王である父は王としての顔があり、親としての顔もある。自分は王として民に接する父に、強い憧れを抱いていたのだと、アーサーは深く思い出す。
柔らかさを押しつける二人のフィリアに戸惑いを覚えつつも、アーサーは身のうちに巣くう欲が湧き上がっていくを感じた。「でも、わたしを責めないでね」
褐色のフィリアが言う。「あなただってそうでしょ? 本当の自分をわたしに見せていると言える?」続く言葉が胸を刺した。
「そ、それは……」
「本当のわたしは、あなたが思ってるような人間じゃない」
低い声色とは真逆に、白色のフィリアが目を細める。「冷静になって考えてみたら?」褐色のフィリアに、アーサーは心を乱した。
大切な人の顔でそんなことを言って欲しくなかった。暴言を吐き続ける褐色のフィリアの手が、アーサーの股へと滑り落ちていく。
言葉だけじゃない。この二人の行動は、アーサーを抉ることしかしない。跳ね除けることもできず、ままに、それでいて自分の中の昂ぶりを見抜かれて……
おろされた下半身の着衣から、膨らんだ気持ちが露わになる。大好きな、フィリアの細いゆびが、望んでいたところに絡みつく。
褐色の柔らかさに導かれて、まともな反論すら出来ないでいる。馬乗りに、胸を当てられて、その芳香に鼻を埋めている。
病的なほどに白い指と、熱を絡ませた舌が自分を混濁へと落としていく。駆け巡るほとりは忽ちに上り詰めていき、意識のうちを白く塗り替えていった。
偽物だと叫んで否定する。本当に否定していたのは情欲の穴に落ちていった自分なのだと、彼女たちが消えたあとに気づいた。
「信じるの? 虚像のフィリアを」……残された言葉が木霊となって頭に響く。
そのうちに目覚めたフィリアを見てアーサーは。
「フィリア……君を信じる」
首を傾げるフィリアの反応を待たずして、短く切った。「ねえアーサー、あなたは本当に……わたしを信じてくれてるの?」残響する言葉を静かに振り払う。
隣を歩く安らぎに、謝罪の念を心に呟く。この先になにが待ち構えようとも、フィリアを守ろうと。