東京マグニチュード8.0でエロパロ 震度2
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
0001名無しさん@ピンキー2010/02/12(金) 11:58:10ID:UJuVywtb
東京マグニチュード8.0のエロSSスレです。
エロくなくても絵でも桶。我こそはという有志のかた、
どしどし投下してください。

前スレ
東京マグニチュード8.0でエロパロ
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1253897735/l50

関連スレ
東京マグニチュード8.0 震度52(本スレ)
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anime2/1264343215/l50

東京マグニチュード8.0の小野沢悠貴は姉思いカワイイ3
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1253782495/l50

東京マグニチュード8.0の小野沢未来は弟思いカワイイ3
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1253637042/l50
0143夏の終わりに2010/04/17(土) 23:35:18ID:ZTZmyn3C
 ピピピピピピ……「ん……」

 目覚まし時計の軽い電子音に、未来はゆっくりと目を覚ました。手を伸ばして時計を探り、ボタンを
押して音を止めると、未来はそのまましばらく、物憂げにベッドに身体を横たえていた。

 今日もまた、悠貴のいない一日が始まる…。

「っしょっと…」
 だが、未来は気力を奮って身体を起こすと、ベッドから足を下ろした、昨日真理から渡された携帯
には、自分を想ってくれる悠貴からの伝言が残されていた。まるで、死んでもなお、自分を支えて
くれようとしているかのように。悠貴だけではない、携帯には両親や友人たちの、自分を心配してくれて
いるメッセージがいっぱいいっぱい詰まっていた。だから起き上がれる、前へ進める。みんなが…そして
悠貴がついていてくれるから。

「悠貴、おはよう」
 着替えを終えた未来は、悠貴の机を愛おしそうに撫でながら、そっと呟いた。『おはよう』だなんて、
前はあまり言ったことがなかった。なんということはないただの挨拶。でも、もう二度と言ってあげる
ことができないのだと思うと、そんな些細な一言でも、言わなかったことが悔やまれてしょうがない。
もしこんなことになるなんてわかっていたら、毎朝ちゃんと『おはよう』って言ったのに。
 悠貴はちゃんと毎朝言ってくれた。パパもママも。言わなかったのは自分だけ。挨拶なんてなんか
面倒だし照れ臭い、そう思ってた。(なんであたし、ちゃんと悠貴に挨拶してあげなかったんだろう。
ママにもパパにも…)

(ん…?)
 後悔と追憶に耽りながら、未来は視線を机の上にさ迷わせていたが、ふとその視線がそこに置いて
あった学習帳に留まり、彼女は眉根を寄せた。何かが心に引っかかった。何か大切なことを忘れている
ような…。
 それはスカイツリーの表紙の、マロニエの観察日記だ。読んだらきっと悠貴を思い出して辛いから、
しかし悠貴の思い出を目の触れない所にしまってしまうのも嫌で、部屋の片づけを終えた後そこに
置いたまま、一度も触れることなく置きっぱなしになっていたものだ。
 あの終業式の日、悠貴とその友達のイツキと自分とで植えたマロニエ。もう、遥か昔の出来事のような
気がする。あのマロニエは、ちゃんと元気に育ってるだろうか…(って、そうだマロニエ!)
 そこでようやく未来は、マロニエの世話をすっかり忘れてしまっていたことを思い出した。お台場から
帰ってきた時に一度イツキと一緒に見たあとは、ずっと悠貴のことを悲しんでいるばかりで、それっきり
見にも行ってない。あれから一ヵ月以上、そんな長い間水もやらずにいたら、枯れてしまっているかも…!
0144夏の終わりに2010/04/17(土) 23:35:49ID:ZTZmyn3C
 水をあげなきゃ! 未来は慌てて部屋を飛び出すと玄関へ向かいかけ、思い直してリビングへと
駆けこんだ。「おはようママ!」
「あら未来、今日は早いのね」
 部屋に飛び込んできて勢いよく挨拶する未来に、朝食の用意をしていた母親の雅美は、少々驚きつつも、
いつも遅くまで部屋にこもったままだった娘の久しぶりの早起きに、嬉しそうな顔をする。「待ってて、
もうすぐご飯の用意できるから」
「ごめん、ママ。あたしちょっと悠貴の学校まで行ってくる」
「えっ?」
 こんな時間からそんなところになんの用事かと訝しそうな母親に、未来は早口で付け加えた。
「すぐ戻るから、朝ご飯は先に食べてて!」
「え? う、うん…」
「行ってきまーす!」
 未来の勢いに押されるように肯く母に、彼女はくるりと背を向けると、後ろ手に片手を振って駆け
出していった。なんとも慌ただしい娘の姿に、雅美はただただぽかんとしてそれを見送るだけだった。


「はっ、はっ、はっ…」
 息を弾ませながら、未来は駆け足で小学校へと向かった。今さら多少急いだところで、なにか変る
というものでもないだろうが、それでも急がずにはいられなかった。
 どうしよう、どうしよう…。走りながら、未来は涙を滲ませた。もし枯れちゃってたらあたしのせいだ。
こんなことまで忘れちゃってたなんて…。

 やがて未来の目の前に、小学校の校舎が見えてきた。その手前にはグランドがあり、配給所などの
テントがいくつか並び、体育館で寝泊まりしている被災者や近所の住人、ボランティアの人々の姿も
ちらほらと伺える。しかし学校は今月いっぱいで避難所の役目を終えることが決まっていて、テントも
人々の数も、未来と母が一時的に過ごしていた頃よりは、随分と少なくなっている。そんなところにも、
彼女は時の移ろいを感じずにはいられなかった。自分が家に閉じこもっていた間にも、外では確実に
時は進みつつあるのだ。そしてそれはマロニエも例外ではなく、ちゃんと世話をしていなければ、
時と共に弱り、枯れてしまうはずだ。

 未来は横目でグランドの様子を眺めながら、その先にある校門を目指した。マロニエが植えてあるのは、
そこからすぐだ。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ………!?」
 だが、息を切らせながら校門を入り、マロニエを植えた方へ目をやった未来は、そこで思わず足を
止めた。マロニエの前に、小さな人影が佇んでいたのだ。思いっきり走ったせいで目が霞み、容姿は
はっきりわからないが、小学生の低学年くらいの男の子のようだ。そう、ちょうど悠貴と同じくらいの。
 未来は信じられないという風に泣き笑いのような表情を浮かべ、さらに数歩前に進んで人影に向けて
呼び掛けた。「悠貴!?」
「ん?」
 その少年は声に気付いて彼女の方へと首を巡らせ、未来を見つけると嬉しそうな顔になった。
「お姉ちゃん!」
0145夏の終わりに2010/04/17(土) 23:36:23ID:ZTZmyn3C
「あ…」
 ジョウロを片手に自分の方へと駆け寄ってくるその少年を、未来は呆然と見つめていた。悠貴……
じゃない。「イツキ君…」

「もう大丈夫なの?」
「え?」
 呆けていた未来は、イツキに訊かれて我に返った。どうやら、ずっと悠貴のことを悲しんでいたのを、
彼にまで心配されていたらしい。今もイツキと悠貴を見間違えてしまったくらいだから、それももっとも
だろうと、我ながら恥ずかしくなる。しかし同時に、どこか嬉しい気がして、未来ははにかんだ笑みを
浮かべた。
「うん、もうへーき。それより…」
「マロニエなら元気だよ。俺、ちゃんと毎日水遣ってたから」
 未来が彼の背後に視線を送ったのを見て、イツキが問われる前に答える。
「みたいだね」
 未来はイツキの持つジョウロに視線を向けながら言った。よかった、イツキ君、忘れないでちゃんと
世話しててくれたんだ。安堵と感謝で、思わず目尻に涙が滲む。
「ありがとうイツキ君。本当はあたしがやらなきゃいけなかったのに…」
「いいよ、俺、ずっと体育館にいたし」家に住めなくなって、ずっと体育館に避難していたことを、
イツキはあっけらかんとした顔で言ったが、そこで急に眉を曇らせ、視線を落として付け加えた。
「それに俺、悠貴と約束したもん。毎日水遣りにこようぜって」

「イツキ君…」
 未来の目尻に浮かんだ涙の粒が大きくなった。イツキだって悠貴が死んでしまったのが悲しいんだ。
それに自分はすぐ家に戻れたが、イツキはあの暑くて大勢の被災者がひしめいている体育館で暮らしてて、
それでも自分と違ってマロニエのことを忘れず、ちゃんと世話をしてくれた…。「ありがとねイツキ君、
本当にありがとう…」
 涙声の未来に、イツキははっとしたように顔をあげた。そしてぷるぷると頭を振る「俺一人でやってた
んじゃないよ、山根先生も時々手伝ってくれたんだ」
「そう、先生も…」
「先生言ってたよ。未来ねーちゃんが元気になっても、マロニエが枯れてたらきっとがっかりするって。
だからちゃんと世話しような、ってさ」

 自分だけが感謝されるのがこそばゆかったのだろうが、イツキの言葉で、未来はますます胸の奥が
じーんと熱くなった。先生だってこの地震できっと色々大変だったはずだ。それなのにイツキも先生も、
自分の心配をしてくれて、マロニエの世話までしてくれていた。自分はといえば、そうやってみんなが
自分のことを心配し、支えてくれていることに気付きもせず、ただ部屋でぼーっと悠貴のことを悲しんで
いただけで…「ごめん、あたし…ごめんね、ごめん…」
 未来はぎゅっとスカートを握りしめ、涙声で謝った。目の前のイツキだけでなく、先生にも、そして
両親や真理、ユカとマユ、それに悠貴…自分を支えてくれるみんなに。
0146夏の終わりに2010/04/17(土) 23:39:27ID:ZTZmyn3C
「……」
 声を震わせる未来に、イツキはおろおろとなった。女の子に泣かれると、どうしていいのか困って
しまう。ましてそれが自分より年上の子となればなおさらだ。だが、いたたまれずに逃げ出したいのを
ぐっと堪え、イツキはそっと未来の腕に触れた。
「泣かないで、お姉ちゃん」
「!?」
 それが一瞬、悠貴の声のように聞こえて未来ははっと顔をあげた。と、目の前に、気遣わしげに
自分を見つめる悠貴の顔が見え、未来は思わず目を瞬かせた。「悠…!」

 その顔は、すぐにイツキの顔へと戻った。だが、気遣わしげな表情は同じままだ。泣いちゃダメだ、
泣いたらイツキを困らせてしまう。未来は指でそっと目尻の涙を拭うと、ぎこちなく彼に微笑んでみせた。
「ご、ごめん。大丈夫、大丈夫だから…」
「お姉ちゃん…」
 なおも気遣わしげな顔のイツキに未来は言った。「ありがとう、イツキ君は優しいね」
「え? あ…」
 照れて頬を赤らめるイツキに、未来の顔に今度こそ本当の微笑みが浮かぶ。「今まで本当にありがとう」

 未来は心の底からイツキに礼を言うと、彼が持っているジョウロへと手を伸ばした。「今日からは
あたしがちゃんと水をあげるから、イツキ君はもういいよ。イツキ君は、ママやパパのお手伝いをして
あげて」
「えっ…?」イツキはジョウロに目をやり、それから未来へ視線を戻した。「別にいいよ、もうすぐ引っ越し
するけどさ、どうせ毎日学校来るんだし、これからも俺がやるよ」
「ううん」未来はふるふると首を横に振った。「ずっとイツキ君たちに世話してもらっちゃってたし、
これからはあたしがやるよ」
「いいってば!」
 遂にはジョウロを背中に隠してしまうイツキに、未来は弱り顔になった。気持ちは嬉しいが、今まで
なにもしていなかった罪滅ぼしの意味もあり、他人に任せず、自分で世話をしたい。

「それじゃあ…」未来は少し考えてから、口を開いた。「二人で一緒にやろうか?」
 未来の提案に、イツキはどこか嬉しそうな顔になると、大きく肯いた。「…うん!」
「じゃ、行こう」
 そう言って未来が手を伸ばすと、イツキがその手を握る。そして二人は、マロニエの元へと並んで
歩き始めた。

「マロニエ、少しは大きくなった?」
「んー…あんまり変わんない」
「えー、そうなの?」

 そんな話をしながら歩く二人の頭上では、太陽がぎらぎらと眩しく輝き、今日も暑い一日になることを
予感させていた。



  以下、http://www21.atwiki.jp/tm80matome/pages/17.htmlに続く
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

ニューススポーツなんでも実況