事務所内に、パソコンのキーを叩く音と淡々とした男の声が響く。
 神宮寺の調査結果を聞きながら、洋子がそれを報告書にまとめあげているところだ。
 ほぼ毎日のパソコン操作に慣れた彼女の指は、滑らかに、そして軽快にキーボードの上で踊る。
 だが、この時ばかりは動きの鈍さを隠せなかった。

「……っ、は……」

 声音混じりの息が、緩んだ唇から漏れた。
 手は止まる事なく文字を入力していくが、その手つきはますますぎこちなくなっている。
 そのさまに気付いてはいるものの、神宮寺の報告の声は途切れない。彼女の脇から伸ばした両手の動きもまた、止まる事はない。
 助手用の椅子に腰掛けて作業する洋子は、神宮寺の手によって後ろから胸を揉みしだかれていた。
 薄手のブラウスのボタンは半端にはずされ、はだけた箇所からは膨らみの形の歪むさまが垣間見える。
 指を食い込ませ、掌を擦りつけるような丹念な愛撫を受けながら、洋子は神宮寺の報告に耳を傾け、パソコンと向き合っているのだ。
「んっ……うぅん……」
 言葉を区切る合間に、神宮寺は洋子のうなじに口付け、甘噛みする。
 吹きかけられる息と刺激に震える女の体を、彼は試すように弄ぶ。