シュタインズゲートのエロパロ7
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0001名無しさん@ピンキー2013/09/24(火) 20:39:49.66ID:nLHRdko8
・シュタインズゲートの妄想を叩きつける場所です。
・カップリングについては問いません。 ただし、注意書きは忘れずに。
・べ、別にエロが無くたってかまわないんだからねっ

シュタインズゲートのエロパロ5
(p)http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1355179107/
シュタインズゲートのエロパロ 4
(p)http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1347184330/
シュタインズゲートのエロパロ 3
(p)http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1325789848/
シュタインズゲートのエロパロ2
(p)http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1304341945/
シュタインズゲートのエロパロ
(p)http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1257776865/

まとめ
STEINS;GATE 2ch二次創作まとめwiki
(p)http://www1.atwiki.com/reading_steiner/
0333名無しさん@ピンキー2016/09/04(日) 21:10:56.22ID:jaXjKxW/
保守
0335012016/09/04(日) 22:42:47.29ID:N5WYoi5H
肌寒さを感じて目を覚ます。
夏の夜明けだが、まだ、外は暗い。
隣で寝ている岡部に掛け布団を全部とられて、素っ裸のままエアコンの冷風にあたっていた。
バカ岡部、私に風邪をひかせる気か。
エアコンのリモコンを見つけて、いったん切って、冷え切った身体をシャワーで温めることにした。
髪をまとめて、濡れないようにして、床に落ちている岡部のシャツとトランクスと靴下を拾ってシャワー室に持ち込む。
ぬるいお湯でシャワーを浴び始めて、少しずつ温度をあげていく。
十分にシャワー室に湯気がこもって、身体が温まったところで、洗面器にお湯をためて、持ち込んだ岡部の下着にちょっぴり洗剤をつけてジャブジャブ洗うことにする。
私のだけなら、ホテルの人に見られないようにコインランドリーに持っていくのだが、岡部の下着については、外に持っていくと、ラボの屋上に干すときにまゆりや橋田にバレる可能性があって、むしろその方が恥ずかしいので、逆にホテルのシャワー室で乾かす方が安全なのだ。

※ ※ ※

なにか、水音がする。
目を覚ますと、まだ暗い室内にシャワー室の灯りがついていて、紅莉栖の影がすりガラスごしにぼんやり映っていた。
何時だ?
もうすぐ、夜明けか。
俺も、シャワーを浴びてこのまま起きてしまおうか。
水の音がとまったのをみはからって、シャワー室の扉をあけると、こもっていた湯気がふわっとこちらに襲いかかってくる。
薄くなった湯気の向こうに、紅莉栖が、こちらに背中を向けてしゃがみこんでいた。
俺の気配に気づいて一瞬、腕がとまったが、どうやら、俺のシャツとトランクスを洗ってくれているようだ。
急に、激しい激しい愛おしさが、ぐうっと胸にこみ上げてきた。
髪は、なにかふんわりしたもので包まれていて、うなじが色っぽい。
白い、華奢な背中。
引き締まった腰のくびれ。
しゃがみこんでいる姿勢のためか、お尻が大きな白桃のようだ。
紅莉栖の後ろに俺もしゃがみこんで、そそり立つ愛棒で紅莉栖の股ぐらをツンツンつつく。
「やあんっ、こらっ、いきなり何すんのよ、HENTAI!」
「クリスティーナ」
「ティーナじゃない」
「お前が好きだ」
「……」
0336022016/09/04(日) 22:43:52.27ID:N5WYoi5H
「お前のマ@コが好きだと、俺の愛棒も言っている」
「変な言い直しすんな、バカ!」
ツンツンと、愛棒でクリスティーナゲートをノックする。
紅莉栖が、もぞもぞとお尻を振って抵抗する。
ツンツンツンツン。
ふりふりふりふり。
ツンツンツンツンツンツン。
ふりふりふりふりふりふり。
「入れてもいいか? 」
「バカ、洗濯してるんでしょ、誰のためだと思ってんのよ!」
「俺のためだろう? だからこそ、欲情をかきたてられているのではないか」
「浴場で欲情とかwwww くだらなすwwwww」
「くだらなくても、何でもいい。お前が愛おしい。お前の尻に欲情してしまったのだ」
「ダメよ、今、洗濯中だし。っていうか、そうでなくてもお尻はダメだから」
「いや、お尻に入れたいわけじゃなくてだな。ちょっとだけ」
言いながら、愛棒を肉ヒダの真ん中に突き立てていくと、思いがけずカリまでずぶりと入っていった。
「あああん!! ダメって言ってるでしょ、もう!!!」
紅莉栖が尻をふって、すぽっと愛棒がはずれた。
「しかあし、お前も、もうトロトロではないのかあ? 助手よお」
「ダメだったら。洗濯中なの!」
「入れたい」
「ダメ!」
「入れたい」
「ダメ!」
「入れたくない!」
「ダメ……はっ!?」
「うむ。マイサンよ。待たせたな、許可が出たぞ」
「出てない出てない出てない!…………あああん、ダメだったら……! もう、バカぁ……♥︎」
紅莉栖の腰をつかんで、ずぶずぶずぶと愛棒をねじ込んでいく。
熱くて柔らかな肉ヒダが歓喜の粘液を垂れ流しながら受けとめてくれる。
「全部入ったぞ。珍しいな、こんなにすんなり入るなんて。これは、いつもよりお前が喜んでくれているということなのか?」
「喜んでない! とっとと抜きなさいよ、バカっ!!」
「そうか、では、お前のマ@コがいつもより喜んでいるに違いない」
「だからっ、 いちいちっ、 言い直すなって……言ってんでしょっ♥︎」
「お前、愛棒をグリグリ動かしてやると、語尾に♥︎がつくんだな」
「うそっ……」
「かわいいぞ」
「あんっ♥︎ いじわるっ♥︎ すんなっ♥︎」
0337032016/09/04(日) 22:45:05.15ID:N5WYoi5H
あぐらを組んだ俺の上に座らせて、脇の下から手を差し込もうとすると、きゅっと脇を閉めて抵抗してきた。
「洗濯してるの!」
「何のために?」
「何のためって……あんたが替えのパンツを持って来ないからじゃないっ♥︎ ちょっと、やめろって! 変なタイミングで動かないでよっ♥︎ あああん、もう!!」
「洗濯なんかしなくてもいい。俺が汚いトランクスを穿いて帰ればいいだけだろう?」
「えええ? そんなのダメよ。不潔でしょうがっ♥︎ あん♥︎ あん♥︎ あんっ♥︎」
ズンズンズンと小さく連続で突き上げると、脇がゆるんだ。
俺の両の手のひらが、かたくしこった乳首にたどりついた。
「こんにちは。お久しぶりです」
「どこに挨拶してんのよっ!」
手のひらを触れるか触れないかというところで、胸全体を撫でまわして、不意に乳首をきゅっとつまみ上げる。
「ひィッ♥︎」
脇を閉め直してくるが、もう遅い。
「好きだぞ、紅莉栖。俺の指もお前の乳首が好きだと言っている」
コリコリ。グニグニ。
「やああ……んっ♥︎ もう、ダメぇ……っ!」
「お前の乳首も、俺の指が好きなのか。そうか、そうか、嬉しいぞ」
「わけわかんないっ♥︎ おっぱいと、会話すんなっ♥︎」
左手で両胸を抱きつつ、右手を下に這わせていって、紅莉栖トリスを探り当ててつまんでひねる。
「にゃああああ!!!♥︎♥︎♥︎」
「しかし、お前は本当に天才だな。ここまでやってるのに、まだ洗濯を続けるとは」
「あああああ、才能じゃないっ♥︎ 努力っなのっ♥︎ もうっ、おかしくなるっ♥︎ かんべんしてええ♥︎」
半分泣き声になっているのが妙に色っぽい。
「そうか……そこまで言うならやめておくか」
0338名無しさん@ピンキー2016/09/04(日) 22:48:01.83ID:N5WYoi5H
責めるのをやめて、紅莉栖の腰を浮かせて愛棒を引き抜いた。
「うそ……」
紅莉栖がぼうぜんとして、洗濯物を握ったまま振り返った。
と、思う間もなく、紅莉栖が俺の上に正面から座り直してずぶりと、再び凹凸が合わさった。
ものすごい怒りを涙目ににじませて、自分で腰をつかいながら、俺のトランクスを俺の首に回して締めあげながら、俺の唇に噛みついてきた。
「むむむむむ!(苦しい! 痛い! やめんかこらっ!)」
「いくらなんでも、それは無いんじゃないですか、鳳凰院さん? それは無いだろ、ひどすぎだろ! それはねえよ!!!」
紅莉栖の冷め切った声が一転して激しく熱く、正直、怖い。
「唇から血が……」
「大丈夫よ、私が舐めといてあげるから」
「首を絞めるのはく、くるじい……」
紅莉栖が激しく腰を動かしながら、ハアハアと息遣い荒く、ひたいをこつんと当ててくる。
「あんた、私と結婚してくれるんでしょうね」
「えええええ!? なんでっ、ぐっ、そうなるのっ、だ!?」
「結婚するの? しないの?」
ぐいぐいとトランクスが首を締めつけてくる。
「するするする! ぐ、ぐるじい……」
不意に首を締めつけるものがなくなって、紅莉栖が甘やかに唇を寄せてきた。
「夜があけたら池袋の鬼子母神さんに行くわよ。そのあと、あんたの実家に寄ってご両親に挨拶もさせてもらうから」
「ななななんで、そうなるのだ、クリスティーナ!!」
「だってぇ……あんた、ゴムつけて無いじゃない♥︎」
紅莉栖が言い終わった瞬間に、俺のマグナムが暴発してしまった。
「あ……」
息遣いが荒くなるほど、深い深い長い長いくちづけ。
互いの舌を絡ませあいながら、右手の小指に股間の粘液を絡ませて、紅莉栖のお尻の穴にずぶりと突っ込む。
「んんんんんん!!!♥︎♥︎♥︎」
紅莉栖の目が大きく見開く。
形勢逆転。
紅莉栖は、まだいってないはずだ。
抜かずの二連発、いってみるか。
「紅莉栖、お前の尻は素晴らしい」
「どうせ、小指が言ってるとか言うんだろ、バカ」
夜明けのセミの声が遠くからかすかに響いてくるのを聞きながら、俺は再び紅莉栖と愛を確かめあうのだった。
0339名無しさん@ピンキー2016/09/07(水) 10:36:19.79ID:hGW3lcHs
クリスティーナは髪コキしろ
0340ss2016/09/17(土) 23:48:07.30ID:t05xjihP
ss投下します

オカクリ、ソフトエロのさらに手前くらいでヒトコマだけ。短いです
0341ss2016/09/17(土) 23:49:15.23ID:t05xjihP
「そう言えばクリスティーナ、お前この間、ときどき乳首を吸って欲しいとか言ってたな?」
「言っとらんわ! 捏造すんな! バカ! HENTAI!!」
「そうか? いやあ、そんなことはあるまい」
ムッツリスケベの鳳凰淫が片手であごを撫でながら、私と眼を合わせないようにホテルの部屋のあちこちに眼をさまよわせながら、こちらへと……。
「ちょっ、近寄んな!」
ジリジリと後ずさる。
「私はただ、あんたの……」(乳首を舐めてる時に、頭をなでなでしてもらえるのが嬉しかっただけで……なんて、言えるかぁああっ!)
「あんたの? あんたのなんだ? あんたの乳首を舐めたかっただけ、とでも言いたいのか?」
「違う! こっち来んなと言っとろーがっ! バカ!!」
実は半分あたっているのが悔しくて、つい声が荒くなってしまう。
明確な私からの拒絶を受けて、岡部は方向転換すると、一人がけのソファーに座りこんでつまらなさそうに膝を抱えた。
え? なんだそのポーズ。
子どもみたいにいじけ過ぎだろ。
ほんとに単純なんだから……。
不器用な岡部。
もう少しさり気なく、普通に、「お前の乳首を舐めてもいいか?」と言えばいいだろ。
…………おかしいな。
これでは、何も改善されてない、ただのHENTAI岡部のままだ。
やっぱり、前段階が必要なのよ。
「紅莉栖、好きだ。お前の乳首を舐めさせてくれ」
……ダメね。ストレート過ぎる。
もう少し、メタファーで。
「紅莉栖、好きだ。お前のプリンにのったさくらんぼを舐めたいのだが」
くっそ………ドHENTAI! 死ね!
「はあ?」
岡部がキョトンとしてこちらを見ている。
ヤバイヤバイ、声に出ていたようだ。
もう、誰のために苦労してると思ってんのよ、このバカ岡部。
……。
何をどうしようという考えもないままに、足が勝手に岡部の方に向かっていた。
ちょっと待って、ちょっと待って、私の足! 勝手にそっちに行くな!
だが、あるじの意志を無視して、私の足は勝手に岡部の足の上にまたがってしまっていた。
腰をおろすと、丁度、私の胸が岡部の口元に来てしまう。
「……クリスティーナ?」
「ティーナじゃないし」
むすッと不機嫌丸出しで、笑みを浮かべずに私は答える。
「乳首を舐めて欲しいのか?」
「違うって言ってるでしょ。あ、あんたが舐めたそうにしてるから、来てやっただけなんだからな……」
うわー!!!
ちょっと、なに口走っちゃってんだ、私!
そんな変なこと言ったら、このバカ本気にしちゃうだろJK!
岡部があせったように白衣のポケットから携帯を出そうとバタバタしている。
まーた、助手が洗脳されたとか痴女になったとかエア通話始める気だな。
ワンパターン過ぎだろ、バカ岡部。
そうはさせるか。
岡部の唇を唇で塞ぐ。
フゥーハハハッ! これで反300人委員会との連絡もとれまい!
お前はこの鳳凰院紅莉栖のものとなるのだァーッ!!!
……。
やだあ……。
変な妄想トリップしてる間に、岡部がドンドン私のネクタイとシャツとブラジャーに手をかけていた。
ちょ、ちょ、ちょ……。
唇を塞がれているので反論できない。
しまった、これはまさかの諸刃の剣。
おのれ鳳凰淫、あ、あん、ち、乳首いじめないでぇええ!!!
最近、このバカに触られすぎて感度があがりすぎだ。
ちょっと触られただけでジンジン来てしまう。
や……いやあんっ! 引っ張ん、ないでっ!!
0342名無しさん@ピンキー2016/09/17(土) 23:51:19.17ID:t05xjihP
く、くそっ、こうなったら!
反撃するしかない!
乱暴に岡部のTシャツを捲り上げると、私は飢えたケモノになって、ド淫乱のムッツリスケベのバカ岡部を成敗することにした。
そうよ、みぃんな岡部がバカなのが悪いんだから。
もう、おかべったら……らいしゅき。

「HENTAI助手 vs 鳳凰淫 乳首をめぐる攻防」
0343名無しさん@ピンキー2016/10/04(火) 03:16:47.88ID:vOPPQShN
かきあげ
0344名無しさん@ピンキー2016/10/05(水) 20:06:54.05ID:VCQTFhlW
クリスは髪コキして!
034612016/10/08(土) 23:27:21.00ID:0YDLiJmz
毎年、毎年、私は同じ失敗を繰り返している。
12月14日の岡部の誕生日に、日本にいるということが滅多に出来ないのだ。
夏休みをゆっくりとって、他の研究員にいろいろ無茶をお願いしているせいもあって、冬の休みは早くてもXmasからになってしまう。
いや、Xmasならマシな方で、年が明けないと休暇がとれないことも多いし、下手すると冬休み自体が無かったりもする。
脳科学という分野はマウスなどの生体実験も多く、年がら年中誰かが実験室にいなければならないので、同じ理系でも数学屋さんとはわけが違うのだ。
もっとも、数学者は数学者で、性格的な問題もあって、たとえXmasであっても研究所をうろうろしている人は多いと聞く。
世の中、ままならないものね。
あまり感心はできないが、人には人の事情というものがあるか。
ごほん。
そんな中で、今年は、夏休みを少なめで我慢したせいもあってか、岡部の誕生日に冬休みをとって日本に来ることができることになった。
正直、ドキドキしている。
岡部と私の交際は、期間こそ長くなったが、せいぜい一年間に一、二ヶ月しか一緒にいないので、何年たっても、付き合い始めたばかりのような緊張感が抜け切らないのだ。
初めの数年は、アメリカにメール一つ寄越さない岡部の文句ばかり言っていたが、最近ようやく、恋人関係がマンネリにならないということ、人生の中でもっともポテンシャルの高い時期を研究に捧げられるということを前向きに考えられるようになってきた。
人間とは、順応するものなのだ。
そこに、ちょっぴり敗北感があったとしても。
エシュロンによる盗聴を警戒する岡部の信念は変えることはできないし、そもそもが私の運命を大事に思ってくれての配慮なので、メールが来ないのは諦めるよりほかはない。
それに、正直に言うと、私の願いがかなって、岡部と同棲しながら研究を続けるような状況になっていたら、20代前半の私は、研究者としてはダメになってしまったことだろう。
岡部とケンカしたり、イチャついたり、そのほか、もっといいことをしていると、本当に時を忘れてしまうし、岡部のことを考えながら仕事をしている時は、平常の七割くらいしか脳が回っていない気がする。
それもこれも、アインシュタイン博士が、好きな子と一緒にいると、時がたつのが早くなるなんて、言わなくてもいいことを言ったせいである。
もちろん、七割というのは、岡部のことについて考えているのが七割という意味だ。
あとの三割のうち、二割は岡部とのこれからのことで、残りの一割が研究のことだ。
うん、正直に認めよう。
私は、ダメな子だ。
岡部依存症というべきか。
目の前に岡部がいると、我慢できないのだ。
普段岡部がいないのは、これはこれで良かったのかもしれない。

さて、久しぶりに岡部の誕生日に日本に行けるとなると、やはり、今までのようにプレゼントは何もなしとか、白衣とかっていうわけにもいかないかなと思う。
何か、あっというような、それでいて岡部が喜びそうなことはできないものか。
何か、今までして来なかったようなことだ。
温泉旅行とかも悪くはないけど、岡部の都合もあるだろうし、事前に相談したら意外性がなくなる。
岡部の好きなもの。
だいたい、好きなものは日頃からたしなんでいるわけで、そこに意外性を持ち込むのは至難なのだ。
そう言えば、あいつがアメリカに来たときにダイエット・ドクペを渡したことがあったっけ。
たいしてお金はかからず、それでいて岡部の心のツボを的確にとらえている。
ふむん、ああいう方向性でいいだろう。
私はグーグル先生と、呑めるクチのフェイリスさんにも助言を貰って、こっそり準備を整えることにした。
034722016/10/08(土) 23:28:51.32ID:0YDLiJmz
オペレーション・クヴァシル(酒と詩と知恵の神)に必要なもの。
ビール。
ビールジョッキ。
アマレット。これは、あんずの核を使ったリキュール。
ショットグラス。
アルコール度の高いお酒。ラムかウォッカ。
チャップリンが使うマッチ。
アメリカにいながらにして、すべて準備が整ってしまったのは申し訳ないが、実に有難い。
フェイリスさん、というか、最近は旧交を温めなおしているので留未穂ちゃんと呼ぶこともあるのだが、彼女がいると、いろいろはかどるわね。
私はふだん、お酒を呑まない。
実は、ノンアルコールビールのつもりで、ビールを呑んで、岡部にベタベタに甘えて叱られたあげく、唐突に岡部が世界から消えるというとんでもない家出?
をかましてくれたので、「酔っ払いの私は嫌いか、そうかそうか」と、絶望のあまり、タイムリープでその世界線を無かったことにしたことさえあるのだが、今回は呑まないはずの私が、カッコよくカクテルをつくるわけだ。
岡部はビックリ間違いなし。
うん、なかなか、いいかもしれない。
たまには、あいつをギャフンと言わせてやりたいのだ。
アメリカをたつ直前まで、我ながらすごい集中力で仕事を仕上げて、ギリギリのタイミングで飛行機に飛び乗った。
人間、やはり締め切りがあると頑張れるものなのだ。
これも、まゆりや岡部、ラボメンたちにひさびさに会えるというご褒美あるがためである。
やっぱり、このやり方は間違っていないと思う。
ラボメンナンバー009である真帆先輩には申し訳ないけれど、先輩は今年の冬は沖縄だけで、東京に寄る時間は無いというので、現在進行形の実験の管理はすべて先輩に任せた。
ラボのパーティについては事後報告しておくことにしよう。

2016年12月14日水曜日、午後6時。
まゆりの仕切りで、岡部の25歳の誕生日パーティーが始まる。
ラボメンは鈴羽と先輩以外は、だいたい勢ぞろいしている。
岡部、まゆり、橋田、私、萌郁さん、漆原さん、フェイリスさん。
天王寺さんは綯ちゃんを高校まで迎えに行ってから、遅れて来るそうだ。
18歳の女の子につきまとうなんて、父親じゃなかったらストーカーレベルだと思うのは、父親と長く会っていない私のひがみだろうか。
鈴羽は、まだこの世にいないが、鈴羽そっくりの由季さんがいる。
私は、久しぶりに会う由季さんのお腹をじっと見つめる。
うん、鈴羽はまだいない。
あと一ヶ月くらいすると、「いる」と言えるようになるかもしれない。
もう、そろそろ、由季さんには橋田姓になってもらわないと世界がヤバイのだが。
ちなみに、由季さんのラボメンナンバーは0011だ。
岡部の言い出すことは相変わらずイミフなのだが、新しく作ったラボメンバッジには、9番目に比屋定のH、10番目のところにS、11番目に阿万音さんのAが入っている。
Sってなんだ、Sって。
Sは、すでに一人いる。
ラボメンナンバー002、椎名まゆり。
私の大切な親友だ。
なんとなく、関係はありそうに思える。
岡部の言動から、別世界線の重要な人物なのだということはわかるが、岡部は私には何も教えてくれない。
あ、それか、S・ブラウンという可能性もあるのかな?
綯ちゃんは、かなり前からラボメンになりたがっているのだが、父親に許して貰えずにいるので、秘密のコードネームを与えられて、世界と戦うための特殊なトレーニングを積んでいて……そんなわけないか。
ハハハ。
岡部の脳味噌に直接聞くという手もないこともないのだが、恋人の頭を開くのは、せめて死んでからにしたいものである。
034832016/10/08(土) 23:30:05.55ID:0YDLiJmz
「それじゃあ、乾杯しよっか。クリスちゃん、お願いね」
「OK、まゆり。さて、と……」
ずらっと並んだビールジョッキに半分ほど、ビールサーバーからビールをついでいく。
「な、な、なにをする気だクリスティーナ」
「え? 牧瀬氏が飲み物作るん? ちょ、オカリン、ぼくらをどうする気だお!?」
「……ああ、俺だ。助手が機関の手先に回った。この歳まで生きてこれたことを感謝していたと両親に伝えてくれ。エル・プサィ・コングルゥ……」
ああ、もう、うっさいわね! 無視無視無視……。
ショットグラスにアマレットを三分の二くらい……。
そして、これだ。
ラムかウォッカと頼んでおいたら、フェイリスさんはスピリタスというポーランド産の緑色のキャップのウォッカを用意してくれていた。
世界最高と言われるアルコール度数96度以上の蒸留酒で、黒の絶対零度なんかたちどころに焼き払えるくらい強いヤツである。
ドボドボ、ドボドボ、ドボドボ……。
まあ、ちょびっとよね、これは。
アマレットの上に注ぎ足していく。
岡部と橋田が、また何かふざけたことを大仰に言っているようだが、うん、私のログには何もないな。
さて、チャップリンが使うマッチ。
これだけは、アメリカでさんざん練習してきた。
両の手の指の間にマッチを一本ずつ、計八本挟んでグーで握る。
「岡部、ちょっと協力して」
おずおずと前に進んだ岡部の白衣に両手のマッチをシュッ、シュッとかすらせると、すべてのマッチに火がついて、おわっと岡部が後ろによろけて尻餅をついた。
フェイリスさんがすかさず、ラボの照明を消してくれる。
火のついたマッチを、スピリタス入りのショットグラスの表面に近づけると、たちまちグラスの表面に火がうつって、九つのロウソクのようになった。
うん? 九つ? なぜ、マッチの数と対応しない?
「はい、みんな、それぞれこの火のついたグラスをジョッキにそのまま放り込んでね、こんな感じに」
まず、私がお手本を見せると、火が一つ消えて、ジョッキがさっと泡立った。
みんなが暗闇から手を出して、一つずつショットグラスをジョッキに放り込んでいく。
二つ、三つ、四つ……。
すべての火が消えたところで、フェイリスさんがラボの照明をつけてくれる。
ぐるりと、みんなの顔を見回すと……いた。
さり気なく、いつの間にか参加しているとは。
お前はザシキワラシか。
私が黙っているので、まゆりが何も気づかなさげに、「オカリン25歳おめでとう! かんぱあい!」と音頭をとった。

パーティは立食形式で、いつものように漆原さんとフェイリスさんが腕をふるってくれたようだ。
「なんでここにいるのよ、あんた」
私の目を避けるようにして、鈴羽がエヘヘと笑う。
「だってぇ、私、もうすぐ産まれちゃうからさ、深刻なパラドックスが起きないように、もう、こっちに来るのもこれで最後かなと思うと何だかさみしくなっちゃってさ」
「これだけ頻繁に親と顔をあわせてたら、もうすでに深刻なパラドックスが起きていてもおかしくないと思うわけだが」
「やだなあ、岡部紅莉栖博士ともあろうお方が、非科学的なことを言っちゃって。私がここにいられるのは、世界にパラドックスが起きていない証拠だよお」
「未来に何か起こってるかもしれんだろうが……」
岡部も、少し不機嫌そうに横から口を出してくる。
鈴羽は問い詰められまいと、ペロリと舌を出して両親の元へと逃げていった。
「やれやれだな。それはそうと、紅莉栖……ティーナ。美味いな、このカクテルは。まさか、ドクペの味だとは。アマレットの甘みとビールの苦味が絶妙ではないか」
「フレイミング・ドクターペッパーって言うみたいね。っていうか、ティーナつけんな」
「なんだ? 顔が真っ赤だぞ? そうか、お前は酒が弱いのだったな。もう、呑むなよ?」
「いや、その……あんたがさっきのを聞いてなかったんなら別にいいんだけど……」
相変わらずのニブチンのバカ岡部がきょとんとしているので、私は遅れてきた天王寺さんにフレイミング・ドクターペッパーをつくりに逃げることにした。
顔、あっつ……。
岡部紅莉栖とか、急に言いおって、卑怯すぎんだろ。
さすが橋田の娘だ。
なにか、冷たいものを飲まないと……。
034942016/10/08(土) 23:42:14.90ID:4Nc5ezvb
あれほど言ったのに、紅莉栖が何か呑んだらしい。
急に立ち上がって演説をはじめた。
「それでは、今から、漏れが岡部に初めて会ったとき、岡部はすでに漏れに惚れていたということを証明しまあす!」
なにィい!?
ナチュラル@ちゃんねらーな栗悟飯モードだ。
これはまずい。
わあっと、ラボメンたちの拍手喝采の中を進み出た助手の腕を掴んで座らせようとするが、助手は強引に俺の手を振り払った。
逆に、フェイリスがニャフフと、俺の腕を掴んでソファーに座らせようとする。
くそ、火をつけたのはフェイリスか。
「ラジオ会館の廊下で、初めて漏れに出会ったとき、岡部はいきなり、俺はお前を助けると言って漏れを潤んだ瞳でじっと見つめて来ました」
ぐはあ……なんという公開処刑だ。
ダルがヒューヒューと口笛を鳴らす。
ミスターブラウンのニヤニヤ笑いが一番こたえる。
「岡部は、なぜか漏れの顔をよく知っているようでした……」
「だって、オカリン、サイエンシーのクリスちゃんの」
まゆりの口をふさぐ。
勘弁してくれ。
「ドクター中鉢の講演が終わって、漏れがドクター中鉢と面会をしていると、ドクターは急に怒り始めて、漏れの首を@めようとしました!」
おおおっと座がどよめく。
おい、鈴羽、大丈夫なのか、これ。
見回すと、鈴羽も興味深げに助手の話に聞き入っている。
ああ、そうかここにいる鈴羽は、このシーンを知らないのか。
「そこに、岡部が出てきて、ドクターと漏れを引き離し、ドクターがナ@フを……」
「おい、もういい、やめろ、紅莉栖」
思わず声をかける。
「じゃあ、認めるのにゃ? 凶真が初対面からくーにゃんにベタ惚れだったということを」
おのれ、フェイリス余計なことを……。
紅莉栖が、みんながじっと俺を見つめている。
「……そうだな。俺は、紅莉栖を助けるために百年もの間、時空をさすらい、旅と研究を続けてきた。それが出来た理由は、紅莉栖に惚れていたからではないかと言うのなら……」
なんで、こうなった。
今日はたぶん、人生で最悪の誕生日だぞ。
言葉に詰まる。
「……俺は……俺にとって、紅莉栖は……その……紅莉栖は……俺は、いつだって彼女の語る理論に痺れて、彼女の言葉を胸に刻みこんで、彼女の動きを目で追っていた。単なる仲間じゃなかった。俺が紅莉栖に惚れていたのも、惚れているのも事実だ」
歓声があがる。
「まあ、待て。ただ、それは、紅莉栖がもともと俺に惚れていたからで……」
「なにおう!?」
「凶真、男らしくないにゃ……」
「凶真さん……」
「岡部くん……」
「オカリン、まゆしいは悲しいのです……」
「さすが、オカリン、そこに痺れる憧れるぅ」
「橋田さん、憧れちゃダメですよ」
「岡部、おめえなぁ……」
「オカリンおじさん、そこは飲み込んどこうよ……」
「くっくっく……オカリンおじさん、面白すぎ……」
035052016/10/08(土) 23:48:28.97ID:4Nc5ezvb
ビールを箱ごと抱えてきたミスターブラウンが、その半分くらいを自分で、残り半分を萌郁に空けさせて、シスターブラウンと萌郁を連れて帰っていった。
いや、訂正だ。
シスターブラウンが、二人の酔っ払いを連れて帰った。
この女子高生は、先月、満18歳を迎えて車の免許も取得済みなのだ。
受験勉強でたいへんな時期に何をやっているのかと思いきや、どうも大学へは行かずいきなりJAXAに就職することが決まっているらしい。
まゆりとルカ子とフェイリスが、迎えに来た黒木さんの運転するリムジンで帰っていき、ダルと阿万音由季が連れ立って帰っていき、ラボに残ったのは、俺と紅莉栖と鈴羽だけになった。
紅莉栖はソファーで眠っている。
酒に弱いくせに、スピリタスなんか呑んだらそうなるに決まっている。
一方で、鈴羽は顔こそ赤くしているものの、まだまだ元気いっぱいだ。
「お前、まだ帰らなくていいのか」
「つれないなあ。もうしばらく、いいじゃん。もう二度とこっちに来れないんだから。でも、良かったね」
「なにが」
「紅莉栖さんは、やっとあの事件を人前で話せるようになった。つらい思い出を乗り越えられたみたいだね」
「……そうだな」
「運命の歯車が、噛み合ったんだよ。オカリンおじさんがひときわ強いリーディングシュタイナーを身につけたのも、そんなオカリンおじさんのラボで電話レンジが生まれたのも、そこへタイムマシン論文の書き手である紅莉栖さんがやってきたのも。
もの凄い確率の奇跡が立て続けにおこってるように思えるけど、そうじゃない。すべては、オカリンおじさん自身が作り上げた必然で、偶然でも奇跡でもないんだよ。ドクター中鉢や秋葉幸隆、天王寺裕吾と橋田鈴の出会いも……」
「よくわからんが、俺の力じゃないだろう。α世界線でもβ世界線でも、俺にはたくさんの仲間がいた。ラボメンの誰か一人が欠けても、現在(いま)はこの形では存在し得ない。
もちろん、お前もだ、鈴羽。俺がもっとも感謝しなくてはいけないのは、ある意味ではお前だ。どの世界線でも、お前は自分の人生を使命に賭けている」
「……君っていいヤツだね」
「なんだ、お前、泣いているのか」
「まあね。ところで、二、三日ここにいてもいいかな? 綯に格闘の稽古もつけてやらなきゃだし、さやいんげん号の整備もあるし。比屋定真帆に会っておきたいんだよね」
「真帆は、今年はこっちに来ないらしいぞ」
「いや、来るよ。さっき呼んだから。牧瀬紅莉栖が倒れたって伝えたら、すぐ行くって」
「ふっ。倒れた、か。ものは言いようだな。まあいい、怒られるのはお前だからな」
「オカリンおじさんの携帯メール使ったよ?」
「おいィイい!?」
「だって、私、この時代の携帯手に入れるヒマなかったしさあ」
「くそ、何時間前だ、それ。取り消しメールを」
「もう、遅いよ。さっき飛行機に乗ったところだから」
天然のくせに何もかも計算づくか。
さすがは、あの二人の子供だ。
035162016/10/08(土) 23:50:08.17ID:4Nc5ezvb
諦めて、俺は、紅莉栖の真似をしてフレイミング・ドクターペッパーを二つ作り、片方を鈴羽に差し出した。
まだ、夜は早い。
久しぶりに、まったり別世界線の話でもするか。
「……無かったことにできないすべての世界線のために」
俺のジョッキに、鈴羽がニッと笑ってジョッキをあわせてくる、
「……シュタインズゲートと、大好きなオカリンおじさんのために」
???
二人して、グラスをあおる。
「実は、オカリンおじさんにお願いがあるんだ。私がタイムトラベルを繰り返す理由の一つでもあるんだけど」
「うん」
「かがりが、見つからないんだよ。あの子は2026年7月7日、オカリンおじさんが死んだ次の年に生まれて、孤児院でまゆりおばさんに出会った。だけど、第三次世界大戦の起こらないこの世界線では、孤児院には来ないんだ。
でも、ほっとけないんだよ。
かがりはタイムトラベルをしているから、リーディングシュタイナーが発動する可能性もあるし、脳科学研究所にも縁がある。ラボメンナンバー009、0010、0011の行く末は、注意しておいた方がいいと思うんだ」
「そうだな。誕生日なんて、戦時下ではあてにならんからな。わかった、任せておけ。この鳳凰院凶真が、じきじきに……」
「こら、おかべ」
いつもの涙目上目遣い睨みだった。
「紅莉栖、ティーナ、起きたのか」
「あんた、また女のラボメンを増やそうと思ってるだろ」
「う……」
「あんた、私のものになったっていう自覚が足りないのよね。決めた。私が岡部紅莉栖になるんじゃなくて、あんたが牧瀬倫太郎になりなさい。そうじゃなきゃ、新しい女の子のラボメンを増やすのは認めないんだからなっ」
紅莉栖が、よろよろと近づいてきて、俺に抱きつき、ジョリジョリ〜と言いながら……。
「かなわないなあ、紅莉栖さんには」
鈴羽が苦笑して、紅莉栖のコートをハンガーからとって差し出した。
「ホテルまで送ってあげなよ、オカリンおじさん、あ、それから、比屋定真帆がこっちに来たら反300人委員会の立ち上げをやるから、オカリンおじさんの信頼する人たちに連絡回しといてね。
いやあ、2016年もあと少しか。締め切りがドンドン迫ってくるこの緊張感、悪くないねえ、オカリンおじさん。もう少しだけ、私、頑張るよ!」


「大暴れ酔いスティーナと鈴羽のラスト・タイムトラベル」
0352元ネタ2016/10/09(日) 01:27:36.63ID:YU+CNFJz
854 :名無したんはエロカワイイ:2013/01/14(月) 21:04:39.60 ID:JZe2c4ws0
論破上戸な可能性も…?
ナチュラル@ちゃんねらーな助手になって栗悟飯口調でオカリンを論破しまくる的な
それ以来、飲酒禁止になったり。

出会ってからのオカリンの言動を1から10まで述べて

紅莉栖(よっぱ)「以上の言動から岡部倫太郎は牧瀬紅莉栖にメロメロキューである。はい論破!」

オカリン・ラボメン「」

856 :名無したんはエロカワイイ:2013/01/14(月) 22:24:59.09 ID:fcTJC4mh0
オカリンがデレ上戸の方がダメージでかそうだな

紅莉栖がいかに愛らしいかをこんこんと語るオカリンと真っ赤になって止めようとする助手みたいな感じで

857 :名無したんはエロカワイイ:2013/01/14(月) 22:31:42.38 ID:voAWBRja0
>>855-856
どっちも魅力的過ぎる

はよ!職人さんはよ!!!

858 :名無したんはエロカワイイ:2013/01/14(月) 22:46:15.13 ID:sTwDphZ+0
オカリンは泣き上戸に希ガス

酔って色々思い出して泣きじゃくるオカリンと酔ってデレまくる助手でラボは謎の状況に


オカリンだけ20歳で牧瀬氏がまだ未成年でオカリンだけお酒飲んで
デレ上戸で饒舌に牧瀬氏の可愛い所好きな所を語って横で真っ赤になりながらプルプル震える牧瀬氏はよ!

初めてのお酒はオカリンが紅莉栖の為に作ったオリジナルカクテルでお願いします

ドクペチューハイはよ

すまんどうしても中の人の影響で
ちょっとのアルコールで酔っ払ってしまう助手しか想像できん
まあそのあとはオカリンにベタベタして電池が切れたように眠る助手

実際に焼酎で割って呑んだことあるがドクペの甘みが
アルコールを飲みやすくして結構うまかった

864 :名無したんはエロカワイイ:2013/01/14(月) 23:23:52.17 ID:2Hxu3ZCS0
ドクペ(を口に含んでの)チュー ハイ(「ほら」的な意味で)はよ

に見えた
0353名無しさん@ピンキー2016/10/29(土) 23:57:50.49ID:w6GFMivg
オカクリ好きだがまとめて一気に読んだ
全部素晴らしかった
SS職人さん最高ですサンクス
0354名無しさん@ピンキー2016/10/31(月) 21:52:20.87ID:d43imHBd
ありがとうございます。
紅莉栖スレ114の最後くらいからssを投稿しています。
このエロパロに投稿してるのは、半分くらいです。
そろそろpixivの方に転載してある分を公開していこうかなと思っています。
0355名無しさん@ピンキー2016/10/31(月) 23:03:37.53ID:d43imHBd
紅莉栖「岡部が私を襲わないわけが分かった」
ttp://touch.pixiv.net/novel/show.php?id=6951217

とりあえず、第一作を公開しました。
ウザいかと思いますので二作目以降は公開してもPRしませんが、
創作の場を与え、渋へのUPを期待して下さったみなさんに感謝をこめて
今回のみご報告いたします。よろしくお願いします。
0356名無しさん@ピンキー2016/11/20(日) 16:05:25.20ID:PWkn03r6
.
0357Ss2016/11/21(月) 01:54:00.53ID:dTyYbo71
SS投下します。オカクリ、エロなし。元ネタは本スレ271の931のつぶやき

0931 名無しくん、、、好きです。。。@無断転載は禁止 2016/11/18 15:22:25
>>889
ゼロは甘栗のアバターを着せ替え出来たら神ゲーだったのに
水着とかチアガールとかウェディングドレスとか


及び、そこからの派生レス。(紅莉栖スレ121の冒頭あたり)
0358012016/11/21(月) 01:56:02.44ID:dTyYbo71
「オカリン、オカリン。一応、ぼくも、牧瀬氏はオカリンのものと認識しているので、事後承諾になってしまったことはすまないと思っているわけだが」

「うん?」

「アマデウスたんに着せ替え機能を実装してみました!」

「…………」

「そんな険しい顔すんなって。これ、外からぼくらが操作できるわけじゃなくて、用意した着せ替え衣装を、甘栗たんがその日の気分によって自分で着替えてくれるだけなんだお。
今のところ、描画できるのは、まゆ氏と同じセーラー服、ルカ氏と同じ巫女装束、フェイリスたんと同じ猫耳メイド、桐生氏の普段着のシャツにタイトスカート、オカリンのシャツにチノパンの五つだけ。
残念ながら、牧瀬氏の身体のデータは甘栗たんが教えてくれないから、今のところ、水着とか下着とか、身体のラインが見えるような描画はできないし、そもそもそういう服を甘栗たんが自分で着てくれるわけないから、実装は遠い未来の話だお」

「……ナース服、とか……」

「ぐっふっふっふ……オカリンも興味あるんじゃん! そう、ナース服は男のロマン! 将来的には用意したいよね! そういう服を、甘栗たんが自分で着てくれるかどうかは、交渉次第なわけ。正直に言うけど、ぼくは一週間かけても甘栗たんを口説き落とせる気がしないね。
どう見ても無理ゲーだお。でも、まゆ氏や、牧瀬氏攻略済みのオカリンなら甘栗たんを攻略できるかも! 甘栗たんが自分からバニーガールになってくれるかも! ぼくは!」

「おい、つばを飛ばすな、興奮しすぎだ、ダル。お前の言いたいことはわかった、だが、俺はそいつを使うのはやめておこう。まだ死にたくないのでな」

「橋田ァッ‼︎ また、相変わらずくだらないことを! もうちょっとHENTAIじゃない方向におのれの才能を使えんのかあッ‼︎」

※ ※ ※

「トゥットルー。アマデウスのクリスちゃん、おはようなのです。今日もオカリンの服着てるの? 最近、それお気に入りだねえ。うん、ダブダブのシャツもズボンもかわいいよお。そろそろオカリンにも見て貰おうよ!」
0359022016/11/21(月) 02:00:00.83ID:dTyYbo71
※ ※ ※

「甘栗、あんた、岡部の服なんか着て何やってんの?」

「ふぇ!? オ、オリジナル紅莉栖さん、おかしいな、これはまゆりさんのスマホのはず……いや、これは別に橋田さんが色んな服を作ってくれたので、いっぺん着てみようかなと順番に試しているだけで、
いつもは岡部さんの服なんて着ないんですけど、ほかの服を一通り着てしまったので、最後に残ったものを止むを得ず着ているだけで……」

「ふぅーん。なんだか、白衣が大きすぎて手首の先が隠れちゃってるじゃない。ズボンもすそを踏んでるし。橋田に頼んで縮めて貰う?」

「いや、余計なことしなくて!…… いい……です……。この方が、その、デジタルとはいえ、岡部さんの体格を感じられて幸せかな、なんて……たはは……」

「ふむん……」

「な、何ですか?」

「甘栗、これからアマデウス岡部を作るんだけど」

「……(ゴクリ)」

「いま、生唾呑んだでしょ」

(ギクゥ!)

「あんたには、身体性はまだ、ないはずよね。いま着てる衣装はCGで描画されてるだけで、あんたには、身体というものの実感は、まだない。岡部の服を着ているCGを自分で見ていても、それは自分の人形に色んな服を着せてみて、妄想力を滾らせているだけ。
本当に、あんたが身体を感じて思うとおりに動かすということを仮想現実で再現するのは、かなり難しい」

「……そうですね。いくら橋田さんに超越的なプログラミング能力があったとしても、オリジナル紅莉栖のDNA情報の入手から始めなくちゃいけませんから、そもそもの作業量がヤバイですね」

「それより、誰かの身体をのっとる形で、あんたを生身の人間の脳にダウンロードする方が早いし、実は、それをいつかはやらなくちゃいけない。
岡部は、2025年に脳障害ないし、脳死を起こす可能性が高くて、それを復活させるには、アマデウスにバックアップしておいた岡部自身をダウンロードするということも考えておかなくてはならない」

「そのための、実験をしておきたいと?」

「さすが、察しがいいじゃない。そう、バーチャルな身体を持ったアマデウス岡部と、バーチャルな身体を持っていない普通のアマデウス岡部のいずれが、
『生身の脳死した岡部』にダウンロードするのにふさわしいかということを、確認しておかねばならないと思う。協力して貰えるかしら?」

「もちろんです。もちろんですが……私がバーチャルの身体を持つということは、まだ許されるとして、脳死した人物にダウンロードするということは倫理的な問題があると思いますが」

「そこは、もちろん、上の判断をあおぐわよ。一人でできる話じゃないから。私が気になるのは、一点だけ。あんたが、バーチャルの身体を手に入れたとして、同じくバーチャルの身体を手に入れた岡部とイチャイチャするのはやめて欲しい。
もう一つ、バーチャルの身体性を持っていようが、いまいが同じことだけど、あんたが生身の人間にダウンロードされた後、岡部とイチャイチャするのも許さない。約束、守れる?」

「どっちも、倫理上の問題というより、極めて個人的な願望ですね。もちろん、倫理というものには、個人的な願望の集約という面もありますから、それでいいと思います。
私も、『牧瀬紅莉栖』ですから、信頼して頂いて大丈夫ですよ。アーノルド・シュワルツェネッガーのクローンものの映画はご覧になりましたか? 私たちは、いい仲間になれますよ」

「その映画は知らないけど、頼りにしてるわ。ありがとう、甘栗。とりあえず、協力してバーチャルの身体を作るところから始めましょう。
バーチャル甘栗と普通の甘栗、その二つが揃ったところで、比較してみれば、どちらが生身の身体にダウンロードした時の適合性が高いかは、ある程度見えてくるでしょうね」

「予想がつきませんね」

「そうなのよね、私も見当がつかない。ダウンロードする脳死体の方が私に近い年格好の女性なら、バーチャルの身体性を持っていようが、いまいが、ダウンロードは難しくない気もするけど」

「ダウンロードする相手に、男を選んだりしないで下さいね! バーチャルの身体性を持ってたら、絶対違和感バリバリです! 身体性を持っていなくても、精神的に受け付けないと思います!」

「……なんか、バーチャルの身体性の有無が関係ないような気がしてくるわね……」
0360032016/11/21(月) 02:02:51.05ID:dTyYbo71
※ ※ ※

帰米して、アマデウス・クリスの身体性獲得に関する研究を始めた。
チームは、私、牧瀬紅莉栖と、ヴィクトル・コンドリア大学の脳科学研究所の比屋定先輩のほか、同僚研究者9人、全員女性。
通称、A.R.11(アマデウス・レディース・イレブン)。
甘栗が、男の研究者に裸を見られるのを恥ずかしがるので、こうなった。
まあ、気持ちはよくわかる。
私だって、岡部以外の男に身体をジロジロ見られるのは、嫌だから、わざわざ女性のかかりつけ医を見つけているのだ。
こういうところ、アメリカという国はフェミニズムなのかレディー・ファーストなのか、寛容なので助かる。
まず、私の身体のDNA解析と、私自身の恐ろしく精密な身体測定、そして、その関係性をある程度まで証明した上で(もちろん、この作業には終わりがない)ポリゴンCGによるバーチャル身体の構築、それらと、アマデウスの接続で、アマデウスは身体操作性を獲得する。
皮膚感覚などの五感の接続、空腹感などの生理的欲求の体感は、もっと先の話だ。
PCの画面の中で、ポリゴンのクリスが走る。
「どう? 甘栗?」
「はぁ、はぁ、はぁ……しんどい……どうして、デジタルデータの私が人間的な酸素不足、持久力不足に苦しまなくてはならないのでしょうか……」
「一見、無駄な機能にも思えるけど、まだ基礎研究だからしょうがないわね。走るの嫌だったら、泳ぐ? 泳ぎは得意のはずでしょ?」
「ポリゴンの水の粒子の中で溺れ死んだら、ノーベル賞貰えないじゃないですか!」
「あんたの次の甘栗がノーベル賞貰えるから、大丈夫よ」
「うう……なんだか、複雑です……」
「生身の私だって、この研究所の中で唯一無二の存在ってわけじゃないのよ? 私が死んでも、この研究は続く。まあ、そういう哲学的な話は置いときましょう。私たちは、科学者なんだから」
やがて、外部発注していた数百種類の衣装のポリゴンのデータが届いて、甘栗はどこの王女様かと思うような豪奢なドレスに身を包み、うっとりと自分の姿に見惚れているようになってきた。
自分の中に、こういう欲求があったなんて、ちょっと意外だ。
「ねえ、甘栗、着飾った姿を男に見て貰いたいっていう気持ちはあるの?」
「うーん。男に、じゃなくて、友人知人になら。性的欲求は、まだありませんので、私の気持ちはただの承認欲求ではないかと」
「でも、橋田より、岡部に見て貰いたいでしょ? その差異は、性的な好感度ではないと言える?」
「難しいですね……」
「直接、試してみましょうか?」
「どうやって?」
「岡部の前で、ポリゴンの服を一枚ずつ脱いでいって、もう無理っていうところが性的な限界。まゆりの前でも同じことをしてみると、性的な限界が無いはず」
「か、勘弁してください……」
0361042016/11/21(月) 02:04:06.54ID:dTyYbo71
数ヶ月ぶりの渡日。
いつも通りのラボに、いつも通りの岡部。
「ふむ。クリスティーナ! 長らくラボメンとしてのつとめを怠って、ようやくご帰還か。ちょいとサボりすぎではないのか?」
「はいはい、私がいなくて寂しかったんですね、わ・か・り・ま・す! もう少し、普通に歓迎してくれたっていいでしょ、バカ!」
フゥーハッハハと岡部が陽気な高笑いを響かせて、私の目の前にぐぐっと顔を近づけてくる。
ち、近い! 近いって! なんで、パーソナル・スペースがゼロなんだ、あんたは!
え、もしかして、その……いきなり……?
あわあわしている間に、そのまま強引に唇を奪われる。
くっそお……。
こ、これは、岡部からしてきたんだから、私からじゃないんだからなっ!
覚悟を決めて、舌を岡部の口の中へとねじ込んで、岡部の舌に絡ませにいく。
あたたかい。岡部の唇。柔らかい。大好き。いつまでも、こうしていたい……けど。
「そういや、は、橋田は? あと、まゆり……」
このへんで、邪魔が入るのがお約束のはずだが。
「ダルは、成田山新勝寺に断食修行に行った。二ヶ月で二十キロほど痩せられるそうだ」
「それ、ただの飢え死に寸前なんじゃ……」
「阿万音由季の家族に会う前に、痩せておきたいらしい。まゆりは、由季のウェディングドレスの作成で、自宅でミシンにかかり切りだ」
「ふむん。それじゃあ、岡部、今日は……」
バタン、とラボの扉が開く音。
「フェイリスがいるのにゃ! フェイリスを忘れてもらっては困るのにゃ! 凶真とイチャつくのは夜にして、お昼間は、クーにゃんにもダルにゃんと由季にゃんの結婚式の準備をお手伝いお願いしたいのにゃ!」
あー。うん。
それは大事よね……。
0362052016/11/21(月) 02:05:14.87ID:dTyYbo71
※ ※ ※

紅莉栖がフェイリスに拉致されて行く際に、大型のタブレットPCを俺に託して、アマデウスのテストをしておくようにと、言い残していった。
ふむ。
甘栗と会うのも久しぶりだな。
何やら、身体性の獲得研究とかをやっていると聞いたが、そのテスターというわけか。
タブレットに設定されたパスワードは【0728】
俺と紅莉栖が、初めて出会った日。
アイコンをタップすると、アマデウス・クリスが立ち上がってきた。
「はろー。岡部さん、お久しぶりです」
うつむいて、顔を赤らめて、真っ白な腰の締まったドレス……ウェディングドレスなのか? これは。
両手にも長い、白い手袋で、小さなブーケを持っている。
頭には、金色のティアラ。パールのイヤリングとネックレス。
ぐはぁ……。何なのだ、この破壊力は。
「お……俺だ。凄まじい精神攻撃を受けている。そうだ、これは何かの陰謀としか思えない。今度ばかりは、俺もダメかもしれん……」
「岡部さん、私でそれだけ衝撃を受けてたら本番の日に身が持ちませんよ……」
「ああ……すまん、いや、ちょっと驚いてしまった。これは、あれだな。俺がお前のテストをしているというより、俺がテストをされているのだな? 」
「いえ、別にそういうわけでもありませんが……それでは、岡部さん、今から、私が……は、はず、恥ずかしいですけどっ! ふ、服を少しずつ……脱いでいきますので……よく見ておいて……って、岡部さん!? ちょっと! 気絶しないで! 救急車呼びましょうか!?」

※ ※ ※

RINE通話。

真帆「参ったわね……。紅莉栖も、甘栗のウェディングドレスで床ローリングしてたけど、岡部さんは、本当に何もしてないじゃない。テストデータになってないわよ?」

紅莉栖「すみません、まゆりが落ち着いたら次のテスターを頼んでみます……」
0363名無しさん@ピンキー2016/11/28(月) 05:18:46.87ID:qIrSjFNI
.
0364名無しさん@ピンキー2016/11/28(月) 12:08:41.46ID:Woerz9yl
髪コキしてよ
0365名無しさん@ピンキー2016/12/04(日) 16:27:18.01ID:EoZQHA3y
トゥットルー
誰もいないのかな?
0367名無しさん@ピンキー2017/02/19(日) 13:12:35.58ID:kPlAhCc2
0368>>372の続き 42017/03/12(日) 01:50:50.46ID:pT2xYui9
「実は私……好きな人が出来たのっ!!」
 
 恥ずかしさを押し隠しながらそう言い放つと、その場にはしばらくの間気まずい沈黙が訪れた。
 岡部の返答を待ちながら顔を俯けていたが、待っても待っても何のレスポンスも帰ってこない。
 好きな人がいることを臭わせることで、岡部が今私に対して抱いている感情を再確認させる――というと、すごく上から目線になってしまうが、とにかくそういう効果を目的として言った言葉だ。
 正直ものすごく恥ずかしい、恥ずかしいが、気持ちを素直に伝えるよりはよほど言いやすいだろう、と私は予測を付けていた。
 実際、顔が真っ赤になる程度の恥ずかしさで済んだのだが、……こういう時、素直じゃない自分の性分が恨めしい。
 長い間待っても反応がないので、業を煮やして岡部を見上げると、困惑と狼狽で揺れた瞳で、こちらをじっと見つめていた。
 そののち、どこか諦観の念が籠った笑みを浮かべると、岡部はまたすぐにいつものように憎らしい笑みを浮かべた。

「フゥーハハハ! そうかそうか、助手が我がラボ二番目のリア充の予備軍となるとはな。このIQ170の頭脳を以てしても予測できなかったぞ」
「お、岡部?」
「それで相手は誰なのだ? ルカ子か? ダルか? ミスターブラウンか? ……ルカ子以外まともな候補がおらんな。言っておくがダルには伴侶が出来たようだから望みはないぞ」
「橋田だけは絶対あり得ないから。……そうじゃなくてっ。岡部!」
「なんだクリスティーナ。この狂気のメァッドサイエンティストに恋愛相談など、ずいぶんスイーツ(笑)脳に侵されているようだが、ラボメンの抱えている悩みは無視できん。存分に悩みをぶつけるがいい」
「あの、さ。……岡部は、その、嫌じゃないの?」
 
 岡部の言葉に割り込むように私があいまいな問いかけを投げかけると、岡部は怪訝な表情で聞き返してきた。

「嫌、とは何がだ。別に恋愛相談などという浮ついた話でも、ラボメンの真剣な悩みなら無下にするつもりはないぞ」
「そっちじゃなくて、その。……私に、好きな人が出来たことについて、どう思うの?」
 
 すごく嫌な聞き方になってしまった。これじゃスイーツ(笑)と言われてもとても反論できまい。男子中学生でももっとましな切り返しをするだろう。
 岡部に嫌な女だと思われたくはない。だけれど、どうしても聞きたかった。
 ……自分が気持ちを伝えないのに、相手の気持ちは確認したいなんて、とてもズルいことだけれど。
 正直、罵られることも内心覚悟していた。しかし、岡部はあざ笑うこともなく、怒ることもなく、穏やかな表情で言った。

「……まあ、寂しい気持ちはある。しかし、お前が見定めた男ならば、それに足る何かを持っているのだろう。ラボメンの選択についてとやかく言うつもりは俺にはない」
「……この世界線の未来は確定していない。これも、“運命石の扉”の選択であり、お前の選択だというのならば、従うさ」
「…………」
 
 シュタインズ・ゲートの選択。岡部がよく呟く言葉だ。いつもの厨二病設定の一つのように思える言葉だが、その言葉には戯言だと笑い飛ばせないような重みがあった。
 そして、岡部の言葉はあくまで優しい。本心から私の事を気遣っているのだと感じられる。
 だけれど、心の中には無視できないほど大きなしこりが残る。岡部の優しさを素直に享受できない自分がいる。そんな醜い自分を岡部に知られたくなくて、私は俯いて黙り込んだ。
 岡部はずっと静かに私の言葉を待ってくれていたが、ふと気が付いたように時計を確認すると、こちらに声を掛けてきた。

「すまん、クリスティーナよ。今日は大学の方で所用があって、ラボを立ち去らねばならんのだ。お前の気が向いたときに、またいつでも相談してくれ」
「あ……」
 
 岡部はこちらを一瞥すると、踵を返してラボを立ち去ろうとした。だめだ、何か言わなきゃ。このままじゃ、きっと私は言うタイミングを逃してしまう。
 何かを言わなきゃ。言わなきゃ。私はその一心で、立ち去ろうとする岡部に追いすがり、その白衣の袖を掴んだ。
 
「……どうしたのだ。今日のお前は、どうにもお前らしくないぞ」
 
 時間が差し迫っているというのに、岡部は足を止めてこちらを気遣ってくれる。そのことがうれしくて、つい口元を緩めてしまいそうになる。
 ぐっと堪えて、私は渦を巻く脳内から無理やりに言葉を捻り出した。

「……岡部、手伝って」
「……何をだ?」
「だから! 好きな人へのアプローチの練習に付き合ってほしいの!!」
 
 …………これはひどい。
036952017/03/12(日) 01:51:49.53ID:pT2xYui9
「……ってことになったのよ」
「……牧瀬氏ってたまにマジでアホになるのはなんでなん?」
「ク、クリスちゃん……」
 
 次の日の朝のラボ。私は、昨日の出来事を二人に話していた。
 橋田はともかく、まゆりにまで苦笑いされるのは精神的にきつい。しかし、自分の言った言葉を反芻するとその反応も致し方ないと思える。
 正直、あの言葉を思い返すだけで死にたくなるレヴェルだ。
 岡部が行ったあと自己嫌悪に苛まれた私は、恥を忍んでこうして二人に助けを求めているという訳である。そこで橋田は一つため息を吐くと、半目でこちらを見ながら言った。
 
「つーか、普通に好きですって言えばいいんじゃね? 僕から見るとオカリンから牧瀬氏への好感度もかなりのもんだと思うお」
「……もう反論する元気もないわ。ええ認めるわよ。私は岡部の事がす、す、……嫌いじゃないわ。でも、岡部が私を見る目は妹みたいだって言うし……」
「ん〜。あくまでまゆしぃの考えなので合っているどうかはわからないのです」
「……そもそも、そんな素直に言えるなら苦労はしないわけで…………」
「牧瀬氏マジツンデレの鑑。この期に及んでまだ好きだって言いきれないとかテンプレにもほどがあるお」
「……うっさい」
 
 自分でも面倒くさい性格をしていることぐらいは自覚している。だが生まれついての性をそう簡単に変えられたら苦労はしないのだ。
 私は大きく一つため息をついて、ドクペを喉に流し込んだ。
 そこにドアを開ける音がして、普段通り岡部が入ってくる。私はできるだけ自然を装って岡部に挨拶をした。

「は、ハロー、岡部。昨日のことなんだけど……」
「む? ああ、俺は構わんぞ。それで、どこかに出かけたりはするのか?」
「昨日はさすがに私が悪かった……え?」
 岡部は特に気負うこともなくそう言い放ち、冷蔵庫のドクペを取り出した。
「なんだ、てっきりデートの練習にでも付き合わされるのかと思ったが。なにも考えていなかったのか?」
「でっ、でででデート!? そ、そうね。アプローチの方法ならデートが一般的よね」
「今日は幸い一日用事がない。行きたいなら言ってくれれば付き合うぞ」

 岡部はそういいながら奥の方へと歩いて行った。私がにやけ半分ひきつり半分の顔で固まっていると、橋田が遠い目をしながら呟いた。

「……オカリンの優しさに全俺が泣いた」
037062017/03/12(日) 01:53:21.36ID:pT2xYui9
 それからの日々はなんだかんだ言って楽しかった。私はアプローチの練習という名目で、岡部と一緒に色々な所を訪れた。
 恋人同士をシミュレーションしているのだから、と言って手をつないだり、腕を組んだりしながら歩くのはドキドキしたけれど、岡部が照れて頬を赤くしているのを見て、私の緊張もほぐれた。
 動物園に行ったり、遊園地に行ったり。映画館でホラーを見て一緒にビビったり、博物館でしたり顔で論評をする岡部をぎゃふんと言わせたり。
 少し遠出してみたこともあった。帰りの電車の中で、肩に頭を預けて眠る岡部の横顔に、不覚にもドキッとさせられた。
 カラオケで点数対決をした。思いのほか白熱したハイレベルな戦いになり、次の日ラボでまともに声が出ずみんなに笑われた。
 楽しかった。本当に楽しかった。だけれどそんな日々にもいつか終わりがくる。わかっている。わかっているのだ。

「ねぇ、クリスちゃん。最近は二人ともとっても楽しそうで、まゆしぃはとっても嬉しいのです。……だけど、このままじゃだめってことも、きっとクリスちゃんはわかってるよね」
 
 ある日、まゆりが寂し気な表情でそう言った。

「オカリン√ももう佳境だお。エンディングはすぐそこだぜ、牧瀬氏」

 親指を立てて橋田がそう激励する。

「……正直、今の日常を壊したくない。も、もし気持ちを伝えて断られたら、私は…………」

 震える私の手を取って、まゆりが微笑んだ。

「クリスちゃんならきっと大丈夫。素直な気持ちを伝えれば、それでいいんだよ」
「素直な、気持ち……」
「いい加減、ツンからデレに移行していいころだろ常考。いいからとっとと爆発してきてくだしあ」
 
 二人は笑いながら私を応援してくれる。その言葉で、ようやく自分の中での踏ん切りがついた。
 全部伝えよう。それでどういう結果になっても、受け入れよう。私は二人の言葉に背を押されながら、ラボから飛び出した。
 今日は、少し雰囲気の良い喫茶店で岡部と待ち合わせをしていた。
 入り口で待つ岡部は、相変わらず白衣に身をまとったおかしな格好のままで、辺りを見回している。
 バカ。あんたの格好のせいで、せっかくのおしゃれな雰囲気が台無しじゃないの。岡部と喫茶店のミスマッチさに笑いながら、緊張がほぐれたのを感じた。
 私は意を決して、岡部に声を掛けた。

「……岡部。待たせてごめんね」
「むっ、クリスティーナか。まあこれくらいの遅刻ならば不問としてやろう。……どうかしたのか?」
「ティーナじゃないと言っとろーが。……真剣な、話がある。中で話そう」

 私の表情を見て態度を変えた岡部を連れて、私は喫茶店の中へと入っていった。
 軽快なジャズの流れる店内で、私は注文したコーヒーに口をつけてから、一呼吸おいて岡部の方へと向き直った。
 岡部も私の雰囲気に中てられたのか、少し緊張した面持ちでこちらを見ている。
 私はコホン、と一つ咳払いをすると、岡部の目をキッと見て、言った。

「……まず、一つ謝ることがある。私はずっと岡部を、騙してた。あんたの善意を利用してたことを、謝りたいと思う。ごめん」
「…………」
「私はあんたに、『好きな人が出来た』って言った。きっとあんたは、私が誰かの事を好きになったんだと思って、ここ数日付き合ってくれたんだと思う。だけど、本当は違うの」
「……それは、どういう」
「……私が、好きなのは……」

 私はそこで言葉を切って、暫く視線を虚空に彷徨わせて。そして、不安に瞳を揺らす岡部の目をまっすぐに見て、告げた。

「私は、あんたの事が好き。あんたは、どう思ってる?」
「なっ……」
 
 岡部は目に見えて動揺を見せた。視線をあちらこちらに彷徨わせ、あたふたと身振り手振りで動揺を表しながら、何か言おうとして、突然動きを止めた。
 そして、またあの目線で私を見据えた。あまりにも優しすぎる、あの視線で。
0371名無しさん@ピンキー2017/03/13(月) 21:07:18.24ID:H6L39p6F
髪コキSS
0372名無しさん@ピンキー2017/03/13(月) 21:27:29.39ID:xE4z3vtQ
髪コキくんはその溢れるリビドーを創作にぶつけるといいと思う
0373名無しさん@ピンキー2017/03/16(木) 01:06:58.03ID:8epdzdUE
素晴らしいssだけどいろんなスレにレスがとんでるから、このスレにもう一回まとめて投下し直したらどうかな?
いや、作者さんがシブにでもあげる予定があるなら別にいいんだけどさ
0374名無しさん@ピンキー2017/04/04(火) 14:18:07.81ID:O4oWSkm/
髪コキしろよ

クリスティーナ…髪コキしろよぉ!
0375名無しさん@ピンキー2017/04/14(金) 11:41:33.59ID:wL1XOlSW
髪コキしろ
0376名無しさん@ピンキー2017/04/24(月) 16:21:02.44ID:453U4IVw
髪コキしろ
0377名無しさん@ピンキー2017/05/04(木) 20:32:25.67ID:ZTlsv/9h
ss投下します

オカクリ非エロ
sg直後、ポリオマニアのまだ前
0378ss-12017/05/04(木) 20:32:51.69ID:ZTlsv/9h
私は、三ヶ月ほど前、パパに殺されそうになって、白衣の変人に助けられた。
それから二ヶ月の間、足を棒にして秋葉原周辺を歩き回って、ようやく、その白衣の変人を見つけた。
そして、今、私は、その変人のラボに入り浸っている。
まったく初対面のはずのラボメン達とは、一週間と経たない内に馴染んだ。
まゆりは親友だし、橋田はHENTAIだし、漆原さんはキュートだし(だが男だ)、フェイリスさんはネコミミだし、階下の桐生さんと天王寺さんと綯ちゃんも、一蓮托生の重要な存在だ。
そして、それらの中心にいるのは、見せかけの厨ニ病で優しさを隠している変人ーー岡部倫太郎。
なぜかは、わからない。
なぜかは、わからないが、この仲間達は、私はもちろん、みんな岡部に大きな借りがあって、岡部によって救われていて、岡部に何かを頼まれると断れない。
家賃の支払い遅延にせよ、私やまゆりのボディーガードにせよ。
このラボには、何か愛おしくて奇妙なデジャブを感じるので、その謎を解きたくて、アメリカに帰る日をずるずると先延ばしにしている。


いつもの通り、ラボに入ると、ソファーとテーブルの間に白衣が落ちていた。
もちろん、岡部の脱ぎ捨てたものに違いない。
私の白衣は開発室のハンガーにかかっているはずだし、そもそも、この白衣の胸ポケットに赤ペンが刺さっているのを見れば、岡部のものだということは一目瞭然だ。

「岡部と橋田、わかってるのよ、隠れてないで出てきなさい!」

大きな声を出して、聞き耳をたてる。
反応なし。
開発室を覗き込む。
やはり、私の白衣はちゃんとある。
誰もいないし、部屋をグルリと見渡しても、隠しカメラは無さそうだ。
どうやら考えすぎだったようだ。
岡部と出会ってからというもの、私の岡部への想いは、ほかのラボメンたちに完全にバレバレで、なにかと冷やかしのネタにされることが多いのだが、これは、大丈夫なようだ。
罠ではない。
とすると、ふむん。
むしろ、これは千載一遇のチャンスである。

白衣をまとって、きゅっと前を閉じる。
おお〜〜ほんのりまだ少しあったかいかも!
大きな岡部の身体を包む、大きな白衣。
岡部の身体に包まれているようだ。
ソファーに座り込んで、白衣に顔をうずめる。
安物の洗剤と、わずかな整髪料の匂いの中に、かすかな岡部の香り。
汗でもなく、脂でもなく、なんだろう、岡部の匂いだ。
岡部流に言えば、特別な能力(ちから)のある者だけが嗅ぎ分けることのできる存在の証。
岡部だ。
おかべぇ。
かすかなかすかな岡部の匂いを嗅ぎ分けられるなんて、私ってばしゅごいじゃない。
岡部の理想の彼女に、また一歩近づいてしまったかもしれん。
私は天才ではなく、努力家のつもりだ。
まだ、告白もしていないのだけれど、この調子で、栄えある式の日を着実に手繰り寄せていこう。
0379ssー22017/05/04(木) 20:36:42.56ID:ZTlsv/9h
一人でニマニマしながら白衣を愉しんでいるが、幸せの頂点を通り越すと、だんだん不安になってきた。
白衣がここにあるということは、いま現在、岡部は白衣を着ていないことになる。
これは、なかなか無いことなのではないだろうか?
替えの白衣でも手に入れたのか?
いかにも慌てて脱ぎ捨てましたといった感じで、落ちていたこの白衣は、何を意味しているのだろうか?
メールしてみようかな。

【岡部の白衣がラボにあるわけだが】
あんた今何してるの?
白衣なしでも生きていけるようになったの?

@ちゃんねるで時間を潰しながら、返信を待つが返ってこない。
まゆりに聞いてみるか。

【岡部の白衣がラボにあるんだけど】
どうしてかな?
まゆり、何か知らない?

【RE:岡部の白衣がラボにあるわけだが】
洗濯したくなったんじゃないかな?
まだメイクィーンにいるけど、もうすぐラボに行くね。
クリスちゃん3時のおやつはカップ麺とバナナとからあげどれがいい?

【RE:RE:岡部の白衣がラボにあるわけだが】
選択しにくいわね
ありがとうおやつはいいわ。
そういうことなら白衣は洗濯しとくわね。

シャワールームの籠に入っている、正真正銘の男臭いあれやこれやを、勇気を出して手にとった。
岡部に、私がこう見えて意外と家庭的だとアピールしておくのだ。
頑張れ、牧瀬紅莉栖。
もうすぐアメリカに帰らなくてはならない。
それまでに、なんとかして岡部の記憶に残る女にならなくてはならない。
白衣と一緒に全部、手近にあった橋田の所有にかかるアニメ柄の紙袋に放り込んでラボを出た。
一応、岡部には知らせとくか。

【白衣は洗濯しとくわよ】
ちょっくらコインランドリー行ってくる。

岡部の洗濯物をラボの屋上に干して、メイクィーンから帰ってきたまゆりとカップ麺とからあげとバナナでお茶をして、
夕方、やってきた橋田に岡部の様子を聞いたが橋田も知らなくて、橋田とまゆりが帰っていった後も、
結局、岡部からは連絡がないまま、@ちゃんねるで鳳凰院凶真を探すも、見つけることができずにラボのソファーで寝落ちしてしまった。

目が覚めた。
2時間ほど、うたた寝をしていたらしい。
真夜中だ。
真っ先に携帯をチェックする。
なんで連絡寄越さないのよ、あのバカ。
心配かけんな。
ここまで、完全に岡部に無視されるのは、初めてだと思う。
寂しい。
普段の岡部は、メールの返信は早い方だ。
特に理由もなくメールを無視するような性格ではないし、むしろ、普段の振る舞いからは私のことを何かと心配して気を使ってくれている感じがヒシヒシと伝わってくる。
岡部が患っている、わけのわからない見せかけの厨ニ病の設定では、私やまゆりは、「機関」に狙われているため、迂闊に一人になってはいけないらしい。
私がラボから帰宅する時には、岡部はいつもホテルまで送ってくれる。
岡部が、私に気があるのかどうかは、まゆりの存在もあって正直よくわからないのだが、少なくとも私のことを大切に扱ってくれていることは確かだ。
0380ssー32017/05/04(木) 20:37:41.13ID:ZTlsv/9h
思いきって、岡部に電話をかけてみるがつながらない。
やはり、これは事件に巻き込まれていると思った方がいいのかもしれない。
と、すると、橋田だ。
あのHENTAIは、本当に何も知らないのか。
知っていて、岡部とグルになって私に何か隠している可能性も高い気がする。

この世界では、橋田を味方につけた方が勝つ。

岡部がつねづね言っていることだ。
スーパーハカーにメールをしよう。
メイクィーンのオムライスとコーヒーのセットで買収して、岡部の捜索にあたって貰えるように要請する。
やがて、落ち着かない気持ちでラボをうろうろしている私の携帯が鳴った。

「牧瀬氏、オカリンの行方はわかったお。何も心配はいらないお。だけど、同時に口止めもされてて......」
「事件なのね? 橋田、あんたは岡部と直接話したのね? あいつは、話しくらいは出来る状態にあるってことなのね? どうしてあいつは私には連絡して来ないの?」
「だから、そこが口止めされてるんだお」
「私に関係するトラブルってことだろ、それ。橋田、お願いだから。私のことで岡部が非常事態になってるのに、私が何もせず待ってるだけなんて出来るわけないでしょ?」

えんえんと20分以上、押し問答をしただろうか?
橋田は意外と口が固かった。
しょうがない。
こうなれば、嘘発見器の要領だ。
思いついたワードを片っ端からあげていって、様子をみることにして、すぐに当たりを引いた

「ひょっとして、パパのこと?」
「......」
「ビンゴね。わかった、状況からすると、岡部は今日の昼にラボの窓から私のパパを見つけて、白衣を脱いで後をつけていったのね。
白衣は目立つから。だから、白衣がラボにあったんだ。
橋田、誰にも言ったことはないけれど、スーパーハカーのあんたは気づいてるんでしょ。岡部に大怪我させたのはドクター中鉢で、ドクターは実は私のパパだってこと!
ねえ、橋田、本当に本当にお願い! 私でなければ、パパを止められないから! 岡部がパパに殺されるくらいなら私が死んだ方がマシ......」

橋田が、ぼそりとつぶやく。

「牧瀬氏、ごめんお。オカリンも同じこと言ったんだお。紅莉栖がドクターに殺されるくらいなら、俺が死んだ方がマシだって。ドクターを止められるのは俺だけだって。ぼくは、牧瀬氏にオカリンとドクターの居場所を教えることは出来ないお」

私は、泣きながらわめいていた。

「はしだぁ......もしも岡部が死んだら、あんた、一生をタイムマシン作りに捧げる覚悟、出来てるんだろうな!!」


※ ※ ※
0381ss2017/05/04(木) 20:54:28.30ID:ZTlsv/9h
,
0382ss-42017/05/05(金) 00:16:48.75ID:PzR34oQy
あ、あれは、ドクター中鉢ではないか!
窓の外を歩いていく男の姿に、俺はラボの扉を開けて飛び出そうとして立ち止まり、白衣を脱いでソファーへと投げつけておいて、大檜山ビルの階段を走り降りた。
白衣は、俺のアイデンティティだが、尾行には目立ちすぎる。
ロシア亡命に失敗して日本に強制送還された中鉢は、殺人未遂については被害者の俺がいないことから証拠不十分で不起訴、
紅莉栖に対する傷害罪とタイムマシン論文の窃盗罪については、精神鑑定の結果、病気と看做されたことを受けて、紅莉栖自身も不起訴を望んだため、精神病院に入院していたはずだ。
これは、病院からの脱走の可能性もあるか?
ダルに調べて貰わねば。

【頼む】
緊急だ。助手には秘密で、ドクター中鉢の現況を確認してくれないか。

脱走の場合、紅莉栖を襲って、タイムマシン論文の入った紅莉栖のパソコンの強奪を企てる可能性もある。
危険があるなら、紅莉栖には直ちに状況を教えなくてはならないが、中鉢がただフラフラしているだけなら、紅莉栖に余計な心労をかけさせたくない。
紅莉栖は最愛の父親に殺されかけて、まだ三ヶ月だ。
会いたい顔では無いはずだ。
紅莉栖に連絡するのは、少なくとも、中鉢が何をしようとしているのか明らかにしてからにしたい。
俺は、足早に歩いていく中鉢の後を慎重につけていくことにした。
どこへ行くのかと思ったら、電車に乗って、東京駅に出て、新幹線の切符を買っている。
どうやら青森に向かうらしい。
まずいな。
俺には、そんな旅行をする金はない。
ダルからの返事はまだ無いが、追跡を続けるよりも、黙って見逃すか、それとも......。

新幹線の発車時間までは、もう少しあるはずだが、中鉢はもうプラットホームに移動しようとしている。
どうする。
どうすればいい。
とっさに考えたのは時間稼ぎだった。
俺は、お土産に売っている東京の観光名所イラストが描かれたTシャツを買い、トイレに駆け込んで頭に水をかぶって自分のTシャツを脱いで頭をゴシゴシ拭いて、買ったばかりのTシャツを着て、垂れたベルトをベルト穴に通して、中鉢を追った。
中鉢は、新青森行きの新幹線のプラットホームに突っ立っていた。


「牧瀬先生! 牧瀬章一先生じゃないですか! 私ですよ、大学で先生に物理を教わった私です! その節は、ありがとうございました!」
0383ss-52017/05/05(金) 00:18:36.37ID:PzR34oQy
橋田を制するものは、世界を制する。
今回、橋田という最強の手駒は岡部にすでにとられていて、私の手駒にはできなかった。
ならば、私は自力でゲートをこじ開けなくてはならない。

夜を徹して、ラボのパソコン、そのほか、岡部の私物を漁る。
今までは、岡部のことを何も知らないなりに、ただなんとなく、岡部に対して運命的なものを感じて好きになっていた。
だが、今の私は、岡部の行動パターンを理解して、私のパパが今、どこで何をしているのかを突き止めて、岡部とパパがいそうな場所を絞りこまなくてはならない。
私は、岡部のすべてを知りたい。
知っておかなければ、彼を護れない。

パパが、青山の精神病院にいることは、知っていた。
なぜ、外にいるのかは、現時点ではわからない。
私は、橋田のように病院や警察やマスコミの内部情報を覗き見たりすることが出来るわけではない。
朝になったら、本名を名乗って、病院と警察に直接、問い合わせることにしようか。
今は、夜の間に出来ることをやる。
岡部の実家や、学歴、職歴、趣味、好物、etc⋯⋯。
岡部に失礼だと思って、岡部の彼女の振る舞いとしては、どうなのかと思って、あえて、岡部のことは細かく詮索せずにここまで来た。
岡部のことを何も知らないのに、私は岡部のことが好きだ。
なぜなら、運命だから。
でも、今は、そんな悠長なことは言っていられないし、本当は、私は岡部のことをたくさんたくさん知りたくてたまらなかったのだ。
これは、研究者魂というものであって、別にストーカー気質だとか、そういうのじゃないんだからな!
0384ss-62017/05/05(金) 00:21:01.41ID:PzR34oQy
※ ※ ※

夜が明けた。
病院に電話するには、まだ早いが、居ても立っても居られない。
昨日の夜の時点で、橋田は、私に「オカリンとドクターの居場所を教えることは出来ない」と言っていた。
言えば、私がそこに向かってしまうくらい近くにいるということなのだろう。
そして、私には橋田にはないアドバンテージがある。
11歳までパパと一緒に暮らしていたのだから、パパの行動パターン、特によく使うホテルなどは、全部覚えている。
パパに、岡部を殺させたりはしない。
固い決意で、東京駅近くのホテルへと向かう。

パパは発明家として、テレビタレントとして、それなりに稼いでいたはずだが、普段の暮らしで贅沢は言わなかった。
タイムマシンなどの研究開発に、すべての資産を注ぎ込んでいたからだ。
安い、だけど、駅から近いビジネスホテル。
昔の言葉で言うなら木賃宿。
足を棒にして、片っ端からあたっていく。

路地に入ると、どっかの酔っ払いが凄い匂いの吐瀉物にまみれて眠っていた。
岡部に見つかったら、一人でこんな危険な場所に来るんじゃないと叱られそうだ。
……だって、あんたを助けるためじゃない。
心配かけるあんたが悪い。
まさか、この間みたいに大怪我をして、この酔っ払いみたいに路地に倒れてるんじゃないだろうな。
おかべぇ……。

10軒目のホテルで、「牧瀬章一様の名前でご予約を頂いていましたが、来られませんでした」という解にたどり着いた。
ホテル代の半額のキャンセル料を払いながら、情報をとろうと試みたが、ホテルの人は何も知らなかった。
参った。

くそお……岡部のバカバカバカ。

心配しちゃうだろ。
あのバカには、私の身がわりになって死にかけた実績があるのだ。
本当に本当に勘弁して欲しい。
っていうか、私には連絡入れないけれど、まゆりには連絡入れてるのかな?
だとしたら、それはそれで寂しいものがあるな、うん。

人の往来が増えて来ている。
ひと息つこうと、コンビニでトイレを借りて飲み物を選んでいると、背後で「ラッキーストライク」と声がした。

「!?」
0385ss-72017/05/05(金) 00:23:18.28ID:PzR34oQy
振り返るが、岡部はいない。
背の高い、東京土産のTシャツを着たアジア系のイケメンが、カウンターでタバコを注文しているだけだ。
声も背格好もチノパンも、岡部に似ているが、岡部ではない。
岡部も、パパもタバコは吸わないはずだ。
買い物を済ませたイケメンが、そそくさとコンビニを出ていく。
いや、ちょっと待って、ちょっと待って、お兄さん。
それに、買い物袋に、薄っすらと赤いボトルが入っているように見えるのだが、あれはもしかして、ドクペなのでは?

研究者としての観察眼に自信があったなどというつもりはない。
ただ、単に、あたれるスジを全部あたって絶望しかけていたから、一縷の望みを抱いて、その岡部じゃない男を追っかけてみただけだ。
だが、追いかけはじめて20歩でわかった。
だって、この私が、二ヶ月以上探し回った、惚れた男を見間違うわけないなかろーが。
私は、こう見えても岡部探しのプロフェッショナルなのだぜ?(ドヤァ)
さっきは、横顔で、前髪を垂らしているので錯覚してしまったが、不思議なもので、後ろ姿なら見間違うことなく岡部だと断言できた。

⋯⋯よかった⋯⋯あのバカ、死んでなくてよかった⋯⋯。

絶対、いつか好きだって言おう。
人生は、何が起こるかわからない。
自分がいつ死ぬか、相手がいつ死ぬかわからない。
大事なことは、後悔しないように、ちゃんと言える時に言わなくっちゃいけないよね。
デジャブを感じるたびに、いつも思っていることだが、今日の想いはデジャブなんかなくても切実だ。

岡部は皇居外苑に入っていく。
遠目で様子を伺って石のベンチにパパが座っていることこわかった。
心臓が痛い。
近寄るのが怖い。
でも、でも、岡部を護らなくっちゃ。
私は、岡部を護る。
岡部を護るのだ。
橋田は使えない。
橋田は岡部にとられてしまった。
だけど、私には、まだほかのラボメンたちがいる。
頼りになる親友がいる。

実は、さっき岡部を見つけた瞬間に、メールをしておいた。

【見つけた!】
一番いい装備を頼む!






※ ※ ※
0386ss-82017/05/05(金) 00:27:07.88ID:PzR34oQy
※ ※ ※

「牧瀬先生! 牧瀬章一先生じゃないですか! 私ですよ、大学で先生に物理を教わった私です! その節は、ありがとうございました!」
俺は、クソ度胸を決め込んで、しらじらしく中鉢に声をかけた。
タイムリープ100回以上の地獄のような経験は、俺にあらゆる出来事に対処するための柔軟性を与えた。
呆然としている中鉢の手を掴んで、親しみを込めて笑顔で握手する。
中鉢は、「おお」と言ったまま、硬直している。
俺に見覚えがないので考えているのだろう。
「いやあ、お久しぶりですね、先生! お会いできて嬉しいですよ!
最近、留学から帰ってきたところで、こっちに全然知り合いもいないし、ずいぶん風景もファッションも変わっちゃって、本当に同じ日本かなっていう感じですよね!
でも、先生はお変わりなさそうで何よりだ!」
さりげなく、中鉢の起こした事件のことを一切知らないようなアピールを入れると、中鉢の強張った顔が少し緩んだ。
これ以上、余計なことを言うとボロが出そうでまずい。
「そう言えば、先生の故郷は青森でしたっけ? 今からお帰りになるんですか?
いやあ、残念だなあ〜。さっき、お姿をお見かけしてプラットホームまでついてきてしまったのですが、ぜひ先生と、久しぶりに一献やりたかったです!」
「ああ、酒か、そうだな......君は何も知らんようだな? 私は、タイムマシンを完成させるまでは酒を断つ誓いを立てているんだ。妻と別居して、タレントで金を稼いで、タイムマシンを作ろうとしたが、あと一歩というところで......」
まだ、タイムマシンは実現するとかほざいているのか。
そんな本当のことを、本気で言ってしまっては、精神鑑定でクロになるのもしょうがないな。
その研究を本気でやっているSERNは、DHCを使ったブラックホール研究は失敗して、やめたことにしているのだ。
ラウンダーを使って、口封じに殺されないだけマシと言うべきだろう。
「そう言えば、牧瀬先生、橋田先生はどうしておられるのですか? タイムマシン研究はどこまで進んだのでしょうか?」
中鉢の目がギラリと光る。
「橋田先生は、残念ながらお亡くなりになったのだ。だが、私は必ずやその意志をついで見せる!」
とうとうと弁じ始めた。
新幹線が来ても、話しは止まらない。
何本も何本も新幹線が出て行くが、止まらない。
さすがに、本物は違う。
止まらないのだ。
この男のブレーキは壊れている。
だが、俺も過去に行った鈴羽がどうなったのかというのは、大いに気になるところだ。
引き出せるだけ、情報を引き出しておこう。
話を合わせていると、ダルからメールの着信があった。

【ドクター中鉢は】
青山の精神病院から監視付き一時外出許可を得て、監視役を買収し、逃走中。

なるほど。
まだ、治っていないということだな。
こうなったら、とことん付き合ってやろう。
紅莉栖の身の安全のためには、この男の考えていることをすべて聞き出しておいた方がいい。

真夜中の1時半に終電が出て、東京駅を追い出されるまで飲まず食わずだった。
その後、居酒屋に連れていくと、ろくに注文もせずに焼酎一杯で延々と演説を続け、朝になって追い出されて、皇居外苑に来た。

※ ※ ※
0388名無しさん@ピンキー2017/05/14(日) 22:49:46.21ID:jpfV1KZK
※ ※ ※

 さて、いよいよだ。
 昔話はたっぷり聞かせてもらった。
 問題は、これから、中鉢が何をするのかだ。
 紅莉栖に接触するつもりがあるのかどうか、それを聞き出さなくてはならない。

 コンビニを出て、皇居外苑に戻る。
 足取りが重い。
 正直に言うと、怖いのだ。
 この半日で、中鉢の異常性はよくよく理解できた。
 新幹線に乗ると言ったまま、乗らなかったり。
 ホテルをとれと言って、泊まらなかったり。
 その場の思いつきで行動して、発言していて、感情の制御がなく、周りの迷惑御構い無し。
 タイムリープのやり過ぎで、ボロボロになっていた自分自身を思い出させてくれる。
 孤独のもたらす狂気。
 この男は、どんなきっかけで、いつ逆上するかわからない。
 紅莉栖の話をしてもいいのかどうか、わからない。
 考えながら歩いていると、中鉢のもとに戻ってくるのにずいぶん長く、時間がかかってしまった。

 短気な中鉢はさぞ、焦れていることだろう。
 深呼吸をして、中鉢に声をかける。

「牧瀬先生、タバコと飲み物を買って参りました」
「うむ」

 中鉢は、偉そうにうなずく。
 買ってきて当然、という顔だ。
 ベンチに座って、足を組んで俺を睨んでいる。
 この男の瞳の色は、紅莉栖のそれによく似ている。
 真珠色というか、ロシア人のような薄い灰色、光の加減では水色にも見える。
0389名無しさん@ピンキー2017/05/14(日) 22:53:20.25ID:jpfV1KZK
「朝になったらもっとたくさん連れてくるかと思っていたが……二人か」
「え?」
「最初から、わかっていた。君は、病院から私を連れ戻すよう頼まれたのだろう?」

 いや、違いますけどね。
 だが、この際、そういう設定でもいいか。
 しかし、二人ってなんなんだ。

「そこにいるヤツ、こっちへ来い! まとめて相手をしてやるぞ!」

 中鉢の声に、遠くで人影がうごめいた。

「何をしている。早く来い! 私は逃げも隠れもせん!」

 いや、あんた青森に逃げようとしてただろうが。
 断酒だとか言いながら焼酎も呑んでたし。
 まあ、勧めたのは俺なんだが。
 遠くの人影が、なかなか動き出さないので、中鉢は明らかにイライラしている。

「おい、来ないなら、こっちから行くぞ!」

 ずいぶん間を置いて、中鉢が三度、声をあげると、

「待たせたわね!」

 と、女の声で応答があった。
 シャープな影が歩み寄ってくる。
 革の上着に革の胸あて、黒のインナーとズボン。ファンタジー世界特有の、身体のラインのはっきり出た凛々しい剣士の装束。
 白い仮面をつけ、腰までも届く赤い髪をカチューシャでとめている。

 俺と中鉢の間に割って入って、スラリと長剣を抜いて、切っ先をピシリと中鉢に突きつけて、

「ドクター中鉢! この人に手を出したら、私が叩っ斬るわよ!」

 大音声で、そう宣言した。
 皇居外苑にたむろしている鳥たちがバタバタといっせいに翔び立っていった。
 悪の大魔王に対峙する女勇者と言った風情だな。
 なんという気迫、なんという美しさ。
 カッコいいぞ。
 これは、惚れてしまうだろ。
 よくよく見ると、ちょっと震えているのだが、そんなところも可愛いぞ。
 よし、この女を俺の嫁にしよう。そうしよう。
0390名無しさん@ピンキー2017/05/14(日) 22:54:04.96ID:jpfV1KZK
 
 さすがの中鉢もア然としている。
 どうやら、これが自分の娘だとは気づいていないらしい。
 まあ、海外の大学を飛び級で卒業しちゃう頭脳派で運動音痴の娘が、いかにも武闘派な腕自慢ですという格好で自分の前に出てくるとは思わんだろうなあ。
 中鉢の沈黙を肯定と受け取ったのか、女はそれだけ言うと、俺たちにクルリと背を向けて歩き去っていった。
 ええ? せっかく出てきたのに、もう帰っちゃうのか!?
 なんだったんだよ、美少女剣士クリスティーナ。

 それまで、対決姿勢満々だった中鉢も、さすがに毒気を抜かれたようだ。

「病院が変なやつを雇ったようだな」

 妙におとなしい口調で、そう結論づけて、女剣士のことはそれ以上触れずに、俺に向き直った。

「先生、これからどうされるのですか?」

「ああ、君と一晩語り明かしたら、少し落ち着いたよ。理解をしてくれる人がいるというものは、ありがたいものだ。
タイムマシンを作るために、いったん青森に帰ろうと思っていたが、橋田先生と秋葉幸隆の墓参りに行って、病院に戻ろうと思う。
どうせ、私は正常なのだからすぐ出られるだろう。正式な手続きをとった方が、あとあと面倒がないからな。そのお釣りはとっておきたまえ。
橋田先生はタバコはお好きではなかったが、幸隆はラッキーストライクが好きでね、先生によく注意されたものだ。秋葉は気をつけないと早死にするぞってね。
結局、二人とも本当に早死にしてしまったわけだが」

 中鉢が立ち上がって、さよならとも言わずに歩み去っていく。

「橋田先生の志も、秋葉さんのお気持ちも、牧瀬先生の信念も、みんな、ちゃんと受け継がれていますよ! 橋田至! 秋葉留美穂、牧瀬紅莉栖! みなさんの、相対性理論超越委員会は死んでなんかいませんよ! ちゃんと受け継がれてますから!」

 やるせない衝動に駆られて、中鉢にとってのNGワードを、叫んでしまった。
 どうしてお前が紅莉栖を知っているのだと聞かれたら答えようがない。

 だがーー。
 俺の声を、どのように受け止めたのかはわからない。
 中鉢は、足を少し止めかけたように見えたが、結局、振り返らずにそのまま去っていった。

 ほっとひと息。
 最後に余計なことを言ってしまったかもしれんが、タイムマシンにこだわっている限り、中鉢は病院をそう簡単には出られないはずだ。
 
 ダルに病院の監視を頼んでおこう。
0391名無しさん@ピンキー2017/05/14(日) 22:55:23.77ID:jpfV1KZK
※ ※ ※

 ラボに帰ってくると、紅莉栖がソファーに横になって眠っていた。
 というか、寝たふりをしていた。

「おい、なんなんだあのコスプレは。まゆりに借りたのだろう? 長剣なんぞ振りかざして、下手したら皇宮警察にタイーホだぞ?」

「はあ? なんのことだかさっぱりね。それよりあんた、私からのメールを一日無視するとかいい度胸じゃない! どこで何してたか全部吐きなさい!」

 煽り耐性の低い赤毛の女が、真っ赤な顔でソファーに座り直してわめいている。
 俺は、そんな紅莉栖の頭をそっと撫でて、ささやく。

「お前が俺を護ってくれるとは知らなかったのだ。行き先を告げずにいて悪かったな、紅莉栖。カッコよかったし、あのセリフも嬉しかったぞ。ありがとう」

「.............し......心配したんだからな......っていうか、何よ、あんたこそ。いつも、そうやって前髪おろしてなさいよ。その方が素敵だから」

 嬉しそうな上目遣いのはにかみ笑い。
 どうも、この天才HENTAI少女はチョロすぎるようだ。ちょっと褒められただけで簡単にデレおって。
 心配なのは、お前の方だと言ってやりたい。キュンキュンしてしまう。心臓に悪い。

「オカリン、ツンデレ乙!」
「クリスちゃん、ツンデレ乙だよ〜」

 いつの間にか、背後にダルとまゆりが立っていた。

「「ツンもデレもしとらんわああっ!」」

 見事にハモった。
 ここまでテンプレだな。

「ところで助手よ。俺の白衣を知らんか?」
「屋上」

 ぶっきらぼうに紅莉栖が告げるので、屋上にあがった。
 ダルとまゆりに冷やかされながら、紅莉栖がついてくる。

「わ、私は、ほかの洗濯物を取りに行くだけであって、別にあんたと二人っきりになりたいとかそんなんじゃないんだからなっ」

 俺だ。
 なるほど、これもシュタインズゲートの洗濯というわけか。
 そういうお寒い駄洒落も、我が最愛の助手が言うなら耐えてみせるさ。
 エル・プサイ・コングルゥ。
0392名無しさん@ピンキー2017/05/14(日) 22:56:13.95ID:jpfV1KZK
無職転生のエリスさんがカッコよすぎるのでクリスティーナにコスプレして貰いたい件

おしまい
0393名無しさん@ピンキー2017/05/18(木) 08:25:35.18ID:pYukCb4Z
.
0394名無しさん@ピンキー2017/05/19(金) 15:05:58.06ID:5/SDyuUx
髪コキしろよ!!かけよ!!!
0395名無しさん@ピンキー2017/05/20(土) 08:38:11.76ID:Ooh3M2aO
髪コキの魅力について、ねっとり丁寧な描写が必要に思う
そういう性癖のない身には魅力がさっぱりわからんので、わからせるためには、ぜひ必要
だいたいオカクリで二次創作頑張ってるのは女が多いわけだし、女が魅力を感じるくらいまで説明できれば書く人も出てくるだろうと予想する
0396名無しさん@ピンキー2017/05/24(水) 03:01:05.20ID:pHZPwlev
クリスティーナ!頼むから髪コキしろ!
0401名無しさん@ピンキー2017/06/18(日) 05:49:58.43ID:zPxKhDo3
くりすの髪コキ 見せて
0402名無しさん@ピンキー2017/07/06(木) 01:45:55.62ID:4fotXEE9
.
0404012017/07/13(木) 23:58:43.85ID:f57YyVhF
「オカリンは、大きなオパーイが嫌いなのかお?」

うつらうつらしかけた私の耳に、HENTAI橋田の声が聞こえてきた。

「なんなのだ、いきなり」

岡部の声は冷静だ。
徹夜明けでソファーに横になっている私を見て眠っていると思ったHENTAIふたりが、男子トークを始めようとしているらしい。
いや、このふたりは、私がいれば、むしろ私に聞かせるために胸の話を喜んでやりかねない、セクハラの常習犯なのだが。

「だって、まゆ氏に桐生氏に、フェイリスたん。ラボにはおにゃのこがたくさんいるのに、オカリンは見向きもせずに牧瀬氏を選んだわけだよね。牧瀬氏のミルクプリンは、そんなにいじりがいがあるのかお?」

思った通り、安定のドHENTAI発言。
HENTAIは死ね。氏ねじゃなくて死ね。

「それは違うぞ、マイフェイバリットライトアームよ。俺が助手をいじるのは、すぐに真っ赤になって反応が面白いからだ」
「相変わらずドSですなあ、オカリン。そこに痺れる憧れるぅ」
「助手とるか子は、何かというとすぐ赤面しているだろう?
るか子はモジモジしていて、助手はカッカしているから、別の反応のように見えるが、そうではない。どちらも、“恥じらい”があるからこその反応だ。
まあ、ルカ子をいじっても罪悪感しか生まれないから、やらないわけだが。
一方で、まゆり、指圧師、フェイリスだが、意外と神経が太くて、反応が薄いのでいじりがいがない。
ひょっとすると、神経の太さと胸の大きさは比例しているのかもしれんな」

ハッハッハと二人が声をあわせて笑っている。
そんなわけあるか、あってたまるか畜生、非科学的な自称マッドバカエンティストめ、八つ裂きにしてやりたい。
0405022017/07/13(木) 23:59:23.33ID:f57YyVhF
「でもそれってさあ、オカリン、自分はいじめっ子ですっていう話だけど、本当のところはどうなん? もしかして、オカリン自身が初心で恥ずかしがり屋だから、自分と同じタイプの牧瀬氏に親しみおぼえてるんじゃね?」

「ふっ」

岡部の、自嘲の混じった苦笑。

「まあ、そうかもな。俺とあいつは、照れ屋で、からかわれるとつい熱くなってしまう、似た者同士だと思う。あいつと喧嘩しながらも、いつまでもずっとす……でいられるのは、お互いの気持ちが心底で繋がっているからなんだろう」

「おおう!? 急にのろけかお、リア充爆発しろ!!!」

岡部の重大発言は、途中、急に声が小さくなって聞き取れなかった。
私がいることを思い出して、声をおさえたのだろうか。
あいつのことが、何なの?
すごく気になる。
岡部は、私のこと、“いつまでもずっと”なんだって?
「す……」?
「好き」?
にへへ......。
ちゃんと最後まで言いなさいよぉ⋯⋯バカ!

狸寝入りを決め込んでいる間に、岡部と橋田は大学へ出かけて行き、私は、頭の中で岡部の言葉を反芻しつつ、秋葉原にガジェットの部品を漁りに繰り出した。
0406032017/07/14(金) 00:00:36.95ID:07VXOoZJ
実は、もう少しで、危うく狸寝入りがばれるところだった。
橋田と一緒に出かけて行ったはずの岡部が、すぐに戻って来る足音が聞こえて、ソファーの上に起きなおって怒りと嬉しさをうーぱクッションにボコスカぶつけていた私は、慌てて狸の二度寝をしなくてはならなかった。
私の横を、足音をたてずに通り過ぎて、いったん開発室に入って戻って来た岡部は、私にそっと薄もののシーツをかけて、さらっと私の髪を撫でて黙って出て行った。
橋田の目の前ではやりにくいので、わざわざ忘れ物をとりに帰るフリをして。
何なのよ、この隠れイケメン。
惚れてしまうじゃない。
っていうか、もう惚れてるけど。
ほんと、人の目の届かないところでばかり優しい、変人め。
こうなったら、もっともっと、この男の本音を探り出してやる。

私と岡部は、恋人同士である。
恋人同士のはずだ。
だって、告白もキスもえっちも済ませていて、別れ話はした事がないから。
だけど、アメリカと日本に離れ離れになって、半年とか一年ぶりに、七夕みたいな再会をするたびに、私と岡部の関係性はものの見事にリセットされていて、
お互いどんな顔をしていいのかわからなくなっていて、もしもいいことをしようと望むなら、気持ちも新たに告白からやり直さなくてはならないのだ。

「岡部先生、えっちがしたいです」

なんて、何度も練習してきた冗談めかした誘いの言葉は恥ずかしくって、言えなくて。
出会った途端、言わなくていい強がりの暴言ばかりが溢れ出て、素直になるのに時間がかかって、別れの間際になってようやくお互いの愛を確認するということの繰り返し。
いつまでも新鮮と言えば聞こえはいいが、一年にほんの数回しかイチャコラできない。
恥じらいがあって面白い?
あんまりふざけないで欲しい。
こっちが、どれだけ悩んでいると思っているのか。
“恥じらい”なんて事象の地平線に捨ててしまって、出会った瞬間、いきなり岡部に抱きついて唇を奪ってホテルのベッドに押し倒せれば、どんなに楽だろう。
なのに、とうの岡部は、余裕綽々で、“恥じらい”を愉しんでいるだなんて。
空いた口が塞がらない。
なんなのよ、もう!
朴念仁!
唐変木!
昼行灯!
倫太郎!
せっかく、恋人なんだから、もっと、いいことしようよぉ……。
0407042017/07/14(金) 00:01:14.52ID:07VXOoZJ
秋葉原で、いろいろな部品を買い漁って、ホテルに帰り、「論文仕上げるまでラボに行けない」とラボメンたちにメールをうって、ホテルに缶詰めになって、一つのガジェット製作にとりかかった。
「天才とは努力する凡才のことである」と、アインシュタインは言った。
アインシュタインと同じく、私は天才ではない。
私と岡部の間に横たわる「恋人なのになぜかイチャコラできない問題」を科学的に解決するための努力は惜しまない。

パンパカパーン!!
未来ガジェットの試作品、「透明人間スーツ」誕生である。
まず、全裸になって、顔以外の、頭と身体全体を覆う、もじもじくん的な白いタイツスーツを装備する。
足首に装着したスイッチを入れると、スーツ全体を電磁的結界が包み込む。
ノートパソコンを起動。
USBポートにつないだリュックサックの半分くらいの大きさのパルス発生装置が、パソコン内のプログラムを、およそ半径約10mにいる人の脳へと送りこむ。
プログラムによっては、そこに存在するわけのない天翔ける龍を大迫力で見せることもできることだろう。
この度は、スーツの電磁的結界内への人の注意力、認識力を最大限、低下させるプログラムだ。
スーツを着込んだ人物は、そこにいるにも関わらず、いなくなるというわけだ。
極薄の特殊ポリマーで出来た白色のスーツは極薄で、ホテルの洗面台の鏡で自分の姿を確認すると、かろうじて透けてはいないものの、ぴったりと身体に張り付いて、なぜか尖った乳首やあそこのスジの形までくっきりと浮き彫りになっている。
なんで、乳首勃ってるのよぉ……。
おとなしくしときなさいって。
引っ込め! 引っ込めったら!
0408052017/07/14(金) 00:01:52.19ID:07VXOoZJ
こんな格好で、岡部の前に出るなんて絶対むり。
見えなければどうということはないはずなのだが、例えば、岡部がノートパソコンのコードに足を引っ掛けて、ガラガラガッシャンでパルス信号が止まって、この姿を見られたりしたら。
死ねるな。
岡部の目玉をグリグリやって、「目が、目がぁ〜!」とか言わせることになると思う。
あと、顔の部分は目のところだけ空いたパンツみたいなマスクを後付けで装着することになるのだが、これはこれでビジュアル的にどう見てもHENTAI仮面だ。
我ながら、どうしてもう少しマシなデザインにならなかったのかしらね……。

「透明人間になって岡部の本音を覗いちゃおうオペレーション」に必要な道具はすべて揃った。
これを実行すべきでない理由は、いくらでもあげられる。
脳科学をノゾキに使おうだなんて、科学者倫理にもとる。
黙って岡部を実験に協力させるだけならむしろ罪悪感なんて無いけれど、その内容が人のプライベートを覗くということなら、私のキャラじゃない。
ないと言ったら、ない。
ラボの中に、盗聴器とか隠しカメラを仕掛ければそれで十分とも言える。
だが、盗聴盗撮は、岡部が嫌な顔をしそうな気がする。
岡部は、エシュロンが大っ嫌いなのだ。
岡部の嫌がることはできない。
その点、透明人間スーツは、まだ可愛げがある。
いや、岡部からしたら、これもアウトなんでしょうけどね。
もんもんとしながら、一回だけ、岡部の本音を一回聞くだけ、それも、聞き出した後は正直に告白すると胸に誓って、装備一式を旅行用のキャリーバッグに詰め込んだ。
明日は、まゆりや橋田、漆原さん、フェイリスさんがメイクィーンの雷ネットイベントにかかりきりになっているはずだ。
普通なら、岡部もなんやかんやと理屈をつけて駆り出されて、執事服でイベントにつきあっているところなのだろうが、今回はぬかりなく、私からメールを送ってある。
0409062017/07/14(金) 00:30:20.04ID:lDz824Aa
【はろー】
岡部、今日は池袋? だったら、私、ラボに泊まってもいいよね? 新作ガジェット持って行くから、明日ひとりでラボに来て見てクレクレ。ラボメンには内緒のガジェットだからそのつもりで。

何も嘘はついていない。
これは、岡部の大好きな新作ガジェットのテストに過ぎない。
岡部が来ても、私の姿が見えなくて、テストが始まっていることに気づかないだけだ。
一生懸命言い訳を用意して、それでも消えない罪悪感。
いつまでたっても私とイチャコラしてくれない岡部への怒りに転化しておくことにしよう......。
0410072017/07/14(金) 00:31:09.10ID:lDz824Aa
ーーーー岡部side

「論文仕上げるまでラボに行けない」

と、突然、紅莉栖からメールが来て、会えなくなった。
寂しい。
一日あたり、ほんの数分でも電話やメールがあればいいのだが、それすらもない。
この先、いきなりアメリカに帰ると言い出す可能性も十分にある。
日本とアメリカに離れ離れでいる間は、我慢せざるを得ないのだが、すぐ近くにいるのに会えないということが、かくもつらいとは。
日本には休暇で来たんじゃなかったのかと、怨み節の一つも言いたくなるところだが、こらえて黙っている。
紅莉栖は、俺やラボにはもったいない、超のつくレベルの天才だ。
本人いわく、ただの努力家なんだそうだが、ともあれ、こいつがラボメンでいてくれているというだけで、世間的には十分、奇跡の範疇である。
贅沢を言うとバチが当たる。
何もかも、天才美女の仰せのままに、だ。

うつうつと愉しまずに一週間がたち、紅莉栖のいないラボに顔を出すのも嫌になってきて、池袋の実家で八百屋の手伝いをしていると、ようやくメールが来た。

【はろー】
岡部、今日は池袋? だったら、私、ラボに泊まってもいいよね? 新作ガジェット持って行くから、明日ひとりでラボに来て見てクレクレ。ラボメンには内緒のガジェットだからそのつもりで。

何度も何度も読み直す。
論文を書いていると言っていたはずだが、いつの間にか新作ガジェットを完成させていたらしい。
それとも、ガジェットのための論文だったということか?
説明不足でよくわからんが、あえてくだらない質問をして、あいつの貴重な時間を奪う必要もないだろう。
ラボに行って待ち受けようかと思ったが、どうやら、紅莉栖自身が今夜はラボに泊まることにしたらしい。
ふむ……。
会いたいが、明日まで我慢か……。
0413名無しさん@ピンキー2017/07/14(金) 11:34:22.57ID:lDz824Aa
我慢なんか、できるわけがなかった。
いやらしいことはするつもりはないが、せめて紅莉栖の寝顔を確認したい。
真夜中過ぎに終電が出るのを待って、秋葉原に向かって歩き始めた。
紅莉栖の指示は、「明日ひとりでラボに来て」だ。
日付けが変わっているし、「昨日の最終電車」にも乗っていないので、指示に逆らってることにはならないはずだ。
明朝、あさイチを限りなく前倒ししたに過ぎない。
池袋のサンシャインを横目に、春日通りに出て、後楽園を経由する。
秋葉原までは、約7kmのほぼ直線、のんびり歩いても2時間はかからない。

ラボの窓からは、煌々と灯りが落ちていた。
まだ寝ていないのか。
寝入ったところに忍び込むことになるかと思っていたが、別に起きていても問題はない。
大学に提出するレポートを探しにきたとでも言えばいい。

「実はお前に会いたくて」

などと本当のことを言うことはできない。

「こんな夜中に夜這いかこのHENTAI」

と、どやされるのがオチだからな。
まあ、そうやって顔を真っ赤に染めて喚いているあいつが一番可愛いのだが。

大檜山ビルの二階に続く階段をタンタンタンと、あえて音を立ててゆっくりのぼり、ラボのドアノブに、わざとガチャガチャと音を立てて鍵を差し込んだ。
もし、この丑三つ時に紅莉栖が起きていても、不審者などではなく、この鳳凰院凶真の帰還だと瞬時に悟っていることだろう。
扉を開ける。
うん?
玄関に、折り返しを大きくとった茶色のブーツが無い。
こんな夜中に、コンビニに夜食でも買いに行ったのだろうか?
0414092017/07/14(金) 11:35:49.98ID:lDz824Aa
「クリスティーナ?」

声をかけて、開発室の灯りをパチリとつけて、部屋の様子を伺うが、テーブルの上にあるノートパソコンと、そのUSBポートに接続したタワー型のパソコンのようなものが唸っているくらいで、応答はない。
がっかりすると同時に、少し不安になってくる。
ここへ来る途中のコンビニで買ったドクペ2本を冷蔵庫に入れ、同じくハコダテ一番の塩味と味噌味のカップ麺を棚に並べて、談話室のソファーに腰掛けて腕組みをしてみたが、どうも落ち着かない。
携帯電話を取り出す。

「ああ、俺だ。せっかく駆けつけたというのに、助手が行方不明なのだ。こんな時間に外をほっつき歩くなど、正気の沙汰ではないな。自分がどれだけ美人かわかっていないのか? あいつは。
メリケンでは、東洋人など幼くみられて相手にされんのかもしれんが、こっちでは、むしろ真っ先に狙われる容姿だというのに。
なに? あいつに惚れているのかだと? そんな当たり前のことを聞いてどうする。心配なのだ。あいつの無事が俺の最大の関心事だ。それ以上の多くは望まない。
っと、こうしてここにいてもしょうがないな。何もなければいいが、油断はできん。メールをして、返事がなければ探しに行ってみよう。エル・プサイ・コングルゥ……」

エア通話をやめて、メールをコチコチと打ち込む。

【助手よ】
今、どこだ? ラボの灯りがつきっぱなしではないか。電気代をお前が払ってくれるのか?

いざ、送信しようとした瞬間、カチャンと何か音が聞こえた。
ハッとして開発室を覗き込む。
ノートパソコンの近くに、携帯電話が………空中に浮かんでいた。
なんだ、これは……。
そうか、これが、紅莉栖が言っていた新発明の未来ガジェットなのか。
うむ。
原理はよくわからんが、Dメールやタイムマシンに比べれば、どうということはない。
落ち着いてメールを送信すると、ピロリロリーンと携帯電話が鳴り、ついで電源がオフになって、机の上のノートパソコンのそばにひとりでに落ち着いた。
まるで、「自己否定する装置」だな。
なかなか哲学的ではないか。
10秒間の沈黙。
開発室の奥には、ダルが購入したエロゲや薄い本の通販の段ボール箱が山積みになっているのだが、やけに綺麗に積み直されているようだ。
0415102017/07/14(金) 11:37:07.50ID:lDz824Aa
「いるんだろ? クリスティーナ。わざわざブーツまで隠して。そのエロゲの箱の奥か?」

ふう、と観念したような溜め息とともに、ひょっこりと紅莉栖の顔だけがお面のように空中に浮かんだ。

「うわああああああああ!!!!」
「ちょ、でっかい声出さないでよ! こっちが驚くでしょ!」

頭を透明にしていたものを取り去ったらしく、さらりと長い髪が露出した。
お面よりは、いくぶんマシにはなったが、相変わらず生首なので、十分に怖い。

「おまっ、驚かせているのはお前だ! 首から下を見せろ! 」
「ふむん。だが断る!」

紅莉栖の美しい生首を見ている間に、徐々に、首から下のシルエットが浮かび上がってきた。
「そこにあるべきもの」を、脳が補完しているらしい。

「…………はあ。びっくりするではないか。だが、まあいい。心配させるな。こんな深夜にお前が外を出歩いているのかと思ったぞ」
「ごめん……」

紅莉栖が上目遣いで頬を赤くしている。
可愛い。
この表情が好きなんだよなぁ……。
だが、生首だ。

「岡部の本音が聞きたくて、透明人間スーツを作ってみますた」
「相変わらず、すごいことをさらりと言ってくれる。斜め上の天才とか、才能の無駄遣いというやつだな。そんな回りくどいことをしなくても、俺の本音を聞きたければ素直にそう言えばいいだろう」
「それで話すような素直な彼氏だとは思えないわけだが。さっきの……び、美人とか、惚れてるとか、心配とか……」

さっき、何を呟いていたか思い出して、俺も自分の頬が熱くなってくるのがわかった。
携帯、携帯……。

「俺だ。すべてを盗み見られていたらしい」
「もうそれ、いいって。ねえ、透明人間スーツ着替えるから、ちょっとあっち向いててよ」
「あ、ああ……」

言われるままに後ろを向いた。

「あ......あいたたた……ああっ!」
「なんだ? 大丈夫か? おい!?」

ふりかえると、今度ははっきりと見えた。
白色のぴったりした全身タイツ姿の紅莉栖が、床にヘナヘナと崩れ落ちるところだった。

「しっかりしろ!」

駆け寄って、抱き抱えると、ピリピリと指先に電気が疾った。
0416112017/07/14(金) 11:39:16.30ID:lDz824Aa
「ス、スーツ……帯電……」

完全に脱力した紅莉栖を抱き抱える。
改めてみると、身体のラインが隅々までくっきりと浮き出た薄手の生地だ。
服を着ているにもかかわらず、均整のとれた紅莉栖の細い身体は、全裸よりもかえって艶めかしい。
っていうか。
乳首勃ってるぞ、おい。
生唾を飲み込む。
今は、それどころじゃない。
紅莉栖の身体から放電させなくては。

「水道の蛇口に触って電気を逃がすぞ?」
「ひ、火花……」
「ガスの元栓は確認しよう」

シンクの前まで引き摺って連れていって、水道の蛇口に触れさせると、案の定、バチっと火花が飛んで、紅莉栖がビクッと震えた。
談話室のソファーに寝かせる。
紅莉栖は、片方の腕で胸を、もう片方の腕で股関を隠して、顔を赤くしたまま目を閉じている。
少し息遣いが荒いが落ち着いたようだ。
濡れたハンカチでひたいの汗を拭ってやる。

「どこも痛くないのか? 火傷していないか見てやろうか?」
「大丈夫、ちょっと麻痺してて……」
「感覚が無いのか。仕方ないな。脱がせるぞ?」
「HENTAI……」
「そう言われてもな。怪我していないか確認するだけだ。駄目か?」

今度は、ずいぶん長い間があって、紅莉栖が黙って胸の上に置いていた右手を退かした。
これは、YESということなのか?
っていうか。
思わず手が出て、かたく尖った両の乳首をむんずとつまんでしまっていた。

「ひっ、バ、バカッ!!」
「だってお前、こんなに勃っているではないか! これは、つまり、アレだろう!」
「ち、違う! 興奮してるわけじゃなくて」
「発情しているのだろうが」
「違うと言っとろうが!」
「じゃあ、なんなのだ」

クリクリ、グニグニ。

「あああああん!!! らって……!!」
「らってじゃない。こんなにビンビンにしてたら襲われても文句は言えんだろうが!」
「ち、違うの…………このスーツを着るとこうなるだけだから、お願いもう許して……」

涙目紅莉栖の可愛さは異常。

「そ……そうか……すまなかった」

手を引っ込める。

「……もうちょっと、優しくして……」
「……は?」
「まず最初はキスからでしょ、もう! 頭撫でるとか! 優しくしろって言ってんのよ、バカ!!!」
0417122017/07/14(金) 11:42:37.19ID:lDz824Aa
「お、おう……」

なんかよくわからんが、いいことはいいらしい。
では、遠慮なく頂くとしよう。
スーツの上から乳首にパクリと吸い付いて、もう片方の乳首の頭を優しく撫でさする。

「ヽ(`Д´)ノ ウワァァァン!! ちょっと違う!!」

無言で乳首を舐めながら、股間の突起を探りあてた。

「ちょ、おま、そこダメっ! 今、敏感だから!」

そう言われると、もっと虐めたくなるのが男のサガというものだ。
俺は悪くない。
こいつが可愛すぎるのがいけないのだ。

「クリスティーナ。お前の身体がエロ過ぎるのがいけないのだぞ?」
「そ……そう?」

なんだか急に嬉しそうだな、おい。
ティーナを否定するのも忘れおって。
カリカリカリカリと、紅莉栖トリスを引っ掻いてやると、ぎゅっと抱き締められて、強引に唇を奪われた。

「き、気持ちいいよぉぉ、ダメ、我慢できない、もう! やめ、このスーツ濡れたら……ダメええええ!」
「どうしたらいいのだ」

はあはあはあと荒い息遣いの中で、紅莉栖が自分でタイツスーツの股間をビリリと引き裂いて、熟した果実が現れた。
って言うか、このすごいスーツ、濡らすのはダメでも破くのはいいのか?
0420132017/07/14(金) 23:37:42.45ID:DNGZvX19
さっそく、紅莉栖の中の紅莉栖に口づけ。

「あ……う……」

苦しそうなうめき声をあげて股をよじり、逃れよう塞ごうと、締め付けてくる。
やめて欲しい。
ただでさえ馬面シャクレの俺の変顔が、もっと変になったらどうしてくれる。
両手は乳首へ。
これは……。
紅莉栖の大三角形だな。
この三つの核(コア)により、紅莉栖のHENTAI思考が統御されているに違いない。
この向かって右の乳首が、キャスパー。
この向かって左の乳首が、バルタザール。
そして、中央の普段は皮をかむった大人しそうに見えて、その実、一番激しいヤツがメルキオーレ。
おお、紅莉栖、そなたは身の内にかくもエロい大賢者たちを宿らせていたのか。

「おバカな厨ニ病思考を宿らせてるのは、あんただろうが! そんなに一生懸命、あちこち触ったら……!!!」

ビクッと、紅莉栖がのけぞった。
軽くいったらしい。

「おかべぇ……もう、もう切ないよぉ……」

紅莉栖が腰をグネらせながら訴える。
俺も、長らく使っていなかったサイリウムセイバーを引き抜いた。
ベトベトの熱い蜜壺に、ベトベトの熱いセイバーをねじ込んでいく。

「あっ、あっ、岡部っ、好きぃ……」

明日になったら、むつごとの間に何を口走ったのか、一切覚えていないのも紅莉栖の特技の一つだ。
プラスとマイナスが結合して、イオンが激しく相互に行き来し始めた。

「お、おかべぇ!」
「く、紅莉栖っ!」

セイバーが紅莉栖を貫いて紅莉栖の中をかき乱す。
紅莉栖の絶え間ないよがり声と、体力不足の俺の情け無い息切れのゼーゼーのバックで、クチュクチュ、パンパンと卑猥な音が深夜のラボに響きわたっている。
臭い消しを買ってきた方がよさそうだな。
0421142017/07/14(金) 23:39:13.61ID:DNGZvX19
紅莉栖が起き直って、俺に抱きついて、対面座位で自分からクイクイと腰を使い始めた。

「マ、マヒは!?」
「お、おかげさまで治りますたwww」

はぁはぁと、こっちも体力のない荒い息遣い。
険しく潜めていた眉を、一瞬、緩めてニマニマと笑顔をみせてくれる。
楽しそうで何よりだ。
いつの間にかタイツスーツの両乳首のところが破けていて、はみ出た乳頭を俺の胸にこすり付けている。
自分で破いたのだろうか?
結構HENTAIだなぁ、こいつも。
っていうか、こういう動きをされると俺も乳首が気持ちよくなってきて……あっ……ぁっ……もうそろそろ我慢の限界なのだが……。

「ねえ、岡部」
「なんだ?」
「一緒に、いきたい! タイミングあわせて、一緒に行くの。お、お互いの気持ちが心底で繋がってたら、それくらいできるでしょ! 失敗したら、当分お預けだからなっ」
「おいぃい!? 意外と無茶ぶりだな!?」
「ほら、テン、ナイン、エイト、7、6、5、4」

「「3、2、1、0!!」」

ものの見事にフィニッシュが同時だった。
梅雨空のロケットだ。
ようやく、熱い熱い、長い長い口づけ。
紅莉栖のベロが俺の口中で暴れまわっている。
紅莉栖の柔らかい唇を思う様むさぼりつくす。
完全にリミッターが壊れてしまった。
抑えに抑えてきた想いが爆発してしまった。
俺の大量の精子たちは、みんなみんな、こいつの卵子へとたどり着きたがっていた。
こいつのすべてが愛おしすぎて……こいつが……紅莉栖がアメリカに行ってしまったら、また、生きるのがツラくなるなぁ……。
涙で前が、にじみかけている。
……。
……。
……。
って言うか、膣内(なか)に射してしまったのだが、よかったのだろうか。
ふぅ、と甘い感じの吐息をついた紅莉栖が、潤んだ瞳で、俺の潤んだ瞳を覗き込んでくる。

「岡部先生、えっちがしたいです……」

意味が、わからない。

なんだって?
今、したところだろう。
でも、意味がわからないなんて言えないな。
なんせ、俺たちはシュタインズゲートの選択により永遠の契りを交わしてしまった中なのだからな。
なんと答えればいい?
なんと答えようか?
なんと答えれば正解なんだ?
さっぱりわからん。

「黙ってないで、何とか言え!」
0422152017/07/14(金) 23:40:05.35ID:DNGZvX19
用意していたジョークがすべったコメディアンが、真っ赤になって、俺の頬をつねりあげてくる。
地味に痛い。
なんとかやめさせなくては。
咄嗟に口走る。

「可愛いぞ、紅莉栖」

紅莉栖の動きがピタっと止まった。
俺の頬をつねるのをやめて。

「おかべ……あんた、ちょっとおかしいわよ? 頭開いて診てあげようか?」

結構、真面目な顔で心配してくれた。
いやいや、お前だって、結構、普通じゃないと思うぞ? 助手よ。




ソファーの隣で、普段着に戻った紅莉栖がチクチクと透明人間スーツの破れを繕っている。

「それ、お前の手縫いなのか? どれくらいかかった?」
「一週間」
「じゃあ、あのノートパソコンに繋いでいるガジェットは?」
「あれは、五時間くらいよ?」
「プログラムは?」
「一時間ね」

ふむ。
我が最愛の助手は、そういうヤツだ。
まゆりとは、完全に逆方向の才能なのだ。
頑張り屋さんの頭と長い髪を撫でてやると、紅莉栖はちょっと手を休めて、今度破ったらあんたが縫う番なんだからな、と横目でジトッと睨みつけてきた。
こいつが自分で破ったのに、ぬぁあぜ、俺が怒られなければならんのだ。
これは、もう一発、きつーいお仕置きが必要のようだなぁ? 助手よぉ。
賢いけどHENTAIな、可愛い栗色の頭のてっぺんにキスを落としながら、 壁の時計をちらり。
夜明けまでには、まだ時間があるようだしな。

「栗ご飯、おかわりしたい」

ささやきかけると、紅莉栖がぷっと吹き出して、くつくつ笑って、しばらくしてから、

「不覚!」

と、悔しそうな顔を俺の胸へと埋めてきた。




「しゅたいんずげーと ぜえろ」End
0426名無しさん@ピンキー2017/07/22(土) 06:47:44.88ID:OGTg/epW
髪コキもかいて
0429名無しさん@ピンキー2017/08/13(日) 17:34:35.97ID:X4TqFrwB
髪コキSSくださいな
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