それは、ピンクの紙と、青い紙だった。
それぞれに、相合傘のような絵が描かれている。

「何これ?」
優子が問いかける。
「こないだ、変な店で買ったんだ。
アタマが良くなるおまじないをやるのに必要なんだって。
でさ、アタマいい奴の協力がないと効果がないらしいの。
だから、右側に、アンタの名前を書いて欲しいの。」

「どうして、私に…?」
「優子ちゃん、クラスのやつらと話せなくて困ってるでしょ?
それに、名前書いたら、みんなと仲良くなれるよ!
アタシも、賢くなりたいし、協力してよ。」

(よくわからないけど、おまじないなんてあるわけないじゃない。
でも、クラスの子達ともコミュニケーションを取れなくて困っているのは本当だし、適当に合わせておけばいいわよね。)
優子は、少し戸惑ったが、早々と二枚の紙に自分の名前を書いた。

「サンキュー優子ちゃん。」
由美は、一瞬だけニヤリと笑って、教室に戻っていった。