「いやああんっ!」
絶叫しながら、ダークパイソンを弾き飛ばしたわたしは、敵の方に向き直る
と、キッと睨みつけて
「なにすんのよ、反則じゃない! この変態野郎!」
と罵ったが、やつはどこ吹く風で

「オッパイ触るのは反則じゃないぜ、それにしても柔らかくて、揉み甲斐の
あるオッパイだったな」
と憎たらしい言葉を返してきた。まあ、悔しいっ!

その後も激しい攻防が続いたが、ダークパイソンのパワーとスタミナは無尽
蔵のようだった。その上レスリングのテクニックも結構優れている。スケベ
だけどすごい強敵だった。その内に、わたしの方が先にスタミナが切れかけ
てきた。すこしヤバい雰囲気になってきたの。そして……

――しまった! まずいわ!
わたしは、リング中央でボストンクラブ・逆エビ固めを完全な形で極められ
てしまったの。パワーファイターが最も得意とする技で、相手の両脚を持っ
て背中を反らせる技よ。単純だけど効果は抜群なのだった。

「ううっ、苦しいっ!」
背骨を締め上げられ、大変な苦痛に襲われたわたしは、大声で悶絶しながら
必死に耐えていた。

「フフフ、いいかげんギブアップしなよ。楽になるぜ」
「いやよっ、絶対ギブなんかするもんですか!」
どんな技でもそんなに長い時間かけ続けられるものではない。もう少し耐え
れば返すチャンスが来るはずだった。しかし、次の瞬間思いもよらない奇襲
に襲われたのだ。