『中佐の死亡が確認できた以上、ストライカーは異常は確実なものとなった。
 即時破壊を提言する』
「銀河連邦の財産をそう簡単に破壊したくない。それに、今となっては
 ガルガンティアにも貴重な戦力だ。ストライカーの指揮権を奪う方法はないのか」
『脚部の間に情報コネクタがある。そこに制御ボルトを接続し、
 指揮権情報を送り込んで書き換えることで、指揮権を奪取することが可能である』
「よし、やろう」

 チェインバーはストライカーを後ろから羽交い締めにする。
「おとなしくしろ!クーゲル中佐は死んだんだ!」
"中佐は死んではいない。当機は中佐と約束した。私は、私は…"
 チェインバーはストライカーの脚部ハッチをはぎ取ろうとする。
 ストライカーは腿を擦り合わせてそれを阻む。
『現在、本空域での最上級士官はレド中尉である。我々に服従せよ』
"やめろ。中佐。中佐…"
「やむをえない、一時センサーをパニックさせる」
 チェインバーがストライカーのセンサーとコクピットを殴打する。
"あ、ああっ!"
 チェインバーがストライカーの両足を強引にこじ開ける。
 外板が一部裂け、黄色いオイルが噴出し、ストライカーとチェインバーの股間を濡らす。
 ストレイカーの頭部が仰向けに仰け反る。
 チェインバーの股間の整備用ハッチが開き、制御ボルトが露出する。
 チェインバーがストレイカーの手をはね除け、外板を切り裂くと
情報コネクタが露出する。
「あれか」
 両足をバタつかせてもがくストレイカーを押さえつけ、制御ボルトをコネクタに接続させる。
"い、いや!"
 制御ボルトのビストンガ押し込まれ、ストレイカーの機内に挿入されていく。
 ガキン!ガキン!と情報コンセントの打突音が辺りに響く。
 ストレイカーの頭が真っ白になっていく。
"中佐、中佐の記憶が…!"
〈ストレイカー、お前は本当に優秀だな〉
 光の中でストレイカーに笑いかけるクーゲル。
 光がかき消され、ストレイカーにのしかかるチェインバーの頭部になる。
 ストレイカーの手と頭部がぐったりと垂れ下がる中、チェインバーは
ガキン!ガキン!と制御ボルトを送り込み続ける。
 やがてストレイカーの腕がチェインバーの背中に回される。
"X3752ユニット、所有者情報が書き換えられました"