東京マグニチュード8.0でエロパロ 震度2
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0001名無しさん@ピンキー2010/02/12(金) 11:58:10ID:UJuVywtb
東京マグニチュード8.0のエロSSスレです。
エロくなくても絵でも桶。我こそはという有志のかた、
どしどし投下してください。

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東京マグニチュード8.0でエロパロ
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関連スレ
東京マグニチュード8.0 震度52(本スレ)
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anime2/1264343215/l50

東京マグニチュード8.0の小野沢悠貴は姉思いカワイイ3
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1253782495/l50

東京マグニチュード8.0の小野沢未来は弟思いカワイイ3
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1253637042/l50
0115不安と、日常2010/04/10(土) 21:40:12ID:iXQ73R+A
『おねえちゃん、あのね』

 何? 悠貴、どうしたの?

『ぼく、もう行かなきゃならないんだ』

 え? 悠貴、どこか行っちゃうの?

『おねえちゃん、ごめんね。一人にして、ごめんね』

 何、言ってるの? やだよ悠貴、行かないで。

『おねえちゃん、元気でね』

 悠貴、やだよ。悠貴。悠貴。やだ。やだ。悠貴!
0116不安と、日常2010/04/10(土) 21:40:51ID:iXQ73R+A
「いやああああああ!」

 絶叫と共に起き上がり、未来は二段ベッドの天井に頭を激突させた。ゴン!という鈍い
衝撃音が響き渡り、たちまち脳天が激痛に襲われ、意識が一気に覚醒する。

「いたた……」

 未来は手で頭を押さえて痛みに耐える。だが、夢から覚めて意識が明瞭になった後でも、
たった今見ていた悪夢から感じた不安は、消え去りはしなかった。

「あははははは、お姉ちゃん、頭ぶつけてる」

 上方から、悠貴の楽しげな声が降ってきた。上段ベッドから顔を覗かせて、未来を
指で指して楽しげに笑っている。チュンチュン、とスズメが鳴く声が聞こえた。
カーテンの隙間から、朝日が差し込んでいる。時計を見ると、朝の6時を少し回った
ところだった。いつも通りの、普通の朝だ。

「お姉ちゃんすごい声出してたよ、やだあー、もうほんとやだあーって、ふひひ」
「……悠貴……」

 笑っている悠貴の顔を見上げながら、未来は悠貴の名前をつぶやく。悠貴は、ちゃんと
そこにいた。普段ならこんなに馬鹿にされたら腹を立てて何か言い返すのに、全然そんな
ことをしようとは思えない。悠貴の名前以外に、何も言葉が出てこない。胸から温かいもの
が込み上げてくる。

「お姉ちゃん……?」

 悠貴は急に心配そうな表情に変わって、未来の顔を見守っていた。悠貴の様子の変化に
気付いて初めて、未来は自分が涙を流していることに気が付いた。悠貴の前で泣いてしまうなんて、
と不覚を恥じる感情すら湧いてこなかった。

「大丈夫? 頭、痛いの?」

 言われて、未来はまだ自分が手で頭を押さえていたことに気が付いた。頭の痛みは、
もうとっくに引いている。下ろした手で涙を拭うと、ようやくあの悪夢から解放された
ような気がした。

「ううん、なんでもない。ちょっと寝ぼけてただけ。悠貴、歯、磨こ」

 5月の、ある朝の出来事だった。ハンガーにかけられたセーラー服を、確認する。
未来が中学生になってから、まだ一ヶ月だ。
0117不安と、日常2010/04/10(土) 21:41:34ID:iXQ73R+A
「お姉ちゃん」
「何?」
「手繋いだままじゃ、歯、磨けないよ」

 未来は洗面所までやって来るのに、悠貴と手を繋いでいた。どうして家の中を移動するのに
姉弟仲良く手を繋いでいなければならないのか、未来にもよくわからない。気が付いたら、
そうしていたのだった。未来は右手が空いているので手を繋いだままでも歯を磨けるが、
理不尽なことに、悠貴の方は左手しか空いていないのだった。

「……」

 未来は所在なさげな顔で渋々と繋いだ手を放すと、歯ブラシをくわえたまま自分の部屋に
戻っていく。訝しげな表情で未来を見ていた悠貴だが、すぐに自分の歯ブラシを取って
歯磨き粉をつける。未来はすぐに戻ってきた。左手に、なぜかカエルの縫いぐるみを抱えていた。
そのまま、何事もなかったかのように歯を磨き続ける。

 変なお姉ちゃん。悠貴の、率直な感想だった。
0118不安と、日常2010/04/10(土) 21:42:06ID:iXQ73R+A
 その日の午後。学校から帰宅した未来を、悠貴の明るい声が出迎えた。

「お姉ちゃん、お帰り!」
「んー」

 テンションの低いおざなりな挨拶を返す。まるっきり普段通りの未来だった。

「お姉ちゃん、一緒にゲームしよ!」
「えー」

 未来はゲームがあまり好きではない。前に悠貴に付き合ってやってみたら、悠貴に
違う違う、そうじゃない、と口うるさくダメ出しをされて、それ以来ゲームには
触る気にもなれないのだった。

「やだ。あたしはこれから宿題やるから」

 冷たく言い放ち、自分の部屋に行こうとする未来。学校で大量の宿題を言い渡されて、
未来は憂鬱な気分になっていた。とても悠貴の相手をしているような気分ではない。

「えー、宿題なんて後でもいいじゃん」
「こういうのはやる気のあるうちにやらないとダメなの。悠貴はいいよねー、気楽で」

 そのまま自分の部屋に入って、パタンとドアを閉じる。一人寂しく居間に残される悠貴。
中学受験の準備を始めた頃から、未来は悠貴に向かって「悠貴はいいよねー」と言うのが
口癖のようになっていた。悠貴は、未来にこう言われるのが嫌いだった。確かに未来は
悠貴と比べたら受験などでずっと強いストレスを感じてきたのだろうし、悠貴も姉に
気を遣って遊んでもらうのを我慢してきた。でも、それで感情まで納得するかというと、
また別の話だ。

 このとき、悠貴の頭にある考えが浮かんだ。未来にすげなくされたことで、悠貴の
我慢のリミッターは、少々緩くなっていた。





 セーラー服からジャージに着替えて、未来は真面目に宿題に取り組んでいた。しかし、
まったくはかどらない。悠貴が居間でゲームをしている音が、やたら耳に障る。
 唐突に、今朝に見た夢の内容が、脳裏に甦った。悠貴が、いなくなってしまう夢。
そんなこと、考えたこともなかった。悠貴が生まれてから、ずっと一緒に暮らしてきた。
毎日、当たり前のように一緒だった。もし本当に悠貴がいなくなったら、いったい
どうなってしまうんだろう。

 は! バカバカしい! 悠貴がいなくなるわけないじゃん!
 いっつも、お姉ちゃんお姉ちゃんて、うざったいのにさ!

 思い直して宿題に向き合おうとするものの、再度浮上してきた不安は簡単には
消え去ってはくれなかった。何度も悠貴のいる居間の方角に目をやってしまう。
相変わらず、宿題にはまったく集中できない。気分転換でもした方がいいのだろうか。

「……確か、冷蔵庫にプリン残ってたよね」

 決して、悠貴の顔を見に行くわけではない。未来は思いつつ、居間に向かうために
席を立った。
0119不安と、日常2010/04/10(土) 21:43:41ID:iXQ73R+A
「あ、お姉ちゃん」

 居間では悠貴が相変わらずゲームをやっていた。ちらりと悠貴の顔を見ると、
さきほど自分が感じていた不安が、本当にバカバカしくなった。悠貴を無視して、
冷蔵庫の扉を開ける。そしてプリンの姿を探して視線を這わせるが、見当たらない。

「悠貴ー、まだプリン二個残ってたよね? あたしの分と悠貴の分」
「さ、さあ……一個はさっきぼくが食べたけど……」

 未来の質問に対し、珍しく不審な返答をする悠貴。悠貴は嘘が下手だ。空々しい
ことを言えば、すぐにわかる。未来も、伊達に長年悠貴の姉をやっていない。

「ねえ、悠貴」
「な、何?」
「どうしてゴミ箱にプリンのカップが二つもあるのかなー?」

 未来のわざとらしい明るい口調に、悠貴は恐怖を覚えた。未来が不機嫌で、すぐ
怒るのにはもう慣れている。しかし、笑顔の裏に見える怒りというものには、そうそう
お目にかかるものではない。普段なら自分が悪いと思ったらすぐ謝る悠貴だが、
未来の表情と口調に平静を失った悠貴は、らしくもない言い訳を試みた。

「だ、だってさ、帰ってすぐ食べなかったから、お姉ちゃんいらないのかなーって」

 もちろん、状況は全く改善されなかった。悠貴は思わず腰を浮かし、この場から
逃げ出す体勢を取った。悠貴が動いたのは、未来が一歩目を踏み出すのと同時だった。

「悠貴! 待ちなさい!」
「わあああっ! ごめんなさい!」

 悠貴を追いかけようとした未来だったが、突然、足の小指に激痛が走って、
動きが止まった。キッチンカウンターの角に、足の小指を強打したのだ。

「―――ッ! 〜〜〜〜っっっ!」
0120不安と、日常2010/04/10(土) 21:44:12ID:iXQ73R+A
 ものすごい勢いでうずくまり、足の小指を押さえる未来。思わず涙が込み上げてくる
ほどの痛みだった。それを見た悠貴は、自分の犯した罪も忘れて、腹を抱えて笑い出す。

「あはははは、今すごい音したよ、ゴンッ!って、ふひひひ」

 ひとしきり笑い転げた悠貴だったが、未来がなかなか顔を上げずにいつまでも
うずくまったままなので、少し不安になって笑い声を潜めていった。しばしの間、
居間が沈黙に包まれる。やがて悠貴は恐る恐る未来に近づいていき、心配そうな顔で
声をかけた。

「お、お姉ちゃん……大丈夫?」

 そのとき、未来が素早く動いた。立ち上がると同時に回り込むような鮮やかな動きで、
悠貴にヘッドロックを極める。

「つーかまえた〜」
「い、いたいいたい! ずるいよ、お姉ちゃん!」

 悠貴の言うことには耳も貸さずに、ギリギリと締め上げる。

「やかましい! プリンの恨み、思い知りなさい!」
「わあああ、ごめん、お姉ちゃん、ごめんなさい!」
「あと、あたしの足の恨みも!」
「いたいいたい、お姉ちゃん、それぼくのせいじゃないじゃん!」
「はあ〜〜?」

 未来はヘッドロックを解除すると、今度は悠貴の頬を両手で掴んで、口を広げるように
引っ張った。

「そんなことを言うのはこの口かー? あたしのプリンを食べちゃったこの口かー!?」
「ひたい、ひたい、おねえひゃん、ゆるひてー」



 結局この日、未来がこれ以上宿題に手をつけることは、ついになかった。




おわり
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