『はっ、はあっ、ああ、あっ、うああ……!!』

声を上げ過ぎて、喉が軋りながら叫びをばら撒きました。
その時間、私はただ、主人の遺伝子を子宮で受け止める、一個の器になっていました。
それは、荒れ狂う快楽の中で、不思議と穏やかな刹那でした。

その寂静が、長かったのか、短かったのか、私にはどちらとも思えました。
ただ、体から心の奥底まで刻まれる、とても深い体験であったことは確かでした。

『かすみ――かすみっ』

私の心の凪を破ったのは、英治くんの――主人のキスでした。
それがとどめでした。受精の感慨が、肉欲の熱さに、沈んで、一緒に渦を巻いています。
耐え切れず出した喘ぎさえ、主人に飲み込まれていました。

ああ、こんなに近くで、ひとつになって、戻れるのかな。戻れないかな。
それでも、私は良かった。狂おしくも、安らかに、私の意識は溶けていきました。