『んんっ……。よし、これでいいかな。さぁ、シャワー浴びよっか?』
『待って。ビデオの録画はもう終わりにしない……?』
『あっ、すっかり忘れてた……。それじゃあ、シャワー浴び終わったらどんなのが撮れたのか早速見てみようよ?』

そう言ってモニターに映る僕がリモコンを向けてボタンを押したところで映像が途切れた。
その足でバスルームに向かい、汗を流した僕らはバスタオル姿のまま録画したビデオの映像を再生して今に至る。

「その、なんていうか……。僕らがエッチしているのを傍から見ると、結構恥ずかしいね……」
「そうね……。発情期の猫と言っても過言ではないわ」

並ぶようにベッドの縁に座る僕らの顔はシャワーの温浴効果以上に真っ赤になっていた。
再生を終えたビデオカメラの電源を落とし、サイドボードの上に置く。
そっと腕を伸ばして響子さんの右肩に触れると、ピクっと震えた。

「でもさ、ちょっと安心したよ」
「……どうして?」
「何回もキミのことを抱いているけれど、僕がただ欲望のままに響子さんとエッチしているわけじゃなかったんだって証明できて」
「そう……。私も第三者の視点で愛しあっている姿を見て、あなたが義務で抱いているんじゃないって参考になったわ」
「そっか……。今でもココロとカラダ、両方を満たすように僕らはエッチをしていたんだ。ねぇ、響子さん……」

アメジストの瞳をジッと見つめる。
僕に駆け引きなんて似合わないと言ってくれた彼女自身をジッと――。
真っ直ぐに思いを伝えたほうが心に響くってことを証明するために僕は言う。

「さっきの映像を見ていて、もう一度キミを抱きたくなったんだ。過去の自分に負けないくらい今の響子さんを愛したい」
「誠くん……」

互いの視線が熱を帯びたように絡み合う。
そして、どちらともなく身を摺り寄せる。

「私も……。あなたの独り善がりじゃないってことを伝えたいの」

そして、互いに離れるのを拒みながらも不自由そうに相手のタオルの結び目を解いていく。
現れる肌に手を伸ばしたら抱擁と口吻で身体を熱く高ぶらせたまま横たわる。
再び部屋の中は、僕らの甘い喘ぎと熱い吐息で満たされていくのだった。


――響子さんと愛しあった記録(シルシ)を残した。


END


昨年、霧切さんの誕生日にも書いたのだから苗木くんの誕生日にも書かざるを得ない。
お目汚し、失礼しました。