんな真似はしない筈だから、この話はもう…。」

「そなたの危惧している事はある程度理解しているつもりだが、
拙者は「半蔵の伴侶」や「伊賀のくノ一」にするためにそなたをここに連れてきたわけではござらぬ。」
楓の肩にかけた半蔵の手に力が入る。

楓は半蔵の手に自分の手を添えると髪を揺らしながら静かに微笑む。

「あなたの足を引っ張る真似はしたくないの…。それに、私はあなたの役に立ちたいだけ。
今回はたまたま隙をつかれただけで、いつもは肌に触れさせる事さえなくてよ。

だから…お願いします。「半蔵」たる者、この程度の事で仲間を手打ちにするのはお止めください…!」

楓が真剣な眼差しで半蔵を見つめる。

「そなたの根も葉もない噂の事は知らぬわけではなかったが…、ここまでとは。
その件については拙者で対処する。しかし、そなたを手にかけようとする者は一人や二人ではなかったのだな?」

半蔵の口角が少し上がり、全身から発せられていた殺気が序々に引いていく。

ー妻は美しく、艶かしい。忍の道を究めんとする自分の心さえも時としてかき乱す。
妖艶なこの女を自分の物にしたくない男なぞいるものかとさえ思ってしまう程に。ー

「今回はそなたの拙者を想うてくれる気持ちに免じ相手の男を問わぬが、次回からは何か問題があれば申してくれぬか?」

すぐにでも男を葬りに行くかと思ったが、予想に反して冷静な反応を見せる半蔵に楓は安堵の溜息をつく。

ー夫の事を理解しているようでまだ理解していない。自分も妻としてはまだまだ至ら
ない。ー


「あなた…分かったわ。」
楓は半蔵の首の後ろに手をかけ、自分へと引きよせると耳元で囁く。

「早速、問題が起きたわ。…まだ、私は満足していなくてよ。」

「…。」

「次は…優しく抱いて…。」

淫靡な笑顔に惹かれるままに、半蔵は再び楓の中へと身体を沈めていく。
0443半蔵×楓(第二夜)72010/05/08(土) 20:07:34ID:Vgq/onUy
山道の白い地面に男と女の雪駄跡が続く。
3月に入ったというのに珍しく雪が降り積もったのだ。

半蔵の前を歩く楓の後ろ髪が大きく揺れる。
長い間、外部と遮断された世界にいたため、積もった雪がよほど嬉しいのだろう。
雪に足跡をつけては子供のように笑っている。

「…良いのか?相談役達には拙者から申す故、無理にお役目を引き受けなくとも良いものを。」

「帰ってきてまだ七日も経っていないというのに、またすぐに次のお役目…
今回は私の方があなたよりずっと適任でしょう?…それに、一緒にいられるもの。」
半蔵の方に振り返ると、茶色の瞳は大きく孤を描き、三日月の形に変わる。

太陽の光が雪に反射し、その光りが妻の美しさをより一層際立たせた。
その笑顔の妻とは対極に、半蔵の顔は無表情ながらいつもより曇っているようにも見える。
妻と一緒にいられるのは喜ばしいものの、今回も仕事の内容を考えると半蔵は心底喜べなかったからである。


夜も更けた頃に大きな街に入り、一軒の置屋へと忍び込む。
木戸を開けると片手ほどの人数の男、二十名ほどの女達が忍装束に身を包み、肩膝を床に付け頭を垂れていた。
半蔵の後ろに立ち尽くす楓は息を呑む。
このような光景を目にするのは初めてではないが、「半蔵」という名を持つ者の偉大さを改めて実感する。

ここは表向きは芸者を手配する「置屋」だが、中にいる者達が全員伊賀の者だという。
花街にいる者達同様、「情報収集」が主な役目である。

半蔵はこの置屋のおかみと見られる神経質そうな中年の女や番頭の男達と会話した後、直ぐに任務遂行のため発ってしまった。
お役目の中では夫婦も恋人も関係ない。
一旦、お役目に入ると夫ではなく伊賀頭領の「服部半蔵」に徹する事を楓はよく知っていた。
0444半蔵×楓(第二夜)82010/05/08(土) 20:17:25ID:Vgq/onUy
奥の部屋に通され、一通りの段取りをここのおかみから説明を受けた後、一人部屋に取り残される。
ここ最近、毎夜求めあったがため疲れているのか、心地よくうつらうつらと睡魔へと誘われる…が、
沈黙を掻き消すかの如く「ばさり」と頭上から布のような物が落ち、楓は現実へと引き戻された。

慌てて頭上の布をはぎ取ると布には立派な牡丹の刺繍が施されていた。
目の前には楓とそう歳の変わらない忍び装束に身を包んだ年頃の女が二人。
楓を睨みながら仁王立ちで佇んでいる。

「お駒、見たか?これがあの「半蔵」殿の奥方だそうだ。」
切れ長の目をした女が口を開いた。

「お滝殿、わらわ達の気配にも気づかず、居眠りしてしまうようなこのおなごがか?」
たれ目の女があっけにとられている楓のあごに手を添え、上へと向かせる。

「髪の毛は癖がある上変わった毛色だが、なるほど。顔は男達が噂してる程の事はあるのう。」
やっと事態を飲み込んだ楓はお駒と呼ばれた女の手を振り払う。

「一体、なんの用かしら?」

「私達は今回、お前と芸者として組む事になったのさ。私がお滝、そっちがお駒。
着物を届けるついでに、「半蔵殿の伴侶」に挨拶しておこうと思ったが…」

「半蔵殿がただの遊女を嫁に迎えたという噂は本当だったようじゃのう。
しかも半蔵殿の留守時には男を招き入れている相当な好き者とか。
伊賀最強の男も、女を見る目だけは持ち合わせていなんだか。実に口惜しい事じゃ。」
二人のくノ一がけらけらと楓を嘲笑う。

「何度か半蔵殿と大変なお役目を果たしたと聞いたが、この様子では色事しか役に立たぬだろう。
むしろ、色事に役に立つからお前を伊賀に連れてきたのではないのか?
それにその目…。人をまだ殺めた事がないと見える。「覚悟」さえも持てないようだな。」
お滝が楓の瞳を覗き込む。

「わらわも聞いた事がある。どこぞの貴族が企てた反幕の密書のありかを吐かせ、半蔵殿と追っ手の忍二十余を葬ったとか。
人も殺められぬようなおなごに何ができる?どうせ身体を使って密書のありかを吐かせた後は半蔵殿の後ろに隠れていただけじゃろう?
色事で役に立つ分、そこらの町娘よりは多少はましかもしれぬが、わらわ達の足を引っ張る真似だけは困るのう。」
お駒が眉を八の字にひそめた。
0445半蔵×楓(第二夜)102010/05/08(土) 20:26:00ID:Vgq/onUy
「短期間で下人程度の忍術を身につけたという噂も眉唾ものだな。
私達は上忍だよ。忍出身でない上に下忍以下の中途半端な心意気のお前と一緒にされては困る。
それに、半蔵殿の伴侶とは言え、お前を守る義理は私達にはない。
何より私達はお前を半蔵殿の奥方として認めてはいないのを忘れるな。」

「自分の身は自分で守るのでご心配なく。あなた達の足を引っ張るようでしたら捨て
置いて結構でしてよ。」
楓がお滝の瞳を真っ直ぐに見つめる。

場の空気が一瞬にして凍りつくのを三人は肌で感じた。

「私達の邪魔はするなよ。お前はせいぜい男を咥え込んで時間稼ぎをする事に尽力する事だ。」
お滝とお駒は障子へと踵を返す。

「ええ。自分の役目は存じ上げていてよ。…でも、あなた達は少し勘違いしているわ。
男は咥え込まなくとも落とす事は可能なのよ。私が咥え込んで落としたのはだた一人、夫だけですもの…。」

お滝とお駒が振り向くと、楓がくすりと笑う。
その瞬間、見えない火花が空中で激しく散った。


二人が部屋を出、襖が乱雑に閉められると再び静寂が辺りを支配する。

二人のくノ一はおそらく、里が選んだ半蔵の嫁の候補だった女子達なのだろう。
あの様子では「半蔵」という名だけではなく、二人共に男として狙っていた事は明白だ。
女の世界で生きてきただけの事もあり、女達が自分をどれほど疎ましく思っているのかもよく分かるが
誰とでも寝る身持ちの軽い女としての言われ様には先日の件もあり少々頭に血が上っていたようだ。

一呼吸つくと、お滝の言葉が気にかかった。
楓は亡き父が「人を殺めると人の目は鬼の目に変わる」という話をしていたのを思い出した。

これまで自分が担ったお役目で何度となく忍や侍達と闘う事があったが
結果、一度も直接的に人を殺めた事はなかった。

剣の技術が無い者達の手や足をへし折り、手裏剣やくないで相手の隙をつく。
腕のたつ侍達の相手や楓に手負いにされた敵の息の根を止めていたのは半蔵であった。
半蔵の役に立っているつもりであったが、半蔵に護られていただけなのかもしれない。
少しは忍らしくなった気でいたが、やはり本物の忍からしてみれば忍にはほど遠いのだろう。

忍にもなりきれず、普通の女としても生きられない。
やり場のない思いを抱きながら、楓は見事な刺繍がほどこされた着物に顔を埋めた。
0446半蔵×楓(第二夜)102010/05/08(土) 20:36:38ID:Vgq/onUy
高級料亭で女達のけたたましい笑い声や三味の音が響く。
料亭の入り口には煌びやかな彩色が施された籠と大勢の侍達。
中にいるのが要人だという事が安易に想像つく。

いくつかの名のある置屋から選りすぐりの芸子達が一人の中年の男を取り囲み踊っていた。
反幕の組織を密かに編成している疑いがある大名と懇意にしている松井という家老である。
松井が反幕に関わる内容の書かれた密書を大名から預かっているという情報が入ったのだという。

今回のお役目はくの一達が芸子に扮し、松井に取り入り屋敷に招いて貰った後
秘薬を飲ませて密書のありかを聞き出し、それを手に入れて屋敷の外に待機している仲間に密書を渡す事である。

松井の屋敷は手錬の忍び達が雇われ屋敷内を取り囲んでいるため、相手の忍と鉢合わせすれば闘いは避けられない。
万が一にも密書が存在しなければ逆に大事になってしまう。
密書が存在するという確かな証拠がなければ伊賀忍としては堂々と力を発揮できないという。

だからこそ、松井を落とし、二人きりになる必要があるのだ。

「おおっ、先ほどの三味、見事であったぞ。名はなんと申す?」
「石井屋の楓と申します。以後、ごひいきに…。」

芸子髷に髪を結った楓が艶やかに微笑みながら松井の猪口に酒を注ぐ。
「大した玉だが初めて聞く名だ。お主ほどの美貌と芸があれば少しは名を聞いていてもおかしくないのだが…。」

松井の膝にそっと楓が手を添える。
「以前は田舎街の芸子でしたの。有名になりたくて江戸に上がりましたのよ…。
私、まだ旦那様がついておりませんの。松井様みたいな方が旦那様として力添えしてくだされば…。」

上目遣いに松井を見つめると、松井は既にその気になっていた。
「近々、儂の屋敷に呼んでやろう。お主の尽力次第では力になってやろうぞ。」
「まあ…、楽しみですわ。」

楓の白い指が松井の無骨な指を絡めた。

「家老を落とすには暫くかかるかとも思うたが、花街出身の事だけはあるのう。それにあの三味、本物じゃった。」
他の置屋の芸子達と綱引きを興じながらお駒がお滝に話し掛ける。

「そのためにあの女が呼ばれたのだろ?家老はあの女に任せて私達は私達で密書を探せば良い。
密書さえ見つかれば私達のお役目は終了だ。あの女を置いていっても責められはしない。」

お滝とお駒が綱を引くと、何人かの芸子達が畳に転がる。
「あっちは二人、こっちは六人なのに何で勝てないのかしら…?」

畳に転がった芸子の目にはほくそ笑むお滝とお駒の姿が映る。
二人の視線の先には家老にしなだれかかる一人の芸子に向けられていた。
0447半蔵×楓(第二夜)112010/05/08(土) 20:45:25ID:Vgq/onUy
数日後、松井は約束通り楓達を屋敷へと招き入れた。
お滝とお駒と共に三味を弾いた後、楓は松井の寝所へと誘われる。

「あとの二人は配下達への酌の相手を申しつけた。そなたとは今後について話し合わねばならぬからな。」
松井が楓の腰へと手を回す。

「まあ、松井様ったら…夜は長いですのよ?まずはお酒を…。」

酒には伊賀秘伝の特殊な薬が混ぜてあり、その薬の効果により密書のありかを吐かせる手筈となっている。
薬の入った酒を口にしてしまえば後はこちらの思い通りである。

虚ろになった家老は簡単に口を開く。大抵、大事な物は寝所に隠すものである。
家老の懐から鍵を見つけ出すと掛け軸裏の隠し棚に入った箱に刺す。
予想通り、中には密書の巻物が入っていた。
後はこの巻物を屋敷の外で待機しているであろう伊賀の者に渡すのみ。

楓はそっと寝所を抜け出すと音を立てずに廊下を駆けた。
ここから外に通じる塀が一番近い場所は厠裏である。

その時、楓は短い悲鳴をあげると廊下に倒れ込んだ。
屋敷内の使用人と鉢合わせしてしまい、ぶつかってしまったのだ。

「旦那様がお招きした芸子と見受けしますが、こんな夜分に何処へ?」
人の良さそうな中年の使用人に助け起こされた楓は一瞬困ったような表情を浮かべ顔を赤らめる。

「ごめんなさい。厠へと急いでいたものだから…。」

つられて使用人の顔も赤くなる。
「それは大変失礼しました。厠はこのまま真っ直ぐ行き、突き当たった所を左です。
明かりが至る所にあるとはいえ、暗いですからね。お気をつけて…」

使用人に助け起こされた楓は軽く会釈をすると再び小走りに駆け出す。
辺りには芸子が所持する香り袋独特の残り香が漂っていた。


厠へと続く廊下へと足を踏み出すと同時に楓の前に二人の忍が闇から姿を現す。
剣先が楓に向けられている。
と同時に後ろの首筋に冷たく固ものいがあてられたのを楓は感じた。

「どこに行くつもりだ?さあ、密書をこちらに渡せ…。」
後ろにももう一人。
楓の首に剣先をあてていた。
0448半蔵×楓(第二夜)122010/05/08(土) 20:55:05ID:Vgq/onUy
ーこういう事態を想定しての心構えや性技修行をしてきたが、実際は想像以上に屈辱的なものだ。ー

松井の部下達の酒に眠り薬を混ぜ、一同が眠りについた後にお滝とお駒は密書を探しに出たまでは良かったが
松井の雇っているお庭番の忍達に隙をつかれ捕まり、薄暗い地下牢に軟禁され陵辱の限りを尽くされていた。

本来ならば松井の部下達の注意をそらせる楓の補助が任務であったが
上忍故の誇りの高さから補助の役回りに徹せず、慢心から敵の力量を見誤った結果である。


口には猿轡を噛まされ自害もできず、両手は後ろで荒縄できつく縛られ身動きもままならない。
四人の男達に代わるがわる陵辱され続ける仲間の姿を向かいあって見せつけられるのは、更に二人の精神的苦痛を深めていた。

顔も分からない男がお滝の中を乱暴に突き続ける。
その度に身体と張りのある胸が揺れる。
目の前のお駒も同じ様に敵の忍の男に突かれ続けている。
精神的にも、体力的にも限界に近づきつつあるのはお駒も一緒のようだ。

「あっちの女もお前もつまらねえ女達だな。泣くなりよがるなりして少しは反応を見せろよ。
後で薬漬けにされて俺達の玩具になるんだしな。飽きればすぐにあの世に行けるぜ。」

お滝を突いている男が髪の毛を掴んで顔を上げさせると
敵の忍達が肌着一枚の楓を担いで地下牢に入るのが視界に入った。

(任務は失敗に終わったのか…?!)

お滝とお駒を陵辱している男達が男根を引き抜きぬくと、二人の股の間からはどろりと大量の白い欲望の固まりが流れ、
冷たい石牢の床に身体と共に落ちる。

男達は手早く忍袴を整えると、牢に入ってきた男の一人に跪いた。
楓を担いでいた男が楓を床に降ろし、そのままお滝達の方に突き飛ばすと香の香りが湿った地下牢に広がり
周りの者達の鼻をかすめていく。
0449半蔵×楓(第二夜)132010/05/08(土) 21:04:09ID:Vgq/onUy
「頭、やはりこの女達と一緒に来たその芸子も伊賀のくノ一でしたか。」
お駒を陵辱していた男が前に出て楓の腕を掴み、身体を起こさせる。

「松井様の部屋の周辺を見張っていたら、案の定この女が密書を持って出てきてな…。
おそらく厠付近で仲間と落ち合う手筈だったのだろう?
残念だが周辺には誰もおらんかった。我々が動き出したのに勘づいて恐れをなして逃げたのだろう。
任務に失敗したお前達は仲間達に見捨てられたのだ。徳川家自慢のお庭番、伊賀の忍も大した事ないものよ。」

「そん…な…。」
楓はうな垂れるとはらはらと涙を流す。

(情けない…!!)

任務に失敗すれば捨てられてもおかしくない。
これ以上、醜態を晒したくないお滝とお駒は最後いかに「伊賀の誇り高き忍」として綺麗に散れるかを考えていた。
楓の涙を見せる「弱い女」を主張する行為は二人を逆上させるには充分だった。


「お頭、こいつら仲間割れですかね?二人してこっちの女を凄い形相で睨んでるが…。」
お滝を陵辱していた男が三人の女の顔を交互に覗き込んだ。

「お前、このくノ一達とは少々違うようだな…何者だ?」
お頭と呼ばれた男が膝をつき、楓の顎を掴む。

「私はただ、報酬を沢山くれるって言われて協力しただけ。…ねえ、お願い助けて…
!」
楓の白い指が「お頭」と呼ばれている男の腕を掴む。

茶色の瞳が不安そうに忍頭巾の隙間から覗く大柄な男の目を見つめる。

ー松井が一つも警戒せずに寝所に引き入れた事だけはある。ー

「お前を助けて我々に何の得がある?」

見た所、体型的にも筋肉が非常に発達した通常のくノ一達とは違う。
目も我々のように影で生きてきた者の目とは違う花街の女達独特の目。
薬漬けにして捨てるには少々勿体ないかもしれない。

男の「敵の女は陵辱した後始末する。」という信念が揺らぎ始めていた。
0450半蔵×楓(第二夜)142010/05/08(土) 21:21:28ID:Vgq/onUy
楓は妖艶な笑みを浮かべゆっくり立ち上がるとうなだれているお滝とお駒の間を通り過ぎる。
そのまま地下牢の奥へと進むと七人の忍の男達が背中の忍者刀の柄に手をかけた。

「お前、何をするつもりだ?下手な真似をすると…」
男の一人が楓に向かって踏み出すと、楓は後ろ向きに立ち肌着をそっと腰まで落とす。

「薬なんて使わなくても、あなた達全員を沢山楽しませてあげてよ…。伊賀最強と言われる服部半蔵でさえ私の中では只の男でしたのよ。」

楓が少し振り返ると大きな二つの胸が、押さえている腕の中から窮屈そうにはみ出していた。
くびれた腰から形の良い尻に肌着がかかり、今にも下にずり落ちそうである。
誰かが唾を飲んだ音が地下牢に響いた。

「お前、あの服部半蔵と寝たのか?!」
服部半蔵の名は忍ならば誰もが知っているが、実際にその姿を見た者はほとんどいない。
年齢や容姿など全てが謎に包まれている伊賀忍最強の忍、服部半蔵に興味を抱かない忍はいない。

「ええ…。私の中を大層お気に召してくれたのよ。すぐに果ててしまったけれど…。
あなた達は半蔵殿と比べてどれ位もつのかしら?」

男達が次々に自らの忍袴の帯びを緩め始めた。

「ここは寒いのね…。早く誰かこの身体を温めてくださらない?そこにいる筋肉だらけの堅い身体の女達には飽きたでしょう?」
身体を少しひねると、柔らかそうな胸が大きな谷間を作る。

「私…寒いわ。」
楓は熱っぽい流し目で男達を見つめると妖しく微笑んだ。
0451半蔵×楓(第二夜)152010/05/08(土) 21:28:51ID:Vgq/onUy
一人の男が我先にとばかり楓に飛びかかろうとするが、頭の男が腕で制する。
「勝手に手を出すな…。我が性技が半蔵を凌駕する姿を見ているが良い…!」

ーこの女は俺のものだ…!!ー

頭の男が楓の肌着を剥ぎ取り、身体を掴む…が、手は空を切り、地下牢の湿った岩壁を掴む。
足元にまだ温もりを残した肌着が舞い落ちた。

「なっ…!女は…?!」
その瞬間、後方で大きな音が二つ。
頭の男が振り返ると仲間の忍が二人、冷たい床へと倒れ込み即座に血の水たまりを作る。
その後ろには先ほどまで猿轡を噛まされ陵辱されていたくノ一が二人。
一糸纏わぬ姿で忍者刀を構えていた。

「いつの間に…?!」

頭の男は背中の忍者刀を抜くと次は横から骨が砕けたような鈍い音が響いた。
悲鳴をあげながら男が地面にのたうち回っている。
その後ろには目の前にいた筈の芸子が一人。
これまた一糸纏わぬ姿で脚を高く振り上げていた。

楓は素早く振り上げた脚で更に近くにいる男を高く蹴り上げ、拳を男の顔に打ち込む。
細い腕から繰り出されたとは思えない程に男の身体が簡単に跳ね飛ばされ、頭の男の前に転がる。
残り二人の忍達はくノ一達と剣の小競り合いを始めていた。

「お頭…,助け…!…」
「役に立たぬ部下はいらん…。」
頭の男の袴を掴んだものの、その頭の刀に男は胸を突かれ崩れ落ち、新たに血の水たまり作り出した。


ーこんな筈はない…!ー

自分達は伊賀の精鋭達に引けを取らないという自負があった。
ましてやここにいる部下達はその中でも腕の立つ者ばかり。
だが、たった一人の芸子をここに連れて来てから何かが変わった。
いや、そもそも本当に芸子だったのか…?!
0452半蔵×楓(第二夜)162010/05/08(土) 21:36:47ID:Vgq/onUy
「女は…どこだ…?!」
頭の男がもどかしそうに剣を振り上げると後ろから笑い声が聞こえてくる。
後ろで芸子が美しい裸体をさらけ出し,腕を組みながら相変わらず妖艶な笑みを浮かべていた。
ただ、その数は二人にも、四人にもぶれて見える。

「知ってるでしょう?極度の興奮は人の冷静さを失わせるのよ…。」
楓が手を開くと砂らしきものがさらさらとこぼれ落ち、辺りに独特の香が充満する。

………!!………
そこで初めて頭の男は自分達が香を使った忍術にかかっている事に気がついた。

「この香は人を極度の興奮状態に陥れ幻覚を見せるけれど効果の時間が短くて…でも、丁度良い頃合のようね。」
その言葉通り、頭の男から見える楓の姿は一人に戻りつつある。

「許さん!!」
頭の男が楓めがけて刀を振り下ろすが、寸前の所で下から剣を弾き返される。
男の足元には剣を構えた松井の使用人がいた。
腰から上がまるで男の影から生えているかのように。

(まだ幻術にかかっているのか…?!)
頭の男が一歩下がると使用人が全身を現す。
その淡い色の着物にはついたばかりと見える返り血が大きな染みを作っていた。

「お前は松井の使用人ではないな…?」
男が刀を構える。

「本当の使用人は数日前から蔵の中で眠っている…拙者は…」
使用人が着物を脱ぎ捨てると一瞬のうちに黒い忍装束に赤い首巻をした忍に姿を変える。

「服部半蔵。参上仕った。」
0453半蔵×楓(第二夜)172010/05/08(土) 21:45:06ID:Vgq/onUy
(これが伊賀の服部半蔵…?)
変装の名人だとは聞いた事がある。確かに使用人と入れ替わっていたというのに違和感を持った者は誰もいなかった。
しかし、何故松井の部屋から出た芸子と鉢合わせた時に何故助けに入らなかったのか?

「…まさか?!」

男が楓から取り上げた密書の巻物を片手で懐から取り出すと勢いよく開く。
開いた巻物は白紙であった。

芸子と鉢合わせ、ぶつかったふりをして巻物をすりかえた。
芸子は密書が本物かを確認するための時間稼ぎのおとり…?!
最初からそれも計画のうちだったという事に気づいた時、男の血の気が引き、額から油汗が一雫落ちる。

「本物の密書は我が伊賀の精鋭部隊が既に幕府へと届けに出ている故、今更追っても無駄な事よ。」
半蔵と名乗った男は近くに落ちていた肌着を拾いあげると後ろの芸子に投げ渡す。

「我が部下達が周辺を護っている筈だが…?まさか…」

「反幕の密書が実在した以上、我らが本格的に動いて問題はない。残るはお主と横にいる…」
その瞬間、ごろりと大きな石のようなものが二個ほど石床に転がり、二人の忍の男達の身体が地面に倒れ新たな血の水たまりを作り出した。

「一対一ならこんな男に負けるものか!」
お滝が跳ねた首を素足で踏みつける。

「こいつら本当に下手くそじゃったのう…!伊賀の男達の方がいくらかましじゃ!」
お駒も跳ねた男の首に唾を吐きかけた。

「残るはお主一人。覚悟されよ…!」
半蔵が忍者刀を構える。


楓は闘いの邪魔にならないよう、牢の端に下がる。
先ほどまで陵辱されていたとは思えないくノ一達の気持ちの切り替えの早さと
迷いもなく人を殺める「覚悟」に驚愕していた。
これが「伊賀のくノ一」なのだ。

ふと、足元を見ると楓にあばら骨を折られ、虫の息も絶え絶えの忍がかすかに動いている。
この男はやがて死ぬだろう、その時、自分も鬼の目に変わるのだろうか?

楓は初めて人を殺めるという事に恐怖を覚えた。


勝負は一瞬のうちについた。
男の剣術は半蔵の足元にも及ばず、忍術の一つも出す隙もなく一太刀浴びせられた後、
半蔵の繰り出した爆炎龍で黒い炭へと化したのだ。

男が火柱となり地下牢を照らし出した時、半蔵は隅で楓に手負いにされた虫の息の男の胸に
ためらいもなく無言で剣を突き立てる。

「これにて任務完了とする。」

七人の男達の屍、血の海。
地下牢は地獄へと変貌を遂げていた。
立ちつくす三人の刀から血がしたたり落ち、人の燃える明かりが照らし出す影はゆらゆらと蠢く。
振り返った半蔵と二人のくノ一の目は冷たい輝きを放っていた。

ーこれが鬼の目ー
0454半蔵×楓(第二夜)182010/05/08(土) 21:52:18ID:Vgq/onUy
伊賀の忍達がお滝とお駒を担ぎ外へと出て行く。
ほとんど気力だけで闘っていたのだろう。
二人は緊張の糸が切れたかのように倒れ込んだのだ。

楓が外に出るとまだ辺りは夜だった。
月明かりが庭の積もった雪の光りを反射して青白く光っている。
所々黒く輝く染みは葬られたお庭番達の血液だろう。
忍達の死体は既に処理されていた。跡形もない。

薬で眠らされた者達が大半を占めているが、屋敷の者は誰一人起きてこない。
夜が明けた後、松井は何が起きたのか知るだろう。
そしてこれから先、自害しか道が残されていないという事も…。

風がいつもより冷たく感じる。
積もった雪のせいだろうか?それとも…

ー本当の鬼の目を知ってしまったためだろうか…?ー

屋敷の塀に手をかけた瞬間、楓の意識は途切れた意識と共に積もった雪の中へと墜ちていく。
それと同時に腹の中で何かが大きく脈を打ったような気がした。
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