「はぁ…。じゃあさ、出てけば?そんなにキモい人と一緒に暮らす必要、ないんじゃない?」
「そう…だけど…なんかねぇ、ちょっと…りゆーが、あるから…しかたないっつーか……」
「何それ?……なんか色々ごちゃごちゃ言ってるけどさあ、ホントはお兄さんの事、悪くないって思ってんでしょ?実はもうヤっちゃったとか?」
「なっ…!あ、あのさほのかちゃん、そういうのさ、いくら友達でもホントに怒るよ!?」
つい今まで顔面蒼白だったまやちゃんは、いつの間にか顔を真っ赤に紅潮させていた
「そんなにキレる事ないでしょ」
「キレる事だよっ。お兄ちゃんとヤるとかありえないよっ!絶対気持ち悪いもん!」
「へぇ〜。でもキスはしたんでしょ?手ぇつないで買い物行くとかは?帰ってきたらただいま〜おかえり〜とか言ったりすんの?はははっ」
「あ〜〜もう!そーゆうの絶対ないの!さわられるのもイヤ!見られるだけでヤなんだから!」
タバコの灰を撒き散らしながら反論するまやちゃんの姿は、非常に面白くてかわいい。こうなってくると、いやがおうにもサドっ気がわいてくる

「え〜、好きな女の子からそんな風に思われてるとか、お兄さんかわいそ〜」
「だって、私ホントの事言ってるだけだし…」
「ははっ、じゃあ私さ、かわいそうなお兄さんをなぐさめてあげよっかな〜、なんて」
「はっ???ほ、ほのかちゃん、何言ってんだよ」
「だってさぁ、好きな子がそんな態度だったら傷ついてるだろうしぃ、しかもまやちゃんさ、やらしてあげてないんでしょ?お兄さんには癒しが必要なんじゃないかな〜って」
「あ、あ、えっと、あのね、お兄ちゃんね、顔はブサいし話は面白くないし、気が弱くって給料安いんだよ。絶対オススメできないよ…」
「そんなの、お客さんの中にはそういう人いっぱいいるじゃない。まやちゃん、お兄さんの事キライみたいだしさ、私が引っ張っちゃってもかまわないでしょ?」
「いっ………いいんじゃない?別に………」
「はははっ、まやちゃんのお兄さんが私のお客さんかぁ。悪くないねー、そういうのも」


冗談半分、からかい半分

まやちゃんの反応が面白くて、つい口に出た言葉

本気なんかであるはずがない

少なくとも、この時点では、まだ……