「いやっ…、いませんっけどっ」
ただでさえ隣にどろしーがいてポピィが背が高くなった分どろしーの顔が近かった。本人は年を気にしているらしいが、あの頃と変わらず本当に綺麗で、鼻を刺す様な冷気にまじる微かな香に心臓をバクバクさせながら、どろしーが呑気に話すのをポピィは聞いていた。

頂上が近づくと、どろしーは、上で手を振る2人に気がついた。
「あら、しいねちゃんの同期の人魚達だわ」「人魚って…まさか。」
ポピィの不安にどろしーが気づく間もなく、感高い声がした。
「ポピィせんぱーい!ナミでーす!」
「あんたうるさいのよ。リーヤ君はリーヤ君っ」
どろしー達がリフトを降りると、ナミとマリンが駆け寄ってきた。「ポピィ先輩、お久しぶりです。休みの日に先輩に会えるなんて…」
それをマリンが遮る。
「ちょっとぉ、なんでリーヤ君がいないのよお。あんたエガオンなんでしょ。何とかしなさいよ」
「お姉ちゃん、ポピィ君がエガオンなのは皆にひみつ…」
「そんなんバレバレでしょっ」
きっぱりと言うマリン。
「ごめんなさい。ポピィ先輩。」
「…、いいよ(汗)」
ポピィは顔の隣で力無く手を振った。