「いくらなんでも、親友の彼女に手ぇ出す訳無いじゃん」
「あいつの女性関係に関しては信用していない」
「冷たいなぁ、唯一無二の友達でしょうに。信じてあげなよ」
「長い付き合いだからこそ分かるんだ」

いつだったか彼と交わしたやりとりが、脳裏に浮かんでいた。


†††


「気付いちゃった?」

あいつとは、二人きりで会うな──彼の忠告を守るべきだった。
ベッドの上に組み敷かれてからでは、そんな後悔はもう遅い。
普段から散々言われていたことだけど、人当たりの良い彼の親友を、私は以前から信頼しきっていた。

「でもこれで、冗談じゃないって分かったでしょ」

最近彼とうまくいかなくて、相談がてらに一緒に飲んだところまでは覚えている。
ルームメイトと住んでるし、客人向けの部屋もあるから安心しておいでよ……酔った状態で帰るのが鬱陶しくて、そんな言葉に甘えてしまったことを思い出す。

「ダメだよ、俺みたいなヤツ簡単に信じちゃ」

スーツのジャットが皺になるからと脱がされた後に危機感を覚えた、その後の記憶が酷く曖昧で。
でも、裸に剥かれた私の身体が酷く火照っていることが、空白の時間に何をされたかを物語っていた。

「やだっ……」
「さっきも散々嫌がってたけど、それが楽しいの分かってる?」

混濁した状態で抵抗をしても、思うように力が出ない。
片手で両の手首を捕らえられ、身動きが出来なくなる。

「抱いてみると凄い良い女だった、驚いたよ」

耳元で囁かれた。
言葉の内容は勿論、彼以外の人に全てを晒していること、熱い吐息がかかり嫌でも感じてしまった恥ずかしさで何も言えない。

「まだ本番はしてないけどね、ここぐちゃぐちゃだし……試したいな」
「ん、んんっ…やっ、ぁあ、あっ」
「ほら、嫌がってる割にはすっごい締め付けてる」

無骨な指が下着の中へ侵入して、自覚したくない疼きに直接働きかける。
何度もされてたんだと思う、理性が悦びの波に拐われていく瞬間に確信した。

「気持ち良いし、またイキたいんじゃない?」

指を増やして中を広げられても、痛みを感じることもなく、巧みな動きに支配されていた。
親指で突起を擦りあげられると、どうしようもなくて、腰が釣られるように動いてしまう。

「あ、あ、やぁあ──」

半開きのまま閉じることが出来ない口から漏れる、自分の声とは思えない程いやらしい喘ぎに、耳を塞げたらどれだけ良いだろう。