第10話の後を妄想
・・・・・
凛太郎は桜を抱えるように支えながら自分の部屋に連れて来ると、バスルームに押し込んだ。
(好きなだけ泣けばいい)と思って、待つつもりでいたが、桜は予想よりずっと早く出て来た。それでも表情はだいぶさっぱりしている。
凛太郎が貸したTシャツと短パンは当然ぶかぶかで、余計に華奢に見えた。
「ありがと」
「うん。俺もシャワー浴びてくる。先に飲んでていいから」
缶ビールを渡しておいたが、凛太郎が出てきても、バスタオルを被って立ったままで、缶を開けてもいない。
ビールを取り上げてカウンターに置き、髪を拭いてやる。
「大丈夫だから…」
「大丈夫じゃない。おまえがそんな風にしてたら、俺が大丈夫じゃない。もう一人にしないから、泣きたいなら俺の前で泣け」
「涙、出ないんだよねー…私のことなんて好きじゃないって…当たり前のこと言われただけだし…」
「…俺は好きだよ」
「…うん」
バスタオルを取り払って、唇を合わせた。