実況パワフルプロ野球のSS Part14
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
ここはパワプロシリーズの萌えSSやエロSSを投稿するスレです
シリーズは一切問いません、SS職人さんは常時大歓迎
age進行 sage進行どちらでも結構です。強制はしないこと。 ←new!
【理想系】
スレが落ちそうな時はage進行で保守をして
いつもスレが上のほうにある時は少し自重してsage進行
■実況パワフルプロ野球シリーズ@2chエロパロ板まとめwiki
ttp://www11.atwiki.jp/pawaparo573/
■2chエロパロ板SS保管庫
ttp://sslibrary.gozaru.jp/
■前スレ
ttp://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1301255171/ ――
「あはははは!あははあはあは……もう最っ高ね!」
「何でお前はそんなに元気なんだ……あれだけはしゃいでたくせに」
「だって、だって、優勝よ!一番よ!!イチバーン!」
「あぁ分かった分かった、分かったからちょっと静かにしてくれ」
「……もーう!連れないなぁ友沢クンったらぁ!」
あぁ、これは今までで一番酔ってるんじゃないか、こいつは。俺に圧し掛かってビールをかけ続ける合間に相当飲んでいたようだ。とても酒臭い。
カイザース時代とは比べ物にならない手厚い洗礼に晒された俺は、一度着替えると言ってロッカーに緊急避難していた。
橘はとにかく俺をいじめ抜きたいのか、どさくさに紛れてくっ付いて来たのだ。どうやら俺達は主役に祭り上げられているようだし、どちらかは残った方が良いと――
『FooooooOOOOOOOOOOOOOOO!!!!』
『猛田!イッキ!猛田!イッキ!』
『聖ちゃんの!カッコいいとこ見てみたい!それ!……』
――杞憂だった。むしろこのまま帰るのが賢い選択なのかもしれない。そう考えつつも、律義に替えのユニフォームに着替えるとは、俺も毒されたものだ。 カイザースの頃はどうのこうのと言うつもりは無いけれど、今回の勝利の美酒は格別だと言わざるを得ないのだろう。
練習内容や態度、その環境、試合への姿勢や意気込み。チームメイトも何も違う所からスタートした今シーズンは、俺にとって非常に意義深いものとなった。
……まぁ、正直な話、その意義の大半を担っているのは、今横に居る女なのだけれど。
人間の肉欲と言うのは本当に業が深く……勿論、それだけじゃあ無い。単純に、橘が投げる試合は勝たせてやりたかった、というのは否めない。
それどころか、良い所を見せてやろうだなんて、まるで小学生の考えるような事を、大の大人が考えていたり。
「……ふっ」
「あら、どうしたのぉ?」
思わず自分に笑ってしまう。
「なんでもない……なんでもないさ」
「へーんなのー」
「こら、だから圧し掛かるのはもう……ん?」
取り繕った俺にしなだれかかって来た橘の感触は、とてもよく知っている感じで、でもそれは情況的に普通はあり得ないものだった。 「……なーに?」
「……何で上着を脱いでるんだ、お前」
振り返った俺が見たのは、ビールが染みて濡れてしまったブラの紐を弄ぶ橘の姿だった。こっちは座っていた為、実に美味しそうな臍が目の前に来る。
「だって、私も濡れちゃったしぃー」
「誰か来たらどうするんだ馬鹿」
「……!ねぇねぇ、それって、私のカラダを他の奴に見せたくない、ってこと?」
少し暗めの蛍光灯に照らされた橘の肢体は、汗か、ビールか、とにかくしっとりと湿った感じで、少しも生傷の無い綺麗な表面が特に強調されて俺の目に映る。
目尻はとろんと下がり、愛してやまないその瑞々しく生意気な唇は、吊り上がって挑発的にこちらの様子を伺う。
「た、橘……お前、酔ってるだろ」
くらくらと目眩がしそうな錯覚に陥りながら――いや、実際これはアルコールのせいもあるが――俺は目の前の女に問いかけた。 「ぷーだ。酔って無いも―ん」
子供のように口を膨らませるその仕草は、艶めかしい空気を醸すこの場には酷く似合わないような、却って彼女らしいような。
「……んー」
「?!」
前触れも無く前進して来た橘を思わず受け止めた俺に、いつもより熱くて柔らかい橘の唇が重なる。
「んふぁっ……ぷぁ……えへへ、久し振りだぁ……」
「むぐ……ん……お前……」
「ゲン担ぎだか何だか知らないけど、一月もこーんな良い女放っておくなんて、ほんと……んむ……っあ……」
恨めしそうな、寂しそうな声音で紡がれた言葉にはっとする。
そうだ、そういえばそうだった。でも、そもそもそれはこいつが言い出したことじゃ無かったか。
それに、優勝するまで、恋人としての付き合いは控える、というのはお互い納得の上で決めたことだったはずだ。 「ぷは……んちゅ……むー……んふぅ……」
あぁ、今更どっちが言い出したかなんてどうでもいい。大事なのは、俺がこいつを一月も抱いてやらなかったことと、今がとても不味い状況だと言うことだ。
このままじゃあ、こいつのカラダを誰かに見られてしまう。違う。こいつの痴態を。これも違う?いや?違わない?ともかく、不味い。
「……ねぇ、このまま、シちゃおっか?」
「は?ば、馬鹿野郎!それはいくら何でも……っ!」
いつの間にかベルトを緩めていた橘の手は、片方で俺のペニスに触れ、もう片方で自分の秘所に俺の手を導いていた。
久し振りの橘の手の感触は言うまでも無いが、それ以上に俺の心を揺さぶったのは、とうに準備万端で待ちきれない様子の橘のカラダの方であった。
「……我慢、出来ないの、あんたのせいなんだよ……?」
「うぅ……」
絡みつくように耳元で囁く橘の声は、扇情的であると同時に全く余裕が無いもので、ぷつりと理性の糸が切れる音さえ幻聴しかけた。 ……のだが。
「……うっ」
「ん?」
「きぼちわるい……」
「……は?」
「ちょっと……たんま……うぇえぇぇ……」
「お、おい!?大丈夫か、橘、おい!」
突然蹲った橘は、さっきまでの官能的な雰囲気が嘘のように無くなって、単なる酔っ払いと化してしまった――と思われた。
「みずき、友沢先輩、そろそろ戻って来てくれ。まだまだ今夜は……えっ」
ちょうどよく現れた六道だったが、さすがにただならぬ雰囲気を察したのか、ロッカーの入り口で固まっている。
あのまま致していたらと思うと冷や汗ものどころでは済まないが、この状況で人が増えるのは有り難かった。
「六道、良かった、橘をトイレとかに連れてって面倒見てやってくれ」
「……お邪魔だったようだな。でもロッカーではダメだぞ。うん」
「違う!いや違わなくもない……けどどうでも良いわそんなの!とにかく、こいつ今具合悪そうだから……あー、ほら、俺のジャージ羽織れ」
「うぅ……最悪……頑張ったのにぃ……」
「頑張ったのか……」
「しゃべるなもう!?」 ――
「……つ、つわり?!」
電話口で思わず叫んでしまった。あぁ、朋恵、そんな期待の眼差しをお兄ちゃんに向けないでくれ。翔太、エロいこと考えたら殺す。
『う、うん。みたい』
「じゃ、じゃあ……」
『……そういうこと』
「いや一体いつ……」
『4タコの日』
「うっ」
『……球団とかに、どう、説明しよっか?』
「……」
『友沢?』
「……俺が何とかするから、お前はゆっくり休め。休んでくれ。休んで下さい」
『でも、それじゃあ』
「男の俺が責任取らないでどうするんだよ」
『……ふふ』
「何だよ」
『嬉しいのよばーか』
「……おう。俺も正直嬉しいぞ。でも頭痛いけどな」
『そうね……チームの皆に、監督たちにも謝らないと……ていうかCSやばいじゃない』
「お前の分俺が働く」
『大きく出たわね』
「俺は有言実行だ」
『……あはは!そういえばそうだったわ』
「あぁ、任せておけよ」
『……じゃ、期待してるわね……あ・な・た』
「っ?!」
電話が切れる。父さん、コーヒー全部床にこぼれてるぞ。母さん、笑顔が怖いですね。
――20XX年度、球界最大の戦犯、ここに爆誕―― 終わりやで
行き場の無いみずきちゃんの性欲は友沢くんが責任を持って処理するので問題有りません(意味深)穴は一つじゃないから(至言)
でも残念ながらバルカンズは実質エース格を欠いてCS敗退してしまうでしょう それどころじゃない大ニュースが飛び交いそうではありますが 835氏はJFKも真っ青の鉄腕やでぇ。
友沢が処理してあげるほうなんね……(ゲス顔 GJ!
もちろん野球チームが作れるぐらい子作りするんですよね? 「ねぇ」
「ん?」
「名字どうするの私達」
「あー」
「橘亮……は何かダメ」
「何でだよ」
「字面が無駄にカッコいいじゃない。腹立つ」
「どんな理由だ……じゃあ友沢みずきはどうなんだよ」
「……」
「……?おい」
「……な、中々、良いじゃない……そっか……友沢……友沢みずき、かぁ。うふふ」
「……選手登録はどうすんの?」
「私はみずきで良いじゃん」
「そっか。じゃあ決まりな。嫁に来い」
「うん!」 友沢み とか 亮 だと選手登録微妙だしこうなりそう
子供は一人を大事に育てるんじゃないかなぁ そもそもみずきちゃんなら産休後現役続行望みそうだし
まぁ熟れ熟れのみずきちゃんを、いかに友沢が躾けられるかによるんじゃないですかねぇ(ゲス顔) 友沢×みずき、楽しませて貰いましたわい。
何気に今日はマイライフの亜美の誕生日だったり。
しかし奥居亜美はともかく、姉の奥居まりんって変わった名前だよなぁ、よくよく見ると。 亜美ちゃんは赤い糸使って1年目からアタックかけたなぁ 心なしか小さめの目(奥居の影響か)が何とも可愛くて好き
でも実は最初に電話に出た時のまんま奥居顔の子供亜美ちゃんも好きです(小声) マイライフ嫁って誕生日の設定あったのな。
15のうつわライフしかやってなかったもんだから気が付かなかった。15嫁は誕生日はおろか年齢の概念も無いんだよなぁ 家族の年齢とか飾りだしなぁ。子供とかいくつになってもあんまり変わらんし。
まぁ豊田泰光みたいに、子供から「お前の親父は役立たず、と言われたのでボコボコにしてしまった」
とか言われるイベントがあったら嫌だなぁ。 娘がライバル球団の選手になってしまったので
そいつとの対決に力が入るお父さん >>132
まりんってのは通称で本名は別に漢字があるんだよ、きっと
…『魔鈴』とか >>137
そんな白銀聖闘士みたいな名前はちょっと…
夫婦喧嘩になろうものなら粉砕されそうだし。 >>141
あぁ魔法使いのキャラね
懐かしいなぁ… まりんは何気に最速だと17歳で嫁に出来たよな。
ロマン溢れてるわ。 聖ちゃんとスッスで話考えようとしたけどうまくいかない
やっぱ実際の絡みが無いキャラだと無理があるか
今後あるかもしれない全日本編とか、2013のデッキシステムに期待やね >>134
最近のだとこんな感じみたいですぜ。参考までに
4月 真尋&紫子(1)、ゆい(15)、かえで&圭(17)あやめ(27)、ありす(28)
5月 ひかり(10)、春奈(13)さゆり(24)、朋美(25)
6月 涼子(1)、小春(2)
7月 舞子(7)、早矢(8)、のぞみ(14)、ちひろ(25)、麻耶(29)
8月 郁美(6)、智恵(8)
9月 亜美(4)、きずな&美緒(15)、綾子(30)
10月 こまち(1)、ジュリ(23) 4月7月に 多いのな。それと
>さゆり(24)
てっきりまたさゆりさんが鯖読んだのかと >>144
スッス早すぎたコンプレックスの爆発、兄に完全勝利するため投手に転向
なお聖タチバナに進学のもよう
設定なんて無視アンド無視 パワポケ設定を流用して、トレーナーになったスッスが聖ちゃんに性的なケアとか。 スッスの性格的に、男女の差別とかはしないだろうから、
女性への差別という壁にぶち当たった聖ちゃんをフォローして仲良くなる的なのは割とありかもしれない
というかそっちの方が鈴何とかルートよりも楽しそうだから573さん全日本編はよ 世代リセットするならいっその事
マイライフ・メジャーライフ嫁の制服姿なんてのも… 橘の妊娠をチームの皆に報告した俺は、祝福という名の熱いリンチを受けた。まぁ、しょうがない。
祝ってくれたことには変わりないし、むしろすんなり受け入れてくれた仲間に感謝しなくては。
今日は日程の谷間だったが、練習中も色々とどやされたおかげで、帰りが大分遅くなってしまった。
そんな俺を待っていたのは――
「「お帰りなさーい!」」
「……何でいるの?」
「うわ、お兄ちゃんひどい。みずきさん、ずっと待ってたのに」
「嫁が家にいちゃまずい?」
「……まずくないな。体大丈夫なのか?」
「うん。まだまだ普通に動けるわよ。チームにだって付いて行くつもりなんだから」
「いや、それはさすがにアウトだろ」
「ベンチから応援くらいなら良いってお医者様から許可貰ったも―ん」
「あ、そういえば、みずきさんの荷物、お兄ちゃんの部屋に置いておいたからね」
「は?荷物って」
「新居見つけるまではここに住ませてもらうわよ。お義母様にもお義父様にも、もう許可は頂いてるからね」
「部屋が無いぞ」
「あんたの部屋でいいじゃん」
「おい!?」
「……あ、えっと、その、二人とも、仲良くするなら、他の家族がいない時にね?」
「もーう!やーだ朋恵ちゃんったらおませさんなんだからぁ!」
「朋恵が汚れたー?!」
「弟妹離れしなさいよあんた」 ――
夕飯は肉じゃがだった。味の方は文句無し。旦那は胃袋から支配するのだ、と橘は上機嫌に言っていた。
その後、朋恵のキラキラとした視線から一時退避するように自室へ。まぁ、橘も付いて来ているからあんまり意味は無いのだが。
「全く、事前に連絡くらい入れてくれよ……」
「だってびっくりさせたかったんだもーん……ていうか、綺麗な部屋よね。見直したわ。やけにパソコンがごついけど」
パソコンに触れられると一瞬ヒヤリとする。変に弄くったりはしていないようだが、アレがバレたら婚約破棄どころでは済まないかもしれない。
「……あ、そうだ」
「お?」
何かを思い出したらしい橘は、いつも付けている三日月型のペンダントを外すと、それを目の前に突きだした。
「……何?」
「これ、あんたにあげる」
「あげるって……大事なものなんだろ?いつも付けてるし」
「いや、その……えぇと……」
「?」
もごもごと、何か言い辛そうな様子だ。
「……決めてたから」
「決めてた?」
「……私に、大切な人が出来たら、これをあげる、って」
「……」
「渡すのが今になっちゃったのは、その……ちょっと、色々タイミング逃してたって言うか、何か、改まると、恥ずかしくってさ?言い出しづらくて……わ?!」
「あーもうかわいいなお前は!」
「きもっ?!きーもーいー!」
「ならもっと強く拒否してみやがれ」
「ぬぬ……そう出来ないの知ってて言ってる癖に」
「分かってるじゃないか」
目一杯抱きしめてから、少し離れて、手渡されたペンダントを付ける。
「……似合うか?」
「案外様になってるわよ」
「……うん、よし。次から試合に持っていくわ」
「当然。私だと思って大切にしなさいよね」
満面の笑みを浮かべた橘の顔が近付く。自然と俺も――
「お兄ちゃん、みずきさん、お風呂沸いた――」
「「……」」
「……ご、ごめんなさいっ?!」
「ま、待て!?朋恵、違うんだ、これは」
「そ、そうそう!埃がね?!埃がね!?」
何はともあれ、当分の間、色々と賑やかな毎日が過ごせそうである。 ――
「……あの精神注入棒とかいうのは持って来てんの?」
「一応ね。どうかした?」
「……」
「……DVD?」
「振り下ろせ」
「は?」
「良いから振り下ろせ」
「壊れちゃうわよ?」
「それでいい」
「……えい」グシャー パリーン
「よし!」
「……一体何ごと?」
「まぁ、アレだ。俺の秘蔵のコレクションさ」
「……えっちぃ奴?」
「うん」
「……」ベシッ ベキッ
「念入りだな」
「当たり前でしょ!?」 男友沢、出産後にハメ撮りを希望する なお流石に許可は出ない模様 あれ、例のアレかと思ったけど、
アレは確か矢部制作のPCに入ってたような…… >>159
ディスクとして持ってたから、みずきに壊させたことで完全にこの世から抹消されたんやで
なお男ゲス沢、ハメ撮りは今後節目ごとにしつこく頼んでいく模様 スッスと聖ちゃん、エロいのはまだ思い浮かばんけど、その前置き的なのが出来たやで
・聖ちゃんが既に鈴○に振られている
・聖ちゃんが日本代表に入った事がある
そんな感じの設定ではいよろしくゥ 実質エースだったみずきを欠いて戦うことになったCSは、連日の乱打戦の末、カイザースにリベンジを果たされてしまっていた。
ベンチで必死に応援するみずきの姿は割と目立っていたようで、なぜ起用しなかったのかという声も各所から聞こえて来ている。
もう彼女と友沢先輩のことを隠し通すのは難しい。日本シリーズ前に、正式に記者会見を開くということで話は進んでいた。となると心配なのは世間の反応である。
これまでのCSの打撃記録をあらかた塗り替える八面六臂の活躍を見せ、特別表彰まで掻っ攫った友沢先輩ではあるが、敗退という事実までは覆せない。
しかも、みずきが投げていたら或いは、という戦評が大半を占めているのだから、二人がバッシングの嵐に晒されるのは避けられないだろう。
そこで、しばらくはゆっくり二人に会えなくなるだろうと考えた私は、今の内にと友沢先輩の家を訪ねていた。
「それにしてもさぁ、聖にはいいひととか居ないの?」
持参したお土産のきんつばをお茶うけにしつつ、他愛の無い世間話に華を咲かせている途中、ふとみずきがそんなことを言い出した。
「いいひと、とは」
「私にとっての亮みたいな」
これ見よがしに横に座る友沢先輩の腕に抱きつくみずき。名前で呼び合うのは二人きりの時だけなの、と惚気ていたのが何だか懐かしい。
抱きつかれた友沢先輩は、やれやれという感じでなすがままにされている。察するに、二人の時はいつもこんな調子なのだろう。相変わらず熱々である。 「いないな。今は欲しいとも思わないし」
「ちょっと前まではスズモトガーダイスケガーってうるさかったのにねぇ」
「いつの話だ……振られたのは大学の時だぞ」
「へー、今でもアドレスは知ってるんだ」
「あっ!?私の携帯!?」
バッグに入れておいたはずの私の携帯は、いつの間にかみずきの手の中に有った。アドレス帳を見ているらしい。親友ながらなんて奴だ。
「みずき……さすがにそれはダメだろ、早く返してやれ」
「いいのよ、どーせ男の子のアドレスなんてチーム関係者くらいしか……あら?」
「お?」
気になる名前でも有ったのか、みずきの動きが止まった。嗜めていた友沢先輩まで一緒に画面を見ている。
「おい、さすがに怒るぞ二人とも」
「ちょ、ちょっと聖!これどういうこと?!」
「は?」 他人から自分の携帯の画面を突き付けられるとは、何だか珍しい状況である。肝心の画面に表示されていたのは――
「……あぁ、なんだ、進さんか」
「す、進さん?!名前呼び!レベル高っ!」
「何の話だ全く……いい加減返せ、ほら」
携帯電話を取り戻した私は、バッグの一番下にそれを突っ込む。今度から気をつけなくては。と、妙な注目を浴びている事に気付く。
「……?どうしたのだ、二人とも」
「……六道、進さんと知り合いなのか?」
「そうだが?」
「詳しく聞かせなさいよ!初耳よ初耳!」
「詳しくと言われても、一体何を話せと」
「考えてみれば、前の日本代表の時に一緒だったから、面識は有るわけだよな……?」
友沢先輩が呟く。全くもってその通りなのだが、みずきがカットイン。
「でも聖が携帯持ち始めたのプロ入ってからでしょ?代表って私が選ばれなかった時の奴よね?あの時聖は大学生だったから、携帯は持って無いはずよ」
「普通にその後も会っているだけだぞ」
「だ・か・ら!それを詳しく教えなさいって言ってるの!馴れ初めも含めて!」
「馴れ初めって……付き合っているわけじゃないのだが」
「いいから教えなさい!きーにーなーるー!」
「駄々っ子かお前は……」
「妊婦にストレス与えるとお腹の子供に悪影響がうんぬんかんぬん」
「よし!話してくれ六道!」
「変わり身が早過ぎるぞ先輩……」
とはいえ、こういう時のみずきがどうにもならないことは私も身に染みて理解しているから、しぶしぶ事のいきさつを話し始めるのだった。 ――
大学最後の年は、今ではあまり思い出したくないようなどん底の時期だった。因みに、大輔に振られたのもちょうどこの頃である。
女性選手でもプロで戦える事は、あおいさんやみずきが証明してくれた。だから自分も、きっちり実績を挙げれば、すんなりプロ入り出来るものと考えていたのに。
客観的に見て、リーグ歴代でも十分傑出した成績を残した私に突き付けられたのは、結局は女性であるという変えようの無い事実と、各球団の色の悪い反応であった。
よりにもよってそのタイミングで、日本代表選抜に選ばれてしまったとあって、当時は自分の運命を呪ったものである。あの時ほど野球をやっていて辛い時は無かった。
空虚な気持に更に追い打ちを掛けたのは、招聘された代表メンバーの、私に対するやんわりとした差別だ。勿論例外もあったが、ほんの極一部だった。
例えば、私がミスをしても、野次などは飛ばされない。女だからと見逃されて、特に指摘もされずにそのままにされてしまう。
そして、私が誰かのミスを指摘したとしても、表面上は了承されるのだが、女の言う事だから、とでも言うように真には受けて貰えない。
現役プロ選手も多く参加し、野球に対する意識も高い筈のこのチームでさえこれなのだ。プロの世界に入ればどうなるか、想像出来ないほど馬鹿ではなかった。
あぁ、何で私は、こんなに惨めな思いをしてまでグラウンドに立ち続けているのだろうか。いっそここから逃げてしまえば、随分と楽になるのではないか。
全体練習の後、私は独りでベンチに座って塞ぎ込んでいた。性差というどうしようもない壁が、幾度も味わって来た諦めと絶望が、また私の心を支配し始めていた。
遅れてチームに合流した進さんと出会ったのは、そんな時だった。
『こんにちわ!』
『……もう夜ですよ』
『あぁ、すいません。さっきこっちについたばかりで時差ボケが……えぇと、こんばんわ、初めまして。猪狩進です』
『知っていますよ。ご丁寧にどうも。私は……』
『六道聖さん、ですよね?』
『……よく御存知ですね』
『注目している選手は事前にチェックをするものです』
『私なんかを注目しても、何にもならないと思いますが』
『お節介ですけれど、過小評価はダメですよ。僕らはキャッチャーなんだから、選手の評価は冷静に客観的に行うべきです。それが自分だとしても、ね』
『……それには、確かに同意します』
『もしかして、何かお悩み事でも?』
『は?』
『随分元気が無いな、と思いまして。結構はっきり物を言う……男勝りなタイプの方だと聞いていたので』
『男勝り……ふっ』 『?』
『その言葉、結局私が女だと強調するような言葉ですね』
『……怒っちゃいましたか?』
『いえ……単に自分が女であることが恨めしくて。初対面の貴方に八つ当たりするような形になったのは謝ります』
『君が女性であることの何がいけないんですか?』
『それは』
『グラウンドでは男も女も関係無いはずです』
『……言うのは簡単ですね』
『でも君は、それを実践して来たからこそ、何よりそれだけ野球が好きだからこそ、ここにいるんじゃありませんか?』
『!』
『因みに、僕が君に注目しているのは、単純に技術がずば抜けているからですよ。綺麗だなー、とかいう極々個人的な感想もありますけれど』
『なっ……!か、からかっているのですか、貴方は』
『……ふふ、ようやく顔を上げてくれましたね。うん、思った通りの子だ』
『ぬぬ……』
『あ、そうだ、よければキャッチボールでもしませんか?他の人、もう帰っちゃってますし。動けば少しは気も晴れますよ』
『慎んでお断』
『あ、やっぱりこれ、先輩命令ということで。プロの世界は上下関係結構厳しいですからね。当然拒否権は無し』
『なー!?』
『あはは!じゃ、早速行きましょうか!』
そう言って、手を差し伸べてくれた進さんは、やっぱり笑っていて。不承不承ながらもその手を取った私は、それが何だかひどく眩しく見えたのを覚えている。
考えてみれば、タチバナの時が例外的だっただけで、中学や大学の野球部に入部した時だって、女である私に対する差別はあった。
この時は、自分の将来のことや、大輔のことが重なって、必要以上にネガティブになり過ぎていただけだったのだ。
やさぐれて不貞腐れていた私に、色々と世話を焼いて立ち直らせてくれたのが、進さんだったというわけである。 ――
「――それからずっとお世話になっているよ。実績のまるで無い頃から自主トレに誘って貰ったり、食事に誘って貰ったり……」
「いいひといるじゃん!」
「は?」
「自主トレはともかく、お食事は完全にデートじゃないの」
「でーと?何を馬鹿な。するのは野球の話ばっかりだぞ?」
「共通の趣味の話で盛り上がってるって言うんじゃないかそれ」
「……家柄が違い過ぎる。妹分くらいには思ってくれているかもしれないが、どう考えてもそれ以上とは」
「愛に家とか身分なんて関係無いわよ」
それを体現している二人が目の前に居ると、確かにそんな気もして来る。
「……あー、進さんが自主トレにカイザースの連中を誘わなくなったのは、なるほどそういう……」
「むむ……有り得ない。あの人が、私を、そんな……」
「あー?!写メまである!いや、これはもう完全に黒!真っ黒!!」
「そ、それは去年、携帯の使い方がよく分からなかった私に、進さんが教えてくれて……ていうかまた勝手に!?」
「六道は、進さんのことどう思ってるんだ?」
「ど、どうと言われても……」 今までは兄のような人としか思っていなかったのが、みずき達があれこれと煽り立てるせいで、よく分からなくなって来た。
そもそもあの人は、私達の世代の、特にキャッチャーにとっては、神様のような存在であって、そういう対象として見るのが畏れ多かったというのもあるが。
「せ、性格は、好ましいと思う。優しいし、気さくだし……」
「まぁあの人より良い人間なんてそういないだろうなぁ。俺も新人の頃随分世話してもらったし」
「正統派イケメンを地で行く端正な顔立ちに、爽やかな笑顔……聖の好みどストライクっぽいわね」
「こ、好みとか、そういうわけでは……」
「違うの?」
「……あぅ」
正直ど真ん中である。どうしよう。考えれば考えるほど、体が熱っぽくなって、頭に血が上って、胸が締め付けられるような感覚を覚える。
しかも、一緒に出掛けた時の、着物が似合っているだの、綺麗ですねだの、そういう社交辞令的な沢山の言葉が頭の中で反響し始めた。
いつも優しくて、朗らかに笑ってくれる進さんの顔が、二重になって、三重になって……
「……きゅぅ……」
「あ、オーバーヒート」
「……取りあえず、氷持ってくるわ」 おわりやで 自分なりに違和感無い設定考えるとこの辺りで限界
六道捕手、携帯を盗み見られる痛恨のミス
その内全日本編でスッスと聖ちゃんの友情タッグとか実現しないかな
似たタイプの能力だし、他人に依存気味だった?という共通点もあるんだからいくらでも話は考えられそうなもんだけど 乙やでー。
そういや神童さんの嫁さんはみずきの姉だっけ?
またすごい人間関係になるなぁ。 分かりづらくなってしまったが、この設定の中のスッスはアメリカでバリバリ活躍してる感じで、主に冬場を利用して聖ちゃんと交流していた模様
そういえばパワポケだとアンヌと仲良かったりするんだっけか よく知らんが
>>173
「神童さんと添い遂げられないならせめてみずきちゃんに取り入って家族になろう」みたいな畜生ホモ路線のスッスを一瞬考えたけどやっぱりやめました スッスにはホモの印象が強くて女キャラとの絡みがピンとこない(錯乱) 前某所で見た、スッスと聖がデートしてるSS思いだした
すごくいいと思う
もうしばらくしたら鬼畜スマイルのスッスに聖が頂かれる訳ですね
友情あるとすれば間違いなく守備のダブル友情だろうなー W友情タッグ練習後、一定確率で選択肢イベントが発生
進 を選ぶと広角打法
聖 を選ぶとバント○
一緒に を選ぶとアベレージヒッター
更にその後の展開次第ではキャッチャー○、キャッチャー◎、ささやき戦術などの取得チャンス到来
こんな感じだとイベント的に楽しいし育成的にもおいしい
なおぐう聖有能捕手猪狩進とぐう畜骨折量産機スッスは別人な模様 い、今なら(ミート*2)%ってかなりおいしい確率やし……。 スッス「今の能力査定なら(ミート/2)%くらいでちょうどイイね(ニッコリ)」 良心的になったと思ったが
広角打法自体のレア度かなり落ちたから妥当か パワプロ2013、どうも今までとは違うみたいだ。もう別のゲームみたくなりかけている。
しかしポリゴンはないよなー、あのポリゴンは おっと、そういえば今日はマイライフのきずなの誕生日だった。
過去ログ覗いてみたが、ポタ4発売当時の人気が半端なかったな。
歴代でも早矢に匹敵するくらいの人気を得たんじゃなかろか。
プレゼントに自分のサイン色紙渡して
「プレゼントは…貰う人の気持ちを考えて選んだほうがいいぞ」
とか睨まれたのもいい思い出。
巨大ぬいぐるみ渡されて最高に喜んでくれるのがまた。毎晩抱いて寝てるのかと思うと おお、そうだった。お誕生日おめ
ポタ4発売までずっと伏せられていたからな、きずなの存在は。
イベントは完全新規で気合の入れようが違っていた。
出会うまでが一苦労で、一日署長で恋に落ちるところも含めて。
そんで結婚したら「主様…」とかもうね。極めつけは安産型ときてる。
こりゃ人気出るのも頷けますわ 御影さんはポタ3で消化不良というか、そこで終わるかってイベントだったからなぁ。
だからもうますますねぇ。 野球留学中の兄を助けるために自身も留学して勉学に励んだけど、
大学を出る前に兄様に死なれてしまって、帰国して警官になった場合の命がきずな、みたいに解釈してる。平行世界の同一人物みたいな。
ポタ3のサクセス彼女をマイライフに連れて行く、それが果たせなかったその代償というか再利用というか。
さておきポタ3のPotacaには
御影命(みかげ みこと) パワフル第三高校/生徒
▼クーデレ風釣り目の妹系、女性軍人風
「自分を知り、敵を知らば百戦危うからず…以上」
ちなみに命ちゃんは隣のクラスに来た美少女転校生「サクセスメモ」より
公式で『クーデレ』といってるんだよな。なんかマヴラブの某キャラみたいだったし ポタ3、それ以前の『13』で彼女をマイライフへ連れていけたら…
と考えることは良くある。 まりんと早矢復帰しないかなぁ
もう最近は再登板枠無いんだっけ もういっそのこと歴代嫁総出演とかやってくれたらなー。11から数えて50人近くいるけどさ
今までのさゆりさん&智恵ちゃんみたいな先輩後輩アナだけといわずに、
まりん亜美姉妹の共演はもちろん、ルナと真尋さんの女医コンビとか、スッチーの集まりとか、
横の繋がりも見てみたい ヘタしたら某遊撃手みたいに、アイドルみんな食ったりできちゃうぞ……。 マイライフにも太閤Vみたいなイベコンがあったら良いのにね。
ユーザーの方で勝手にスクリプトを書いて、
自由にイベントを挿入できて、数値もグラフィックも弄れて、
好きなキャラ、好きな彼女候補も登場させ放題で。
しかもそれらをデータにしてユーザーの間でやり取りできてさ。
それがマイライフの究極だと思う。
まあそんな贅沢は言わないにしても、せめて彼女引継システムの復活、
20年縛りの廃止、二世プロ入りとかは見てみたいけどね 山本昌みたいに成長させ続けろ、とは言わないが、せめて30年はやりたいよな。
そったら親子対決とかできて燃えるのに。 適当なタイミングで二世選手に鞍替えしてそれを何回も続けて100年間位遊んでみたいなと思ったことは有ったなぁ
そういえばパワスタで野球マスク日本代表入り(SR化)してた
ところでマスクってなんか変態っぽいよね
本場アメリカで鍛えたスローセックス術で聖ちゃんをあへあへ辛抱たまらん状態に導いて自分好みに改造していくマスク着用鬼畜スマイル進みたいな話誰か書いてくれませんかねぇ もともとスッスは鬼畜イケメンってイメージが(個人的に)あるし、
聖ちゃんは見た目が好きだから、書いたっていいんだけどさ。
最近パワプロは第一世代とパワポタしかやってないもんで、
聖ちゃんのキャラけっこう忘れかけてるわ。
なんかいい参考資料無い? 聖に目隠し(提案)
835氏に触発されて、友みずの妄想が止まらない >>193
マイライフにイベコンなんか出来た日には
真っ先に絵久のグラとイベント作ってゴールインするわ
まあ実現はしそうにないから、ここがあるんだよな >>196
六道聖 イベント集で検索するといいかもしれない
もうスッスが聖ちゃん育成日記でも書けばいいんじゃないでしょうかねぇ 2012のパワスタスレだと初期R+はそんなに強くなくて地味で
後期R+とSRは強かったけどクレバーは東條がいればいいよだったからやっぱり地味で
名前が出るときは必ずホモネタとセットだったな・・・
挙句投手8枠が神童、野手8枠が進&神童なんてオーダーのスクショ貼られてたり あんないい子を役立たずのホモネタ要員扱いなんて許せない(棒読み >>205
スッスブチギレアフロは黙ってろよ
でもスッスは力不足を補うためにも雅ちゃんに意外性教えてもらったらいいと思います >>835氏のせいで、はるかが盗撮女っていうイメージがついてしまった。
どうにかしてもらいたい。
前回の9主×あおいのSSを読んでくださった方、
感想を寄せてくださった方、ありがとうございます。
この場にて御礼申し上げます。
また一本投下します。
9主とあおいが出てきますが、前回とはまったく関係のないお話です。
※あらすじ
プロ野球選手あおいちゃんは、はるか自作のえっちな映像を見ることになってしまった。
※注意
9主×はるか
あおいちゃんの恋人は居ることになってるけど登場しないので各自で補完推奨。
話の都合上、9主の名前を設定してるけど、赤田勲+豊原浩司ってだけで決めたので、
これも不都合があれば各自で脳内置換推奨。 【That's tha way she likes it】
●1
ボクは今、自宅マンションの一室で、自分のノートパソコンを開いている。モニタには、フォルダがひとつ。
外付けのマウスでそれをダブルクリックすると、フォルダの中が開かれて、
ナンバリングされた四本の動画ファイルと、テキストファイルがひとつ見える。
テキストのファイル名は『あおいへ』と銘打たれている。
ボクはそのアイコンに、ポインタを合わせては外し、合わせては外し、というのを、十分以上繰り返していた。
――何さ、この有り様。思春期の女子高生みたいじゃあるまいし。
このファイルたちは、ボクの親友・七瀬はるかが、ボクに手渡ししてきたディスクに保存されていたものだ。
ボクは、まだ中身を見ていないが、その内容は、はるかから聞かされている。
このファイルたちには、ボクの親友と、かつての野球部の戦友の、情事が記録されているらしい。
――そりゃ、ボクも、要らないとは言わなかったけど。まさかこうなるとは。
事の発端は、ボクがはるかにした相談だった。
シーズンが終わって時間が取れるようになったボクは、休日にはるかと会っていた。
職業の都合上、ボクは全国を飛び回るので、はるかと直接話をする機会も少なくなってしまって、
久しぶりに親友と水入らずになれたボクは、いろいろなことを話し、いろいろなことを聞いた。
その中で、ボクの恋人が話題に出てきた。
マスコミに漏れたら大事になるので、彼との関係について、ボクは殆ど誰にも話していなかった。
が、はるかには、以前に電話で少しだけ彼について話したことがあった。
『その方と、最近うまく行ってる?』なんてはるかは言ってきて、ボクは咄嗟に口籠った。
そうなるとさぁ大変。はるかはすごく心配そうな顔で、ボクのことをじっと見つめてくる。
無理に聞いてこないのが、はるからしいけれど、下手に根掘り葉掘り聞かれるよりも、
あんなはるかの視線を浴びる方が、よっぽど内心にチクチクと刺さる。
ボクは、はるかの目に押し負けて、彼についての悩みを打ち明けた。
単刀直入に言うと、ボクは彼とどうやってセックスしたらいいのか分からない、というのが問題だった。
ボクは、初めて交際した異性が彼だったから、性的な経験は無いし、知識も保健体育止まりだった。
彼はボクに輪をかけた野球狂なので、彼にリードしてもらうのも、あんまり期待できない。
かと言って、本やビデオで知識を得ようにも、マスコミの目を気にしないといけない身分なので、
そうそう自分で買いに行くわけにも行かないし、職場に相談できる人もいなかった。
口走ってから、ああ言っちゃったなぁ、と後悔を覚えながら、ボクははるかを見つめ返した。
はるかは難しげな表情で考え込んでいた。
ちなみに、はるかには、ご両親公認の交際相手がいる。
その人とは高校時代からの付き合いで、赤田くんと言って、ボクもよく知っている男の人だ。 ●2
『あおいは、そういうことのやり方、知りたいの』と、はるかは小声で聞いてきた。
ボクたちは、ボクの自宅マンションに二人きりだったから、誰が盗み聞きしているわけでもないのに、
無性に周囲が憚られた。はるかは顔をうっすらと赤くしていた。
知りたくない、と言ったら、嘘になる。ボクだって、彼との関係は真剣に考えている。
加えて、ボクたちの仕事が身体が資本。できるだけ、セックスについて確かな知識を得ておきたい。
勿論、恥ずかしいという気持ちはあるけれど。
――はるかは、そういう経験があるの。
とボクが聞いてみると、はるかはコクリと頷いた。
可愛い。女のボクから見ても、まず感嘆が、後から少しの羨望が沸き上がってくる。
楚々とした風采と立ち居振る舞いは、中学時代から男子の人気の的だった。
さらにここ数年は、大人の女性の色気が入り混じってきた。ボクとは大違いだ。
『あの――赤田さん、しか、知らないけど』と、はるかは小声で答えた。
そりゃあ、そうだとは思っていたけれど、さ。
ただでさえ、知人の情事について知るのは、独特のきまり悪さがあるのに、
それが知人同士となれば、ボクのきまり悪さは二倍になった。
『あおいは、そういうことのやり方、知りたいの』と、はるかは再び小声で聞いてきた。
はるかに性生活について尋ねる、ということは、赤田くんのそれをも知ることになる。
しかも、赤田くんには当然内緒で。さすがに、羞恥心に混じって罪悪感が芽生えた。
赤田くんの話になると、ボクたちはどうも、おぼこい思春期の頃の心持ちに戻ってしまうみたいだ。
『私は、知っておいた方が、うまくいくと思うよ』と、はるかは続けた。
どうやらはるかは、七瀬家の教育方針があって、初体験の時点である程度の知識を持っていたらしい。
ボクの七瀬家に対するイメージが、半分くらい塗り替えられた。
ボクは、赤田くんには内緒にして欲しい、とはるかに頼んだ。
さすがに赤田くんには、ボクがセックスの知識を必要としている、とは知られたくなかった。
はるかは逡巡していた。隠し事を作る、ということに気が咎めているようだ。
ボクは、じゃあ赤田くん以外には内緒で、赤田くんについては、はるかに任せる、と言い直した。
ボクは焦燥感にかられていた。はるかは『少し考えさせて』と返した。その日、その話題はそれきりだった。
後日、はるかと少しだけ会える時間が取れたので、はるかと一緒にお茶を飲んでいると、
はるかは徐に一枚のディスクをボクに渡してきた。『誰も居ないところで、イヤホンつけて見て』と囁きながら。
これは、とボクが聞くと、はるかは『私と、あの人の……』とだけ返した。ボクは大方の内容を察した。
そのディスクを、今日ボクは自分のノートパソコンのドライブに入れた。
ボクは固唾を呑んでモニタを見守っていたが、フォルダがひとつ開いただけだった。
どうやら、データをそのままディスクにコピーしているらしい。
てっきり自動再生が始まると思っていたボクは、出鼻をくじかれて、一度固めたと思った覚悟が揺らいできた。
そうしてモニタを見回すと、フォルダの最後に、『あおいへ』と題されたテキストファイルがあることに気づいた。
アイコンをクリックすると、色が変わる。選択された状態になる。
煮え切らないボクは、ダブルクリックができない。マウスのクリック音が、やけにか細かった。
スクリーンセーバーが立ち上がる。マウスに触れて、またモニタにフォルダが映る。
そこからボクは逡巡する。またスクリーンセーバーが立ち上がる。ボクは何をやってるんだろう。
そんな膠着状態は、ボクの携帯の着信音で破られた。
彼専用に設定しておいた着信音だった。ボクはピッチャー返しよりも早く反応した。 ●3
彼との電話が終わると、時間は予想以上に過ぎていた。
元々、一日の予定が片付いてから、はるかのディスクを確認しようとしていたため、
ノートパソコン前でうだうだしていた時点で、けっこういい時間になっていた。
もうそろそろ、寝ておかないといけない時間帯だ。
彼からの電話がなかったら、たぶんボクはこのままノートパソコンを閉じてベッドに入っていたと思う。
それで、ディスクの内容が気になって、寝付けない夜を過ごしてはずだ。
けれど、ボクは時計を無視して、ファイルたちを見る腹を決めた。
いくら親友のモノとはいえ、セックスの映像を見るだけでこんな調子では、本番が思いやられるから。
意を決したボクは、まずテキストファイルを読むことにした。
『あおいへ。
考えた結果、赤田さんには内緒で、この映像を渡します。
できる限り編集で短くしましたが、かなり長丁場になってしまいました。
時間に余裕のある時に見て下さい』
冒頭には、こう書かれていたが、ボクは今更止めるつもりはなかった。
編集、ということは、はるかは自分のそういう場面を見ながら、動画を切り貼りしていたんだろうか。
ボクもピッチングフォームのチェックで、似た作業をした経験があるけれど、
はるかは一体どんな気持ちでその作業をしていたのか、ボクには想像が及ばなかった。
『最初のファイルは、全部する前の雰囲気作りだから、
あおいが分かっているなら飛ばしてもいいと思う。ただ、肌を合わせる前から、時間をかけて、
お互いの気持ちを盛り上げていくことは、すごく大事だから、忘れないで』
はるかのメッセージで少し拍子抜けしたボクは、一番若いナンバーが振られたファイルをウインドウで開いた。
映像は、リビングルームで始まった。二人が同居してるマンションの一室だと見当をつけた。
赤田くんが、着崩したシャツにスラックスで、ソファに座っている。
手には小さなメモ帳とペンを持っていた。何かメモをとっているらしい。
視点が人間の背丈にしては高く、カメラがずっと動かないので、
おそらく部屋の高い位置に隠しカメラを据え付けて撮影したんだろう。
程なく画面外から、白いエプロンをつけたはるかが現れる。
はるかの栗色の長髪は、高校時代と違って、リボンでうなじあたりにまとめられている。
そうして耳が出ただけで、はるかがぐっと大人っぽく見えた。
――浩司さん、か。ボクの前では『赤田さん』呼びだったのに。すっかり若奥様だね。
はるかが赤田くんに呼びかけた。浩司さん、というのは、赤田くんの下の名前だ。
ボクの知る限りでは、はるかが赤田くんを下の名前で呼んだ覚えはない。
もしかしたら、高校時代に付き合い始めた時から、二人きりの時はそう呼んでいたのかも。
はるかが来て、赤田くんはノートと筆記用具を机にしまった。
使い古し具合や、バッグに入れたのを見ると、野球の研究ノートかも。
はるかが白いエプロンを外す。クリーム色に、ベージュのアクセント模様がついたセーターが、暖かそうだ。
二人は並んでソファに座って、何事か話している。声が小さくなったので、内容は聞き取れない。 ●4
『初めての時は、無理しなくていいけれど、予め“してもいい”と“これからする”の符牒を決めておきましょう。
口に出すと、せっかく作った雰囲気が壊れてしまうことがあるし、言葉に出さずに察するのは、難しいから』
――いわゆるイエス・ノー枕みたいなもの、ね。
『普通はイエス・ノーしか分けないけど、私が“してもいい”と“これからする”を分けてるのは、
そのタイムラグで準備をして、気分を高めていくため。ちなみに“してもいい”は白いエプロン、よ』
――え、あれが、既に、おーけーの合図、だって。
ボクは動揺のあまり、メッセージを読み進める目が止まった。
動画再生ソフトの中の二人は、素知らぬ顔。いつの間にか、黒い酒瓶とグラスをテーブルに出している。
親しげではあるけれど、肩をくっつけたりしていないから、まだイヤらしい感じはしない。
――もう、この時点で、二人共、する、つもりなんだ。
そう思うと、ワイングラスでちびちびとやっている二人の姿が、焦れったく見えてくる。
画質がそこまで高くないから、二人の細かい表情までは判別できない。
でも、首をかしげて穏やかに笑っているであろう、はるかの目。グラスの脚に絡む指。
時折ジェスチャーの交える赤田くんの手。何もかもが、二人だけのサインに見えてくる。
『次の“これからする”は、私の髪を、あの人が解く時よ』
気づけば、ボクは動画ソフトのショートカットキーで、十秒ずつ動画のコマを送っていた。
ショートカットキーをぱちぱちと、人差し指で規則的に叩いていた。
退屈なパラパラ漫画のように、二人がソファの上で、カクカクとぎこちなく動いた。
――あは、はは。何だろう、一番焦れてるのは、ボクじゃないか。
いつ、赤田くんが、はるかの髪に手を伸ばすのだろうと、ボクは動画を見ながら、コマ送りを続けた。
程なくして、赤田くんが徐に、はるかの栗色の髪に手を触れた。
ボクはキーボードからマウスに手を伸ばして、ソフトの再生ボタンをクリックした。
滑らかな動きに戻った二人。はるかの髪をまとめるリボンに、赤田くんが指を触れようとする。
はるかはくすぐったそうな顔をして、首をくねらせ、細い肩を上下させる。
その拍子に、セーターの首元から、はるかの鎖骨が出ては隠れ、浮いては沈みするのが見える。
赤田くんは、それを面白がったのか、すぐにリボンを解かずに、はるかの首筋に触れたり、肩に手を回したりした。
かすかな笑い声が、ボクの耳に填まったイヤホンから聞こえてくる。
やがて赤田くんは、はるかの肩をがっちりと抱き寄せて、はるかの髪を手櫛で梳き始めた。
体勢が変わって、はるかの表情は少し見えづらくなった。それでもボクは、はるかに釘付けだった。
『あおいって、髪の毛が敏感でしょう。それに、いつもおさげだから、髪を解いたら、かなり印象が変わると思うわ。
だから、ある意味私よりも、髪の毛を合図に使うのは、向いているかもしれない』
――冗談じゃないよ。ボクがあんなことされ続けたら、本当に悶絶しちゃう。
はるかは、赤田くんの胸に顔を寄せた。ボクからは、はるかの顔が殆ど見えなくなった。
赤田くんが、はるかのリボンの一端を引っ張ると、結び目はするりと解けて、
はるかの髪が、扇のように広がった。その動作は、それが孕む意味とは裏腹に、とてもさり気ないものだった。 ●5
最初の動画ファイルが終わると、ボクは溜息をついた。
頬が、熱い。手で触って確かめなくても分かる。
心臓の跳ねる音が、イヤホンのせいでいやに大きく聞こえる。
真っ暗になった再生ソフトの画面には、ボクの顔の目から上が、黒と灰色で映っている。
寝る前に解いておいたボクの髪が、さっきぱらりと広がった、はるかの髪の毛に、一瞬だけ重なる。
そう思った瞬間、背筋の辺りから、ぞくぞくとした身震いが広がっていった。
イヤホンを外そうとする。手が逸れて、指先が耳殻に当たる。
自分の指なのに、思わず上半身が引き攣ってしまう。
真夜中目前のボクは、ただ赤田くんとはるかがイチャついてる映像を、
飛ばし飛ばしで見ていただけなのに、おかしな気分になっている。
――彼だったら、ボクの髪を、どう触ってくるかな。
正直、高校時代のボクは、赤田くんのことが好きだった。
でも、あれから数年。今の赤田くんについては、ボクはよく知らない。
――彼は、この赤田くんとは違って、こんな慣れた手つきじゃないだろうね。
今のボクの恋人を、ふとした瞬間に、あの頃の赤田くんと重ねてしまうことがある。
はるかには黙っていたけど、今の赤田くんを知ることによって、
高校時代の赤田くんに囚われた自分の心を吹っ切りたい、という気持ちが、ボクにはあった。
今のはるかと赤田くんとの映像をせがんだ動機に、そういう打算が、無かったとはいえない。
はるかの変わり様だって、相当なものだ。
中学時代までは、はるかに寄り付く悪い虫は、ボクが片っ端から追い払っていた。
だから、男の人とあんなに近づいて、あまつさえ身を預けるなんて経験は無かったはず。
高校時代、はるかと赤田くんが付き合い始めた、と知らされた時から、
二人はそういう触れ合いをしてるのかな、という想像をしたことはある。
もっとも、ボク自身にそういう経験が無かったから、その想像はひどく朧気だったけれど。
――はるか、この時点で撮られてるって、知ってたんだよね。自分で、仕掛けたんだから、ね。
はるかが赤田くんに向けていた視線は、カメラへの意識をまったく感じさせないものだった。
恋する乙女なんて、可愛らしい瞳じゃなかった。もっと深く、目線がかち合ったら、吸い込まれそうな瞳だった。
首をかしげる角度。くちづけたグラスをテーブルに戻す手の動き。呼吸で上下する肩口。
はるかの一挙手一投足が、なまめかしく見えてくる。女のボクが、どきりとしてしまうほど。
――いいの、この姿、ボクに見せちゃって。ボクに、こんな姿、見せたこと、無かったよね。
赤田くんと違って、はるかは、この姿をボクに見られることを知っている。
ボクは、はるかと一緒にお風呂に入ったり、布団を並べて眠ったことがあるから、
家族と赤田くんの次くらいには、はるかのことを知っていると思っていたけれど。
いや、赤田くんに対しても、ボクの方が付き合い長いんだから、女同士なんだから、
ボクの方がはるかについて分かってる、なんて心密かに思っていたけれど。
――そんな、恋人だけに見せる顔、ボクに見せちゃって、いいの。ねぇ、はるか。
ボクは、おそるおそる二番目の動画ファイルにポインタを合わせた。
ここから先には、はるかの、もっとすごい姿が、収められている。
また大きくなっていく心拍音を感じながら、ボクは震える指でファイルをダブルクリックした。 ●6
今度の映像は、リビングとは別の部屋から始まっていた。
視点がまったく動かないから、また固定カメラなんだろうと思う。
――これが、はるかと小波君の寝てるベッド、か。
動画再生ソフトには、部屋の壁と、無地薄橙色のシーツがかかったダブルベッドだけが映っている。
光の加減は、毛布の柄がかろうじて見えるかな、程度の明るさ。
カメラの高さは、ベッドよりもやや上。アングルは、水平から二〜三十度ぐらい下。
枕の向きを考えると、ベッドに寝る人間を、真西から捉える配置になっている。
たぶん、あの壁の対面側に置いてある家具か何かに、はるかはこのカメラを仕込んだのだろう。
そんなことを考えている内に、人影がひとり、カメラの視界に入ってきた。
――ちょ、ちょっとはるかったらっ、白襦袢なんか着てるよ。
予想外の格好での登場に、ボクは面食らった。
襦袢なんて、今どき和服を着る時ぐらいしか見ないよ。
『パジャマで勝負できる服があるなら、構わないけれど、もし自信がないなら、襦袢はけっこうおすすめ。
まず、ネグリジェとか、凝った下着よりは気楽に着られて、洗い易いのがいいの。
それに着崩れても、ジャージやスウェットほど、だらしない印象にはならないのもいいわ』
――ま、まぁ浴衣みたいな感じ、と思えば、使えるかなとは思うけど。
――もしかして、赤田くんの好みなのかな。確かに、清楚なはるかには、白襦袢がよく似合ってる。
真っ白な襦袢の襟をしっかりと合わせて、はるかはベッドに腰掛けた。
薄暗い部屋、暖色のベッドに、はるかのシルエットが白く浮かび上がっている。
そうなると、さっきはあんなに蠱惑的だった顔つきも、なんだか神妙な気がしてくる。
栗色の髪のしっとり具合も合わさって、まるで斎戒沐浴でもしてきたみたいな風情だった。
はるかが腰掛けているベッドの部分は、カメラ越しにもそれと分かるぐらい沈んでいる。
はるかの体型を考えると、ベッドはかなりふかふかした品物みたいだ。
果たして赤田くんはどんな格好をしてくるのか、と思っていると、はるかが不意に目線を上げた。
赤田くんが部屋に入ってきたようだ。画面に現れた赤田くんは、
はるかに合わせたのか、藍色の襦袢――色のせいで浴衣に見える――を羽織っていた。
二人はベッドに並んで横たわった。ベッド真横からのカメラ視点だと、はるかが手前で、赤田くんが奥。
ちょうど頭から足の先までが収まっている。はるかが、予め計算してカメラを仕掛けたのだろう。
少しはるかが足側の方に身体をずらした。赤田くんの右手を、はるかは両手で握っていた。
はるかは、赤田くんの右手を、恭しく捧げ持つように構え、その中指にくちづけていた。
『普通はキスから始めると思う。指を舐めるのは、一般的な愛撫ではないわ。私が好きだから、しているの。
赤田さんが、普段、野球ボールを握っているこの右手は、すごく特別な感じがするから』
――その理屈だと、ボクの右手も……彼は、触れたいとか、思ったりするのかな。
はるかの手は白く細い。ボクよりもずっと料理が上手いのが、手だけでは俄に信じ難い。
赤田くんの手は、太く節くれだっている。バットやボールを力強く握っている画が、簡単に想像できる。
ボクの手は、当然というべきか、赤田くんの方に近い。
手入れはできる限り欠かしてないけど、肉刺の痕は消え切ってないし、皮膚も厚くなっている。 ●7
――女らしくない手、かな。
マウスから右手を離して、モニタのはるかを真似るように、ボクは自分の右手を口元に寄せた。
舌を添えると、塩辛い。短く切った爪を、舌で舐る。はるかの動きに合わせて、指を咥える。
『口唇は、性器よりも敏感な粘膜、という説もあるくらい、特別なところ。
セックスの手順が、決まってキスから始まるのは、そういう合理性があるの』
ボクは、潤んだ瞳で赤田くんを見上げるはるかを、その口中から出入りする赤田くんの指を見ながら、
自分の指を咥えていた。ボクは、はるかを自分に重ねているのか、赤田くんを自分に重ねているのか、
彼を自分に重ねているのか、曖昧なまま、感覚がふらふらとしていた。
慣れぬくちびる使いで、はしたない音を口元から漏らしながら、右手の指を唾液で濡らしていた。
――変、なの。こんなの、子供、みたいで。なのに。
はるかの四肢と背中が、白襦袢の薄衣で、その丸みを晒されつつ、隠されつつ。足先から脹脛までがちらりとのぞく。
ようやく赤田くんの指を解放したはるかは、赤田くんに身体を近づける。さらさらと衣擦れの音がする。
動きだけで通じ合ったのか、赤田くんが、襦袢に包まれたはるかの肩を抱いて、今度は唇同士のキス。
はるかが赤田くんの方に顔を向けているから、表情はよく見えない。
その代わり、ぱらりとカーテンのように広がっているはるかの髪――同じ女でも見惚れる――は、
はるかの背中側であるボクのカメラ越しの視点じゃなければ、堪能できないだろう。
ボクのくちびるは、はるかたちとは違って、指の感触しかなくて、無性に寂しくなった。
少し恍惚が褪せたボクは、動画からテキストエディタにポインタを動かした。
マウスに自分の唾液がべったりとついてしまったが、後で拭えばいいと開き直った。
『キスをする時は、鼻の頭がぶつかり合わないように、首を少し傾げるといいわ。
歯と歯がぶつかってしまったりしてないかしら。これは、両方が同時にくちびるを近づけるから起こるの。
キスを待つ役と、くちびるを近づける役を分担すること。そうすれば起きないわ』
――何だよ、はるか。ボクだって、キスぐらい、したことあるよ。
――確かに、彼と初めてした時は、前歯と前歯がぶつかってしまったけどさ。
はるかと赤田くんは、試行錯誤するように、そろそろと手足をずらしては戻し、立てては倒し、
と動かしながら、くちびる同士のキスを続ける。大人しいのに色気を感じるのは、
動きが柔らかくて、二人の間に慣れが見て取れるからだろう。
『この場合は、私が受け。キスは、受けが顔を下にするの。
カメラの位置関係上、見えにくいと思うけど、これはお互いのくちびるを少し離して、舌を絡ませてるの。
こうすると、口の周りが唾液でべたべたしにくくなるわ。
もし口蓋内で舌を絡ませたいなら、くちびるをしっかりくっつけて、
お互い姿勢は安定させて、唾液が外に漏れないようにしながら、するの』
メッセージの解説が丁寧さが、はるかとボクの経験差を見せ付けられているようで、
ボクは言い知れない疎外感を覚えた。はるかが、大人の階段の数十段上を先行している気がした。
そうしてボクが呆然としていると、二人が顔と顔を離した。はるかは背中を向けているので見えない。
一方、赤田くんは、すっかりでれでれの間抜け面だった。昔から分かりやすいんだから。
『赤田さんのこと、だらしない顔なんて思ったでしょ。だめだよ。他人事だから、そう見えるの』
――ああ、失礼しましたねぇ。はるかったら、ボクの思考を、どこまで見透かしてるんだろ。 ●8
赤田くんのでれでれ顔で、ちょっと小休止な気分だったボクは、次の瞬間仰天した。
何を思ったのか、はるかがこっち――ボクの見ているカメラ側――を振り返って、ベッドから居りて、
カメラに近づいてくる。え、これ何、いきなりどうしたの。
はるかがこちらに近づいてきて、カメラの視界が、少し乱れた白襦袢の布地に覆われた。
かたん、かたんとカメラそのものが僅かに揺れる。ずりずりと、硬い何かを擦る音がする。
『この辺り、手際が悪くてごめんね。ローションを出しておくの、忘れてたの。
男性のペニスはえぐいので、あらかじめ味付きで、誤飲しても問題ないローションを用意しておくといいわ。
ローションは人肌に温めておくこと。湯煎がいいよ。電子レンジは傷むことがあるから、避けたほうが無難。
初心者でも、多少は楽になるはず。滑りも良くなって、愛撫もしやすくなるから、一石二鳥』
――いきなり近づいてきたから何かと思ったら、このガタガタは、ローションを探してる動作なのね。
――って、男性の、ペニス、ペニスだって、え。
ボクがメッセージ中のペニス、という単語に反応しかねていると、
ローションを探し当てたのか、はるかがカメラから離れた。再びカメラに室内の光景が広がる。
ベッドの上に座っている赤田くんが見える。藍色の浴衣をくつろげていて、その合間からあの器官が見えた。
――う、うわ、大きい、これ、本当にはるかの中に入れるのかな……。
赤田くんのソレは、ボクやはるかの手では覆い切れないぐらいの長さ、大きさだった。
臍まで届かんばかりの勢いな男性のソレを、ボクは初めて目にした。
男の人のソレは、みんなあんなのなんだろうか。まずい、ちょっと怖くなってきたよ。
はるかは、シャンプーみたいな容器から、すうっと掌にローションを垂らして、伸ばしていった。。
指の間で糸が引くほど塗れさせたら、くちびるに一塗り。リップの膨らみが、てらてらと光る。
扇情的なはるかの口を、赤田くんのソレが迎え撃つ。棒というにはいびつな形で、ゴツゴツとした流木を思わせる。
赤田くんのソレの先端に、はるかがくちづける。舌をべろりと晒して、先端の張り出しを舐める。
赤田くんはと言えば、座ったまま、ソレにむしゃぶりついているはるかの頭を撫でている。
はるかは口だけでなく、手でもソレに触れる。蔓のように指をソレに巻きつけたり、ソレの根本の、下の、その、
『野球を見てるとわかると思うけど、睾丸はとてもデリケートだから、無理に愛撫することはないわ』
あの、楚々とした良家のお嬢様のはるかが、こんな、そんな、ねぇ。どう反応しろと。
はるかが、ソレを口に含む。長い長いソレを、ゆっくりと口内に収めていく。
苦しげな表情で、整った顔を歪ませながら、喉まで届きそうな深さまで、飲み込んでいく。
ボクは、思わず自分の喉が突かれたような吐き気を催した。唾液が勝手に口の中に溜まっている。
『男の人のペニスの感覚は、先端と尿道に集中しているらしいので、フェラチオはそこをメインに攻めるべき。
ここまで深く咥える行為は、演出みたいなものだから、真似しなくてもいいよ』
はるかが苦しそうな様子なのを見かねたのか、赤田くんがはるかの頬に手を添えた。制止しようとしてるらしい。
でもはるかは、息苦しさそのままの涙目で、赤田くんを見上げて、頬に添えられた赤田くんの手首を掴んだ。
はるかは顔を上下させる。舌っ足らずな呻きを上げながら、上下の幅が大きく、動きが速くなっていく。
<はるか、止めて。口で出す気分じゃないんだ>
この瞬間、この映像の中で、ボクは初めて赤田くんの発言を判別できた。
はるかは名残惜しげな目で赤田くんを見上げ、動きを緩めた。
『当然、喉の奥まで突かれるから、苦しくて、頭がぼうっとして、反射的な吐き気も出てくるんだけど、
それに逆らって押し込んで、押し返されてするのが、最近の私の好みなんだ』
――そんなことメッセージに書かれても。はるかったら、変態みたいだよ。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています