「い、痛……」
男の熱い先端を埋め込まれ、思わず少女は呻いた。

ずっと憧れていたアイツに、初めてを捧げる。
その喜びのためなら、どんな痛みにだって耐えられる。……アイツに喜んでもらえるなら、どんな苦しみさえも受け入れる。
そう決意した筈なのに、開始早々もうこの様だ。
身を切り裂かれた苦痛の中、少女は、慌てて男を見上げる。
「痛……く…ないから、続けて?」
「馬鹿言え」
ため息ついて、男は、慎重に引き抜いた。
「――ッ!」
歯を食い縛る。瞼から涙が溢れる。
幼さが残る裂け目からは、つぅと一筋の赤い滴が流れた。

少女は、名前が無かった。彼と出会う、2年前まで。
少女は――正確には、彼女はもう少女という年でもないが――囚われていた。国の古い言い伝えと、城の地下室の足枷に。
しかし、こうして王女は救われた。
国が消え、騎士団くずれの世話係りに抱えられ、夢見た外の世界に解き放たれた。

あれから半年。友達も出来た、文字もそこそこ読めるようになった
お洒落だって料理だって頑張っている。
時々親子と間違われながらも、彼と二人で楽しくやっている。

「……やはり、まだ身体が調子じゃねぇんだよ。悪かった」
「どうしてアンタが謝んの!」
酔った男を誘ったのは、自分。
彼の特別になりたくて、無い頭を懸命に使って考えた結果がこれだ。
「アタシが平気って言ってんだから、平気に決まってるでしょうが!
 バカ!ヘタレ!」
アタシの気持ちを知っているくせに、平気で背を向けるなんて。
胸が苦しい。

「バカ、バカ……」
「………」
「バカバカバカバカヘタレ……」
まったく世間知らずで、口が悪い。しかもこんなに痩せっぽち。
乳房も尻もまだまだ薄く、はっきり言って少女というより鶏ガラのようだ。
そして何よりも、大切にしたいという想いを「子供扱いしないで」だなんて、全く理解しようとしない。
「……アタシじゃ、だめなの?」
「違ぇよ」
「じゃあ、どうして途中で止めちゃうのよ……」
いよいよ瞳を滲ませる少女に
男は、ボリボリと、ヤケクソ気味に頭を掻いた。
「あー、あぁー、うっせぇな!
 よっく聞けよ。俺は、お……お前と」
「お前と?」
「お、お前と保守りたいんだよ!」