ガンダムヒロインズMARK ]Y [無断転載禁止]©bbspink.com
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語るも良し!エロパロ書くも良し!
ガンダムの娘ッ子どもで妄想が膨らむ奴は集え!
ガンダム以外の富野作品やGジェネ、ガンダムの世界観を使った二次創作もとりあえず可!
で、SSは随時絶賛募集中!
■前スレ
ガンダムヒロインズ MARK ]X
http://nasu.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1385961055/
■関連スレ
ガンダムビルドファイターズでエロパロ
http://nasu.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1381888018/ 本来なら第21話は今回で終わりとなる予定でしたが、文量がまた少し伸びてしまい、現在の投下規制ではもう一日必要になりました。
>>1か>>2に投下規制の状況も書いておけばよかったですね。 「うーん、浅い。やっぱ読まれてたかな?」
シールドの後ろに『仕込んで』おいたジム・ライフルからリンが放った一斉射は、ザクUの左肩部スパイク・アーマーを吹き飛ばした。マゼラ・トップ砲を構えた僚機からの狙撃を、リンは軽やかに掻い潜る。
編隊は崩さず、速度もまったく緩めていない。
ネイサンとシエルに牽制のビームを撃たせる中に自機を紛れ込ませ、ビーム攪乱膜に守りを頼んで安心しきった敵を、近距離からの奇襲でまとめて一気に葬り去るつもりだったのだが。
「さすがにそこまで馬鹿じゃあないか」
くすくすと笑うリンの眼前でマシンガンを構えたザクUが機位を整え、慌てふためいたように機動しながら反撃してきた。だが照準は狂い、火線は明後日の方角へ抜けていく。
そして近距離戦なら、ビーム攪乱膜の効果も薄れる。
閃光が煌めき、90ミリ弾に加えてビームの雨がザクを襲った。
ビームライフルを速射モードに切り替えた、後続する二機からの射撃だ。ビームスプレーガンの系譜に連なるBR-S85は、近接戦闘での速射でこそ真価を発揮する。
三機がかりの集中射撃で、リンの奇襲を生き残ったザクUは次々と被弾。降り注ぐ90ミリ弾と光の矢に右肩の防盾、そして左腕と左腿をあっけなく貫かれ、破孔からぱっと明るく爆炎を噴いた。
マゼラ・トップ砲を装備していたザクUが、予備兵装らしきザクマシンガンに換装しながら応射の火線を開く。三機のジムUはあっさりと掻い潜って防衛線を抜き去り、先頭を行くリンに従って急旋回を掛けていく。
「おお命中、敵機小破! いや中破? やるねぇ、シエルちゃん!」
『どうも』
わざとらしく弾んだ声でリンが賞賛しても、新配属の少女パイロットはつれない返事を寄越すだけだ。かわいいねえ、と微笑むリンに、不機嫌そうにネイサンが聞いた。
『俺も一発当てたんだが』
「知ってる。褒めてほしかった?」
『……今のを凌いだとなると、なかなか手強い。すぐには片付かないぞ。どうする、リン?』
「そうだねー。ジャックには悪いけど、船を抑えるより、まずはこっちの二機から料理しようか。もう敵さんの領域にずいぶん深入りしてる。まあ最悪、あのニュータイプだけ連れて帰れればいいよね」
『つまり、二機とも墜としていいんですね?』
冷たい声音で少女が言った。リンが笑みを深める。
「おっ、いいね。行っちゃう? シエルちゃん、いきなり撃墜数二機稼いじゃう? やる気満々だねぇ! えらいえらい。帰ったら何かおいしいもの食べさせてあげるよ。何がいいかな? そうだなー……」
リンは大きく弧を描いた急旋回を終え、シールドを構えた左手にビームサーベルを握り込んだ。大きく相対速度を乗せてぶつかり合う反航戦、一撃離脱はもう終わった。ここから先は巴戦だ。
試し噴きしたビームサーベルのメガ粒子が、全天周モニターからリンの頬へと照り返す。唇を嘗めた。
「北京烤鴨(ペキンダック)なんて、……どうかな?」 『ノーラ! 生きてる!?』
「だ、大丈夫っ。まだ、まだやれる……まだ、戦える……っ!」
ノーラのザク・ファドランは、一瞬にして半身不随に陥っていた。
四発の高速徹甲弾と三発のビームを浴びても、なお瞬時の機体爆散は免れた。
だが左腕部と左脚部はビームと90ミリ弾に貫かれて大破。機体はAMBAC能力と兵装運用能力の大半を失い、その戦闘力を大きく低下させてしまっている。
ビーム攪乱膜の守りに拠っていてさえ、これか。
生き残れたのは単に幸運の結果に過ぎない。あとほんの少しの不運があれば、自分はこの三十秒足らずの間に、もう三回は死んでいた。
「う、うう……」
冷たい恐怖にノーラは唸った。
一瞬でファドランの機体を貫いたビームを、90ミリ高速徹甲弾の威力を思う。
装甲を破ってこのコクピットに飛び込むそれらに五体をバラバラに切り刻まれ、あるいはメガ粒子の灼熱や融合炉の誘爆に、骨も残さず焼き付くされる瞬間を。
――次に来られたら、もう。
時計を見る。援軍の到着予定時刻まで、あと四分三十秒。
敵機の編隊が切り返してくる。
――保たない。
MS戦でのビーム攪乱膜の効果を見たのか、ケンドー丸はなおコンテナをカタパルトで打ち出してくる。
イオタがプチモビで操る甲板上のビームバズーカもジムUを狙って必死に旋回しているが、MSの機動性に追従できているようにはとても見えない。
『ケンドー丸を守る! 行くよ、ノーラ!』
「りょ、了解……!」
片手にザクマシンガンを、そして片手にマゼラ・トップ砲を抱えたミリアム機が、ノーラ機を守ろうとするかのように前面へ出ながら敵機を追う。
精密狙撃による攻撃を捨てて、制圧射撃による防御――時間稼ぎに徹するつもりなのか。震える声で答えながら、それでもノーラは機体を前に進める。
「ミリ姉っ、――あいつら!?」
急旋回で機動してくる敵機が、ケンドー丸の格納庫へと流したティアーナ機へと急接近している。大きく目を剥いてノーラは叫んだ。
「ティアーナ!!」 シエル・カディスは冷たい殺気をたたえた瞳で、眼鏡とバイザーの下から静かに敵機を睨んでいた。
ザク――ジオン公国の象徴たるMS。
シエルの中でその機影は、ルウム戦役の忌まわしい記憶と分かちがたく結びついている。
少女が生まれ育った家とコロニーを端から端まで焼き払い、混乱の中で乗り込んだ避難船を父と弟ごと沈めた核の炎。遊び同然に脱出艇を追って撃ち抜き、目の前で母の半身と命を奪った砲弾。
その破壊と殺戮の全てが、このMSからもたらされた。
天涯孤独で難民キャンプに放り出された十歳の少女に、銃後の世界は冷たかった。ルナツーから各地を転々とした末、たった一人で送り込まれた旧サイド6のコロニーは、露骨なまでに親ジオン派の空気に染まっていた。
――ジオンはスペースノイド解放の大義のために戦っているのだから、悪く言うことは許さない。
辛いことがあるのなら何でも言いなさい。面接でそう優しく笑っていた転校先のエレメンタリーの教師は、シエルがあの日の記憶を必死に振り絞り、やっと口にした瞬間に豹変した。
おまえは嘘を吐いている。ジオンの軍がそんな非道を行うはずがない。
四つのサイドを潰したのは彼らが解放され、ジオンの理想へ従うことを恐れた連邦軍だ。あの無様な張り子の虎の艦隊が、正義を行うジオンの軍に敵わぬと知ってコロニーへ核を打ち込んだのだ。そうに違いない。
皆さん、この子は重力に魂を引かれたスペースノイドの裏切り者、連邦の豚です。何を言っても信じてはいけません。
ですが、許してあげましょう。彼女は連邦のプロパガンダに騙されているだけなのです。皆さんはこんな愚かなことを言う、悲しい子になってはいけませんよ。
教師はそう公言し、誰もが彼女を冷笑し、群れで平然と蹴飛ばした。学校にも街にも、孤児院にすら居場所など無かった。
シエルに出来たことは、ただ黙々と勉強し、自分を鍛え続けることだけだった。
この手に知識と技術がありさえすれば、自分もジオンと戦える。避難船から脱出艇を出したあの船員の少女のように、連邦軍の兵士になれる。
きっと、復讐できる。
そして80年の1月1日、彼らはア・バオア・クー陥落と停戦発効の報と同時に掌を返した。
ジオン礼賛の空気は雲散霧消した。表向きは。
連邦軍が堂々とコロニーに駐留するようになって、教師も同級生もすべてを忘れたようにザビ家を罵り、未だに各地で破壊活動を続ける残党軍を嘲笑した。
そして、そのまま同級の面子が一緒にジュニアハイへ繰り上がっても、彼らは裏でシエルを連邦の豚と呼ばわって嘲り続けた。
人間とはそういうものなのだ、とシエルは思った。ひとり淡々と磨き上げた、彼らの追従を許さぬ並外れて優秀な成績と能力だけが、少女を支えるすべてだった。
連邦軍のMSパイロット候補生試験にあっさり合格して教育隊に進んだとき、シエルは彼女に出会った。
ちょっと呆れるくらいに胸の大きい、内気でおどおどした感じの少女。
いろいろな意味でよくMSパイロットの適性試験に合格したなと思える少女だったが、なぜか彼女はシエルを初めて目にした瞬間に瞳を輝かせ、さらに彼女がルームメイトだと知るや、すごい勢いで抱きついてきた。
制服の胸で窒息しそうになったので、とりあえず足技で倒した。
「えっ、あなたもルウム出身なの? 私はテキサス! お父さんが無茶苦茶な人で、開戦後も退避勧告をぜんぶ無視してギリギリまで残ってたんだけど……終戦前の戦闘で、とうとうコロニーに大穴が開いちゃって。
だから私ね、生でガンダム見たことあるよ。本物の、アムロ・レイが乗ってるガンダム! ……まあ遠くから、ちょっとだけなんだけどね」
「テキサスって、ああ……。あの、牛の放牧を大規模にやってた。それで……」
「……なんで私の胸を見るの?」
「いや、……別に」
アイネ・クライネは様々な面でシエル・カディスと正反対の少女だった。そうでありながら、二人は不思議と馬が合った。何でもそつなくこなすシエルへアイネは必死で付いてきたし、シエルもアイネの好きに任せた。
ふだん人見知りするアイネが自分と一緒の時にだけ見せる暖かい笑顔に、まっすぐに自分を求めて向き合おうとしてくる真剣な眼差しに、無理矢理に触れあってくる彼女の豊潤な女性美に満ちた柔らかな温もりに、
自分の荒んだ心がいったいどれだけ救われたか分からない。 「そういえばさ。アイネはどうしてMSパイロットを目指してるの?」
「? 私? 前に言わなかったっけ。私は、復興のため」
「復興?」
「そう! 今の連邦軍の使命はそれでしょ。どこのL点もデブリだらけで、そこにはジオンの残党が潜伏してる。
デブリを片して、ジオンの残党をやっつけて――またL点を昔みたいに、人の住める場所に戻すの。それが私の、いま一番MSでやりたいこと!」
「……復興、――そうか」
「うっ……わ、私、大きいことを……。み、みんなには……内緒だよ??」
そういうのも、あるのか。
連邦軍のMSを駆って、ジオン残党のMSを落とす。
殺す。
私のすべてを奪った連中から、今度は私がすべてを奪う。
今までそれしか考えていなかったけれど、それとは違う道があるのだ。
「サイド4駐留艦隊って……拠点も活動領域も、ぜんぜんバラバラだもんね。……ねえ、シエル。私たち……また、会えるかな……?」
「…………」
いつの頃からだろう。アイネの側にいると、胸を締め付けられるような苦しさを感じるようになっていた。
いつも視界の端に彼女を追って、際限なく彼女の存在を求めるようになってしまっていた。
このままでは自分はきっと、アイネを深く傷つける。
「――髪留め?」
「要らなかったら、捨てていいから。――じゃあね」
だから、離れる。互いを忘れる。そして、違う道を歩いていくのだ。
この同じ軌道のどこかで、彼女の幸せを願いながら。
アイネが配属された巡洋艦《アバリス》は、彼女の属するMS隊もろとも全滅した。
徹底的な殺戮を行うことで知られる、ルスラン・フリート傘下のジオン残党勢力《大ジオン仏道》による襲撃だった。生存者はなかったと聞かされた。ひとかけらの遺体すら。
ジオンはまたあざ笑うように、自分の半身を奪っていったのだ。
もはやジオンに連なる者たちをこの世から一人残らず根絶やしにしない限り、自分の人生に一切の安息はあり得ないことをシエルは知った。
『よし、シエルちゃんはあのニュータイプを拾おうか。機体はもうだいぶボロボロだけど、なにせ相手が相手だしねぇ――パイロットが死なない程度に、サクッと無力化しちゃっておいて』
「了解」
消えることのない暗い殺意だけが、今もシエルの心の奥底で燃えさかっている。
目の前のザクも、ふざけた偽装貨物船も、すべてまとめて宇宙の塵にしてやりたい。
かつて奴らが、無防備の故郷と家族を殺し尽くしたように。今またアイネを殺したように。
たとえ自分が受けた仕打ちの万分の一にすら満たなくとも、それで微かには和らぐだろう。この胸に宿る、真っ黒な炎は。
「生かしてやるよ、お前だけは。今だけは、な」
力なく漂流する敵機を蹴飛ばして軌道を無理矢理変更しながら、シエルはビームサーベルの光刃を走らせた。 投下規制対策のため、ここでいったん〆ます。
第21話は次回で 完結する予定です。
リクエスト応募ありがとうございます。
映像本編を見返しながら、少しずつ進めていきたいと思います。
新スレでもよろしくお願いいたします。 全身が熱い。
真っ赤に焼けた弾片が、変形した構造材とノーマルスーツが、五体に深く突き刺さっている。
息が苦しい。
区画はとうに真空になっていた。ノーマルスーツの破損部からエアが抜けていく。補修も出来ない。意識がかすむ。
手足が動かない。
歪んだ構造材の下敷きになり、四肢はことごとく捻り潰された。
四人分の苦痛が少女ひとりの意識の上で重なり合えば、骨折していない部分など残りはしなかった。
「あ、うう……あ、あ、あうう……っ……」
MS墜落を受けた敵巡洋艦マカッサル。そこで墜落に巻き込まれた乗員四人分の苦痛と恐怖が殺到し、ティアーナの意識を一気に押し潰している。
機体はズタズタに引き裂かれていても、ティアーナの肉体に外傷はない。
だが肉体を司る精神の方は、すでに四人分の激痛に塗り潰されていた。戦闘継続はおろか、軽易な操縦すらも不可能だ。
自分の手も足も間違いなく今ここにあるのに、ティアーナの心の中でそれらはとうに砕けていて、だから彼女はそれを少しも動かすことが出来ずにいる。
『とにかく、下げなきゃ……!』
「……のー、…………ら…………?」
『ティア!? 生きて――! ティア……! 良かった、良かった……! いま……いま、助けるからっ!』
その暗闇の中で、少女の暖かく優しい感情を、渦巻く苦痛と薄れる意識の中でティアーナは感じる。
ノーラ、――ボクの、友達。
『ティアーナは、……私が守るっ!』
ノイズ混じりの全天周モニターの向こうで、ノーラ機はザクマシンガンを構える。
そしてティアーナの機体に手を掛け、ケンドー丸の軌道方向へ押し出した。いい計算だ。何事もなければ、自分はこのまま前部ハッチから収容されるだろう。
だが、二人は。ここに残って、迫り来る敵の新手と戦う二人は。
「――!」
激痛に鈍って霞む感覚の中、ティアーナは戦闘の流れを察して感じ取る。
(ノーラ、だめ。逃げて――)
『えっ?』
猛烈な射撃がノーラを襲い、機体を貫く。出鼻を挫かれて撃ち負けても、ノーラ機はかろうじて致命傷を回避した。それでも全身に被弾して左半身が機能を失う。
掩護に入ったミリアムの応射からあっさりと離脱し、敵は二人の防衛線を抜き去って急旋回していく。
敵が強い。勝てない、とティアーナは悟った。
急旋回の機動から、ジムUの一機が自分の直上へ迫ってくる。
明らかに異常な戦闘能力を示した自分を、機体の手足を落としてから鹵獲するつもりなのだ。
そしてティアーナは敵である彼女たちが、ミリアムとノーラを殺そうとしていることも理解していた。
敵は三機がかりでビームライフルとジムライフルを牽制に放ちつつ、一機がティアーナ機に足蹴りを叩き込む。
「あぐっ――!」
激震とともに満身創痍の機体が吹き飛び、少女の機体はケンドー丸への回収コースから外れていく。ビームサーベルを抜き放って追撃が来た。
『ティアーナにっ、触るなあああぁっ!!』
そこへノーラが絶叫しながらザクマシンガンを右手で構え、片手撃ちでは弾着が散るのも構わずに連射しながら突進してくる。
ミリアム機がマゼラ・トップ砲を構え、ようやく砲身旋回を終えたイオタのビーム・バズーカもこちらを狙う。
(ミリアム、そこで撃って――)
『――ティア!?』
ティアーナの思惟に導かれ、ミリアム機がマゼラ・トップ砲を放つ。175ミリ徹甲榴弾は過たず精確無比にジムUの機体主要部を狙って飛翔。
だが見透かすように構えられていたシールドに弾かれ、浅い角度で跳ねて明後日の方角へ飛び去った。
『離れなさいッ!!』
イオタの怒声。死角から挟み撃つようにビーム・バズーカの閃光が走る。だがミリアムの狙撃で牽制してもなお、長大な砲身の挙動は重たかった。
ジムUは軽やかなロールを打って逃れ、かすり傷もなくビームの一撃を回避して後退する。
そこへザクマシンガンの斉射を浴びせながら飛び込み、ノーラ機はジムUを押し退けるようにしてティアーナの側へと滑り込んでくる。 『ティアっ、ごめん! 大丈夫!?』
息を切らせたノーラのファドランが、全天周モニター越しにティアーナを見つめるようにモノアイを巡らせた。
彼女たちを守ろうとするかのようにケンドー丸がまたコンテナを放ち、二人の至近で弾けてビーム攪乱膜の新たな層を広げていく。
だが攪乱膜をいかに的確かつ濃密に展開したとしても、もはや万能の守りたり得ないのは今までの戦闘が示したとおりだ。
ジム・ライフル装備の一機は言うに及ばず、残りの二機も変幻自在の戦闘手段を使いこなす。
そして、敵は決してその手を休めない。流れるように三機編隊を組み直すや、再び一丸となって切り返してくる。
今や彼らの殺意はノーラとミリアムだけでなく、甲板上にプチモビで立つイオタまでもを狙っていることをティアーナは知った。
次の突撃で誰か、彼女の大切な人が死ぬ。
『負けるもんか……ぜったい負けるもんか……私が守るの……ティアーナは……ティアーナは、みんなは、私が……私が、守るの……!』
『――イオっち、援軍は?』
『さっきの通信が最後よ。あと、四分半――』
ノーラの声は震えていた。ミリアムの声は乾いていた。イオタの心はもうここにはなく、彼女はどこかずっと遠くを見ていた。
ティアーナの口元に、ふっと安らかな笑みが浮かぶ。
最後の力を振り絞り、少女はそっと操縦桿を握った。
『――ティア!? あんた、何をっ!?』
敵機のただ中へ向かってスラスターを噴かし、ただ漂流するように接近していく。
同時に自らの腰に残っていたヒートホークを掴み、一気に赤熱させる。そして真っ赤に焼けたその刀身を、自機のコクピットハッチへと押し当てた。
『ティアーナ!?』
『ちょっとこのバカ!! あんた何やってんのよ!!』
「だ、ダメ……ダメよ……ティアーナ。……それだけは……それだけは、ダメ……」
薄い天蓋一枚の下でプチモビルスーツから、必死にビーム・バズーカを操作していたイオタが唇をわななかせた。
「……れんぽーぐんの、ひと、……聞こえる?」
ビーム攪乱膜の内側を抜け、通信系統を自軍専用の秘話回線からオープン回線に切り替えながら、ティアーナは敵兵を呼ぶ。
返答はなかったが、ティアーナは敵がそれを受信したことを直感で知った。
「お願いだから……もう、やめて。みんなを、いじめないで……でないと、ボク……今すぐ、死にます」
ヒートホークの赤刃が、コクピットハッチに触れた。
堅固な装甲板が瞬時に沸騰して泡立ち、ヒートホークに押された分だけ溶解していく。一年戦争時に地球圏最強の装甲材、ルナ・チタニウム合金すらたやすく溶断してのけたその威力は折り紙付きだ。
全天周モニターの映像を通じて、ティアーナはその炎熱地獄をじっと目の前で見つめていた。
希少なニュータイプである自分の利用価値は計り知れない。だから敵が危険を冒してでも自分を捕獲しようとしていることを、ティアーナはすでに見抜いていた。
「ボク……とーこー、します。だから……攻撃、やめて。みんなを、逃がして。助けて、あげて――」
『ティアーナッ!! あなた、何をしているの! やめて! やめなさい! 今すぐ、今すぐこっちに帰ってきなさい!!』
半狂乱でイオタが喚いた。彼女は知っているのだ。
今の地球連邦軍がニュータイプを手に入れたら――それもジオン残党兵などという、人権について一切考えずに済むニュータイプを手に入れたら、一体どうするのかということを。
ごめんね、と心の中だけでティアーナは謝る。
そして、ティアーナも知っていた。目の前の敵が単なる時間稼ぎを受け入れたり、そのまま見逃してくれるほど甘くはないということを。
稼働中のミノフスキー・イヨネスコ式融合炉は、ある一定の条件を満たしながら破壊されたとき、核爆発する。
ミノフスキー物理学の原理に由来するこの融合炉の爆発は、旧世紀の核物理学で定義された核爆発とは異なるものだ。
しかしその規模が通常炸薬の威力を遙かに大きく上回ることから、近年ではこれも新たな核爆発の一種として扱われることが増えていた。
ヒートホークでコクピットブロックを貫き、そのまま一気に胴体内の主ジェネレータを真っ二つに叩き割る。
それで機体は即席の小型核爆弾と化すのだ。 そしてティアーナは今、敵兵たちから『迷い』の色を感じ取っていた。
希少なニュータイプを捕虜に出来るかもしれないこの機会は、敵にとっても強力な誘惑だ。ギリギリまで捕獲を諦めはしないだろう。
自爆など単なる脅しに過ぎないのではないか、と思ってもいる。少なくとも一機は確実に巻き添えに出来るはずだ。
自爆だけで敵を全滅させることは無理でも、両手足を縛られたような不殺の戦いを皆に強いる、自分という枷の存在はなくなる。一分や二分の時間は稼げるはずだ。援軍も確実に近づいている。
その一分や二分の差で、ケンドー丸は――ティアーナの大切な人たちは、助かるかもしれない。
ジム・ライフルを構えたジムUが、僚機を押しとどめるように左手を上げた。単機でこちらへ近づいてくる。
隊長機らしい。自爆の巻き添えに出来れば、大きく戦力を削げるだろう。ラッキー、とティアーナは微笑む。
『――ふざけんなっ!!』
だが耳元のスピーカーで少女の絶叫が、そして後方で感情が弾けた。半身不随のファドランが虚空を蹴り、まっしぐらに前進してくる。
「ノーラ……ダメだよ、来たら――」
『だってこれは、私らの戦争でしょうが! なんで真っ先にティアが死ななきゃなんないのよ!? おかしいでしょ! ふざけんな!!』
彼女の動きを見た二機のジムUが、即座にビームライフルを放った。光弾はノーラ機の手前で攪乱膜に触れてねじ曲がる。
しかしその精確な照準は彼女の中破したファドランなど、ビーム攪乱膜から出た瞬間に撃墜できるのだと無言のうちに語っていた。
『くっそおおおっ! イオ姉ミリ姉、支援してよ! じゃないとティアが! ティアがあっ!!』
「あのね、ノーラ」
『あによっ!? 遺言なんか聞かないかんね!!』
「――だいすき」
『えっ――』
攪乱膜の内側で自機を制動しながら、ノーラは怒りに泣き叫ぶ中で虚を突かれた。
「イオタに、拾われてから……毎日……とっても、楽しかったよ」
涙に霞む視界の中で、ノーラの機影へティアーナは微笑む。
コクピット内に貼られた、何枚もの写真を見た。皆と写っているどの写真の中でも、ティアーナはいつも笑顔だった。
「暗くて寒いところに、ずーっと……一人ぼっちで、いたとき……こんなに、暖かいところがあるなんて……知らなかった。
世界にイオタや、ミリアムや……ノーラが、いてくれて……ボクがこんなに、幸せな気持ちになれるなんて……知らなかった」
装甲を溶かし続けるヒートホークが、コクピットハッチの過半まで沈んだ。
蓄積し続ける超高熱の影響を受けた全天周モニターが、その裏側で歪みはじめる。発泡し、変質し、正面から少しずつ機能を喪失していく。
「みんなはボクに……もう、一生ぶんの……幸せを、くれたよ。だから……、ボクはもう、いいの。ボクの大好きな、みんなが……生きていってくれれば、それで……いいの」
内側から沸騰するように泡が浮き上がってくる全天周モニターに、リニアシートから離れて漂う写真が触れた。
真空の中で高熱に炙られ、写真は見る間に炭化していく。
ティアーナの笑顔が、イオタの優しい微笑みが、ミリアムの澄まし顔が、ノーラの怒り顔が、何もかもが真っ黒な炭になって燃え尽きた。
「とっても、楽しかったよ。だから、ボクは、もう……パパとママのところに、帰るね」
そしてティアーナは、その指先を操縦桿のボタンに掛けた。
あと一押しだけで、彼女のファドランは事前入力されたプログラム通りの動作を行う。
渾身の出力でヒートホークを機内へ押し込み、コクピット内部のすべてを焼き尽くす。そして破損に構わず最大出力で稼働している主ジェネレータを、そのまま一気に破壊するのだ。
「イオタ、……ボクがいなくても、ちゃんと笑って。ミリアム……イオタをおねがい。ノーラのことも、かっこよくしてあげて。
ノーラ、……今までいっぱい、いやなこと言って、ごめんね……。かっこいい彼氏、作って……自慢、してね……」
まだ生きている側後面の全天周モニターと、機体の装甲を通した直感で、ティアーナは近づく敵機の距離を計っている。もっとも適切な自爆のタイミングを計っている。
そして敵も、ただ手をこまねいているわけではない。
側面に一機のジムUが流れて、ビームライフルで狙撃姿勢を取っていた。ヒートホークとマニュピレータを狙っている。
博打ではあるが、その狙撃でティアーナの自爆を封じつつ、一気に攻勢に出てケンドー丸を殲滅するつもりなのだ。
――でも、その動きは全部お見通し。ボクの方が先手を取れる。 みんなを、守れる。
『……ざけんな』
「――ノーラ!?」
そしてティアーナが敵の意識を引きつけていたから、敵の防衛線には中破したファドランに突破を許す、僅かな隙間が生じていた。
ジムUのビームライフルが光軸を放って跳ねる。だがノーラは有らん限りのスラスターを噴かして歯を食いしばり、転がるように掻い潜った。
ティアーナへ迫るジムUへ突進しながら、120ミリ弾の雨を降らせる。連射しながらノーラは叫んだ。
『死にたくない、って言えクソガキ! もっと遊びたいって言え! もっとイオ姉のおっぱい触りたいって言え! 一生ぶんの幸せだあ!?
笑わせないでよ、あんな程度で足りてるわけないでしょ!! まだ死にたくないって言え! たった一人ででも、自分だけでも生き延びたいって言えぇ!!』
ノーラの突撃で、連邦軍が一気にシフトを変えた。ティアーナの捕獲を中断し、全戦力をノーラ機の排除に向けてくる。
イオタがビーム・バズーカを放ち、ミリアムもマゼラ・トップ砲を一発撃つきり、ザクマシンガンに持ち替えて連射しながら突進してきた。
ミリアムは敵隊長機に襲いかかる。ジム・ライフル相手に猛然と連射を交わし合いながら、唇を歪めて絞り出すように呟く。
「青臭いのよ、バカが――これ戦争なのよ? もっと救われない惨めな死に方した子が、今まで何十億人いたと思ってんのよ――」
敵隊長機を気迫で押さえ込むミリアムの掩護を受けていてさえ、敵の反撃はあっさりと立ち直ってノーラを捉えた。
ティアーナを最初に蹴飛ばしたジムUが頭部バルカン砲を放ちながら、ビームサーベルを抜いて肉薄してくる。
ボロボロの機体でザクマシンガンを構え、それを真正面から迎え撃ちながらノーラは喚いた。
「何が大好き、だこの野郎! 最後の最後に分かった風な口利いて一人で小さくまとまろうとする、おまえみたいなクソガキなんかなあっ、私はだいだいだいだいだいっきらいだあああぁーーーっ!!」
『――ノーラ……』
半壊した機体からノーラが撃ち返す120ミリ弾の連射は掠りもせず、逆に60ミリ弾の射線は機体のそこかしこを撃ち抜いて弾ける。弾着に震えるノーラ機へ、敵機はビームサーベルで斬りつけてきた。
「あぐうっ!? くそおおおぉぉぉっ!!」
被弾で全天周モニターのいくつかが割れて薄い空気が噴き出す。ノーラ機の右腕はボロボロの防盾ごと切り落とされて、ザクマシンガンを構えたまま漂流していく。
「こなくそおーーーっ!!」
左肩のスパイク・アーマーはとうに失われていたが、ノーラは構わず突進して体当たりを掛けた。
だがその必死の体当たりもジムUは平然と盾で受け止める。そして敵機はお返しとばかり、コクピットハッチへ突き蹴りをくれた。リニアシートを衝撃が貫く。
「ああーーーっっ!!」
もはや姿勢制御も出来ず、ノーラ機はスピンしながら吹き飛んでいく。回転する視界の中で、別の敵機がビームライフルで狙うのが見えた。
丸い銃口。ロックオン警報と高エネルギー警報が二つ続いて鳴り響く。
回避機動は間に合わない。 ――ああ、そうか。私、死んじゃうんだ。
何も出来ずに。ティアーナも、船のみんなも、誰も守れないままで。
バイザーの下で涙が溢れた。
「――ごめん、ティアーナ……」
そして、ビームが迸る。
強烈な火線が機体の中心を捉え、装甲を撃ち貫いて命を焼いた。
融合炉が暴走し、巨大な爆発が一輪の光球となって広がっていく。
(あっ、――)
その膨大な光量と爆圧を装甲越しに浴びながら、ノーラは激震するリニアシートの上で、ティアーナの気配が消えるのを感じた。
何かが聞こえる。ミリアムの声だ。
『九時方向!? 連絡のあった援軍じゃない――これは!?』
そしてオープン回線に、新たな雑音が進入していた。
呪文のような文言を唱える、男女の声――そして木製打楽器らしき、アップテンポの単調な音色。
『ジオン強者の砲(つつ)の音、諸行無常の響きあり』
『シャングリラの川の色、コロニー必衰の理(ことはり)をあらはす』
急速に接近してくる彼らは、ケンドー丸が待ち望んでいた援軍ではなかった。
何の気配もなく、前触れもなく――ティアーナの超感覚にすら拾われずに彼らは近づき、そして、あの長距離狙撃を成し遂げたのだ。
『おごれるレビルも久しからず。ただ光る宇宙(そら)の夢のごとし』
『たけきザビ家も遂にはほろびぬ、ひとへにア・バオア・クーの塵に同じ』
三機のMS、MS-14A《ゲルググ》の編隊は猛烈な加速でデブリの海を突き進みながら、ビームライフルで残る二機のジムUを狙う。
先頭を行くゲルググのコクピットで、頭上のハロ改が打つ木魚の音を聞きつつ、総髪の男は澄み切った瞳で戦場を見下ろしながら呟いていた。
『南無阿弥陀仏――腐敗極めし連邦亡者、もろびと挙りて成仏すべし』 第21話、終了です。
二系統の書き込み手段が用意できたため、なんとか投下することが出来ました。
リクエストは今しばらくお待ちください。 すごい連載作品の間で申し訳ないのですが、ここは1年戦争の
ボール小隊の話とか投稿してもよいのでしょうか? >>16
なんかサラミスにポイされて
ドラム缶にボコボコにされて
投降戻って来たサラミスに誤射ドン!
な光景が浮かんだけど違うよね?
是非投稿して下さい! 宇宙世紀0079年 11月月10日
地球における最大の資源採掘地オデッサが陥落し、
決戦の舞台は宇宙(そら)へと移行しつつあった。
そして12月24日、ソロモン陥落を受けた
ジオン総司令部はソロモンから脱出した残存艦隊、
また使用可能な艦船、MSは言うに及ばず、
練習機、試作機、8割以上完成している機体までをも
駆り出し、宇宙要塞ア・バオア・クーに絶対防衛戦を構築した。
また公国軍が誇る超弩級宇宙空母ドロス、二番艦ドロワも健在で
その威容を放っていた。
今、ここにジオン公国サイド3本土の防衛をかけた
最後の戦いが始まろうとしている……
連邦軍艦隊の3分の1が消滅したのも束の間、
瞬く間に再編成され、宇宙要塞ア・バオア・クー攻略を強行させた。
巡洋艦にこれでもかと搭載されたMSが飛び立って行く。
連邦軍の量産型MS、RGM79ジムだ。
しかし、私に与えられたのは、RB79ボール。
宇宙作業ポッドを改修し、兵器に転用した機体であった。
改修とはとんだお世辞だ。
何てことはない、作業ポッドの頭に大砲を積んだだけの
急造兵器であった。そこからついた別名『丸い棺桶』。
それもそのはずだろう、訓練学校は20日前に卒業した。
もっとも、過程をかなり短縮して2ヶ月しか訓練を受けていない。
ボールでもまともに動かせればいい方だろう。
宇宙世紀0079年12月31日……私の最初にして、最後の戦いであった。 これを『激戦』と言わずして何と言うのだろう。
横で応戦していた僚機がバラバラになり、爆散した。
耳をつんざく絶叫に、酷いノイズ、コクピットに響く警報音。
姿勢制御もままならない。飛び交うビームの閃光に、機体の残骸。
シミュレーション訓練やマニュアルなど何の役にもたたなかった。
みるみるうちに減少していく推進剤に21発しかない弾は残り5発。
3つの小隊で出撃した私達は、たった旧式のザク1機相手に全滅しかけていた。
機体・姿勢の制御、周囲を索敵!
「ザクは!?さっきのザクは!?」
思わず声を上げた矢先、真正面にヒートホークを振りかざしたザクの姿があった。
ああ、死ぬんだと思った。
次の瞬間、ザクの頭部が吹き飛び、仰け反ったザクの胸部に穴が開いた。
『下がれ!爆発に巻き込まれるぞ!!』
インカムを通して凛とした声が響いた。
我に返った私は、無我夢中で後退し、爆発を避けることができた。
「はぁはぁはぁ…あ、ああ」
『新兵、大丈夫か?』
今になって震えが来た。ノーマルスーツを着込んで寒くはないのに
震えが止まらない。私は両腕で身体を抱き込んだ。
『おい、聞いているのか?』
『…………………』
震えて声が出ない。手が痺れ、喉が渇く。
私は無意識のうちに何度も失禁していたらしい。
股間にじっとりとした湿り気を今になって感じた。
『返事をしろ!新兵!官、姓名を名乗れ!』
上官と思しき怒声で初めて我に戻った。
『はひっ…は、はいっ!第三大隊、第7中隊!オハイオ隊の
補充兵で、ユキ=キクチハラ、二等兵であります!』
『へぇ、同じ隊とはね、一昨日着いた新兵か?』
『は、はい!』
『残弾数、推進剤のチェックし、報告しろ。
が、こちらもさっきのが最後だ。補給に戻るぞ』
『は、はッ!』
>>17>>18こんな感じです。
DVDでみたア・バオア・クー陥落9日後に
内部へ偵察しに行く話にエロ混ぜたようなかんじにしようかなと。
イグルーは最高だ。重力戦線も大好きですが >>20
GJ!
次回は補給先でユキさんと助けに来た人の容姿が見られそう。
エロも戦闘も楽しみにしてます。 >>20
続き楽しみです!
どうエロが入るのか期待!
senka?senkaなのか?
重力戦線は個人的に死神が癌でした
ドップやマゼラアタックやユーコンなんかをやって欲しいです
まあそんな地味なん売れんだろうけど いぐるはキャラの動きがディズニーアニメみたいに大げさでミュージカルチックなのが鼻に付く
舞台俳優のキャプチャらしいから仕方がないのかもしれんけど 前スレで受けたリクエストのその一、ファ凌辱が完成したため投下します。
申し訳ありませんが受領したシチュエーションではしっくり来ず、設定をかなり改変してしまいました。
救いのない凌辱ですので、ご注意ください。 「――カミーユ、ウウッ、カミーユぅ……っ、どこよ……、どこにいるのよぉーっ!!」
コロニー内の上空を激しく飛び交うビームと砲弾。地球連邦軍ティターンズの見慣れたMSが、市街に撃墜されては爆散する。
唐突に戦場と化したグリーン・ノアで、ファ・ユイリィはひとり住宅地を走っていた。
彼女がいつも気にかけていた、幼馴染みの不器用な少年――カミーユ・ビダンの自宅は先ほど、グリーン・ノアを襲った謎のMSの下敷きになって全壊している。
空襲警報が鳴り響く中で、ファがカミーユの安否を案じて私室へ入ったときだった。彼女はそこで連邦軍のジムUに叩き落とされたMSの墜落に巻き込まれ、かろうじて助かったのだ。
MS同士の格闘戦から逃れ、ひどく混乱しながら当て所もなく廃墟を走る少女の後ろに、オープントップの対MSミサイル車両が付いた。
「ん? あの子。確か、ビダン中尉の息子の女じゃないのか」
「カミーユ・ビダンのか?」
車両を操るティターンズの兵士が二人、彼女の姿を目にして呟く。
ファはその若くみずみずしい少女の素足を、ホットパンツから無防備にさらけ出したまま走っていた。長く艶めいた癖のある黒髪と健康的な肢体が鮮烈に、戦場の空気を浴びて高ぶる男たちの気を惹いたのだ。
「カミーユ・ビダンなら、さっき基地で見た! 奴はガンダムを奪って、MPのマトッシュ中尉をバルカン砲で撃ち殺そうとしやがったんだ。外部スピーカーで笑っていたぞ!」
「何だと? 前からとんでもねぇガキだとは思っていたが――野郎、エゥーゴに通じていやがったのか!」
ティターンズでMS開発に携わっている技術士官ビダン夫妻のどら息子、カミーユ・ビダンの存在は軍の内部でも知られていた。成績は優秀らしいがとにかく素行不良で、MPからは前から目を付けられていたらしい。
そういえば今日も士官相手に暴行事件を起こしたらしい、と噂で聞いた。
「とんでもねえガキだ――待てよ。じゃあ奴がエゥーゴのMSを呼び込んで、これをやらかしたってことなのか」
運転手はグリーン・ノアの惨状を見渡す。そこいらじゅうで上がる火の手、崩れた家屋。一体どれだけの死者が出たのか想像も付かない。助手席の兵士が無線機からの放送を受けて叫んだ。
「――空襲の敵は下がったらしい! 川の穴から宇宙に出て、今は宙域警備のMS隊が追撃してる」
「じゃあ俺らもお役御免か? 次の指示は!」
「何も言ってこない。上も相当混乱してると見える」
「何もないなら――いま出来ることをせんとな」
兵士が意味深な視線を同僚に送り、そして目の前を走る少女を見る。
「カミーユの女なら、エゥーゴの工作員で間違いないな」
「戦闘の混乱で取り残されたか、それともきれいに見捨てられたか。気の毒だが――悪事の報いは受けてもらう。知っていることは、吐いてもらわんとな!」
エレカのアクセルを一気に踏む。少女を追い越し、その前方で急制動をかけて前を塞いだ。兵士が下車し、小銃を構える。
「止まれ、カミーユの女!おまえもエゥーゴの工作員だな! 壁に手を突いて足を広げろ!」
「――え、エゥーゴ? 工作員……!? カミーユが……カミーユが、何だって言うんですか!?」
連邦軍の兵士に幼馴染みの名を呼びながら銃口を突きつけられ、動転しながらファが叫ぶ。だが平和に生きてきた少女の無知な動作は、工作員の隠し武装を警戒する兵士たちを刺激した。
「止まらんか!」
「アウッ!!」
小銃の床尾で強打され、ファは路上に倒れる。ホットパンツの裾がめくれ、太股の奥に白い下着をちらついた。
「あ、あなたたち、何を――ひっ!」
起きあがろうとするファの眼前に、再び銃口が突きつけられる。
「おとなしくエゥーゴの情報を吐け! 他の工作員はどこだ!? お前を見捨てた男をかばい立てしても、ためにはならんぞ!」
「だから! 何も知らない、って言ってるでしょうっ!!」
屈辱に涙を浮かべながら、ファは毅然と反抗した。だが兵士たちは瞳に暗い光を宿して薄笑いを浮かべるばかりだ。 ティターンズは組織の拡大に伴い、多くの将兵を新規に受け入れていた。
建軍当初の理想であった『連邦軍最精鋭のエリート部隊』など、とうの昔にかけ声倒れで終わっていた。
ティターンズの組織と権限、予算が急激に拡大する影では、降って沸いた特権につけ込む腐敗と情実人事が横行。エリートとは名ばかり、もはや練度も士気も一般部隊の平均を下回りつつある。
彼らもそんな者たちの一部だった。
若く元気を持て余した地球出身者。なおかつティターンズ構成員に縁故がある、というだけの理由で入隊を許された者たちだ。そして今や、こうした将兵がティターンズの多数派となりつつある。
周囲で流れ弾や墜落したMSがそこかしこに火の手を広げ、視界は悪化しつつある。お誂え向きの物陰もあった。
そんな彼らが、こんな絶好の機会を逃すはずなどないのだった。
「……い、いや……あ、あなたたち、な、なにを……ひっ!?」
明らかに様子がおかしい。そう感じたファが震えながら呟いたときには、兵士が大振りな軍用ナイフを取り出していた。
「まずは身体検査だ」
「や、やめて! 何をするの……いやっ!!」
恐怖に震える少女に兵士が覆い被さり、組み敷く。ナイフを出した一人が正面から両足を開きながら迫り、もう一人が上から両腕を押さえつける。
冷たい刃金の感触がすべやかな腹に触れたと思った瞬間、ファの上体をぴっちりと包む上着は下から上へと一気に切り裂かれた。
「いやーーーっ!!」
乳房を包むブラジャーだけを残して、白い柔肌がさらけ出される。程良い丸みを帯びた乳房がブラジャー越しに鷲掴みにされ、乱暴にぎゅう、と握りつぶされるように揉みしだかれて変形した。
「い、痛い――ああっ!!」
刃を上にしたナイフが胸の谷間へ差し込まれ、乱暴に引き上げられてカップの左右を切断する。
裏地が汗で肌に張り付いていたブラジャーのカップが左右に払いのけられると、蕾のように可憐な乳首がぷるんと震える白い乳房の上で露わになった。
「上半身に武器はないな……次は下だ」
「やめてぇ!!」
抵抗するファの両手両足は力ずくで押さえ込まれて、少女に出来ることはただ空しく泣き叫ぶだけだ。
拳銃とナイフの冷たい刃金の感触に怯えるファから、ホットパンツが引きずりおろされる。ブラジャーと揃いの白いショーツがむき出しになると、正面の兵士もズボンを下ろしていた。
ショーツが引きずり下ろされた。強姦される恐怖の中、無意識の自衛措置として濡れた女性器、そして縮れた黒い陰毛が、もわりと独特の臭気を放つ。
「最後はここだな……女工作員にはお誂え向きの隠し場所だ。奥まで確認させてもらうぞ!」
「!!」
兵士ははやるあまり、ファの片足だけからショーツを脱がせて足首に掛けたまま、勃起しきった己の男根を彼女の膣口に押し当てた。
「いやあーっ! カミーユ! カミーユゥーーーッ!!」
「ヘヘッ、奴は来ねえよ! お前は捨て駒だったらしいな!!」
「嘘よ、嘘よーっ!! カミーユ! 助けてカミーユッ!!」
恐怖と絶望のどん底で、それでも少女は力を振り絞って少年の名を呼んだ。
そして、男根がファの膣口へ挿入される。兵士はしっかりと少女の両腿を抱え込み、一気に腰を叩きつけた。
「あああーーーッ!!」
「おおお……ッ!!」
処女膜を一瞬で摩滅させ、膣奥まで貫き通す。子宮口を叩いた男根を伝い、破瓜の鮮血が流れ落ちた。見開かれた瞳から大粒の涙も、同時に。
少女が初めて経験する荒淫は、半端な潤滑液では守りきれない破滅だった。狭い膣内は強引に押し広げられ、草地の上に腰を押しつけたまま男の体重にのし掛かられて何度も、何度も貫かれる。愛撫による快楽のない単純な痛みに、息も絶え絶えにファはあえぐ。
「クウウウウッ! いい、いいぞ……」
「へへへ……いい身体してるじゃないの! カミーユとは何回ヤったんだ? 毎晩かぁ?」
戦場と化した市街の草地で、少女をリズミカルに犯しながら、兵士は抜群の締まりを示すファの秘裂に唸った。
少女の背中が草地に擦れるのにも構わず激しい腰遣いを叩き込み、重力に負けて潰れた乳房をたぷたぷと揺らす。その乳房はもう一人の兵士に揉まれ、絞り上げられ、口に含まれて乳首を吸われていた。 ――いつか、カミーユと……二人で。
少女が心の奥底でそう夢見ていた初体験は、戦場の悪夢の中で汚された。
見も知らぬ兵士のペニスはファを気遣うこともなく、愛撫もなしに激しいピストン運動を繰り返す。少女の胎内を何度も何度もえぐり込み、彼自身のかたちに変えていく。
「オッ! オッ! オッ! オオオ〜〜〜ッ、締まるうううっ、ウウッ――、出、出るゥ!!」
突きまくられる中で泣き叫ぶファが目を見開いた瞬間、男はひとり勝手に少女の中で達する。男のピストン運動のペースが速まり、そして再奥に尖端を止めた瞬間、ファはそれを悟って絶叫した。
「いやああああああっ!! カッ、カミーユゥーーーッ!!」
放たれた濃厚な精液が、ファの膣奥を満たす。子宮口にぶち撒けられた数億の精子が、少女の卵子を目指して荒々しく突き進んでいく。
そして少女は先週、生理を終えたばかり――今日が、彼女の排卵日だった。
「――おおおおおお……。いい、ぞぉ……」
最後の一滴までを彼女の中に注ぎ終えると、兵士はたっぷりの余韻とともに逸物を引き抜いた。
ごぷり、と音を立てて鮮血混じりの白濁液が溢れ出し、腿と尻を伝って草地に落ちていく。
「……かみー、……ゆ、……」
己の胎内に熱い迸りを感じた少女はびくんと震えると、そのまま瞳の光を失い、力尽きたように崩れた。
「へへへ……さすがエゥーゴの工作員だ、訓練がいい。武装は処分したあとだったようだな」
「よし、次は俺が尋問を――」
自身の男根を拭き取りながら一人が退き、もう一人がそこへ入って兵士たちは笑う。だが全裸に剥かれて凌辱されたまま放心状態のファを見下ろしながら、彼らはエレカの接近音を聞いた。誰かが下車してくる。
「何事かっ!? ――この少女はどうした!」
エレカで乗り付けてきたのは、ティターンズMPのマトッシュ中尉だった。服装を直した兵士たちは何事もなかったように敬礼し、報告した。
「エゥーゴの工作員一名を確保しました! 工作員同士の仲間割れで、強姦されていた模様です」
「仲間割れで強姦だと!? この急時にか!?」
異様な情景と報告に食ってかかったマトッシュに、兵士たちは不意に真剣な表情を浮かべて小声で囁いた。
「それが、中尉殿! ……この少女、実は――カミーユ・ビダンの女、らしいのです」
「何っ!?」
「間違いありません。以前にも何度か一緒にいるところを見た者がおります。カミーユ・ビダンはMS奪取計画を実行に移し、そのまま彼女を見捨てていったものと思われます」
「そういえば、確かに……以前の報告にあった。この少女……間違いない!」
犯された少女をまじまじと眺めながら、マトッシュの表情に確信が、そして瞳に暗い光が宿る。
「あの小僧、カミーユ・ビダンの女か……! よし。お前たち、彼女を拘束し、本部へ搬送しろ! 本部も大打撃を受け、混乱している。お前たちは私の指揮下に入り、尋問を支援するのだ。……協力してもらうぞ」
「了解であります、中尉殿!」
敬礼しながら、二人は去りゆくマトッシュの背中に笑みを向ける。気絶したファに手錠をかけると車両の荷台へ搬送し、そしてティターンズ本部へ出発していった。
捜査、尋問と称する凌辱を延々と受け続けたファ・ユイリィが解放され、エゥーゴ旗艦アーガマと合流するのは、それから約二ヶ月後のことである。
一部の記録によれば、グリプス戦役が佳境を迎える88年1月、彼女はアーガマ艦内で男女の双子を出産したとも言われている。 リクエスト作は以上です。
もしご感想などあれば、次回以降も続けたいと思います。 GJ、そしてこのスレがエロパロ板にある事を久々実感w
マトッシュ…カミーユに笑いながらバルカンで撃たれたMPの人ってので、なんとなく思い出した
(記憶と違いあるかもだけど)
…中尉だったんだぁ、へぇ〜 ファには悪いけど、エロい!常に生命の危険に
さらされる戦場では種の保存云々で受精率半端ないのかもね
このあと出産したみたいだけどカミーユどう思ったんだろうね?
もし描いてくれるのであれば08小隊のシローとキキの和姦
を描いて欲しいです。史実ではアイナだけど、個人的にはキキ推し
小説ではうろ覚えですがファみたいになったか、される前に自害したのか
どっちかだったはず >>20の続き
第7中隊はア・バオア・クーの西、Wフィールドと呼ばれる戦区から進攻している
艦隊の傘下にある。巡洋艦30隻かなる艦隊であったが、帰投した時には
何隻か減り、少破、中破…無傷な艦は片手で数えられるほどになっていた。
無理もない、MSの搭載機能を増設するために砲や機銃を減らしているのだ。
敵機の襲撃を受ければ、それ相応の損害を被ることは明白だ。
本命ではない西の戦区でさえこの有様なのだから、連邦の主力艦隊が展開している
北と南の戦区はもっと酷いだろう。
私の所属しているオハイオ隊は古参の隊と聞いている。
パーソナルマークはボールに描かれたシャークマウス。鮫の口だ。
しかし、私のような未熟な搭乗員では何の効果もない。
「ボールで生きて帰ってきたんだ、次はジム乗りだな」
ボールのハッチを開けると、取りついた整備長が笑った。
私が生き残ったのは、横に着艦している上官のおかげだ。
「新兵、機の補給には時間が掛かる。今の内に隊を再編成だ、艦内に戻る」
「はッ!了解しました」 艦内に戻った私と上官は搭乗員のブリーフィングルームに入った。
出撃前は賑やかだったが、今はガランとしている。
「着任した時に顔をちらっとしか見てなくて、ごめんなさいね
もう一度、名前は―――――」
「はッ、ユキ=キクチハラであります」
「エルシー=マーヴィンよ。改めてよろしくね、ユキ」
少尉は優しく言って握手を求めてきた。
「い、いえ…そんな…私こそ、少尉殿とわからず申し訳ありませんでした」
初陣で頭が真っ白になっていた私を救ってくれたのはオハイオ小隊の隊長である
マーヴィン少尉であった。1つの小隊はボール3機編成であり、それが3つ。
オハイオ隊は隊長を含めて12名いたのだが帰投できたのは少尉と私だけ。
数合わせでしかない技量の低い新兵は一日で全員が入れ替わることもあるらしい。
少尉が新兵の顔など覚えていないのは当然だ。
「本来ならジム1機に支援のボール3機編成なのに…ジムは先行して支援機を
置き去りなんて…酷い話だわ。他のボール小隊も酷い有様でしょうね」
少尉がノーマルスーツのメットを脱ぎ、言った。
金髪のショートカットに凛とした眼が成熟した大人という印象を受ける。
私はまだ18歳。とても同じ女性とは思えない。
「…………」
私は何も言えず、下を向いていた。補給が完了すれば、また出撃しなければならない。
次に生きている保証はない。
「顔を上げて、ユキ。次の出撃でもしっかりフォローする。だから生き残ることを
第一に考えなさい」
少尉は私を抱きしめて背中をさすってくれた。 「はい…ありがとうございます」
「でも、その前にショートパンツを変えることをお勧めするわ」
「え…あ、えっと…気付いて」
私は真っ赤になって言った。ノーマルスーツの下のショートパンツは
グショグショで悲惨な状態になっている。
「初陣はされでもそうなるものよ。私の場合はどうなのかは想像に任せるけど?」
「は、はい…し、失礼します」
更衣室でショートパンツを履き替え、再びブリーフィングルームに戻ると
少尉ともう1人の隊員がいた。階級は、伍長。こちらに気付いたらしい。
「少尉から話は聞いている。メーン小隊のロブ=ノールマン伍長だ」
見るからに古参という感じがする。年齢は少尉よりも少し下だろうか。
「はッ、ユキ=キクチハラであります。伍長殿」
「ああ、よく生還できたな。しかし、オハイオの生き残りは少尉殿と新兵だけですか、
ウチは俺だけ。ザク1機に対してボールの損害は―――――」
そこまで言って、伍長は敬礼した。誰かがブリーフィングルームに入ってきたようだ。
「艦のボール隊の生き残りはこれだけか…」
低い声を共に現れたのは、この艦の艦長であった。
歴戦の勇士を思わせる口ぶりに渋めの顔。
さすがに少尉よりも年上だろうけど、まだ若いと思う。
「あ、あの生還できたのは、ここにいる3人だけであ、ありましゅか!?」
私は思わず声を上げて、思いっきり噛んでしまった。
「そうだ。艦隊も敵機の攻撃を受けて被害が少なくない。頼みのジム隊は
敵のモビルアーマーと交戦して散り散りだ。他の戦区の隊やMSが入り交じって
再編成には時間が掛かると旗艦から通達があった」
モビルアーマー……噂で聞いたことがある、MSのように首や脚を無くし、戦闘機のように加速、ビーム兵器を搭載したジオンの新兵器だ。1機でMS複数機とも対等に
渡り合えるというのだから、驚きだ。
なによりそれらに共通しているのは、特に大型だと言うことだ。
「ジャン、この戦区にモビルアーマーが?」
少尉が艦長に問う。え………名前ですか?
「未確認だが…ジム隊の通信によるとそうとしか思えん。エルシー、ボールだけで
出撃は許可できん。ジム隊の帰還を待て」
続
>>27戦火って痛々しいですよね。男は気持ちいいかもしれませんが
受けるファにとってはもう自決モノでしょうね。
08小隊で一番好きなのは敗残兵のザク3機がキキの村で戦う話。
あのザク達を作るために陸戦型ジムを買ってシールドだけ使うとか、
色々やったのはいい思い出です。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています