>>302

その歴戦をくぐり抜けた鋼の如き短剣を丁寧な手つきで拭い取られ、
ひくひくと反応するものが無ければ嘘になるが、
実際問題疲れたと言うのが実感でネギもされるがままにしている。

「このかさん」
「ん?ありがとう」

その後で体を拭き始めた木乃香のバスタオルをネギが手に取り、
まずはその見事な黒髪にタオルを流す。
本心では多少心配だったが、そのネギの器用さは、
とても初めて女性の、それも日本のお姫様の黒髪を扱ったものとは思えぬレベルだった。

「ふふっ、ごめんなぁネギ君、みんなみたいに立派なモンやのうて」
「い、いえ」

一端始めてしまったものの、木乃香が堂々としているだけに
ふっくらとした膨らみにタオルの手つきが引けているネギに木乃香の一言。
リラックス出来るジョークだった。

 +     +

パジャマに着替えてベッドルームも兼ねたリビングに戻ると、
そこはもう、あられもなさすぎる姿の美少女達の
死屍累々の巷と化していた。

「んー、これ、みんな脳味噌トロトロ腰が抜けてもうてるなぁ…
団体様で極楽百周旅行の真っ最中の顔やえ」
「アハハ…ごめんなさい」

苦笑いしてから、ネギがしゅんと小さくなるのを木乃香はにこにこ眺めている。
取り敢えず、こちらの方はタオルやら何やらをかけて応急処置。
そして、ネギは木乃香に手を引かれるままに二段ベッドの下段に入る。

「このかさん?」
「んー、部屋もぬくいしお布団取り替えたし、裸ん坊になると気持ちえーんやなぁ。
なあ、ネギ君も」
「は、はい」

無邪気な微笑みを向けられ、ネギも真っ赤になりながら生まれたままの姿になった。
そして、二人で布団を被り、ちゅっと互いの唇をついばむ。