アニメ7話後シチュでヒュウガ(TS)×イオナ


太陽が水平線に沈み、空が薄い蒼からオレンジ色に染まっていく。
海風が長い髪を靡かせ火照った肌を優しく冷やしてくれる。
以前にもこうやって海の向こう側を見つめていた事があった…。
そう、あの時待っていた彼の事を…
自分自身の事を疑問に思うことになるとは予測もしていなかった。

数時間前、艦長である千早群像に休憩をしてくるように言われたイオナは海辺での休憩に合わせ水着に服装を着替え、重巡洋艦のメンタルモデル・タカオと浜辺で対話した。
彼女からの問いに処理能力の乏しいイオナは演算処理が追い付かず、
「分からない」
と、返すしかな呆れさせてしまったのだ。

オーバーフローした感情がもやもやとした、しこりのように胸につっかえている。
だが、イオナにはそれが何かを理解できない。
「分からない、分からない…」
カモをデフォルメしたビニール製風船の玩具をギュッと抱き締めると、
夕日の差すら廊下に「プキュー」と情けない音が響いた。

そんなイオナの背中に、ヒュウガは期待を込めた含み笑いを浮かべながら熱い視線を送っていた。
「(あぁっ!イオナ姉様っ…!なんていじらしい…ヒュウガがいくらでも、この愛で満たして差し上げますのにっ…!)」
彼女の背後にあるユニットが、今か今かとイオナを捕獲するタイミングを窺っている。
「(タカオ、ハルナ達は海から帰って来て別棟に。千早群像達はブリーフィング中…姉様を連れ込むには今しか無い…!)」
先程までのイオナの能力ならば、背後に忍び寄るヒュウガの気配を察知できたであろう。
が、今は他の事に注意を配る余裕は彼女には無かった。
「(イオナ姉様ぁ〜ん!)」
ヒュウガは捕獲用に作動させたユニットと共に、イオナに襲いかかった。

ブリーフィング中の千早群像の目の前のモニターには、イ-401の補修作業の進捗状況がオンラインで表示されていた。
また、艦長である彼が所持しているタブレット型端末にはメンタルモデルであるイオナの所在地も即座に把握できるシステムになっていたのだが…。
今はヒュウガからのハッキングを受け現在イオナが居る位置とは全く別の場所が表示されているのであった。