洋子の見間違いだろうか? 
洋子がそう叫ぶと今泉の目つきがどことなく変わったような気がした。

今泉はゆっくりと脚を組みかえると、フッと笑いながらこう言った。
「ほぉ、何がお好きなんですか?」
「えっ・・・そ、それはその・・・」
予想だにしない問いかけに洋子はしどろもどろになったが、やがて眉をしかめてやっと言葉を返した。
「今日の今泉さんは・・・なんだか意地悪ですね・・・」
今泉はその言葉も軽く受け流した。
「いえ、先ほど貴女が神宮寺さんは関係ないとおっしゃられたのでね。
それならば、今日はただのヤクザの男と風俗の女として
二人で話をしたいと思っただけですよ、リョウコちゃん。
・・・そういえば先ほどの答をまだ聞いていませんね。教えてくれませんか?」

今泉はゆっくりと立ち上がり、洋子に近づいてくる。
「言えなければ私が代わりに答えてあげましょうか?」