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 次の朝もお尻を触られ、手始めにスカートの上から撫でられた。そっと手の平でくすぐってくるような、優しげな手つきが痴漢のクセに憎らしい。混雑のせいだと言わんばかりにうずめの背中に抱き着いて、両手て包みこむように胸を揉む。
 本当にささらの言うとおりだ。
 やっぱり、キリがないなんて言っている場合じゃない。
 痴漢は硬い股間を擦り付けて、お尻の割れ目にフィットさせ、腰を揺さぶる。まるで挿入でもしているかのように、堂々とした腰振りで摩擦した。
 ここまでたっぷり触ってくる。
 ならばここは腹を決め、停車と同時に手首を掴んでやろう。
 うずめは覚悟を決めるものの、まだ駅から発車したばかりだ。停車までの間に胸は丹念に揉みこまれ、ついには下へ手を伸ばす。スカートの内側を捲りながら、指で秘所を刺激してきた。
 ひぃっ、嫌だ!
 大事な部分を愛撫され、スジまでなぞってきた。停車までなんて言っていられない。パンツの中に手を突っ込み、貝まで触る。太い指がねっとり這い、膣に押し入ろうとしてきている。
 そうだよ。もうこんなの我慢しちゃいけない。
 よーし、言うぞ。言うぞ……。
 うずめは勇気を振り絞り、そして――

『なんだ。ちゃんとやれば出来るじゃない』
 ささらは関心したように言ってくる。
「ささらの言う通りだったよ。あんまり調子に乗られないうちに、今度は早めに突き出すよ」

     *

 そう決めたのは良かったけど……。
 さわっ、
 と、やっぱり。
 あれだけ派手に手首を掴み上げ、「この人痴漢です!」と声を張り上げた翌日なのに、もう新しい痴漢が現れた。
 なんなの、なんなの!
 一体、あと何人くらい突き出せば済むっていうの?

 うずめの大変な朝は、中々終わりを告げそうになかった。


〜完〜