一大的な闘技の催しである、『スマブラ』はもう四度目を迎えていた。
 参戦者の移り変わりは激しく、今回もまた多くのファイターが参戦する光景を見て、長く参戦し続けているベテランやこの戦いに慣れてきたファイター達は昔の自分を連想させていた。

 所変わって、ここは練習用ステージ、『戦場』。
 爽快な空の上の足場では、四度目の戦いを前にした四人のファイターがここに集っていた。
「お二人共、本日はよろしくお願いします」
「よろしくお願いします!」
 二人の女性ファイターが深く頭を下げる。
 一人は長い銀髪を結んで両脇に流し、黒いコートを纏った少女だ。手には青銅製の剣と魔導書を携えており、理知的な雰囲気を出している。
 その少女、ルフレはイーリス軍の軍師だ。
 もう一人は深い青色をした長髪に金の髪飾りをしているものの、服装と背格好は男性のそれに近い物がある少女だ。
 彼女は名をルキナと言う、流麗な剣士である。
 こう見えて二人は親子の関係なのだが、これに関して周囲は多くを探ろうとはしなかった。
 その二人を前にした二人のファイターもまた、それぞれ異なった反応を見せた。
「そんなに堅苦しくならなくてもいい。こちらこそよろしく頼む」
 大人の女性らしい対応を見せ、軽く微笑んだのは賞金稼ぎ、サムスだ。
 艶やかな金髪を一本に纏めた長身の美女であり、オレンジ色の裾の短いノースリーブベストにホットパンツとかなり身軽な格好をしており、それは美しいボディラインを見せつけている様であった。
「よ、よろしくお願いします……」
 その脇の天使の少年、ピットは対照的に縮こまっている。
 ややボサボサな茶髪に月桂冠を着け、黒いインナーの上にトーガに羽織っているかなり身軽なスタイルだ。
 周りが女性ばかりと言う状況もさながら、その注意は隣に立つサムスに向いている。
 その理由は 数年前、三度目の『スマブラ』の時から来ていた。
『サムスさん、やめてください! 特訓じゃなかったんですか!?』
『そんなに身構えるな……優しくしてあげよう』
『ふぁあああっ!』
 ベテランであるサムスに指導を貰うと言う名目で会うなり、すぐに出力を抑えたレーザーウィップで腕を縛られて成すがままだった。
 天使である彼があっという間に堕落してしまいそうな快感を味わい、空が白み、二度は気絶する程に弄られたのもよく覚えている。
 しかもその一部始終のリプレイまで撮られて脅されてしまい、それから週に二回は遊ばれている。
 その結果、一度も性交などした事はないのに彼の穴は太めのディルドを受け入れられるようになってしまった。
(どうして、今日はサムスさんと一緒なんだろう……やりやすいけど、気が重いや)
 心の中で、重いため息をついた。
「と言う訳で、ダメージをじっくり与えた後にスマッシュ攻撃で吹っ飛ばすのがベターな戦略だな」
「ふむふむ」
「スマッシュ攻撃ですか……」
 彼の杞憂とは関係なく、サムスは二人にスマブラについて説明をしている。その姿からは初回から参戦を続けているベテランの貫録が溢れていた。
 話を聞く二人はピットに特に目をやる事もなく、サムスの話を真摯に聞いている。ピットは気分が重く、サムスの話は途切れ途切れにしか届いてこなかった。
 すると、そのサムスがピットの方を向く。
「ピット。私は二人に戦い方を教えるから、待っていてくれ」
「……はーい」
 やる気のなさげな返事をして、ピットは戦場の奥に腰を掛けた。ここなら流れ弾が飛んでくると言う事もない。