ガンダムヒロインズMARK ]Y [無断転載禁止]©bbspink.com
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語るも良し!エロパロ書くも良し!
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で、SSは随時絶賛募集中!
■前スレ
ガンダムヒロインズ MARK ]X
http://nasu.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1385961055/
■関連スレ
ガンダムビルドファイターズでエロパロ
http://nasu.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1381888018/ ケイティ・ブラウン伍長が、エゥーゴへ――戦艦ジャカルタMS隊へ加入したのは、つい先日のことだ。
エゥーゴのいわゆる『急進派』を中心としての部隊編成を終えた戦艦ジャカルタは、つい先週、地球に背を向ける月の『裏側』、月面都市グラナダを発した。
そして最初の目的地たる新サイド4暗礁宙域へ入る直前、彼らは月軌道から彼らを追尾していたティターンズ艦隊を待ち伏せた。
敵は新鋭のアレキサンドリア級重巡洋艦を旗艦に、随伴のサラミス改級巡洋艦が二隻。最近のティターンズでは標準的な戦術単位だ。MS隊は少なくとも二十機近く。
実に倍近い戦力を誇る優勢な敵を、しかしジャカルタ隊は暗礁宙域へ入るや勇猛果敢に襲撃したのである。
結果は一方的な圧勝だった。
殊にMS隊長ベリヤ・ロストフ大尉が操るエゥーゴ最新鋭機、RMS-099《リック・ディアス》の威力はまさに絶大だった。
さらに僚機を務める副隊長ルチア・ルッカ中尉のRX-107《ロゼット》、メイヴ・クラータ曹長のMSA-003《プロト・ネモ》の最新鋭機が脇を固めて襲いかかれば、地球連邦軍のエリート部隊を自称するティターンズMS隊など、もはや棒立ちの案山子に過ぎなかった。
三機が一発撃つたびに一個小隊が蒸発した。先陣を切って飛び込んだベリヤと彼の直属小隊はたった三機で敵陣中央を縦横無尽に駆け抜け、据え物斬りとばかりに引き裂いていった。
そのまま鎧袖一触と、三機でティターンズ機の半数近くを一方的に撃墜したのだ。
その破壊力は凄まじく、主力部隊として後続したマインとリアンナらのRGM-79R《ヌーベル・ジムU》小隊が中央突破された敵MS隊の『落ち穂拾い』をこなしながら主戦場へ到達したときには、もはやまともに敵MSなど残ってはいなかった。
小隊編成を突き崩されて逃げまどうわずかな敵機をなぶり殺しにした後は、わけも分からずめくら撃ちの弾幕を撒き散らしながら逃げまどうだけの敵艦を囲んで沈める以外にやることもなかった。
その一方的すぎた戦闘の欲求不満と鬱憤が、そのあと遭遇した連邦軍一般部隊のサラミス改級巡洋艦――《トラキア》とかいう艦のMS隊と遭遇してドッツィやデティらジオン残党兵の身柄を奪い合ったとき、マインに無謀な突撃を判断させた遠因のひとつでもあるのだろう。
いずれにせよティターンズ追撃艦隊は一隻残らず轟沈し、MS隊も一機残らず爆散した。
ケイティ・ブラウンは、そのとき殲滅されたティターンズ部隊――より正確には、ティターンズに協力していた連邦軍一般部隊――の唯一の生存者であり、ジャカルタ隊が得た捕虜だった。戦場で漂流していた彼女を、ベリヤが自ら拾ってきたのだという。
拘束後しばらくの間は治療と尋問を受けていたらしく、マインと会うこともなかったが、やがて彼女はMS隊副隊長ルチアによって皆へ紹介された。
そしてケイティは、地球の重力に魂を曳かれた悪しき人々の私兵たる、ティターンズに支配された地球連邦軍の過ちを正すため、エゥーゴMS隊の新たな一員として迎えてほしい、と宣言した。
連邦軍そのものに良い感情を持っていないマインと舎弟たちはその場での態度を保留したが、戦艦ジャカルタ乗員の大多数は、万雷の拍手をもってケイティの転向を受け入れたのだった。
ケイティはリアンナ率いる第二小隊へ配属され、その乗機としてマインらと同じヌーベル・ジムUの予備機が宛てがわれることになった。
一度は敵同士として戦ってから、恐ろしく短時間での戦力化である。エゥーゴという組織は、よほどお人好しの性善説で動いているのに違いない――そのときのマインは、すっかり呆れかえってあざ笑ったものだった。
そしてマインは今、その真実を知ることになる。 「オラ、来たぞ。マイン・ハフナー、お呼びに預かり参上だ」
ドアを開けたケイティが何か言うより前に、ずかずか進んで入室する。マインは室内を眼光鋭く睨みつけながら言い放った。
彼女が呼び出された広大なブリーフィングルームの奥には、いつものように落ち着き払った様子で立つMS隊長ベリヤ・ロストフ大尉。
その傍らには長い金髪を輝かせる副MS隊長ルチア・ルッカ中尉が控え、長身褐色のメイヴ・クラータ曹長がやや離れた位置で影のように付き従っている。
そして遠巻きに、MS隊のその他の女パイロットたち。要するに、いつもと同じ面子だった。
「調子の方は良さそうだね。安心したよ、ハフナー少尉」
「ああ、おかげさまでな。丈夫に産んでくれた親に感謝してるぜ」
端整な顔立ちに浮かぶ薄い微笑みから淡々と放たれたベリヤの言葉も、マインは臆さず強い眼力で跳ね退ける。
だが強気の態度と裏腹に、ベリヤのその目を視界に入れただけで、マインの下腹には甘い熱量が疼いていた。
「そうかな。君を回収した直後は、ずいぶんとうなされていたようだったがね。誠心誠意、君からの『要求』に応えた甲斐があったというものだよ」
「……ッ!」
男が遠間で囁くだけで、マインの脳裏に稲妻のような何かが走る。思わずよろけそうになるところを必死でこらえた。
体が熱い。
股間の奥から溢れた蜜が、下着を濡らしていくのがわかる。シャワー室で入念に搾り出したはずの母乳が再びにじみ、ブラジャーのカップの内側へと染み込んでいくのを感じる。それと呼応するようにマインの奥から、淫らな邪念が膨らんでくる。
男が欲しい――いや、ただの男では、ダメだ。
あの理性など蒸発する異常な熱量の中で、自分の女をはじめて奥まで貫き通し、その内面のかたちを完全に変えてしまった、この男のものが、欲しい。
靴裏の磁石で身体を床に固定した無重力環境の中、マインはただベリヤの眼前に立たされているというだけで、そのまま全身が遠く宇宙空間まで浮かび上がって二度と戻れなくなってしまいそうな感覚に陥っていた。押し殺そうとしても息が上がり、動悸が早まる。
「フム……だが見たところ、まだ火照りが冷めていないようだね?」
そんな彼女を見透かすように、ベリヤの眼鏡が怪しく輝く。
「君にはまだ、『レクリエーション』が足りないようだ」
「――あァ!? 勘違いしてンじゃねェぞ、隊長さんよ――」
自らを乗っ取ろうとわき上がってくる熱を力で押さえ込むように、マインはきっとベリヤを睨み据えながら傲然と吠えた。ベリヤを拒むようにその手を大きく払う。
「あの時は危うく切ったはったで死にかけたばっかりで、あたしもどうかしちまってたがな、勘違いするんじゃねぇぞ。
ジム一機、土手っ腹をぶち抜かれちまった罰だかなんだか知らねェが――たかが一回ヤられたぐらいでお前みたいな男のモンになるほど、あたしは安い女じゃねェ!」
マインが勢いよく切って落とした啖呵に、その場は一瞬静まりかえった。だが、その静寂はすぐに崩れる。
嘲るような哀れむような、そして同時に慈しむような――くすくすとさざめく、女たちの笑い声によって。
その直中に囲まれながら、苛立ちを隠しもせずにマインは吠えた。
「なんだ、お前ら……何だコラ。言いたいことがあるんなら、言えってんだろうが!!」
「あら、驚いた。あなた、まだ勘違いしているのね」
「あァ!?」
上品に口元に手をやって隠しつつ、くすくすと微笑みながらルチアが再び進み出た。慈愛すら感じさせる優しげな瞳でマインに言う。
「大尉の寵愛は私たち『姉妹』にとって、至高の悦楽。それが『罰』として下されることなど、あり得ない」
そしてルチアは微笑みながら、ただ無言で静かに状況を見守っていた少女の後ろへ回った。その小さな背中をそっと押す。
「さあ、ケイティ。今回の『レクリエーション』の主役はあなた。――大尉の寵愛は今夜、あなたのものよ」 「えっ……? こ、ここで……、ですか……?」
「嫌なの?」
「――そ、そんな!」
金髪の美女に耳元で優しく囁かれて、少女は不安げに室内の女たちの顔を見渡す。しかしマインひとりを除く彼女たちから、肯定を示す沈黙と微笑みを返されて、ケイティの可憐な面差しに悦びの色が浮かび上がっていく。
「いいのよ、ケイティ。さあ、……行きなさい」
濡れた瞳で、ケイティはそっと男の前へ進み出た。
「は、はい……! た、大尉、……ご寵愛を……」
そして少女は意を決するように言いながら、自らエゥーゴ制服の正面をはだけた。
恥じらいながらの仕草の中で、やや控えめながらも形の良い胸の膨らみと桃のような臀部を包む下着姿が、ベリヤと周囲に侍る女たちの眼前へとさらけ出されていく。
控えめな面差しは期待に染まりながら、それでも自信なさげに、ベリヤへ媚びるような上目遣いを寄せていた。
「綺麗だよ。――ほら、おいで。ケイティ」
「――はいっ!」
ベリヤがそっとその手を差し伸べる。するとケイティはその表情をぱっと明るい悦びに染めあげながら、手招く男へ向かって歩み寄りはじめた。
少女が恥じらいつつも自ら衣服を脱ぎ捨て、周囲に半裸を見せつけていく。その異様な光景にマインはただ呆気に取られていた。一拍遅れて、ひとり抗議の声をあげはじめる。
「お、……おい。おい、コラ、ケイティ……お前、人様の前で何してくれようとしてんだよ!?」
だがケイティはもはや、マインの叱責などに耳を貸そうとしない。下着姿の少女は馬耳東風と聞き流して、ベリヤの腕の中にその身を委ねていた。
「あらあら、ハフナー少尉。そんなに大尉に抱かれるケイティが羨ましいの?」
「あァ!?」
マインが咄嗟に吠え返したとき、ルチアは彼女へと向き直っていた。再び妖しい微笑みを浮かべていく。
「でも、ダメよ。あなたはまず、自分の立場から理解しなければならないの。だけど安心して。今夜のあなたの相手は、別に用意してあげたから」
「何っ……?」
ルチアが目配せすると、唐突に部屋の扉が開いた。数人の男たちが入室してくる。
「――あぁん? なんだてめぇら――何しに来た?」
ずかずかと侵入してくる男たちの何人かは、マインにも見覚えがある。パイロットの過半を女性が占めるジャカルタMS隊において、マインの舎弟二人以外のわずかな男性パイロットと、整備要員だった。
彼らは全員がその欲望を隠すこともなく品定めするような目で、エゥーゴ制服の上から激しく自己主張するマインの豊満な肉感を眺め回していく。
普段のマインがそんな不躾な視姦などを受ければ、即座に相手の胸ぐらを掴んで啖呵を切っていただろう。
だが今のマインは身体へ漲っていく熱に冒されたまま、これから自分の身に訪れることになる『何か』を期待するように、ごくりと唾を呑んで立ちすくむだけだった。
「ハフナー少尉。君はまだ疲れが抜けきっていないようだ。レクリエーションを楽しむといい――彼らに手伝ってもらってね」
ベリヤは肩越しにマインへそう言いおきながら、男たちの乱入でわずかに気を取られかけていたケイティの腰を抱き寄せ、その唇を奪った。そのまま舌を侵入させる。
「……!」
ケイティは驚きの表情を見せたが即座に応じ、すぐにその目を蕩けさせる。二人の舌が互いを求め合うように、口腔内で絡み合う。粘つく唾液の音を衆人環視に響かせながら、ベリヤは巧みにケイティの背中でスポーツブラジャーのホックを外した。
そのまま片手で脱がされたブラジャーは投げ捨てられて、ケイティの控えめだが形の良い乳房を衆目に曝け出しながら宙を漂う。 「お、お前ら……な、何おっぱじめようってんだよ……!」
愚問と知りながら、それでもマインは言わずにいられなかった。
清純可憐といった雰囲気のケイティが、ベリヤと女たちの前で脱いだ。これだけでもすでに常軌を逸してはいるが、感覚的には理解できてしまっていた。
何よりもまず、どれだけ理性で否定しても、マインはベリヤに犯されることを望んでしまっている。
ケイティはそれに先行した。マインはあまつさえ、あの少女に嫉妬さえしてしまっている自分の存在を理解してしまっていた。
だがこの場には今、第三者が――その他の男たちがいるのだ。
どうなっている? これからどうなる? どうすればいい?
混乱し、その場で立ちすくむマインの傍らへ静かに忍び寄った男の一人が、その手を閃かせた。
「なっ!?」
慣れた手つきでエゥーゴ制服のベルトが素早く外され、ワンピースの女子制服が背後から別の男にあっさりと脱がされる。
そしてさらに一人の男が背中から組み付き、ブラジャーもろともマインの巨大な双乳を握りしめた。
「くっ!?」
男の大きく堅い手指が、マインの乳房へ深く沈み込む。これほどの無体を許しながらあり得ないことに、マインはまったく男へ反撃することが出来なかった。
「あ、ふう……ッ! や、やめ……ッ!」
乳首を探るようにカップの表面で男の指先が動き、マインは甘い悲鳴をあげながら、びくりと背筋を震わせる。
男に揉まれながら、マインの乳首はブラジャーの下で母乳を分泌していた。溢れる母乳はさらにカップの内側を濡らしていく。すぐに染みがブラジャーの表面にまで達するだろう。
男に手指で感じ取られてしまうかもしれない。
このままでは自分の乳房が、まだ出産経験もないのに母乳を噴き出すことを知られてしまう。
一刻も早く、この男たちを払いのけなければならない。だが、マインにその力は沸いてこない。力が抜けていく。
その豊満な乳房を包むブラジャーの上辺に、男の両手指が掛けられた。
「この胸が苦しそうですね、少尉――」
「あっ――!?」
「いま、楽にして差し上げますよ」
そのまま無情にも、マインのブラジャーは剥き下ろされた。
カップの束縛を逃れた爆乳が二つだぷんと弾けて飛び出し、封じられていた汗が靄となって溢れ出る。尖端にぷっくりと膨らみながら黒く変色した乳輪が、その勢いで母乳を飛沫き散らした。歓声が沸き上がる。
「おお……!」
「素晴らしいモノをお持ちですな少尉……いつもスーツの上からでも大きい大きいとは思っておりましたが、これほどとは」
「白磁の肌と裏腹の、この黒く染まりながら乳を出す乳輪の下品なこと。乳房の大きさに見合って、乳の出も実に景気が良い」
男たちが感嘆の声を上げつつ、今や衆人環視の下へとさらけ出されたマインの乳房を好き勝手に品評する。
しかしマインはこの異常な状況の中で、男を殴り倒すこともその乳房を隠すことも出来ずに、ただ立ちすくむしかなかった。
「あ、ああ……み、見るな……やめろ……やめろぉ……!」
マインは呼吸ばかりを荒げて上気した頬で、男の腕の中からただ男たちを眺め回すばかりだった。
「良いモノを見せていただいた……では我々も、貴女を楽しませて差し上げなくては」
そしてマインを取り巻く男たちは、次々にベルトを外しはじめた。躊躇なく下着も下ろし、屹立した自らの逸物を彼女目掛けて突きつけていく。
黒く反り返る肉槍の群れが亀頭をもたげて、巨大な乳房から母乳を滴らせる金髪の美女に狙いを定めた。
「あ、ああ……あっ、あああああああ……っ……」
突如としてそんな異常な環境に置かれながら、裸身のマインの脳裏を最初に過ぎったのは、抵抗でも逃走でもなかった。 それはこれから自身へ訪れることになる、未知の快楽への期待だった。
マインの乳房からブラジャーの殻を剥いた男はそのままホックも外すと、カップの裏側から母乳を滴らせるブラジャーを部屋の片隅へ投げ捨てる。
次にショーツの内側へと強引に指を入れると、早くも濡れそぼっていたその秘唇へ押し入り、くちゃくちゃと掻き鳴らした。
「あっ!? あっ、あうううううーーーっ!?」
同時に陰核を攻められたマインは体勢を保てず、がくんと大きく崩れてしまう。彼女が次に顔を上げたとき、目の前には三本の男根がそそり立っていた。
「……あ、ああ……っ……!!」
「では、ハフナー少尉……失礼。犯らせていただく!」
男たちが笑い、マインの両手を戒めた。長身のマインよりも屈強な男たちが数人がかりで彼女を床へ組み敷き、欲望のままに彼女の肉体を貪りはじめる。
握りつぶされた乳房が変形して乳輪から勢いよく母乳を噴き出し、反対側の乳輪に男が吸いついてはごくごくと母乳を飲む。
子を産み育てた経験をまだ持たないマインは、その無遠慮な搾乳と授乳に母乳を吸い出されて軽くなっていく乳房の快感に抗えないまま、ただ幼児のように泣き喚いた。
「おっ、おっぱい! おっぱい嫌ぁ! 吸われてるぅ……搾られてる!! ああぁぁ……あたしのおっぱいが、からっぽに、からっぽになるぅ〜〜〜!!」
「ハフナー少尉の母乳、甘くておいしいですよ……」
「地球圏最高のミルクサーバーですな」
巨乳に二人の男がむしゃぶりつき、金髪や筋肉質な太腿をいいように撫で回されるなか、一人の男がその巨大な逸物にコンドームの装着を終えていた。
「あッ!? そ、そこはっ。やめろッ!!」
「フフ……では、お留守の本丸をいただく!」
甘い悲鳴など意にも介さず、ずむぅっ、とマインの奥まで男が突いた。
「あおおおおおぉぉぉ――ッ!!」
「おおッ、良い……締まる……ッ!」
野太く猛った肉棒に、男を待ち望んでいた深い洞窟を奥まで一気に満たされる。子宮を突き上げられるその快楽は、マインに喉奥からの嬌声を響きわたらせた。だが、
――違う。
群がる男どもに容赦なく全身を犯され、荒い息づかいで必死に欲情混じりの熱い空気をむさぼりながら、マインはかすむ瞳で天井を、室内を見つめていた。
火照りきった身体に叩きつけられる男たちの欲望が、膣を押し広げながら侵入してくる逸物の滾りが、マインにまったく快楽を与えていないわけではない。
だが、違う。それでは、届かないのだ。
――あたしが望んでいたのは、これじゃない。
無限にも思えるほど遠い数メートルの向こうで、ケイティがベリヤに抱かれていた。
マインに比べればずっと小さく控えめな乳房をベリヤの掌がぎゅっと揉むと、ケイティの甘く高ぶる嬌声とともに、黒く染まった乳首から幾筋もの母乳がほとばしった。
マインはその光景を見て、初めて理解した。
――ああ、そうか。そうだったのか、ケイティ――あいつも、……アイツに、やられてたのか。。
男たちの隙間から遠く見えるケイティの表情は、完全に蕩けきっていた。マインの方など一顧だにしない。目の前の男に溺れきっている。 そして、マインは唐突に理解する。
戦場でMSのコクピットをビームに貫かれ、パイロットスーツをメガ粒子に蒸発させられ全裸に剥かれていく中で感じた、あの「死」を裏返したように倒錯しきった絶頂。
MSの装甲を瞬時に蒸発させるあの熱量へ裸身を曝し、荒れ狂う爆炎に揉みほぐされて準備を整えた女体は、雌の欲望に核爆発級の熱量を蓄えていた。
逃れられぬはずの死から反転した劣情は、浅はかな理性などたやすく振り切る。
そして灼熱に蕩けた女陰をはじめて貫いた男の陽根は、抜挿を繰り返す中で女の内面を自らの存在なくしては決して満足できないかたちへと、永遠に作り替えてしまったのだ。
――あたしは、もう――アイツのでなきゃ、ダメな身体にされちまったんだ。
猛然と腰を振っては叩きつけ、乳房を貪って全身を犯す男たちの中で、マインはその残酷な現実を理解した。
この男たちがどれほど自分に欲情し、どれほど献身的に奉仕したところで、それらはすべて無駄なのだ。
いまショーツを脱がされていくケイティ・ブラウンの濡れ光る股間に、ゆっくりと宛てがわれていくベリヤの逸物――もう忘れもしないあれでなければ、自分はもう、永遠に満たされることはなくなってしまったのだ。
「おホアアアァァァーーーッッッ!!」
そして、ずぶう、とベリヤを呑み込んだ瞬間、ケイティは魂消るような絶叫を放った。全身をびくびくと震わせている。
脳のすべてが焼ききれるほどの、核爆発級の性感絶頂。
マインにも覚えがある。
そう。最初にベリヤに犯され、膣内射精を受けた瞬間だ。あの一瞬、マインの意識は宇宙の彼方まで吹き飛んだ。
あの膣内射精で――自分の乳房を変質させ、ぶざまなミルクタンクへと変貌させたあの一撃で、その男こそが自らの「主人」であると、自分は遺伝子レベルで認識させられてしまったのだ。
あれを知ってしまった後ではもはや、こんな有象無象の男どもとの性交など児戯にも等しい。だからマインは叫ばずにいられなかった。
「ちんぽ、……おちんぽほしい……っ、おまんこにほしいのおおおっっっ!!」
「ああ? なんだよ……ちんぽなら今、あんたのおまんこに入れてやってるじゃねぇですか……!」
「ちがううっ。これじゃっ、これじゃないいっ。あいつの、ベリヤの、隊長のおちんぽでなきゃ、いやなのおおおっっっ!!」
自らの肉体と男根に絶対的な自信を持っているのであろう男が、頑是無い幼女のように泣きわめくマインを犯しながら、やや不機嫌そうに吐き捨てた。乳房を揉み搾る男がたしなめる。
「しょうがねえんだよ。いっぺん大尉の『お手つき』になっちまった女は、もう二度とほかの男じゃ満足できねえ。お前のモノがお粗末ってわけじゃねえから、気にすんなよ」
「だけどよ……」
「へッ。イヤなら戦場で落としたての女を拾って、手前の種を付けるしかねェな!」
「ま……ここじゃそんな抜け駆けは御法度だし、大尉の前じゃあ出来もしないが」
最後の一言だけ声を落とすと、男たちは再びマインの女体へ没頭していく。自らの実力で屈服させることが出来ずとも、ただ一方的に汚すだけでも満足できるだけの美しさと野卑な気高さがマインにはあった。
「ふふっ。かわいいわね、ケイティ……」
無様に輪姦されるマインを視界の端に留めつつ、自らも衣服を脱ぎ捨てたルチアが、貫かれたまま意識を半分以上飛ばしていたケイティの背中に付いた。
その乳房を優しく揉むと、マインの巨乳にも負けないほどに勢いよく、母乳がびゅうっと遠く飛び散った。慈愛に満ちた瞳で少女の横顔を見つめながら、その耳元に優しく囁く。
「避けられぬはずの死の運命に抗い、そして打ち破った。おめでとう、ケイティ。あなたは運命に選ばれたの」
「……う、……あ、あ……。……副、隊長……?」
ようやく意識を戻したケイティが、うつろな瞳でルチアを見る。 「ふふ、ケイティ。ここではルチア、でいいのよ。だって私たちはみんな大尉の寵愛で結ばれた、姉妹なんですもの……」
「姉妹……」
「そう。あなたと、それからあそこのマインも、私たちの新しい末の妹。歓迎するわ、ケイティ。死の運命を乗り越えて大尉に抱かれることは、地球圏の女にとって最高無上の快楽。その悦びを分かち合いましょう――」
「動くよ、ケイティ。いいね?」
「あ、はいっ……あむッ!!」
ベリヤは言うや彼女の腰に添えた両手で、引き寄せながら少女を奥へと突き上げる。雌の魂魄へと灼きつけられた陽根をリズミカルで巧みに突きこまれ、ケイティはたまらず悶え狂って絶叫する。
「ああ! あああああ、ああっ、あうほおああああーーーッ!!」
体位を変えながら執拗に繰り出される巧みな腰使いの前では、少女の意識など風前の灯火であった。
ルチアはそれを満足そうに間近で見つめ、遠巻きに女たちが羨み自慰するような視線を向ける傍らで、マインは決して絶頂まで届くことのない愛撫と凌辱に悶えていた。
「うっ……ケイティ、行くよ……」
「ああっ、きてっ、きてください、たいい、わたしのなかにきてっ、だしてえっ、わたしのおまんこのおくにいいいっ、たいいのこいのだしてぇぇぇっっっ!!」
「ああっ……ああああああ……っ!!」
ベリヤとケイティが絶頂へのラストスパートを駆け上がっていくなか、その絶叫を聞かされながら犯されるマインも煩悶していた。その切なげに喘ぐ仕草が、群がる男たちの欲望を刺激していく。
「うっ……嫌がってても締まりは上々っ、俺もここらでイキそうだ!」
「かわいいよ、そのイキたいのにイケない今の表情、マインちゃん最高に可愛いよッ!」
「へへへ……ここいらで出させてもらう!」
そして速まっていくベリヤの抜挿が頂点を迎える瞬間、ケイティの狂ったような嬌声に導かれるように、マインを犯す男たちも連鎖的に絶頂に達していった。
「たッ……大尉ぃぃぃっっっ!!」
「射精(で)るッ!!」
「んほおあああゃぁあああああーーーっッ!!」
ベリヤの陽根がひときわ大きく膨れ上がり、ケイティの膣奥から子宮口を狙って熱い白濁液を一気に吐き出す。その怒濤はコロニーレーザー級の威力で、少女の意識をまたしても一瞬のうちに蒸発させた。
「イクうッ!!」
「あヴァあああああーーーっ!!」
そしてマインを囲む男たちもコンドーム越しの膣内で、あるいは金髪へ、巨乳へ、顔面へしごき上げ、あらゆる場所へと射精した。
粘ついた精液の弾幕が次々と女体へ着弾し、白い肌を汚していく。乳房では間欠泉のように乳首と乳輪から噴き出す母乳と精液が混じりあい、ぬらつく粘液の異様なカクテルを形成した。
意識の灯火を吹き消されたケイティが、瞳から光を失って崩れ落ちる。びくびくと震える彼女の股間からベリヤが逸物を引き抜くと、混じり合った精液と愛液が別れを惜しむように長く糸を引いた。
「あら、可愛い。ケイティ、もう落ちてしまったのね」
目を見開いたまま気絶したケイティの頬を、ルチアが優しく撫でる。
「かわいそうに、ケイティ。せっかくの寵愛日なのに、今日はもう無理そう……。大尉はまだ収まらないでしょう? このあとの寵愛、……誰にお授けになるのかしら?」
ルチアの言葉に、取り巻く女たちが色めき立つ。
一度味わえばもはや一生忘れられない唯一無二の快楽を思って、ケイティの痴態を見せつけられてひどく高ぶった女たちが、妖しく媚びた目をベリヤへ向ける。一片の可能性にすがるように、マインも虚ろな瞳を向けた。
「いや、ルチア。次の相手は、実はもう決めてあるんだ」
「あら?」 「リアンナ。君にしよう」
「……!」
射貫くような視線でベリヤが指し示したのは、性の宴も酣のころに遅れて入室し、そのまま女たちの背後へ隠れるように佇んでいた童顔の美女――リアンナ・シェンノート少尉であった。急に注目を浴びた彼女は、怪訝そうに声を上げる。
「あら……。本当に私でよろしいんですの?」
「いいんだ。今日は無性に、君を抱いてみたい」
「あらあら。それは光栄ですこと」
くすくすと微笑みながら、リアンナは進み出た。そのリアンナの耳元に、裸身のままで寄ったルチアがそっと囁く。
「羨ましい。リアンナ、大尉は貴女に妬いてるのよ」
「妬いて……? 大尉が、私に?」
そしてベリヤは無言のまま、荒々しくリアンナからエゥーゴ制服を剥いた。ブラジャーに包まれたまま大きな乳房が弾み、ベリヤはさらにその乳房を掴んでブラジャーをむしり取る。
「あん……っ!」
マインの巨乳に比べれば小ぶりではあるが、ケイティよりはずっと大きな乳房が露わに弾けた。小柄なリアンナの体格と合わせて見れば、どこか背徳感すら与える見事さである。
ベリヤは依然として平静なままの表情でその乳房を乱暴に握って大きく変形させながら、外見相応の可憐な少女のようにびくびくと震えるリアンナを見下ろしていた。
「可愛いね、リアンナ。君は変わらない――あの頃のままだ」
「……あら。そうかしら……少なくとも大尉の制服とお名前は、あの頃とはずいぶん変わってしまったのではなくって?」
「私の話じゃない。君の話だ」
あくまで柔らかく微笑みをたたえ、しかし反論を許さない強さを秘めてベリヤは迫った。
7年前。ルウム戦役。
華やかな大艦隊戦の傍らで軽やかに宇宙を駆け抜け、レーザーとわずかな固有兵装を放って空しく抵抗するサイド5のコロニー群を、次々と核バズーカで粉砕していくMS-06C《ザクU》。
艦艇のメガ粒子砲や通常弾頭のミサイルの火力など、コロニー相手ではドラム缶を針で刺すに等しい。多数のコロニーを大破分裂させて今日に至るまで広がる暗礁宙域を作り上げ、二十億人を虐殺した最大の功労者が、MS隊による近接核攻撃であった。
そして単独で数千万人を虐殺するコロニー潰しという、誰もが良心の咎めるはずの任務を淡々とこなしていった、ジオン公国軍とその残党たちが黙して語らない、知られざるエース・パイロットが存在した。
その中の一人、ルウム戦役だけで五基のコロニーを潰した「コロニー・エース」――史上最大の戦果を挙げながら、それゆえ決して歴史の表舞台に出ることを許されなくなった究極のエースパイロットは、そのとき奇妙な漂流物を拾い上げた。
核弾頭を撃ち込まれて一千万人を超える住民ごと内側を蒸発させながら、膨れ上がって破裂したコロニー。その爆炎から流れ出てきたそれは、淡い光に包まれた、傷一つない少女の裸身だった。
「ここ最近、君とは少しご無沙汰だったね」
「そう……でした、かしら……。ごめんなさい。今日、あまり上手にお相手出来ないかもしれませんわ」
「そんなことはないさ」
ベリヤの手指と舌先が、リアンナの小さな身体を這いまわる。
そんな責めに苛まれれば、幼少時から男を愉しませる房中術を「学園」で仕込まれ、つい少し前まで歴戦のジオン残党兵を女の武器で手玉に取っていた美少女の妖艶な仮面は、形を保てずに溶けていく。
さらにショーツを乱暴に引き下ろされて、すでに愛液を溢れさせていた女陰に指を差し込まれる。
「ん……ッ……」
「準備万端だね……」
くちゅくちゅと水音を立てて掻き回されながらも、リアンナはまるで気のない素振りを保とうとした。 リアンナが平静を装えたのもそこまでだった。
ベリヤがリアンナの腰に両手を添え、軽々と持ち上げる。そして反り返ったままの肉槍を、手指に代わって濡れそぼる秘所へ添えた。
絶対の快楽を約束する至高の陽物からリアンナは必死に目を逸らすが、合体の予感を受けて裸の乳房の頂は、可憐な桜色の乳頭が堅く立ち上がらせていた。
ケイティを犯したばかりの逸物に、ずむぅっ、と女陰を一気に貫かれれば、それだけで彼女は稲妻に撃たれたように反り返った。
「あふうううぅっ、あああぁぁぁ……っっっ!!」
「無駄だよ。あの日に君を見つけて拾い上げ、そして犯したときからすべてが始まった。君は永遠に私から逃げられない。今までも、これからも……ね」
「んむうううぅぅぅっ!!」
今やリアンナは巧みな腰使いを受けては情けなくよがり狂い、甘い嬌声を上げながら男の腕の中で溶けていくのみ。なすすべなくベリヤに圧倒されて喘ぐリアンナの痴態は、先ほど犯されたケイティと大差ない。
ドッツィの前で見せた男を弄ぶ妖女の仮面はもはや、溶鉱炉に投げ込まれた飴細工のように消え失せていた。ベリヤの囁きを理解する知性すら失われている。
それでもリアンナは心の奥までは犯されまいと、声にならない悲鳴を上げて最後の抵抗を試みる。そんな彼女に容赦なく腰を叩きつけながら、ベリヤは耳元で甘く囁いた。
「忘れなさい――すべてを果たすその日まで。君を満たしてあげられるのは、私だけなのだから」
「――ッ!!」
どぷぅっ、とリアンナの膣奥と意識を、ベリヤ二射目の白濁液が染め上げる。
この七年間で何度となく受け入れてきた、しかし、決して慣れることのない膣内射精。
その威力はあの日、少女の暮らす箱庭のような閉じた世界を焼き尽くした核弾頭の威力で、今も彼女の理性を焼き尽くすのだ。
――おじさま
リアンナの目尻に涙が浮かび、無重力空間へ流れ去っていく。
「あら。リアンナも、もう落ちてしまったの? 『墜としたて』でもないのに、ずいぶん早かったのね」
「内に抱えた強い想いも、良いスパイスになると分かった。今後の楽しみに使えそうだ」
「ふふ、大尉。悪そうな顔をしているのね……?」
ルチアが微笑む。ベリヤが気絶したリアンナから逸物を引き抜くと精液が溢れ出た。その間も男たちの獣欲の餌食にされ続けていたマインが虚ろな瞳で、せめてその精液だけでも口にしようと物欲しげに見つめる中、ルチアはベリヤへ直接腕を絡めた。
豊満な乳房を背中に押し付け、勃起した乳首で弧を描きながら、甘い声色で求める。
「お願い、大尉。もう、我慢できないの……。次は、私と……ね……?」
「仕方のない副隊長だ……」
気絶したケイティとリアンナを手際よくメイヴが搬送する傍ら、ベリヤはルチアをその腕に抱いた。マインは犯され続けている。
戦艦ジャカルタの淫らな狂宴は、未だ終わりの気配を見せようとしない。 今回は以上です。次からトラキア隊へ戻る予定です。
もう少し内容を整理して、ハーメルンとpixivに挿絵込みで掲載します。 今度やる閃ハサでいい感じの女性パイロットとかは居るのかな… 読んだの遙か昔なんで女パイロットがいたか覚えてないがトップレスのメカニックがいたような気がする。 一年近く空いてしまいましたが、投下します。
今回はエロ無しです。 生命の名残が、冷たい宇宙を流れていく。
コロニーの外壁。ビルや家屋だったものの一部。氷塊。土砂。枯れ木。エレカ。椅子。本。衣服。人形。
そして、
「――船?」
暗礁宙域を低速で行くサラミス改級巡洋艦『トラキア』の前部上甲板に立ち、ビームライフルとシールドを手にして対空監視に当たるRGM−79R《ジムU》。
そのコクピットで全天周モニターに映った生命の灯を目に留めて、パイロットの少女兵は惚けたように声を上げた。
彼女たちがつい数時間前にジオン残党軍、そしてエゥーゴと激しい戦闘を繰り広げた宙域からは、すでに遠く離れている。目指す拠点は近い。
ミノフスキー粒子の濃度も薄まりつつあり、レーダーも一定の機能を回復していた。それでも暗礁宙域に漂う無数の物体から早期に脅威を識別するには、最後は光学系の観測手段に頼らざるを得ない。
ジムUは頭部を巡らせ、その方向へとメインカメラの望遠を掛ける。拡大された視界へ飛び込んできた船は一隻だけではなかった。その周囲を探ればすぐ近くに、同じ航路を進む他の船舶が続いている。
先ほど接触した不審船と同じ、コロンブス級輸送艦が成す船団、あるいは艦隊だった。
《トラキア》が属する第223戦隊と同様の方向を目指しているように見えた。操縦桿を握るノーマルスーツの手袋の下に、冷たいものがにじんでくる。
それらの船団の周囲に小さく煌めく光条を見つけて、その急激な動きに少女――アイネ・クライネ伍長ははっとした。
「モビルスーツ!」
こちらへ向かってくる。速い。アイネは思わず機体にビームライフルを構えさせつつ、迎撃すべく甲板を蹴って発艦しようとした。
『いいよ、アイネ! アレはほっといていい』
「ミケリヤ少尉?」
だが武器を構えて飛び出しかけたアイネのジムUは、ともに警戒任務に就いていた指揮官機――RGC−80S《ジムUキャノン》に制止された。トラキアも砲塔や機銃塔を回して反応を示してはいるが、どれも発砲はしていない。
同時にモニター上に、識別情報が弾け出る。
『連邦宇宙軍新サイド4駐留軍 第411MS中隊(予備役)』
「――友軍?」
『そこのジム・キャノン、ミケリヤの姐さんですか?』
惚けたように呟いたアイネの耳へと、迫る機影から残留ミノフスキー粒子を超えて、いくらかノイズ混じりの音声通信が届く。アイネとそう変わらない年頃と思しき、若い娘の声だった。
『ん、トモエ? あんたらの船団、いま帰ってきたの?』
『やっぱりっ。お久しです、姐さん! それに――このサラミス改、トラキアじゃないですか! 懐かしい組み合わせですねっ』
通信回線に人懐こそうな声を弾ませながら、発信源は見る間に大きく近づいてくる。軽快な機動を見せるパブリク改級哨戒艇と、その上下へそれぞれ張り付いた二機のMS、RGM−79GSR《ジム・ゲシュレイ》だった。
ジオン残党軍との大乱戦で大いに暴威を振るったゲンナー・ウェズリー少尉機と同型の、RGM−79GS《ジム・コマンド宇宙戦仕様》の近代化改修機たる二機は、パブリク改の艇体を蹴って軽やかに発進。
トラキアと相対速度を合わせて空中で並んだ。
ゲンナー機同様に、ビームガンとシールドの標準装備――そしてシールドの裏に見慣れない格闘兵装らしき長柄を搭載したゲシュレイは、バイザー越しのモノアイ・センサーでトラキア艦上のサブリナ機とアイネ機を一瞥する。
『あれ。マコトさんは?』
『マコトなら、今は下で整備と休憩中。さっき残党軍と派手にやりあってね』
『ええ。戦闘光、こっちも望遠で見ましたよ。で、あっちで溶けたり凹んだりしてるのは『マカッサル』ですか……ほーん。派手にやられたみたいですね』
『……ま、痛み分けさね』
『姐さんとゲンさんが、マコトさんとリンさんに加勢してですか? エグい獲物だったんですね。残念ですよ。こっちの帰りがもうちょい早けりゃ私らの加勢で、そいつら跡形もなくツブしてやれたのに』
先頭を行くトラキアに並行しつつ、ゲシュレイは後続する同級の戦隊旗艦『マカッサル』とサラミス改級駆逐艦の僚艦『アルマーズ』、そして『大ジオン仏道』に襲撃されてからトラキアに同行している貨物船『リバティ115』を見下ろす。 それからゲシュレイの少女兵は、何気ない風を装うように聞いてきた。
『あと、そういや……シュンの奴、どうしました?』
『トモエ。あんたさっきから、それが一番気になってたんでしょ。ピンピンしてる。ローテーションで今は中だよ』
「!」』
因縁浅からぬ僚友の名を不意に出されて、会話の脇に押しやられていたアイネが顔を上げる。トモエと呼ばれた若い女性パイロットは、含み笑いでサブリナへ告げた。
『いやー、この前の寄港時にうまいこと誤魔化された続きって言うか……。この様子だとトラキアも、しばらくはP−04にいるんでしょ?
なら、シュンの奴に自分の立場を『理解(わか)らせ』てやるための時間は、たっぷりあるってことです――なぁに、今度は逃しゃしませんよ』
『ま、別に野暮いことは言わんけどね。若いの同士、その辺は適当にうまいことやんなよ』
狩りの獲物についてでも語るようにしながら、ゲシュレイの少女兵は不穏に笑う。息を呑んだまま、知らずその機影を睨みつけていたアイネへ、不意に新たな音声通信が入った。
『あら。そっちのジムU、新しい人?』
『!』
余裕を持って語りかけてきたのは、こちらも若い女の声だった。
アイネが自機の頭部ユニットを向け返したレーザー通信の出所は、トモエと呼ばれた少女兵の機体のやや後ろに控えるようにしながら並航する、もう一機のジム・ゲシュレイからだった。
『はじめまして。私はリタ・ブラゼル伍長。ルウム農協の予備役兵なの。ハヤカワ准尉とアーデル曹長、ミケリヤ少尉、ウェズリー少尉にリンリー少尉にはずいぶんお世話になっているわ』
そして音声通信を入れてきた相手はアイネに対し、さらに映像回線の権限を要求している。
『挨拶させてよ、新顔さん』
『予備役……』
サブリナが制止してくる気配もない。一瞬迷ったあと、アイネは映像回線を開きながら名乗った。
『――現役兵、アイネ・クライネ伍長です。ブラゼル伍長、よろしくお願いします』
現役兵、の部分へ無意識のうちにアクセントを付けながら、改めて堂々とアイネは名乗った。リタのゲシュレイは距離を保ったまま、トラキア甲板上のアイネを見下ろすように浮かんでいる。
全天周モニターへ小窓が開く。ノーマルスーツがヘルメットからバイザーを上げると現れたのは、大粒の黒真珠のような瞳に妖艶な光を湛えた、褐色の肌の美少女だった。
年齢もアイネとそう変わらないだろう。だが彼女には自分とは異質な系統でありながら、しかし一目でその美貌を思い知らせられてしまうだけの『力』があった。
そして同時に、アイネは気づく。彼女が相手の美貌に息を呑むのと同時に、リタもまた、自機コクピットの小窓に開いたアイネの容姿を、上から下まで値踏みするように見つめていたことを。
『へぇ。ここへ来て急に、まさかの伏兵出現かぁ……』
『何を……?』
『あ……? あ、ああ!? こ、こいつッ!?』
嘆息しながら思わせぶりに呟くリタの思惑が読めず、訝しむように呟いたアイネにそのとき突然、サブリナと話していたもう一人の少女兵が叫んだ。
全天周モニタにいきなり新しい小窓が開いたかと思えば、割り込むように映った少女が人差し指を突きつけながらアイネを睨みつけてくる。
『テメー! いったい誰の許可取って、マコト先輩よりデケェ乳ぶら下げてんだッ!!』
『――へっ……?』
開口一番に少女が叫んだ、あまりにもあまりな暴言。とうてい軍用回線を使って発された言葉と思えないそれは、あっさりとアイネの思考を停止させてしまっていた。
サブリナからトモエと呼ばれていた少女兵は、マコトと同じ東アジア系の、少年的な中性さを帯びた顔立ちの美少女であった。
リタとはまた大きく系統が異なるが、彼女もまたアイネを圧倒しうるだけの、研ぎ澄まされた刃のような美貌を備えている。
だが今、トモエの鳶色の瞳は敵の新兵器に直面した兵士のように見開かれ、同時にその口元は溢れ出る戦意を殺しきれないと言わんばかりに固く食いしばりながらわなわなと震えていた。
そして少女が突きつけた指先と、射殺すような視線の先は――アイネのパイロットスーツをふたつ大きく突き上げる、暴力的なまでに巨大な丸みを隠しもしない双丘であった。
もっともアイネが見る限り、リタとトモエもその胸元で相当に豊かな膨らみを見せつけている。サブリナ以上、マコトに匹敵するだろう。
身体の線を出すパイロットスーツの胸元からその形と質量を十分に誇示する二人の乳房は、世間一般なら十分以上に巨乳とされて強く目を引く大きさだ。 だが、それでもアイネの胸元に育った規格外の爆乳との間には、マゼラン級戦艦とサラミス級巡洋艦の違いをも大きく超える、圧倒的な格差が厳然と存在していることも理解できた。
『アイネ、とか言ったか……? 私はトモエ。ルウム農協予備役、斬り込み屋のトモエだ。覚えとけ。今に見てろ……ゼッテー負けねぇ。その澄まし顔、吠え面掻かせてやるからな……!』
『どうして』
映像回線を開いただけなのに。
他には本当に何もしていないのに、初対面の美少女二人の一人から、なぜここまで露骨な敵意を向けられなければならないのか。
『それではミケリヤ少尉、私たちはそろそろ』
『おう。揉んでやるからさ、また遊びに来なよ』
散歩中にいきなり興奮して通行人へ吠えかかった犬のリードでも取るようにして、リタ・ブラゼル伍長が何事もなかったかのように話しかけると、サブリナも軽い調子でそれに応じた。
トモエが最後までアイネへめんちを切ってから小窓が閉じると、二機のジム・ゲシュレイはスラスターを噴いて軽やかにパブリク改へ飛び乗る。
上下にMSを載せた哨戒艇はそのまま加速して旋回、鮮やかな軌跡を曳きながら元来た船団の方へ姿を消していった。
それを見届けながら歩み寄ってきたサブリナ機が、アイネ機の肩へ左手を置く。
『ごくろーさん。いやー、悪い娘たちじゃないんだけどさぁ。女の世界って、面倒くさいよねぇ』
『明らかに、そういう次元の問題じゃなかった気がするんですが……』
『ま、あの子たちも腕前と根性、それにジオンの残党どもをぶち殺して自分の村を、P−04を守りたい、って思いは本物だから。あの二人とも、私やマコトたちが鍛えた弟子みたいなもんなの。
あいつらと訓練するのは、アイネにとっても悪い話じゃないと思うね』
『ハヤカワ准尉の――』
大ジオン仏道の襲撃で最初の母艦もろとも撃墜され、漂流していた自分を回収したマコト。シャワールームで目覚めた自分の目の前にいた、強く凛々しい美女。
それほど年が離れているわけではないはずなのに、彼女はあまりにもアイネの理想を形にしてしまっていた。何か得体の知れない運命的な力さえ感じさせるほどに。
厳しくも力強く自分を鍛え直してくれた彼女の導きがあったからこそ、アイネはその後に重なった数度の戦闘を生き残ることが出来た。そう自負している。マコトの名前を口にするだけでも胸が高鳴る。
この短期間に、マコトはアイネの心の中のもっとも大きな部分を占めるようになってしまっていた。だから確かめた。
『あの二人は、ハヤカワ准尉とも長い付き合いなんですか?』
『そりゃもう。去年あの因業ババァに母港を宙域外に移されるまで、トラキアもP−04を拠点にしてたからさ。マコトの家も大事な人も、ずっとここなの。そうだよ……アイツ、もう半年ぐらい会えてなかったんだよね』
「…………。……『大事な人』……?」
ハヤカワ准尉の?
――誰?
何気なくサブリナが呟いた中に出てきたその一言だけで、頭の中からその他のすべてが消し飛ぶ。それきりアイネの動きは停止した。
『おっと、前方に機影――ハイザックだな。今日の防空警備は中央派か……どうやら農協の船団よりは先に入れそうだね』
皮肉げに言うサブリナの視線の彼方で、第223戦隊のP−04への進入を誘導するべく、RMS−106《ハイザック》の3機小隊が接近してくる。
周辺航路には、回収してきたデブリやジャンクと思しき何かをいくつもの網に包んで満載し、頂部に低反動砲を残したままで作業機として運用されているらしいRB−79《ボール》数機を搭載した、浚渫船と思しき船舶の姿も見えていた。
今やP−04は眼前にあった。
港湾施設や居住区が遠目に見える、資源採掘用であろう小惑星。全長2kmほどだろうか。
そして、そこからはルウム戦役で破壊されたスペースコロニーから回収・改造したと思しきフレームが周囲に伸びて、多数の農工業用プラント群を円環状に繋いでいる。そのプラント群は大抵のコロニーよりずっと数も多く、また密集しているように見えた。
一年戦争緒戦のルウム戦役で完全に破壊された、新サイド4暗礁宙域の復興拠点P−04。
ジオン残党が跳梁する魔の空域に穿たれた、地球連邦軍の前哨へと、アイネは足を踏み入れていく。 今回はここまでです。もう少しエロ無しが続きますが、そこを抜ければ凌辱監禁系に入ります。 ども、pixivに書いてる者です。
向こうで書いた作品をここに載せてみます。
ガンダム00のマリナがガンダムファイターになった作品です。 前にこのスレでフォーミュラという名前で書き込みました。
当時のトリップが使えるかテストします 上のトリップは当時使用したトリップを失念した時に新たに作ったものでした。
よって最初のトリップはないという結果になりますね……💦
気を取り直して、pixivに書いたのをここに載せてみます。 ずっと昔に書いたものですが……w
『マリナ 闘いの始まり』
戦いを知らぬ皇女が闘士になる決意をしたあの日から……
アザディスタンのガンダムファイト推進委員会の前で、弓と槍の卓越した技術で同国の候補に勝ち、代表選手になったマリナ・イスマイール。
その日から槍と弓は勿論、ファイターとしての格闘や身体能力を高める訓練を続け、他国には負けるが格闘家として十分な基礎能力を身に付けていった。
そんなある日、彼女自身の訓練と同時進行で行われていたMF製造が遂に完成した。
その名はガンダムファーラ。
彼女に合わせ、弓と槍による遠距離・中距離に長けた機体だ。
それを操縦するためのファイティングスーツ装着訓練が始まった。これに成功しなければファイターとしての闘いは始まらない。
「それでは皆さん、今から始めます。」
開発陣やマリナの秘書など、大勢の関係者が見守る中マリナはワイヤーでファーラの中に入っていった。
今の彼女はシンプルな白い訓練用の制服姿。上は長袖、下はズボンというオーソドックスな出で立ちだ。
「これがMFの中……ここが私の戦場なのね……」
一人が入るには広く、大勢が入るには狭い、そんなコクピットで拳を握りしめるマリナ……
天井と床に設置されたリング。
[newpage]
衣服を丁寧に脱ぎ、畳むとそれは収納ボックスに入れると、リングの中央に立ち祈るように手を握り目を閉じた。
全裸の彼女は生来の華奢で均整がとれた体型に加え、程よく引き締まっていた。
控えめな美乳はもう少し小さくなり、小振りな尻は上向きに、肉付きの薄い腹部は更に括れて縦に筋肉のラインが入っていた。 「モビルトレースシステム、起動。」
その声を認識したコンピューターによって、上のリングから清涼感ある彩りの布がマリナを包みながら降りてきた。
全身を圧迫する苦しみに捕らわれるマリナ。
「ぐっ、これは……」
柔らかい見た目に反して凄まじい力で拘束する布製スーツ。
胸も、胴も、尻も圧迫され身動きが容易に取れない。
「キ……、キツイ…………!!
でも、わ、私は、ファイターだから……!」
歯を食い縛りながら手足を力一杯動かせば布が伸びていく。しかし、中々千切れない。
ファイターならば誰もが通る道だが、非力な彼女にとっては尚更至難だった……
「……あれは……!」
その時、偶然目についたのは一本の鉄棒だった。
長さは彼女より頭一つ短い程。
どうやら作業員が最終点検で使ったものを置き忘れていたらしい。
「……あれを……!」
一旦屈んでそれを手にするマリナ。
床に立てたロッドを軸にすがるような体勢で全身を少しずつ回していくマリナ。
幸い体が他のファイターより柔軟な彼女はそれを頼りに全身に布を巻き込んでいった。
「い、いやぁぁぁ……!で、でも、ここを……乗りきれば……」 胸は尚も締め付けられ、小刻みにプルんと震える。
胴体にもグイグイと音を立てながら拘束する。
「ぐっ、このぉぉぉ……!は、早く、しないと……!!」
性器には恐ろしい程食い込み、痛みにも似た衝撃に腰が卑猥に震える。
アナルにはより深く侵入していく布。
女性特有の恥ずかしさを身に染ませて悲鳴のように声を上げる
「く、このぉぉぉ……!!」
これ以上ないくらいに布に包まれると、軸代わりに抱きついていたロッドから全身に力を込め、勢い良く離れた!!
「きゃああぁぁぁぁ…………!!」
ロッドはコクピットの隅に投げられ、布はブチブチと甚だしい音を響かせ破れていく。
「うぐっ……!」
自分もリング外に尻餅をついて、臀部を擦りながらリング内に戻るマリナ。
「…………これって……?」
全身の感覚がやけに軽やかだ。
身体にあの布が完全にフィットしている。
装着は成功だ!
自分の手を見つめるマリナの動きをガンダムファーラもトレースしている。
見守る関係者からも歓声が上がっている。
「わ、私、ついに……!」
嬉しさで顔を綻ばせるマリナ。 スーツは胴体は雪のような純白、腕と下半身は彼女の正装宛らの青紫。
そして、股部分には濃い紫のV字型切れ込みが堂々と入っている。
細い下腹部とスラリとした脚の境界線が強調された形になっている。
しかも、尻の真上からアナルにかけても同色の切れ込みが入っているので上向きの小さなヒップも目立つ。
普段のマリナにとっては恥ずかしいがそれを感じる暇もないくらい喜びに溢れていた。
あれから2週間、生身での戦闘訓練とスーツ装着・MFに乗っての戦闘訓練を繰返した結果、装着時間短縮を果たしたマリナは遂にサバイバルイレブンに臨むことになった。
しかも、筋力アップしたことでロッドに頼らずとも装着できるようになっていた。
誰もいないアザディスタンの砂漠に立つ二人のファイター。
一人はマリナ。相手はギリシャ代表ディノス・サマラス。直々にファイトを申し込んできた男だ。
日に焼けた肌、ギザギザの黒みがかった紅い長髪を縛っている。
搭乗機はガンダムアレキサンダー。
古代の王のような豪奢な外観の機体だ。
金色の王冠に、彫刻のように筋肉を象った白銀のボディ。
深紅のマントは滑らかかつ強靭な盾代わりになる。
右手には大剣を構えている。
両者示し合わせたようにワイヤーでコクピットに入り込む。
「とても威勢の良い人だったけど負けられない……!」 衣服を収納ボックスに入れ、全裸になる。
初のファイトで緊張しながらもリングの中央に立つ。
両手を握り締め、脚を内向きに開き、目を閉じる。
だがそれは最初の時のような、ただ祈るだけの姿とは違い、もっと強い意思を秘めたものだった。
ただ手を握っただけではなく、丁度あのロッド一本が入る程の余裕を設けている。
一言で言うと、見えないロッドを持っているかのようなポーズだった。
(ただ祈るだけじゃだめ、もっと自分を信じて、力を込めて……!!)
そんな思いからくるものだった。
上からくる布の圧迫に負けぬよう、全身の力を入れたり抜いたりを繰返す。
それでも、いつもの癖でアナルには常に力が入ってしまう。
やがて身体は布に包まれ、ギュ……と締め付けていく。
「や、やっぱり……キ、キツイ……!!
でも、負けない……ッ!!」
口を閉め歯を食い縛るマリナ。
見えないロッドを軸にまるでポールダンスをするような動きでゆっくり回転するマリナ。
小振りなヒップを突きだし、足元をメインに回り布を身体に巻き付けていく。
鍛えた甲斐があり、その衝撃にも耐えられ何とか動きを取れるようになった。
「このっ…………あつい……!」
腕をしなやかに動かし、これ以上ない程布が摩擦する。
擦れた熱に苦悶の色を滲ませるが、それに負けず腕を振るう。 ブチッ!バチッ…………!!
鼓膜に強い刺激を残すような音と共に布は千切れ、両腕にスーツが定着する。[newpage]
「まだ、まだキツイ……キ、キツイ…………!!」
腰を突き出したまま上体を反らし、細いウエストを捻る。
強烈な摩擦に襲われながら程良くフィットしていく。
綺麗なお碗型の美乳が白いスーツに浮かび上がり、引き締まってより細くなった胴体も包まれていく。
最後の難関は局部……
性器とアナルを同時に締め付けられ、頬を赤らめながら苦悶する。
「う、うぐっ……!いやっ……!!」
脚を大きく開き、下腹部に力を入れて耐え抜く。
やがて程よくフィットしたのを見計らい、長い脚を片方ずつハイキックして、布を身体から切り離す。
ブチッ、ブチチッ……!!
「ふう…………!はあ、はあ……!!」
遂に皇女はファイターの衣を身に纏い敵を見据え、両者の声が重なり合う。
「ガンダムファイト!レディ……ゴー!!」
「皇女様の実力、見てみたかったんだ。楽しませてもらうぜ!!」
大剣を掲げ意気揚々と挑むディノス。
邪気のない好青年といった面持ちだ。
マリナは槍を斜め上に構えて走っていく。 「はあっ……!」
ぶつかる刃同士。
弾かれそうになったのはマリナの方だ。
痺れる腕に耐え、ぐらつきそうな足を踏みしめ、スライディングしながら相手の背後に回る。
「危ないところだったわ……!」
「すばしっこいな、こりゃ楽しめそうだ!」
「はあっ……!」
姿勢を屈めて突撃しようとするが、ヒラリと視界を軽やかに遮るアレキサンダーのマント。
貫こうにも柔らかいそれは刃を通さない。
「これは……一体……?」
「これは柔軟な繊維でできてるんだ!簡単には破れないぜ!」
そのまま大剣がファーラの胸を斬る。
真昼の砂漠に鋼の白い欠片が舞い散っていく。
「きゃぁぁぁ…………!」
倒れつつも得物は離さず持ちながら、相手のモーションの一つ一つに隙を探しながら槍を突き出す。
しかし、マントに守られていない場所にかすり傷を付けるのが精一杯で中々決め手が見つからない。
「駄目だわ、これじゃあ……」
「こうなったら……」
少し距離を置いて、槍を弓モードに変形させ大量の矢を放つ。
夥しい鋼の矢をマントで防ぐディノスのアレキサンダー。
マリナは自分の姿勢や方向を変えながら打ち続ける。 目を素早く動かし探しているのだ、マントに守られない箇所ができるのを……
「このっ……こんな機能があったなんて!」
しかし、胴体や頭部が防御されている以上どれも決定打にはならずディノスの突進を許してしまう。
「これで止めだ!!」
「こうなったら……!!」
マリナは諦めなかった。まっすぐ弓を構えた状態で立ち上がり、相手を見つめる。
迫る剣が触れる間際、紙一重でジャンプ。
雲一つない青空に舞うファーラ。
瞬時に相手を見下ろし、矢を乱れ打つ!!
「ぐっ、ぐわああぁぁぁ……!!」
土砂降りのようなそれらにマントによる防御モーションはできず、頭部を始めとした幾つかの箇所に傷ができる。
すぐに着地するファーラ。
「終わりよ!!」
咄嗟に槍に変形させた得物を振り上げ、アレキサンダーの頭部を攻撃。
そこを破壊され、砂の山に倒れていく。
数分後、コクピットから出てくるディノス。
頭を擦っているが鍛えているためかダメージはそれほどでもないらしい。
「いやあ、あんた強いな、想像以上だぜ。」
「いえ、私もかなり苦戦したんですよ?」
負けても屈託ない彼の態度に緊張が綻ぶマリナ。
「あなたにファイトの厳しさを教えてもらったんですから。」
そう言って皇女はこれからの闘いに希望を持ち、アザディスタンの空を見上げた。 続けていきます。
『マリナ 淑やかな闘士』
世界各国で長年病のように続いた戦争が4年に一度行われる新たな制度「ガンダムファイト」によって終わりを告げた。
初回の今年、2307年は中東の国家アザディスタンも同様にエントリー。
更にその代表は皇女であるマリナ・イスマイール。
雅で大人しい彼女が格闘家=ガンダムファイターになるギャップに誰もが驚いた。
しかし、彼女は10代の時に親の英才教育の一環として始めた槍と弓の分野でずば抜けた才能を発揮。
だがマリナの興味は昔から続けていた音楽に向けられ、両親を必死に説得しそれらの競技はあっさりと辞めてしまった。
まさかそれが革新的な制度に活かす時が来るとはマリナ本人思ってもみなかった。
「戦い」を徹底して嫌う彼女だが、命を奪うことのないこの「闘い」には自ら名乗りを上げた。
国民の幸せの為にできることに突き進む理念がこのような形で実現しようとしている……
とは言え肉弾戦をしたことのない彼女には基本的にガンダムファイトは不利。
スタンダードな身体捌き、走り込み、筋力トレーニング、最低限の格闘訓練……
それらを行っても基礎的な身体能力では他のファイターに一歩譲る形になる。
巧みな槍術と弓術で数人のファイターを倒してきたのだ。
これは皇女にしてファイターであるマリナとある少年の一日を描いた物語…… 「すごい、ガンダムめっちゃデカイ!」
「負けるな、皇女さま!」
ここは、中東のアザディスタンのとある町にある孤児院ーーー
子供達はこぞってテレビに釘付けになっているが、アニメではなくスポーツの特集。
それも、先日ノルウェーで行われたガンダムファイトの映像だ。
まだサバイバルイレブンの段階だがこの手の番組の視聴率は高い。
司会者はテンション高く実況を続けている。
「さあ、始まりました!我れらがノルウェーと中東のアザディスタンとの試合!
我らが代表、広大な炭鉱を有するキルステン・バルグの駈るガンダムブラース
対するはアザディスタンのファイターにして皇女でもある……マリナ・イスマイールの駈るガンダムファーラ!!
一体勝利の女神はどちらに微笑むのか!
ガンダムファイト!レディ……ゴー!!」
ノルウェー代表はハンマーを持つガッシリとした神話のドワーフのようなガンダムブラース……
キルステンは立派な髭を生やした大男。
青銅のような暗いスーツに身を包んだ筋肉質な姿。
対するアザディスタンは、細身の青紫のガンダムファーラ。女性的なしなやかなラインは正に皇女専用と言った趣だ。
画面に映ったその乗り手に子供達は目を奪われた。
皇女にしてファイター……マリナ・イスマイールは長く豊かな黒髪、白い肌、澄んだ水色の目の女性だ。
普段から国の安定や貧困に喘ぐ各地の慰問に力を入れているので、今は眼前の敵を厳しく睨んでいてもその優しいイメージは国民から消えることはない。 格闘家らしからぬのは顔だけではない。
スラリと伸びた手足、ほっそりした胴体。
しかし鍛えられているので程好く引き締まったシルエットと筋肉の切れ込みが青紫のスーツから見える。
テレビの前の女子はその雰囲気に、そして男子は美貌とスタイルに各々釘付けになっていた。
特に、このアクバルという少年は一番目を輝かせている……
彼はやんちゃで孤児院の職員が手を焼いていた。
「行け!皇女さま!!」
「おい、アクバル。落ち着けよ!」
振り上げた腕を友達に退かされても画面に魅入るアクバル。
マリナは右手には槍を構え、走ってくる相手を静かに待ち構えている。
「一撃で勝つ!」
ドワーフ宛らに体格の良いファイターの力強いモーションから繰り出される攻撃。
次の瞬間には皇女の機体の小さな頭部は破損するだろうと思われたが……
「なに?!」
すんでのところで相手を見失い戸惑う。
……次の瞬間
「どこだ!いきなり……あ……」
突如感じる腹部の痛みに仰け反るファイター。
マリナのファーラが持つMFサイズの槍が機体に命中していた。
倒れるキルステン。
瞬時にしゃがみこみ素早い一突きを食らわせたのだ。 「勝者、マリナ・イスマイール選手!」
圧倒的な勝利に驚きと興奮を隠せない子供達。
「すげえ、細いお姉さんが一発で相手を!」
「女性ファイターいるって聞いてたけど、ホントに勝てちゃうなんて、あたしも自信持っちゃったぁ。」
「おまえ、ファイターにはならないだろ。でも速攻で勝っちゃうんだから凄いよなあ!」
口々に感心を表す中、いつもは賑やかなアクバルは興奮のあまり何も語らず、笑みを浮かべて画面のマリナを見つめるだけ。
(す、すげえ……あんなに綺麗で強いなんて……
それに、あのスーツテカっててハッキリとスタイルがわかってそそるよな……)
10歳程の少年の関心事はやはりそこだった。
そこへやってくるシスター達。
「みんなー、今日はお客様が来ておりますよ!さあ、どうぞ。」
「皆さん、こんにちは。マリナ・イスマイールです。」
子供達は呆気に取られた。さっきまでテレビに出ていた姫がここに立っている。
控えめながら雅な佇まい。そしてフランクで優しい笑顔に誰もが目を丸くした。
身に纏うのは流石にあのピッチリスーツではなく、白い上着に紺色の膝丈スカートというシンプルな姿。
職員が企画した子供達への一大サプライズで、話を聞いたマリナはファイトのテレビ放送とタイミングを合わせるというアイディアに戸惑っていたが、子供達の励みになりたいと承諾した。
今日も他の国でファイトをした帰りに寄ったのだ。
孤児院から少し離れた場所に今日だけ置かせてもらっているガンダムを後で子供達に見せるサプライズも用意している。
「え、えーすごい!ホントにマリナ様?」
「信じられない!今テレビ見てたとこだよ?」 皆沸き立って彼女を取り囲む。
「ええ、前回の闘いよね?何だか恥ずかしいわ。でも、皆に元気を少しでも分けられたみたいで良かった……」
はにかみながら談笑を続けるマリナ。
やがて彼女は皆が戦争や犯罪が原因で家族を失っていた話を聞いて慰めたり、得意のピアノ演奏で楽しませたりしていた。
そんな時……
「ターッチ!」
「キャッ……!」
小さな手がマリナの胸を豪快に触った。
やったのはいたずらっ子のアクバル。
「ちょっとアクバルー、皇女様になんてことをー!」
「全くホントにこの子は…!こういう時に……!」
赤面しながらアクバルを戸惑いの目で見続けるマリナ。
「……んーテレビで見たけど、思ってた以上に小さめだなー
ここのシスターさんの方がでかかったぞ?」
「……わ、私は鍛えてるからそんなに大きくならないだけで」
初めて触れられた驚きでスムーズに話せないマリナの代わりにシスターが捕らえようとするが、少年らしい俊敏さで建物を出ていくアクバル。
「小さいけど、柔らかくていい感じ……
鍛えててもやっぱり女の人だな。」
掌を見つめながら広い空地に行くと、彼は一気に目を丸くした。
「これは……あの、マリナ様のガンダム!?」 大木や簡素な滑り台やジャングルジムという日常的な光景の中に一際目立つ鋼の塊が片膝を着いてそこにあった。
さっき皆でテレビで見て盛り上がっていた自国の守り神・ガンダムファーラ。
頭部や腕部、脚部は殆どのガンダム同様に純白。
胴体と肩はマリナが演説や国内各地への訪問時に着ている正装宛らの鮮やかな青紫。
新聞等で見た他国のガンダムよりずっと華奢で格闘用機体というイメージはかなり薄れるが、やはり巨大人型マシンなので間近で見た迫力はかなりのもの。あんぐりと口を開けてしまう。
「……マジか?信じられねえ……あのMFがここにあるなんて……」
グルリと回り様々な角度から機体を鑑賞していくと、男特有のメカへの憧れが刺激される。
「実際に見るとでけえな……ん?」
背中から入る方式なのだろうが、肝心の背中ハッチが少し空いている。まるで入ってくれと言わんばかりの様子。
しかもそこから太いワイヤーが垂れ下がっている。いつもこれで乗り降りしているが、今日は仕舞い忘れたのだろう。
それを見て好奇心と悪戯心に溢れた彼に大人しくするのは無理だ。
「……やってみっか。」
グリップに付いたボタンを押すと背中の位置にスルスルと上がっていく。
「この高さ、何か不思議な感じだな……遊具の上に上がるのとは何か違う。
しかしマリナ様、意外と不用心だな。そこが可愛いか、フフッ。」
綺麗な皇女の「一人部屋」に侵入するようなスリルを持ってにやけながらコクピットに入ると、そこにはテレビで見たのと同様殆ど何もない、しかし真っ暗な空間が広がっていた。
手探りで探し当てた壁のライトを付けると無機質な壁に周囲の見慣れた町の風景が写し出され、天井と床に一つずつ設置されたリングが見えた。
「おー、テレビと同じだ!よく映ってるじゃん!
この高さだと色々イメージ違うなー。絶景かな、ってな。
取り合えずマリナ様ビックリさせたいから待ってるか!」
コクピットの隅にドカッと座る。 それとほぼ時を同じくして、上空には一体の剛健な外観のガンダムが飛んでいた。
メキシコ代表のガンダムスティンガー。手足に付いた複数の棘、サイズは大小様々。
乗っているのは荒れくれ者のバイス・アリアス。元野盗・名うてファイターの一人だ。
180強の身長のガッチリした身体。日に焼けた肌に僅かな顎髭を蓄えている。
「ここか、アザディスタンの姫が来ている場所は。腕が立つようだが叩きのめしてやるぜ!」
掌に拳を当てて意気込む。彼は元野盗だけあり、手段を選ばず卑怯で荒っぽい戦術を好むファイター。
自国からも色々問題視されているが一番の適任者ということで御上が目を瞑っているのが現実。
何人かの柄の悪い男達が町の至る場所から出て来て旗を振っている。
「バイスの兄貴ー待ってましたぜ!」
「よお、お前ら!ん、あそこにあるじゃねえか。ターゲットのガンダム。暢気なものだぜ。」
ファーラを見つけると重々しい音を立てて降り立つ機体。
駆け寄ってくる柄の悪い男達。
彼らはバイスの盗賊時代の手下で、彼の為に暗躍する時がある。正にどこまでもダーティーなファイターだ。
「おい!皇女のファイターはあんただな!俺はメキシコのバイス・アリアスだ。
ファイトを始めようぜ!」
アクバルはその大声に驚きスクリーンに映る仁王立ちするガンダムに度肝を抜かれる。
しかも手下達がライフルを持ってこちらや近隣の建物を脅すような素振りを見せている。
やんちゃなアクバルも普通の子供。犯罪者や荒くれ者には耐性なんてなく、出るに出られない。 「やばい、どうしよう……てかここで降りても危ねえし。
そういや、あの機体前に中継で見たけど、結構おっかない奴だったような……手下も従えてるし……
早く帰ってきてくれーマリナ様……」
しゃがみこんで怯えるのも無理はない。勝つために民間人を盾にしようとしたこともある極悪非道な相手だ。
近隣の住民も震えて黙り混んだり隠れたりしている。
「私に用!?」
そこに聞き覚えのある女性の声がして顔を上げる。
周りの連中も一斉にその方向を向いた
「え……本当に来た……?」
「随分騒がしいわ。あなたの相手は私だけでいいでしょう。場所を変えましょう、ここにいる皆さんの迷惑になるし。」
そこにいたのは誰もが待っていたマリナ・イスマイールだ。服はあの時と全く同じだがファイトの時に見せた厳しい表情で強靭なガンダムと周りの犯罪者を睨んでいる。
「よく来たな、姫さん。でも、俺は人に従いたくねえんだ。俺が態々来たんだし、どうしてもってんなら上空でやり合おうぜ?
……その前にこいつらでウォーミングアップだ!やっちまえ、お前ら!!」
彼の一声で一斉にライフルをぶっぱなす男達。
「あぶね、マリナ様……って……アレ?」
アクバルの心配は無用だった。
しなやかな動きで銃弾のパレードを避けると、男達を一人ずつ殴り、蹴り、投げ飛ばし全員をのしてしまった。
「いいぞ、姫!やっぱり、生身でも凄いんだ!……」
「……あっさり倒すとは……あいつらファイター程じゃねえが相当強いってのに……
やっぱ本物のファイターには勝てねえのか……」 「あなた、国の代表として恥ずかしくないの?」
「勝てりゃいいのさ!早く始めなきゃ町の奴らどうなるかわからねえぞ!」
ワイヤーを掴むと背中のハッチを開けっぱなしにしているのに気付いて頬を染めるマリナ。
「私のミスだわ……気を付けなきゃ……」
ハッチを開けると皇女とご対面。苦笑いしながら出迎える少年。
「ど、どうもマリナ様。凄かったぜさっきの闘い……」
「アクバル!ここにいたの!」
怒りながら近付く彼女の迫力に圧倒され俯くが……
「……本当に心配してたのよ。あそこにいる皆も何かあったら悲しむわ……」
格闘家とは思えない優しい力で頭を撫でられ、赤面するアクバル。
「ごめん、俺面白そうだからここに入っちゃって……
邪魔にならないように下りるよ……」
「……だめ!あいつは有名な悪漢よ。いきなり出てきたあなたを人質にするかも知れないし……」
「じゃあどうすりゃ……」
事実過去の大戦で使われていた緊急脱出用戦闘機は配備されていない。こうなれば……
「……そうね、壁にあるバーに掴まっていて。大丈夫、必ず勝つわ。
皇女の誇りにかけてあなたを無事に皆の元に帰すわ……
……だから、目を瞑っていてもらえる?」
「……わかった。」
口を閉めて覚悟を決めるアクバル。しかしこの年の少年特有の高揚が生まれて、いてもたってもいられなくなる。
(でも、あの姿になるってことだよな……
おい、ヤバイって……!) 興奮する彼をよそに静かかつ素早い動作で衣服を脱ぐ音が聞こえる。
それらを手慣れた動きで畳むと、床リングの中央に立つマリナ。
「バイス、今から始めるわ。モビルトレースシステム起動。」
(マジで始まるのかよ……あのスーツを着るのか……)
(……うーん、我慢できねえ、許してくれよ。姫様。)
恐る恐る目を僅かに開けるとその光景に息を飲んだ……
幸いにもというべきか?目を閉じながら少し脚を広げ、祈るように両手をそっと握るマリナ。
これから闘うには相応しくない、寧ろ神を無垢に信じる聖女のよう。
柔らかさと優しさに溢れていた。
(ひめさま……邪魔しちゃいけない雰囲気だな
でも見ちゃう、ごめんな)
大人だろうと子供だろうと男であるのに変わりない。視線はその人並外れた美貌だけでなく、体にも注がれていた。
想像通りのスラリとして、同性の中でも華奢な体つき。
しなやかに伸びた長い手足。
どう見ても格闘には似合わない、寧ろ一流の女優やモデルのような姿。……但しシルエットだけなら。
手足は細い形を保ちながらも、程よい深さの切れ込みがあった。
肉付きの薄い腹部にも腹筋のうっすらとした横ラインがいくつか走っており、縦ラインは比較的深々と主張している。
正に女性らしさと格闘家らしさの融合と言うに相応しい完璧なバランスだった。 ……とは言えまだ子供のアクバルにはこの状況でここまで深く見る余裕はなく、全身の素晴らしさに驚愕し、男心を揺さぶられるしかなかった。
(すごい、マリナ様……
見ちゃった……姫様の裸を見ちゃった……
俺もしかして重罪?)
様々な考えが頭の中にとっちらかって、眼前の光景を目に焼き付けるしかない。
そして天井のリングから薄い布が力強い勢いで降ってくる。
彼女が王宮にいる時と同様、鮮やかで品のある青紫と、雪のような純白の二色に彩られたスーツ。
一気にマリナの肩から足元まで降り立つと、彼女は無表情から一転、目を閉じたまま苦しみ始める。
「う、ああ、……うう……!」
伸びやかな手を重々しく揺らし、激しくスイングすると両腕は一気にスーツに包まれる。
「が、頑張れ。マリナ様。」
初めて見る、皇女の苦労に思わず呟いてしまう。
「う、ああああぁぁぁ……」
小振りな胸や細い鎖骨を覆うスーツ。
細く引き締まった胴体を大胆に反らして、体を柔らかいモーションで捻り続ける。
しかし、次が色んな意味で問題だった……
控え目な毛で守られた秘所に当然の如くスーツが食い込む。すると……
「お、おおお……や、く、くす……」
(……?お、おい何を……)
いきなりそそるような声を出すマリナ。しかも、今度は体を反らす代わりに尻を突き出している。
アクバルも反応してこれまで以上の視線を注いでしまう。
「く、くすぐったい……あ、あ……」 男の好奇心が煽られたのかマリナの背後に回るとやはり、小さくも美しく引き締まった上向きの尻がスーツに包まれながらこちらに突きだされている。
尻を振って何とかスーツを体にフィットさせようとしているのを知って尚興奮するアクバル。
前後の秘所に与えられるスーツの摩擦と闘うマリナ。
「……!」
(マリナ様、くすぐったいって……てかこのポーズ相当ヤバイんじゃ……
俺ケツ触っちゃいそう……いや、ダメだ。んなことしたら処刑もんだ!)
子供なりに理性を働かせ、伸ばした手を慌てて引っ込める。
「……ふー、はあああぁぁぁ……!」
脚を含め下半身を激しく動かして全身にスーツを纏うマリナ。
一回のファイトや訓練毎にスーツは入れ換えられるので、前後の秘所は新品の冷たさが与える心地よい刺激に少しの間耐えることになる。
「色々、大変なんだな……ファイターって……」
背後のバーに掴まりながら呟く少年に対し、ニコリと笑顔で首を横に振る皇女。
「ひめ……」
もはや彼はマリナのことしか考えられない。
「さあ、やりましょう。」
互いに上空に浮かび上がる両雄の機体。
「ガンダムファイト! レディ……ゴー!!」 向かい合う二人のガンダム。
「俺が倒すのはあんたで10人目だな!」
鋭い棘の付いた肩を向けショルダーアタックを仕掛けるバイスのスティンガー。
「ハッ!」
マリナはファーラのリアアーマーに付いた、特殊金属製の伸縮式ランスを手にするとそれを伸ばし、鋭い刃で棘を粉々にしてしまう。
「何だと!」
咄嗟のことに驚く相手に構わず肩、手足、胴体に次々と槍の刃を突き刺し、時にはロッド部分で殴打しダメージを与えていく。
スティンガーの全身の棘は見る見る内に砕けて落ちていく。
悔しがるバイス。
「おのれ……甘く見ていたか……!」
「すげえ……マジでできるんだな……」
関心のあまり唖然とするアクバル。
槍を直に盛っているのはガンダムだが、それを操るマリナの構え・全身の動きを直で見て高揚する。
背後から彼女の様子・モーションが全て丸わかりだ。興奮しない方がおかしい。
真後ろから見る皇女の華奢な肩、手足はしなやかに動く。
長く豊かな黒髪は活発に靡く。
スーツ装着に必死になっていた小振りな尻の穴を戦闘開始からギュッと締めているのもアクバルを熱くさせた。
「力、入ってる……」
思わず呟いた声と視線に一瞬振り返った皇女の頬は紅かった。
「見ないで、癖なの……」
「ああ、失礼しやした……(試合中ずっと締めてたのか。やべえ、ドキドキするじゃん。)」 バイスは歯軋りしつつコクピット内のとあるボタンを押すと、スティンガーのバクパック(コアランダー式ではない)が開き、チェーン付きの鉄球が飛び出してきた。
慣れた構えで手に持つバイスのスティンガー。
更にグリップ部のボタンを押すと、幾つかの棘が鉄球から顔を出す。
「こいつは避けられねえぞ?」
豪快なスイングによって、巨大な蛇の如く宙を舞うチェーン。何度もマリナを襲い来る鉄球。
「ごめんなさい、さっきより揺れるわよ?」
「またか!?」
激しいモーションで避け続けるマリナのファーラ。
必死さの為か、子供の握力で耐えられるのが不思議な程、バーに掴まり続けられるアクバル。
「ホラホラ、どうした!この武器じゃ手も足も出ねえか!?」
「はぁはぁ、正直、不利だわ。ああいう重い武器は……」
何とか背後に回ると、あの鉄球が入っていたバックパックを思い切り蹴って距離を置くマリナ。
「はあはあ、きついな……このスピードで毎回闘ってるのか、マリナ様……」
「ええ……私は慣れてるけど、あなたには堪えるわよね、ごめんね……」
憂いを帯びた顔で言われて言葉に詰まりながらも「いや、んなことねえよ。俺は大丈夫だからさっ。」
無理矢理笑顔でガッツポーズを取って見せる。
「諦めな!姫さん!?」
意気揚々と飛んでくるバイスの機体。
「どうする!このままじゃ……!」
「いえ、この距離ならいけるわ……!」 微笑みながらランスの小型スイッチを押すと、刃パーツが収納され、ロッドが真っ二つに割れてアーチ状に変形した。
サイドアーマーに複数収納されていた矢をセットするマリナ。
彼女のもう一つの戦術だ。
「これって……」
「弓よ。これで決めるから、ね。」
ニッコリするマリナに素直な笑顔で笑い返すアクバル。
アクバルはマリナの左側に移動してその横顔を覗き込む。
いつもは柔和な水色の瞳は鋭く敵を狙う射手そのもの。
スラッとした脚を凛として開き、右腕を一点の緩みもなく、後方に力一杯引く。
「ハッ!」
細く優しい声は低い叫びに変えて、一本の矢を放つ。
回避を試みたバイスはギリギリで肩に刺さってしまう。
「このっ……!」
鋭い痛みに顔を歪めるバイス。
「よし!」
拳を握り興奮する少年。
手慣れた動きで複数の矢をセットすると目にも止まらぬ速さで撃ち抜いていく。
「町の人達を脅かしたこと、反省して……っ
これで終わりよ、ハッ!」
真空波のように飛び掛かる矢の雨。
「手こずらせやがって……って、何だありゃあ!?」
矢を引き抜いた直後のバイスは鉄球を持った腕で頭部を庇うが、当然のように腕、腹、脚に刺さっていく。 「うわあああ!!こ、この、小娘にぃぃぃ……!!!」
比較的頑丈な装甲だったが一定のダメージが至るところ刺さり、悲鳴を上げる悪漢。
ガッシリした機体はバイス本人と共にワナワナと揺れている。
「やりぃ!!姫さますごいじゃん!!」
はしゃぐアクバルに静かな声で諌めるマリナ。
「ありがとう……でも前に出てきちゃだめでしょう?
お願いだから下がっていて。
それに……まだ終わってないわ。」
「?」
実際スティンガーの頭部は無傷だった。そして、そこを守った鉄球も……
ガンダムファイトは頭部を攻撃され破壊されない限り敗北扱いにはならない。
そしてこの闘いで最も厄介なのはあの強靭な鉄の塊だ……
「……姫さん、やってくれんじゃねえか……
こうなりゃ本当の怖さを教えるしかねえな……」
ニヤリとすると鉄球を支えるチェーングリップのボタンを押すバイス。
瞬時にその塊はチェーンから離れ、まるで意思を持ったかのようにマリナ目掛けて飛んでいく。
「そんな!?」
驚きながらも矢を放つマリナ。
しかし、流石スティンガー本体以上の防御力を誇るだけありビクともせず、進んでいく。
「まさかあんな機能があるなんて!」
「ど、どうしよ。マリナ様!?」 「怖がらないで……勝って見せるわ……皇女だもの。」
優しく微笑みながらも激しい射撃を繰り返すがビクともせず突き進む鉄球。
「ハハハ!どこまで耐えられるかな!!」
まるでバイスの嘲りに呼応するようにそれはマリナの腹部に当たる。
「きゃああああ!!」
棘と鉄の重量、そしてかつてないスピードを一気に受けて、マリナのスーツと体に鈍く重い痛みが走り、細く高い声を上げる……
ファイターと言うよりは暴漢に教われる乙女のようだ。
ただヒットしただけではなく、腹部に接触したまま、マリナを後方へと押しやるように飛行し続ける鉄球。
もはや永続的に続く拷問のようなもの。
「うわあ!いてえ!」
勿論彼女の背後にいたアクバルも安全バーを握ったまま、壁とスーツ姿の皇女にサンドイッチされた状態になってしまった……
(姫様、やばいんじゃあ……
あのトゲボールやり過ぎだろ……ルールよくわかんないけど
……にしても姫様とこんなに密着できるなんて……オレまじでラッキーじゃねえ?)
不謹慎だが年頃の少年なので仕方ない。
マリナのしなやかな筋肉に覆われた体(それも全身ピッチリスーツ)に押し付けられているのだ。
興奮しないのは至難の技というもの……
お陰で年相応のアレが逞しくなってマリナのお尻に当たっている。
(もう少しこうしてもいいかも……あのファイタームカつくけど今は感謝だな……アハハ……) 「ア、アクバル……ごめんなさい……ケガはない?……」
「お、おれだったら平気だよ……」
(姫様、オレのアレに気付いてねえのかな……でもその方がいい)
痛みを押さえて向き直るマリナ。
(この鉄球……どうにかしないと……どこかに策はあるはず……)
自分を押しやる鉄球を苦しみながらも見つめると一ヶ所に細く深い穴が見つかった。
(そうか……あの時連続で射撃したからなのね……)
「どんなに硬くても勝機はあるわ!」
「えっ!?」
突然の言葉に思わず自分の股間を触ってしまうアクバル。
(おいおい、硬くてもって……
やっぱりオレのことに気付いて……なわけないか。)
「随分苦戦してるな!俺が引導を渡してやる!挟み撃ちだ!」
後ろからいつの間にかやってきたバイスのガンダムスティンガー。
辛うじて残っていたトゲの付いたナックルをマリナの背中に向けて迫ってくる!
しかし、皇女は苦しみに汗を流しながらも珍しく強気に笑った。
「イチかバチかよ……!」
腹部は鉄球の摩擦と硬度を食らい、背中はスティンガーのニードルに狙われている。
「ど、どうすんのさ、マリナ様!?」
心配するアクバルをよそにマリナは刻が来るのを待った。
「覚悟しろ!」 迫るバイス。しかし……
「ハッ!!」
ギリギリのタイミングでバイス機の肩を踵で蹴り上げ上空に飛んだ!
その衝撃で彼女から離れた鉄球はその主であるスティンガーの腹部に激突した!!
「ぐああああ!!」
凄まじい叫びを上げるバイス。
「すげえ……マリナ様、こんなことできるんだ!」
はしゃぐアクバル。
一方自由落下で誰もいない山に落ちていく鉄球に目にも止まらぬ連続射撃を浴びせるマリナ。
あれ程彼女を苦しめた鋼の怪物は無惨に粉々に砕け散った。
「ちくしょう……マリナ、てめえ……!!」
悪漢は腹部を押さえて歯を食い縛り皇女の機体を見上げながら、相手と同じ高度まで飛翔する。
同じ目線で睨み合う両者。
マリナに数発矢を放たれ勢いを徐々になくすバイス。
「バイス、ここで終わりにするわ。
町の人達を脅かした罪、反省しなさい……」
弓を凛々しく構えるマリナ。しかし……腹を押さえて膝を着く。
やはり短時間とは言えダメージの蓄積はかなりのものだった……
鋼による圧迫と猛スピードの為に全身に疲労も溜まり、狙いを定めるのが難しいのだろう……
「うぐっ!……」 「マリナ様?!」
「……はあ、はぁ……ねえ、アクバル。
お願い、聞いてくれる……?」 「うん!何でも聞くよ!」
「それじゃあ……」
彼女の求めに少し頬を赤らめるがすぐに頷く。
片膝を着いて狙いを定めるマリナ。
後ろ側で何と彼女を羽交い締めにするアクバル。
上体を安定させる為とは言え、彼女の背中とお尻にイヤでも密着して動揺を抑えられない。
このまま胸を触りたい衝動に駈られるがグッと堪える。
「これで終わりだ!」
「いえ、あなたの方よ!」
光の速さで射たれた矢がスティンガーの頭を撃っていく。
「ぐわああああ!!俺が、小娘に……やられるだと……!!」
無人の山に落ちていく悪漢とスティンガー。
「ねえ、皇女様……」
「なにかしら?」
「今日は、色々と……ごめんなさい……」
「いいわ、謝らないで。私はこの国が、あなた達が好きだから闘ってるの。ただそれだけよ。」
頭を撫でる皇女はとても優しかった。
その後、孤児院に無事帰還するマリナのガンダムファーラ。
ワイヤーで降り立ち、ファイティングスーツ姿の皇女と手を繋ぎながら歩むアクバル。
「もう!本当に心配したのよ!!」
「やんちゃだからってまさかここまでとはな……」 真剣に怒ってくれる孤児院のシスター。呆れながらも帰宅を喜んでくれる友達。
「ごめんごめん。でもマリナ様凄かったんだぜ!!
テレビで見るのとは比べ物になんねえよ!
やっぱ本物は違うよな!」
拳を振り上げて皆に自慢するアクバル。
それをクスクスと微笑みながら見守るマリナ。
「今日は本当に申し訳ありませんでした!!家の子がとんでもないご迷惑を……!」
「いえ、気にしないで下さい。アクバルは立派に私を助けてくれましたから。
あんな子がいるんですから私は絶対勝って見せます。」
「マリナ様……」
憧れの目で見つめるアクバルの耳元に語りかけるマリナ。
「ねえ、アクバル……?」
「何?」
「あなたあの時……熱くなってたでしょ?」
「そ、そんなことないよ!」
「ねえ、何?何なのー!?」
アクバルは他の子達に聞かれて頬を赤らめながら苦笑いするしかなかった。 スパロボとかでプル・プルツーが救われる(仲間になる)話はよくあるが
フォウ・ロザミアが救われる話は少ないような…
何故だ。 需要はあると思うけど、その二人は劇中のストーリーが悲惨すぎてハッピーエンドにどうもっていいのかわからないから、な気がします。
原作のプルツーも悲しかった。
ゲーマーではない自分の意見だけど。
ただ、プルは大好きなジュドーと一定期間同行できたから比較的幸せだと思います。
まあ自分は原作で殴り合いなんて全く経験無さそうなマリナとシーリンに格闘させてますがw 『マリナ 新たなる戦術』 EP1
アザディスタン代表のガンダムファイター、マリナ・イスマイールは都市から離れた荒野に敵ファイターと向かい合っていた。
相手はエジプト代表、レザー・クルスーム。185センチの大男でいかにもパワーのありそうな風体をしている。
「闘いにゃ似つかわしくねえ姉ちゃんだ。皇女様がよくやるぜ。
楽しめるんだろうな?」
どこかサディスティックな笑みを見せるレザーにマリナは静かに、だが毅然と答えた。
「……私にとっては楽しむものではありません。ただ、国の為に闘うだけです。」
「まあいいさ、精々泣かないようにな。ガンダム!」
レザーの大声と共に大地は割れ、ガンダムグレイブは姿を表した。
マッシブな人型ではあるものの、ピラミッドの頂点を思わせる尖ったパーツが複数付いている。
「ガンダム。」
対して静かに呟くマリナに答え、大地から現れるガンダムファーラ。弓と槍の闘いに適した純白の機体だ。
コクピットに入っていくマリナ。
皇女としての紫の衣装を丁寧勝つ素早く脱いで、一糸纏わぬ姿になる。
均整の取れたスマートな身体。それと同時に、訓練により程よく筋肉のついていた。
腹は比較的深い縦線が入っていて、臀部は上向きで無駄な肉がなく、柔らかさと締まりを両立させる見事なものだった。
もし少女時代しか知らない亡き両親が見れば娘の成長?ぶりに驚くこと受け合いだ。
「モビルトレースシステム機動。」
青紫のスーツが凄まじい圧力とスピードを伴い降りてくる。
祈るように両手を握りしめ、脚をそっと開いて待つマリナ。 間もなく、胸元から爪先までを完全に覆い尽くす大きな布の固まり。
遠目に見れば美女を襲うスライムのように見えるかも知れない。
「はぁぁぁぁ……!!何度も、したから……これくらい……」
声を絞り出し耐えるマリナ。
少し小振りな胸を反らせば、テカる布は嫌と言うほどその美しい輪郭を際立たせ定着していく。
爪先立ちになりつつ、両腕を鶴のように広げると、甚だしい音を立てながら布は破れ纏われていく。
「うっ、……あ、あ……キ、キツイ……!!」
何度やっても慣れないのは股間とアナルに侵入する布。
まだ女の喜びを知らない膣は柔軟なそれが与える摩擦に翻弄され、無言の悲鳴を上げる。
そして、禁所とも言えるアナルは深々と入っていき、清潔なそこを満たしていく。
「くぅ、……いやぁぁ……はぁ……はぁ!」
尻を上下左右に振りながら定着し、馴染ませていく。
どこか一ヶ所でも定着しなければ、機体に自分の動きをトレースさせられない。
普段の彼女を知る周囲からは想像できない姿だ。
長い両脚を片方ずつ掲げて、全身スーツに覆われた。装着完了。
細い胴体は青紫、長い四肢は純白、足の付け根とアナルにはV字型の暗紫が同等と主張していた。
二人のファイターの声が重なる。
「ガンダムファイト!レディーゴー!!」 「喰らいな!」
「なんの!」
グレイブの全身に付いた突起から繰り出される大きな砲弾を得意の弓術で破壊していくマリナ。
「この調子で勝てれば……」
冷静に素早く近付くマリナ。しかし……
「どうかな!?」
突如猛スピードで迫るグレイブ。砂を掻き分けスムーズに走るその様に驚くマリナ。
「これは……!」
「この機体は様々なフィールドに対応できるように換装式になってんだ!
アマゾンなら湿地、海なら水中、砂漠ならホバータイプだ!」
瞬時に接近を許してしまい、弓を叩き落とされるマリナ。
「そんな!」
「非力な姫様には勝機はねえぞ!」
片腕を捕まれ抵抗できなくなるマリナ。
必死で外そうとするも相手は動じない。
それもそのはず。グレイブはパワーに長けているのもあるが、そもそもマリナは他のファイターに比べ非力。よってパワータイプを操るのは負担になる。
それを補う為の槍と弓だったが落とされ身動きできなくなったとあれば勝ち目はない……。
皇女の戦況は絶望的だ……! 「まだ、諦めない……」
サイドスカートから取り出したスペアアロー……
しかしそれさえも叩き伏せられてしまう。
やはり遠距離でこそ輝く武器。至近距離ではどうしようもない……
「ほら、喰らいな!姉ちゃん!」
「きゃああぁぁ!!」
肩、腰、脚に砲撃を受ける。ファイトのルール上、コクピットを狙うわけにはいかないので必然的に食らうのはそれらの場所になる。
「さあて、頭を狙わせてもらおうか……」
「……!」
ファイターとしての本能とでも言おうか、瞬間的に精神がクリアになったマリナ。
恐れも焦りも心の奥に沈み、反射的に片足を上げて思いきり敵の片目にキックを直撃させた!
「ぎゃぁぁぁ!!」
一瞬の強い攻撃に悲鳴を上げファーラを離すグレイブ。
砂の上に尻餅を着いて何とか距離を取るマリナ。
「やろう、目を……ファイトはお預けだ。また一週間後に来るぜ!」
飛び去っていくグレイブ。
「はぁ、はぁ…………私の武器が通じない……」
汗を拭いながら飛んでいく巨体を見つめるマリナ。
そこに一体の小型飛行機が降り立った。
中から現れた女性を見てマリナは驚いた。
ウェーブのかかった短いブルネット。
眼鏡の奥に光るクールな瞳。年はマリナより少し上だろうか。 「あなたは……シーリン?」
「久しぶりね。マリナ。」
マリナは機体から出ると飛行機にいる彼女に駆け寄った。
マリナの秘書をしていた女性、シーリン・バフティヤール……
外交の為、暫く国を留守にしていたのだ今日戻ってきたのだ。
皇女は頬を染めながら……
「あの……今のファイトは……」
「ええ、見ていたわ。一国の代表としては少し酷いわね……」
「言い訳はできないわね。でも、後一週間しかリミットが……」
「そう、それなら私に良い提案があるわ。ここで挽回できなければ……わかるわね?」
「…………」
マリナは首を縦に振った。 EP2
「きゃっ!」
床の上に倒れ込むマリナ。シーリンはいつも通りの冷静な顔で彼女を見下ろしていた。
「いたた……あなた、いつの間にこんな技を……」
立ち上がる彼女にシーリンは告げる。
「外交中に日本で教わった合気道というものよ。殴らずに相手の勢いを活かして倒す、古くから伝わる武術よ。」
「そんな武術があったの……空手や柔道しか知らなかったから……」
驚くマリナの前にしゃがむシーリンは側近と言うよりは家庭教師という顔だった。
そう……昔彼女に教えていた時のように、政治に携わる今よりは幾分親しみやすい雰囲気だった。
そっと手に触れる。
「私も始めて知ったけど、マスターすればかなり有効な武術。
あなたは努力を重ねてここまで成長した。それでも唯一他のファイターに届かないのはフィジカル……
器用に武器を使いこなしても腕力では敵わないでしょう。
でも、合気道ならその差を埋められる。あのパワーやスピードを兼ね備えた敵にもね。」
「…………期限は一週間だものね。わかったわ。私に教えて頂戴。」
シーリンは首を静かに縦に振った。 そして数時間後……
「私の動きを少し見切れるようになったみたいね。」
「はあ、はあ……!それにしても、シーリンの、手捌き、すごいわ……
対応……精一杯だもの……」
フラフラになりつつ汗を流すマリナ。
彼女が立っている場所を中心に汗が滴り落ちている。
「MF用の訓練室に行きましょう。見せたいものがあるわ。」
「?……」
不思議に思いながらも付いていくと、応急修理を終えたガンダムファーラにワイヤーを使い入っていくシーリン。
前方には、各国のMFを元にした無人の訓練用ダミー機が複数待機している。
「まさか……」
「ええ、今から合気道のファイトを見せるわ。よく見ていて。」
コクピットに入ったシーリンは慣れないその場所を見回す。
旧友にして皇女、そしてファイターであるマリナの居場所。
ファイトにかける想い、焦り、不安、そして勝利の喜び。
マリナが持っているありとあらゆるものがこの戦場にひしめき合っているような気がして、普段冷静な彼女も息を飲む。
「最初会った時は少し危なっかしい所もあると思っていたけど、ここまで強くなるなんてね……」
緑の外交スーツから布製のケースを取りだし、服と下着をパサッと脱ぐと、それは粒子となり消えていく。
マリナより数センチ背の高いシーリンはパッと見彼女より威圧感を与えるかも知れないが、身体は同じくらい細かった。
一言で言うと、適度に軽い運動を嗜む女性と言った趣の体型。
皇女より少し大きい平均サイズの胸。 ファイターでないのでマリナ程でないが、一般人の女性より幾らか引き締まった身体。
艶のある肌は色気を引き立てるのに充分だろう。
流れるような線を描くシルエットも男を昂らせるだろう。
リングに立ち脚を閉じて、両腕をスーっと広げる。
「デミモビルトレースシステム機動!」
叫んだ瞬間にケースから取り出したのはサイズの違う二つの半透明の布。
その内大きい楕円形のものを胸にピタリと吸着させる。
「く、うううぅぅぅ…………!いやぁぁぁ……!!」
いつもの凛とした揺るがない態度からは想像できないあられもない声。まるで痴漢や強姦に遭ったような悲鳴と共に身体を反らす。
布は大きく広がり、見る見る内に胸から鎖骨、腹、背中と両腕を包んでいく。
デミモビルトレースシステムとは、最近開発されたモビルトレースシステムの簡易版である。
必要以上に負担のある正規版に比べ1/3の疲労で済むもの。
巨大なスーツが上から降りてくるのではなく、二つの伸縮式布で上半身と下半身に纏う。
云わば訓練生とファイターに憧れた一般人のためのもの。
その分、人間の動きをガンダムにトレースさせる効果は正規の1/3程。
特定の武術やスムーズな動きに長けていれば、性能以上のトレースができる者もいるが稀である。
「マリナの、苦しみに、比べれば……!!」
正規程手はないにしろ、全身にかかる圧迫を跳ね退けるように握り拳を作り、両腕を広げる。
そして、シーリンはもう一つ、小型カプセル状の布を性器である谷間に差し込んだ。 「い、いやぁぁぁ……!!」
いつもの凛としたものとは違う声色を上げてしまうシーリン。
布はやはり性器の比較的奥まで吸着する刺激を与えながら、下腹部、性器周り、尻、脚を包んでいく。
「キ、キツイ……!!」
深いアナルにも行き渡るスーツに腰を揺らしながら、全身に力を込める。
「時間が、ないわ!!マリナの、為に……」
吸着に耐えながら正面にいるダミー達を見据えるクールな瞳。
衝撃は徐々に消えていく。一般人に取っては有り難いシステム。
半透明の美しい、だがどことなくぼやかした色のスーツに包まれたシーリン。
通信機を作動させマリナに呼び掛けるシーリン。
「よく見ていてね。これが合気道よ。」
首を縦に振り旧友が乗ったガンダムを見つめるマリナ。
「はあっ!!」
簡易版とは言え、走り込みと合気道に慣れたシーリンはスムーズに、正確に自分の動きを反映させている。
ファイターではないが一般人としてはかなりのものだ。
ダミーの振り降ろす腕を掴み、瞬く間に投げていく。
バランスを崩した機体は次から次えと間接を初めとするパーツを破壊されて倒れていく。
「凄いわ……こんな戦い方があったなんて……」
その鮮やかさに魅入るマリナ。
皇女は友によって新たな希望を感じていた。 EP3
訓練開始から三日経ち、マリナは苦労しながらも生来の才能ゆえに合気道の技を身に付けていった。
今は晴天の昼下がり、気晴らしに街を歩く。道行く人に挨拶をして、時には軽く談笑すると、人通りのない原っぱに出た。
街の治安が守られていることを皇女として嬉しく思う。
およそ十年前には考えられなかったことだ。
「これも国のみんなが協力してくれたお陰ね……」
(絶対にあんな人に負けはしないわ……シーリンの為、みんなの為にも……!
…………!?)
上空から自分目掛けて何か大きなものが勢いを付けて降ってくるのを感じ、ファイター故の反射神経で素早く身構える。
棍棒を持った長身の男。
「ハッ!……」
瞬時に相手の腕を掴んで捻り、投げ飛ばした。
「いてて……てめえ、避けやがったな……」
背中を強かに地面に打ち付けた男はダメージに痙攣している。
この近くの土は柔らかいとは言え、マリナの今までの訓練で培った腕力と合気道の訓練成果によって、相当の痛みがあるらしい。
棍棒を奪って槍の構えのように突きつけるマリナ。
「エジプトのファイター・レザーの命令?
」
「けっ、誰の命令だろうが関係ねえ!」
男が痛みに耐えながら指を鳴らすと、複数の男達が茂みや木から姿を現す。 殆どは嫌らしい顔でマリナを見ている。
相手を痛め付けたいだけでなく、性的なことを考えてもいるのだろう。
それは対面している皇女自身にも伝わっており、ファイターになってからある程度の覚悟はしていた。
皆腕利きの格闘家や元軍人……レザーが雇った相手だろう。
シーリンが言った通り、マリナの弱点は筋力。武器の扱いやスピードはともかく、純粋なパワーだけなら彼女を越える者も二、三人は混じっているかも知れない。
「マリナよ、悪いがここでシメさせてもらうぜ。」
一斉に襲いかかる男達。
戦闘体勢に入ったマリナは次々と相手を殴り、蹴り飛ばしていく。
ガンダムファイターとして非力でも、それ以外の格闘家や軍人を圧倒的に凌ぐパワーと格闘センスを持っている彼女は純粋にパワーだけで片付けられる。
そして敵は残り僅かになったのだが……
向かってくる一人の男は凄まじい腕力でマリナのパンチを弾き返す。
一気に原っぱに倒れ込むマリナだがすぐに立ち上がる。ファイターにしては小さい拳は痛みにジンジンとしている。
「キャッ……!」
「フッ、応えたらしいな。俺は腕力に関しちゃ自信があってな。」
その男はテクはイマイチだったのでガンダムファイターの適正はなかったが、パワーはかなりのものだった。
この世界の格闘家の中ではトップクラスまでいかずともかなりのものだろう。 「くらえ!」
更に何発もキック、パンチをマリナの腹、腕、脚等に入れていく。
乱れ内に少しずつ赤くなる皇女の皮膚。
「うぐっ……!(もっと冷静に……敵の動きを読まなきゃ……)」
ふらっよろめくマリナ。周りの男達は手を出さずにいやらしく囃し立てる。
金で雇われたであろうそいつらは暴力に飽きたらず性欲まで強く持っている。
今マリナにダメージを与えた男も同類の表情だった。
「いい格好だな、皇女さまっ!これが終わったら俺達楽しめるな!!」
「はぁ……はぁ……誰があなた達に……
(ここで負けては国を救えないわ……
怖い敵なんて、誰もいない……!)」
心を鎮めて雑音をシャットアウトすると、どこか精神が白く透き通ったような心持ちになる。
自ずと今握った拳は開かれて、身体全体にかかる力は抜けて軽くなったような心境だ。
彼女には怪力の男しか見えていない。
大きな拳が見せる軌道……それを鋭く見つめると、痛む身体を押して腕を掴み、捻り混んだ!!
「ハッ!」
「うわぁぁぁぁ!!」
そのまま更に捻ると、男の腕の間接が脆くも外れる音がした。
「ひいぃぃぃ!!」
男はそのまま痛みに苦しみながら汗をドッと流していた。
皇女はそれを冷静に見下ろすだけ…… 今日はここまでですね。
『新たなる戦術』も既にpixivに書いたものですが、一気にガーッと載せるのもあれなので少しずつにします。 エロとバトルと、時々リョナと
EP4
そして他の男達もマリナに投げられ、間接を捻られた。
全員が彼女の通報で逮捕されたが、敵ファイターの住むエジプトと問題を起こしては国の安全に関わると言うマリナの判断で密かに独房行きになった。
マリナはあの頭が冴え渡るような感覚から元の状態に戻っていたが、何分初めての体験なので混乱しつつ帰路に着いた。
街の人達や通報を受けた警官からは軽い土汚れや痣を心配されたが、本人は笑って心配をかけないように努めた。
ここはアザディスタンの城の皇女専用の個室。少し脚の長いベッドには皇女の純白の下着が丁寧に畳まれて置かれている。
マリナは椅子に座って一糸纏わぬ姿でシーリンのお世話になっていた。
両手を膝に置き真っ直ぐに姿勢良く座っているが、桃色の薄い唇を少し強ばらせている。
控え目な美乳・括れていながらも引き締まった腹・しなやかな手足……痣のできた体の各部に塗り薬が染み渡る。
「いっ、いたい……」
「全く無理をするんだから。たまにそういうところがあるわよね、昔から。」
シーリンは呆れながら出来るだけ優しく薬を塗ってくれていた。
「ありがとう、シーリン。でも不思議なのよ。冷静になろうとしたら頭が冴えたような、余計なものが消えちゃった状態になって……」
シーリンは少しの間考えていたが直に顔を上げると
「それはもしかすると、明鏡止水というものではないかしら……」
「め、明鏡止水……?」
聞き慣れない言葉に首を傾げる皇女に旧友は続けた。
「一切心が荒まずに、澄み渡った……そうね、とても落ち着いた安定状態というのかしらね。日本で聞いた言葉よ。」
「私が、その状態に……?」 「私が、その状態に……?」
「ただ、誰でもいきなりなれるわけではないわ。もしかしたら……その前段階かも知れないわね……」
「じゃあ、いつもその状態を保っていられれば……」
「そう、だけど決着までに後四日しかないわ。確かに大切な言葉だけど、新しい概念に心を奪われていたらそれこそ元も子もないわ……
言い出した私が言うのも何だけど、忘れて訓練に励みましょう。ただ冷静さだけを心掛けるしかないわ。」
「そうね、ありがとう。シーリン……」
それでも、その言葉はマリナの心を掴んで離さないのを自身が一番わかっていた。
望みと不安を同時に見せる澄んだ水色の瞳……
それは旧友に親愛の微笑みをさせてしまうものだった。
「マリナ、あなたって人は……
……所で何か感じない?」
「何って?」
「この部屋、私達だけじゃないわよ?」
「……!?」
敵の襲撃後なので、立ち上がり構えるマリナ。
シーリンはベッドの脚に触れると諭すように「出てきなさい。」
「な、何?」
「あちゃー、ばれちゃったかー、ハハハ。」
ベッドのやや長い脚と床の間から這うように出てきたのは見覚えのある少年……アクバルだった。
前に孤児院で出会い、コクピットに入りマリナの戦いを目の当たりにしたあの少年……
「アクバル!あなた、いつからそこに……
ずっと、見てたの!?ひどい……」
マリナは立ち上がり、胸と局部を両手で隠す。 子供とは言えスケベな男子。女としては反射的に防御せざるを得ない。
スラリとしつつ引き締まった、つまり二重の意味で美しさを兼ね備えた女体を震わせる。
少し衝撃を与えればすぐに体制を崩して大事なところを公開しかねない危うさ。
普段ファイトで落ち着いた構えを見せる彼女とは別人のようだ。
ただ、それはファイトの訓練と経験によって積み上げられたもの。
今の姿は生来の彼女らしさかも知れない。
実は彼に裸を見られたのはこれで二回目。最初の時は目を瞑るよう頼んでから、脱衣してスーツを装着したので恥はあまりなかった。
…………と思ってるのはマリナだけで、アクバルは(ある意味では)勇気を振り絞ってこっそり目を開け、皇女の裸体とスーツの装着に苦しむ様をまざまざと脳裏に焼き付けたのだ。
まだ小さい彼には相当の刺激と高揚を教えてくれたので、それを一人アソビの助けにしているのは秘密だ。
その思い出を孤児院の男子達に語れば相当の反響を呼び、女子達はそれに対し所謂「男子サイテー!」というリアクションを見せ、従業員は青ざめながら説教をしていた。
この孤児院始まって以来の大騒ぎだった……
「いや遊びに来たんだよ。マリナ様にあったことあるって言ったら城の警備の人が入れてくれてさ。
でも、酷いな、今回ヤバいやつらだったんだろ!?
ファイターにも色んなタイプがいるんだな……」
アクバルが心配そうに手を触れようとするのを反射的に武道宛らのモーションで避けるマリナ。
「もう、酷いのはあなたよ……
……でも、ここまで来てくれて嬉しい……ありがとう……」
マリナは呆れながらも険悪な感じはなかった。寧ろチラリと向けた水色の瞳には喜びが見えるので、少年は素直に笑った。
「気付かないなんてまだまだね……皇女様も形無しね……」 「シーリン、からかわないで!
……あっ」
言った拍子に手を広げて、股間を見せてしまうマリナ。
「…………」
時が止まったようなムード。鳩が豆鉄砲食らったような顔になるアクバル。
「いやっ……!!」
「うわぁぁぁ!」
少年は目にも止まらぬ速さで腕を捕まれ床に転んだが悪びれる様子もなく背中を擦る。
「いてて、流石、マリナ様か……」
「ほら、行くわよ。」「はい……」
シーリンに連れられて部屋を後にするアクバル。
着替えたマリナはまた二人を部屋に入れてお茶を人数分淹れた。
「院のみんなは元気?」
「うん、みんなマリナ様が来てからもっと元気になったよ!」
「そう、良かった……私が少しでもみんなの力になれるなら……」
少年の言葉には二重の意味があったのを彼女は知らない……
シーリンだけは何かを察したのか黙ってお茶を啜っていた。 EP5
マリナがアクバルと和気藹々と過ごしている頃、城の別室では何人かの大臣が集まっていた。殆どは年輩で、中には中年も混ざっていた。
アザディスタンは元々女性に参政権のない国。
しかし、ガンダムファイトが制定されたことで戦争は終わり、政治家の尽力により国の経済力も少しずつ上がっている。
皇女となったマリナがガンダムファイターになり、二重の意味で国の代表になったことで、国内の女性の地位も上がり女性政治家も増えた。
それを快く思わないのがここにいる彼らである。
「しかし、参りましたね。ここ最近のマリナ皇女の活躍ってやつは。」
一人が皮肉っぽく告げる。
「全くだ。しかし、遂に完成したじゃないか。新型の《スーツ》が。
何も知らずに開発の話を喜んでいたな、皇女は。
これで彼女の信頼は終わりだろう。」
自信ありげに話す男は中心人物らしい。
すると、隣にいた男は手を上げた。
「しかし、そうなっては国民からの我々の評価も危ないのでは?」
メインの男は首を横に振り
「いや、大丈夫だ。優しい皇女とその直属の部下達なら甘い処罰を選んでくれるだろう。
今回の失敗を糧にこれからもお願いします……という言葉と共にな。」
「確かに。それにエジプトのファイターがこのタイミングに我が国に勝負を仕掛けたのもラッキーですね。
敵に感謝することがあるとはね……」
個室で談笑するマリナ達の元に先程集まっていた大臣の何人かがメカニックスタッフ数人を連れてやってきた。
「マリナ皇女。実は新型のファイティングスーツが完成致しました。」 「本当ですか?それではすぐにテストしましょう。」
嬉しそうに立ち上がるマリナ。
少し不安げに男達を見つめるシーリン。アクバルは好奇心の目でマリナを見つめる。
シーリンとアクバルを連れ立ってガンダムの格納庫に行く一同。
「新しいスーツというのは?」
「これです。」
パッドに映ったデータのイラストを見たマリナは苦笑いして固まる。
脇から覗いたシーリンも絶句した。
そこには「リキッドメタルスーツ」という文字があった。
「こ、これですか……」
「ええ、以前のものとは違いますが軽量なのですよ。エジプトとの闘いも迫ってますし……」
例の一番メインの大臣が説得すると応じるマリナ。
「……そうですね。時間がありませんからね。」
「どれ、どんなの?」
パッドを奪おうとするアクバルを止めるシーリン。
彼女は男達に疑惑の目を向けたが、その視線はテストに臨むマリナの方を向けばすぐに心配の眼差しに変わった。
「あなたが見るものではないわ……
(しかし、こんなものを……彼らは一体何を……)」
緊張しつつガンダムファーラのコクピットに入るマリナ。いつも通り全裸になるが新たなシステムに不安で内股になり、普段の祈るポーズもする余裕がない。 「大丈夫なのかしら……でも、闘えるのは私しかいないから……!
モビルトレースシステム起動!」
恥じらいを消すように発した声と共に天井から降りてきたのはスーツの布ではなく、掌サイズの銀色の液体だった。
それは液体金属……リキッドメタルスーツというものだった。
「新型スーツの話は聞いていたけどこれはどういうこと?」
静かに、しかしそこはかとない厳しさを見せるシーリンにリーダー格の大臣は落ち着き払って応えた。
「その名の通り液体金属を使ったものですよ。軽量ですし、新技術を使えば他国への優位性のアピールにもなります。」
「…………」
「ねえ、ホントに大丈夫なのか?」
シーリンは不安がるアクバルの肩に手を置きながらも、大臣達への疑惑の目を向け続けた。
一方マリナは……
「な、何?これが液体、金属?キャアッ!なに、これ……!」
重力や引力に逆らう技術が使われているのだろうか……
銀色のそれは首や肩ではなく、いきなり形の整った胸元に圧迫するようにへばりついた。
更に胸を揉み解すようにモゾモゾと動きながらその面積を広げていく。
「い、いやぁぁ……!キ、キツイ……!!
それに、柔らかくて、ヒンヤリしてて、何だか、こわい……」
あっという間に肩甲骨まで包んでいくと、まるで生き物のようにそこと胸を前後からグイグイと圧迫していく。
「い、いやぁぁぁ!!い、いた、く、苦しいぃぃ……!!」
柔らかいが、同時に強靭な締め付けでマリナを苦しめるメタル。 何度も揉まれていく度にそこを中心に、真っ白かった肌が少しずつ紅くなっていく。
理不尽で未体験の衝撃と羞恥によって……
徐々に固まり、銀の硬質なブラジャーのような形になるメタル。
すると、新たにもう一つの掌サイズ液体金属が降ってきた……[newpage]
シーリンとアクバルは心配そうにガンダムに目を向けていた。
「マリナ様……どうなるんだ……」
「今は信じましょう……」
少年の肩に置いた手は心なしか力が入っていた。
液体金属に戦くマリナ。
「また一つ?今度は何!? ……まさか……」
予感は的中した。それはマリナの胸を通過し下腹部に触れるとジンワリと陰部、尻にその侵略を進めていく。
「いや、やめて、そこだけはぁぁぁ!!」
怯えて悲鳴をあげる姿は皇女ファイターとは思えず、寧ろ怪物に襲われる女性のようだ。
今までずっとスーツの与える羞恥と苦しみと戦い、耐性もかなり付いてきた。
しかし、新しく見たそれは生物のようにマリナに迫る。恐れない方が不自然。
冷たい質感と共に下腹部を全て覆われると、誰も誘い入れたことのない女の場所にグイッと入り込み、深いところまで入っていく……
バイブと圧迫を同時に与えて、マリナはあられもない声をあげる。
腰を上下に揺らす姿は見たものを驚きと邪な感情に駆り立てるかも知れない。
「いやぁぁぁ……何だか、くっつかれてる、みたい……」
下半身をメインにガタガタと震えるマリナをよそに、会陰を伝ってアナルにまで入っていく。
「ひゃ、だ、だめよ、そこは!そんな!」 「ひゃ、だ、だめよ、そこは!そんな!」
実際に清潔なのだが場所が場所なので、自分の秘密を見られたような気分になってアナルに手を伸ばそうとするが既に遅い。
深々と入ったそれの与える冷たさに尻を突き出して背中を反らし、天井を仰ぎ見る。
「いやぁぁぁ……!!わたしの、そんなところ、やめて……!!
国の、みんなに、見られたら……」
なぜかふとアクバルの悪戯そうな顔を思いだし赤面する。
アナルに入ったそれは更に小振りな美尻を入念に包んでいく。
腰全体を苦しめるように揺れながらプレッシャーをかける液体金属。
やがて固まり、銀色のパンツになった。
同時にマリナの体にかかる苦しみも少しずつ軽減していく。
「はぁ、はぁ……!……これが……スーツ……!?」
金属が包んだのは全身ではなく、胸と腰だけ。下着のようなアーマーといった方が正しいかも知れない。
データを先に見ていたが、いざ着ると衝撃と恥ずかしさは並みではない。
「あの人達は何を考えているのかしら……!?」
決着まで後僅か。皇女は漠然とした不安を募らせていた。 EP6
「はぁぁぁ!」
訓練場で無数のダミー機体を蹴散らしていくマリナ。
あるものは槍と弓で、あるものは合気道の投げ技で次々と破壊されていく。
一見格闘とは無縁そうなビキニ状スーツはマリナのモーションを見事機体にリンクさせて滑らかなモーションを実現させてくれる。
「すごい、前のスーツを格段に進歩させてる。」
あまりの成果に自身が纏っている金属の胸当てとパンツを繁々と見つめる。
大臣達の求めにそのままの姿でゆっくりとワイヤーで降りるマリナ。
その場にいる誰もが息を飲んだ。
元々持つ雅な美貌。訓練によりスレンダーさが増した抜群のスタイル。そこに際どい場所だけをメタルに守られている。注目を集めるのは無理もなかった。
「むう、素晴らしいですな、マリナ皇女。」
「スーツを使いこなしていますね。」
大臣達は口々に誉めるがそれは半分おだて。それを知った上ではにかむ皇女。
「いえ、皆さんの力あってですから……
…………何をしているの、アクバル?」
「……え、これは……?……うわぁぁ!」
お尻に手を伸ばそうとするアクバルの腕をさっと掴んで軽く投げるマリナ。尤も、手加減していたから大丈夫だったが。
「ホントに困った子……」
「いてて、流石だな。マリナ様。」
シーリンはフフっと笑い
「段々勘が鋭くなっていったみたいね、マリナ。」 その日から三日間、新型スーツでのガンダムの操作と、スーツを着ながらの生身の訓練に力を注いだ。
アクバルもそれを見学したいからという名目で城に泊り、マリナの姿を脳裏に焼き付けるのに注力した。
決着は明後日となったこの日、いつも通りシーリンから合気道を教わった。
「中々の性能ね、そのスーツ。見た目通りかなり身軽になってるわ。」
「ええ、姿は恥ずかしいけど動きやすいし、次の戦いが終わったらデザインを変えてもらわなきゃね……」
その語尾は相当強いものだった……
「全身金属というのも中々斬新よね。他のファイターからの視線が凄そう、色んな意味で……」
「ちょっとやめて、シーリン。全部金属は困り者よね……もっと目立たないようになれば良いんだけど?」
その後、マリナはシーリンと自室に戻ると訝しい顔をした。
「あれ?ない、ないわ。」
「どうしたの?」
「ビキニスーツの解除用リキッドがないの。」
解除用リキッドは、その名の通り金属でできたスーツを溶かす液体。
但し純粋に溶かすだけなので、人間の皮膚には何ら影響はない。
不思議がる二人。
そしてマリナは人差し指を口元に触れて…
「それに、アクバルもずっと帰って来ないのよね…」
「こんな時に人の心配?でも確かに気掛かりね。やんちゃな子だから…」 一方アクバルはまた戻ると言い残し長い間城の近くをブラブラしていた。
20人程客がいる酒場に行くと、早くも皇女のスーツの話を自慢げに切り出した。
様々な年齢の男達が目を輝かせて話に聞き入った。女達は苦笑いしたり、眼前の男達に不快感を示したりして正に十人十色だった。
「……というわけなんだ、すげえだろ!?」
「まじですげえ、ボウズ、いいもん見たな!」
「こぉの、幸福者ぉ!」
しかし、中には無法者もいた……
スキンヘッドの男は王宮の警備員として相当の強者だったが飲酒や暴力などの素行不良でクビになって荒れた生活をしていた。
逆恨みで何をするかわからない……!
彼は近付いてくると、好色な顔をズイッと寄せた。
「おい、姫様は今でも城にいるか?何なら今からでも会いに行きてえと思ってな。」
悪い予感がしたアクバルは自分の軽率さを悔いながら首を横に振った。
「いや、今はもういないと思う。……他に用事があるらしいから……」
「どうだろうな。まあ行ってみるさ……」
(この荒くれたやつ、マリナ様になにするかわからない。今大事な時だし……!
絶対に会わせちゃいけない!!)
「やめなよ!今姫様は大変なんだ!国の未来がかかってんだ!……あんたも国の一員なんだからわかるだろ?」
少年にとって精一杯の説得だった。しかし、元々血の気が多くて最近はそれが酷くなった男は聞くわけがなくアクバルの胸ぐらを掴む。
酒場の店員や他の客は何もできずじっとしていた。
「ガキが何言ってやがる!こっちはクビになってから毎日悲惨なんだ!一泡吹かせなきゃ腹の虫が収まらねえ!!」
「こいつ……!!」 「私に一泡吹かせたいならその子を離して。」
向かい合う二人が振り向くとそこには当の本人、マリナが白いコートを着て立っていた。
馴染みの少年を脅す男に怒りの炎を燃やす水色の目は、宛ら蒼い炎のようだ。
「マリナ様……」
「アクバル、中々帰ってこないから探してたわ。」
「そっちから来てくれるなんて丁度いい……まずはこれを喰らえ!」
襲いかかる男の猛烈なパンチ。それに動じず腕を掴むとそのまま相手を床に倒してしまう。
「この野郎……」男はタフなのか立ち上がってくる。
「ここでは皆さんの迷惑になるわ。どうしてもと言うなら誰もいない場所で…… アクバル、あなたは早く帰りなさい。」
「ありがとう、マリナ様……」[newpage]
少し離れた空き地に向かい合う二人。
「ファイターになったからって自惚れんじゃねえ!!」
「あなたのような人、クビではなく警察に渡すべきでした。今終わりにします!」
(感情に流されちゃだめ。落ち着いて……今ここには誰もいない、存分に戦えるわ。)
自分に言い聞かせると、原っぱの時のように頭が冴え渡ってくる。
この数日であの冷静さをマスターしつつあった。それでもまだ明鏡止水まではいかないが……
「さっきは油断したがこれで終わりだ!」
男の方も少し落ち着いてきたのだろう。
いくら腕っぷしが人並外れて強いとは言え相手はガンダムファイター。一筋縄ではいかないのを実感していた。 ナイフで襲いかかる男、その手はマリナに払われ地面に落ちる。
それからも男の攻撃を受け流し、地面に倒し続けるマリナ。
時にはパンチとキックを交えて柔軟に戦うが、何回も攻撃の応酬を繰り返す度に少しずつ疲れが出てきた。
時が経つ毎にそれは顕著になっていく。
(はあ、はあ……おかしいわ。こんなに早く疲れるなんて……訓練より激しく動いているから……?)
疑問と疲労を頭の中で振り払おうとするが、一瞬のモーションの鈍さを男は見逃さなかった。
「もらったぁぁ!!」
「しまった!」
男は逆にマリナを投げ飛ばすとナイフを拾い、コートを縦一閃に切り裂いた!
「いやぁぁ!」
「ほお、皇女、いいもん着てるじゃねえか。」
コートの下にはあのビキニ状スーツを来た姿。 アクバルが心配で急いでコートを羽織ってきた。
「どれ、どんなかんじなのかねえ、マリナ様の素肌……」
「いや、やめて!」
震えている様は普通の女だった。もはやあの冷静さは吹き飛んでいる。
体力の減少も止まらず、息が激しくなっている一方だ。
「はぁ、はぁ……」(さっきより疲労が酷くなってきてる……)
「やめろ!マリナ様に酷いことするな!」
そこにやってきたのはアクバルだった。
「アクバル、なぜここに!?」 「俺を、助けようとして戦いになったから気になって……お前、やめろよ!」
「ほお、ガキがいい度胸だな、まずはお前からだ!」
アクバルに襲いかかる男。
咄嗟に少年の前に出るマリナ。
勢いで放ったキックが相手を吹っ飛ばすが、体力の消耗は誤魔化せず、フラフラしている。細い肩を揺らして息をする。
疲労を現すように何滴もの汗が大地に滴り落ちる。
「はぁ、はぁ、負けるわけには……」
(これではアクバルを守りきれない。もっと冷静に……
明鏡止水は……)
疲労と焦燥を無視し、あの原っぱでの戦いを思い出し、再び頭が冴え渡る皇女。
全身に意識を集中させ、頭に幸せな思い出を浮かべる。
今は亡き家族との日々、シーリン達友人との思い出、ファイターに合格した日、喜んでくれる国民の顔。
その全てが彼女を落ち着かせ、穏やかにしてくれる。
そして、身軽さのためにコートを脱ぎ捨てたその体は少しだけ淡い色に輝いていた。
日の光に照らされた麦のような薄い金色……
銀色だったビキニまでも同じ色に変わり輝きを放つ。
「お前……一体……?」
「マリナ、様……?」
他の二人はただ驚き目を見張るしかない。 「この、早く倒れろ!」
飛んでくる拳を俊敏な鳥のように軽々と避けて、腹に凄まじいパンチをぶつける。
「うわぁぁぁ!!」
そしてよろめく相手の肩を掴み、大地に投げ飛ばす。
その音に木々に止まっていた鳥達は逃げ出す。見守るアクバルは茫然とする。
男は強かに打ち付けて気絶してしまった。
「あの、マリナ様!!ついにやったね!!」
「……アクバル。」
駆けて寄ったアクバルが手を伸ばした時、マリナの全身から光は消えて、力なく少年の上に倒れていった。
「うわ、マリナ様!ちょっと……!!」
金属のビキニに包まれた肢体は汗を大量に流しながら少年の真上で眠りについた。
どこか苦しみを見せる表情で…… EP7
「マ、マリナ様……」
いきなりのことに驚くアクバル。
彼より背が高いとは言えマリナは軽かった。重みは感じない。
(な、なんか前にコクピットに入った時も思ったけど、肌柔らかいな……
でも体型は締まってるし……
元々いい匂いがするし、今は汗かいてるけど嫌な感じはしないし。ドキドキする……)
「いけね、なに考えてんだ俺は。」
不謹慎さに気付いて首を横に振ると、彼女を肩に担いでさっきの酒場に入り、そこの電話で王宮と警察署に報告した。これで敵の男は逮捕され、気絶したマリナはアクバルと共に王宮に運ばれた。
王宮の医務室にあるベッドに横たえられるマリナ。
シーリンは解除用リキッドがなくなったのを医師達に告げると、メタルスーツを開発推進した大臣達を電話で呼んだ。
その間、念の為医師はメタルのスーツを外そうとするが
「取れないっ……並大抵の人間の力では無理か……ファイターでなければ。
……もしかして、皇女の疲労はこれが原因なのでは?」
心配するアクバルの隣にいたシーリンは不穏な表情で頷く。
程なくして、スーツ装着テストにマリナを読んだ大臣とメカニック達を連れてくるシーリン。
彼女は疑惑と嫌悪に満ちた目を彼らに向けていた。 中心的な大臣は普段の落ち着いたムードを崩さないながらも申し訳なさそうに
「いや、このようなことになるとは。
メタルスーツの開発は完璧だった筈ですが……
危険性に気付かず我が皇女にこんな苦しみを……
本当に面目ない。」
彼の目配せでメカニックがマリナのビキニ部分に液体を垂らした。
皮膚を傷付けずに少しずつ溶けていく液体。いざという時のスーツ解除用のリキッドだった。
「マリナの部屋にあった解除リキッドがなくなっていたんですよ。
心当たりありません?」
それとなく尋ねるシーリンを見て首を横に振る大臣達。
「皇女を初めとした皆さんに御迷惑を御掛けしました。私達は一旦引き上げます。」
帰っていく一同をシーリンは厳しい目で見つめていたが、直属の部下に目配せする。彼は大臣達とは距離を取りながら後を着けていった。
部屋の内側と廊下にはボディーガードを数名付けてある。
そしてシーリンは医師からマリナの着替えを受け取ると、静かな声でアクバルに
「あなたも一旦借りている部屋に戻って。」
「うん……」
脱力したように戻るアクバル。
やがて全て溶けて消えてしまうと、一糸纏わぬ姿になったマリナの汗を冷たいタオルで拭き服を丁寧に着せた。
「ごめんね、マリナ……」
横たわる彼女の手に自分の額を重ねた。その目には雫が…… 「シーリンさん、わかりました。やはりあいつら仕組んでいました!」
一時間程してシーリンの部下がRCレコーダーを持って戻ってきた。
いつになくガタッと立ち上がるシーリン。マリナを起こしたかと思い、まだ寝ている彼女を見て安心すると部下に向き直ると、ボディーガード達にその場を任せて部屋を後にした。
「そう、それでは私の部屋に行きましょう。」
二人は録音を真剣に聞いていた。
あの大臣達とメカニックの声が聞こえてくる。
彼女は部下に命じて、彼らの仕事部屋のドアに盗聴機を付けさせた。
例え外側に付けても部屋の内側の音声を録音できる性能だった。
『極度の感情の昂りにより疲労を与える金属。メカニックさんは目の付け所が違いますな。』
『しかし、上手くいきましたな。皇女の汗のかきよう。あのスーツかなりのものですね。
目の保養にもなりますし。メカニックのあなた方のお陰ですよ。』
『お褒めに預り光栄です。それにしてもあなた達はそんなに女性の王様がお嫌いなのですね。
私は報酬をもらえば良いですし、男女どちらでも気にしないのですが。』
『ええ、ずっとアザディスタンは男が強い力を持っていた。それをあの娘が皇女になっただけでなく、ガンダムファイターにも……
男の立つ瀬がないと思いましてな。あのシーリン達の一派からは保守派などと言われ嫌われてますがね、ハハ。』
『まあ、そのお陰で新しいスーツの研究費も頂きましたしウィンウィンですがね。
そう言えば、彼女が次のファイトに負けても新しい男性のファイターを用意していると聞きましたが、その時は是非とも私を頼ってください。
私が彼に新しい装備を作りますから。』
『お願いします。』
シーリンは腕を震わせた。国のためにずっと歯を食い縛ってきたのに、男のプライドの為に国の足を引っ張るばかりかマリナを苦しめたのだ。 「こいつら……本当に……」
部下はその様子を見守っていたが、そこにもう一人部下が現れUSBメモリを出した。
「ここには、あのスーツのハッキングデータがあります。保守派大臣の差し金でしょうが、とんでもないカラクリがありました。」
「……どんな?」
PCに接続すると、詳細データが表示された。
「……シーリンさん、落ち着いて聞いてください。
このスーツはユーザーの極度の闘争心を関知すると、その体力を減少させるスチール効果があるのです。
……だからその、冷静さや明鏡止水の状態になっても闘う意思が強過ぎれば危険なことになります。
訓練では問題なくても、いざ実戦になるとスチール効果が発動するというものです。」
「……あいつら、よくも……」
ガタッ……!
その時、ドアの向こうに音がした。用心深く開けると……
「誰……マリナ?」
服を着た皇女がボディーガード数名と共にそこにいた。
まだ疲労は完全に取れたわけではないが、顔色は少し良くなっている。
彼女の顔は悲しさと悔しさで溢れていた。
「シーリン……全部聞いたわ……あの人達、私を陥れようと……」
「シーリンさん、マリナ様がどうしても言うので……」
「ええ、私も大臣達が怪しいと思って、シーリン達が調べてくれていると聞いて、無理を言ってボディーガードの人達に連れてきてもらったの。」
シーリンは全員を部屋にいれると、旧友をそっと抱き締める。 「……今回のことはスーツテストを止められなかった私にも責任があるわ。
ごめんなさい。」
「いいのよ……私も気付かなかったし……あなたはいつも通りでいて、お願い。」
そのやさしい声に鉄の女と一部から噂されたシーリンは唇を噛み締めて、重く頷いた。
涙が流れるのを止められず顔を反らす。
泣いているのを見られるのに慣れていないのだ。
マリナは旧友のブルネットを優しく撫でて頭に顎をそっと乗せていたが、やがて上げた顔は「指導者」のそれになっていた。
シーリンも雰囲気の僅かな変化を察知してマリナを見つめる。
「皆さん、お願いがあります。録音テープにあった新しいファイターの存在、もしかしたら新型のMFも用意されているかも知れません。
だから……」
その願いを否定するものはいなかった。 EP8
マリナが医務室に運ばれた翌日、大臣達一行は首都の外れにある中型の研究施設、そこの格納庫に集まっていた。
誰も住むものがいない寂しい場所にある。
彼らの前にはマリナと同い年ほどの体格の良い青年が立っていた。
その隣には数人の男達。殆どがメカニックらしき男達、そして格闘のトレーナーという感じの男が一人。
更にその背後には巨大な何かが布に被せられていた。
「どうも視察に来ました。機体とファイターの調子はどうですか?」
メインの大臣に尋ねられると、トレーナーとチーフメカニックは声を合わせて
「両方順調ですとも。それに彼もとても腕を上げましたから。」
トレーナーに視線を向けられた体格の良い青年はコクリと自信ありげに頷き、声を発した。
「俺は早く闘いたい。今の皇女様ともな。」
ワインレッドのストレートヘア、黒い切れ長の瞳。
背はマリナより10センチ高い程であり男性ファイターとしては大きくはないが、筋肉と体から発する闘志は彼を大きく見せていた。
大臣のリーダーは手を上げると
「マリナ皇女は体力を消耗して昨日から休養だ。
明日のエジプト代表との決着は怪しいものだね。しかし、念には念をだ。
彼女は今までも強敵との闘いに勝利してきたタフな女だ。
最後の一押しといこうか。切り札は君だよ。
但し、ガンダムは使うな。今の段階では目立ちすぎる。
生身で暗殺……という形にするしかないな。」 「そうだな、残念だがそうするか。それに、あんたらと同じなのさ。……今の国には不満がある……」
「まあ、君の父上のことは残念だった……」
トレーナーは青年を心配そうに見つめ、メカニックチーフはスッと手を上げる。
「事情は全て聞かせてもらったわ。」
もう一つの声はシーリンだった。彼女と数人のボディーガードは銃を構えてこちらを睨んでいる。
彼女はRCレコーダーを再生させると、先程の会話が流れていく。
リーダーの大臣は悔しげに拳を握る。
「調べられていたか……」
次の瞬間、マリナはしなやかな動きで大臣の腕を掴み、一瞬の内に地面に叩き伏せた。
「ぐわぁ!!」
皇女の水色の瞳は落ち着きと共にどこか哀しげに見つめる。
「残念でした……みんなの力で国をされない発展させてきたのに……
あなた達が歓迎してくれないなんて……」
「当然だ、ずっと男が国をまとめてきたんだ。最近現れた小娘に……ぐぅぅ……」
マリナは冷然とした態度で腕を捻った。
「私は国のみんなが好きです。
それに、女性も含めて社会で活躍できるようになった現在(いま)も……
でも、このように邪魔をする人達には断固戦います……ファイターである前に皇女として。
」
「ほう、いいねえ。その気合い。何も恐れてない瞳。倒し甲斐があるぜ。」
前に出てきたのはワインレッドの髪をした青年だった。 「……あなたですね、新しくファイターになるのは。」
「ああ……ギルガメッシュ・サムーンだ。覚えておけ。」
両者の間に冷たい熱気のようなものが走った。
次の瞬間、二人の拳がぶつかり合う。
そして、猛スピードで戦いを始める二人。
ギルガメッシュのパンチが飛んでくるが、マリナはそれを受け流し投げ飛ばす。
次の瞬間、ギルのキックが目にめ止まらぬ速さでマリナを蹴る。
技の応酬だった。
一方、こっそり逃げようとする他のメカニックや大臣達。
「逃がさないわ。」
シーリンは敵のボディーガードの銃弾を素早く避けて、急所を避けつつ射撃をして攻撃。
大臣達に素早い動きで追い付くと、彼らを合気道の投げで叩き伏せていく。
「ぐわぁっ」
「……マリナの痛みはこんなものではないわ。しっかり感じなさい……」
更に腕を捻り上げると、ギルガメッシュのトレーナーが襲いかかる。
しかし、その動きを避けて倉庫の壁に向かって投げ飛ばす。
「このっ、女に負けるとは……」
「女を甘く見るからでしょう。私も一応トレーナーよ……!」
そして、マリナを見つめるシーリン。
(きっとあなたなら勝てるわ……!私たちの希望だもの…… そして、マリナとギルガメッシュは互いに力をぶつけ合い少し息が荒くなっていた。
「中々だな。でもあんた、昨日もっと疲れてたんだろ?回復が早いなんて恐れ入るぜ。」
「……ええ、あれくらい簡単に復活できなければファイターの資格はないわ。
あなたも相当タフね……」
男は演技ががった喋り方で挑発的に続けた。
「疲労が溜まるビキニスーツならもっといやらしい息づかいが聞けただろうな。おしいぜ。」
一瞬怒りが湧きそうになるが瞬時に冷静になり、キックを繰り出す。よろめいて後方に下がるギルガメッシュ。
「……っ、あのシステムは外したわ。」
「そうかい、それじゃあ皇女がいつもの調子に戻った祝いに始めるとしよう。メインディッシュをな。」
ギルガメッシュが携帯型起動スイッチを押すと、自動的に倉庫から飛んできたガンダムオーレス。
「ええ、終わらせるわ。」
マリナもガンダムファーラに乗り込む。[newpage]
身に付けていたものを全て脱ぎ、全裸になるマリナ。
(シーリンも、みんなも私のために力を尽くしてくれている。
国がまた男性中心になれば、誰もが輝ける社会ではなくなってしまう……
絶対に、あんな人達に負けない……)
ってところ次の瞬間、心を落ち着かせ目を閉じる。今胸の内にあるのは闘いだけ。それ故に冴え渡る心。
胸に手を添えて、ほんのりと脚を開いてコクピット中央に立つ。
「モビルトレースシステム起動。」
布が凄まじい勢いを伴い降ってくる。 肩から腕、胸、脚……ありとあらゆる場所を瞬時に覆い尽くす巨大な布。
冷静な顔は圧迫に対し悩ましいものになり、豊かな黒髪を柳の葉のように揺らす。
「キィ、キツイ……でも、みんなのためを思えば……」
亡き家族、守るべき国民達、慕ってくれるアクバル、支えてくれるシーリンと家臣達……
みんなのことを思い浮かべると自然と身体に力が入り、両腕を鶴のように広げる。
「う、うぐっ……このぉぉ……!」
布を千切り纏わせる。
「はぁぁぁぁ!」
身体を反らし、まるで空気椅子でもしているかのように腰と膝を曲げて力を込める。
「いやぁぁぁ!!」
尻を突きだしアナルにグイッと遠慮なく入っていく布。
「はぁぁぁぁ……!!」
膣にも入り込む布。前後からぐいぐいと刺激されるが、下半身に力を集中させ、
目をカッと見開くと両足を股が割けると思わせるほど、交互にハイキックをして布を千切る。
こうしてスーツなら装着を完成させた。
「さあ、いきましょう。国のために絶対に負けないわ。」
「いいね、楽しませてくれよ。皇女さん。」
装着を終えた二人は機体越しに睨み合う。
「ガンダムファイト、レディゴー!!」 「ハアァァッ!」
槍で襲いかかるマリナのファーラ。それを太い棍棒で受け止めるギルガメッシュのオーレス。
「甘い!!」
ギルの操作で棍棒のスイッチを押すと先端から斧の刃の形をしたビームが発生し、槍の先端を焦がす。
瞬時に後ろに下がるマリナ。
「斧……それがあなたの武器なのね。」
「そうだ、幾多のファイターに勝利するため。そしてお前に勝つためにな!!」
凄まじいギルの猛攻にも動じずに敵の刃を避け、槍と合気道の投げ技・捻り技を駆使して反撃するマリナ。
一連の体捌きに何とかついていけるギルの反射神経とスピード。
正に競り合いといった光景だった。
「やるじゃねえか!大臣達が見せてくれた映像で知ってたが、実物ともなると違うな!」
その声にどこか好戦と憎しみを感じずにはいられないマリナ。
「どうしてあなたはそこまで戦いを……
あなたのような人にはこの国を代表する資格は感じられない……」
「資格、あるさ。男であることと、力と目的があること。それだけで十分だ!!」
想像していた通りの言葉に嫌悪を感じながらも淡々と、しかし真剣に返すマリナ。
「男も女も関係ないわ。大切なのは国の未来よ。」
「関係ない、か……あるんだよ。おれにも、親父にも……」
「……?」
苦虫を噛み潰すような物言いに違和感を覚えながらも素早く槍でオーレスの腕、脚、時には後ろに回って背中を攻撃するマリナ。
「ぐはっ!……この……舐めるなよ!」 頭に血が登ったような物言いをすると、オーレスの肩、腕、胸、脛、それらの各部からミサイルが発射されファーラの全身を狙う。
「きゃぁぁぁ!!」
体にミサイルの与えた衝撃と熱さを禁じるマリナ。
「はぁ、はぁ、……危険だわ。距離を取らなきゃ……」
弓矢でオーレスに激しい攻撃を加えてから一旦一キロ程離れるマリナ。
心を落ち着かせ目を閉じる。冴え渡っていく感覚。
頭が澄んで白くなるようなあの状態になり弓を構える。
「この射撃武装にはこんな機能もある。もっと食らえ。」
再び発射される複数のミサイル。しかし今回は一つ一つが異なったベクトルに舵を切りながら向かっていく。
まるで群れを離れて巣立っていく鳥達のようだ。
あるものはマリナの右に、あるものは左に、背中や斜め上に移動して飛んでいくものもあった。
「囲むつもりね……」
あらゆるベクトルから狙う戦法。遠距離戦としてかなりの効果を持つものだ。
それでもマリナは表情一つ変えない。
寧ろ獲物を狙うハンターのように弓を携えたまま。
「ホーミング、タップリ味わえ、センパイ……」
目と鼻の先にあるミサイル達。
それらを素早く撃ち抜くマリナ。時に撃ち損ねるが、武器を持ったまま肘で払い落とした衝撃で破壊した。
合気道の訓練の傍ら、学んだ戦法だった。
「やるな……だが……」 ギルは猛スピードで斧を振りかぶり突進する。荒々しいだけではなく、マリナの微細な動きを観察し予測している。
「……させない……」
すっと目を閉じて集中力を高めるマリナ。
心の底から真っ白に、クリアになると槍を脚目掛けて突き出そうとする。
「この!」
ギルがキックをする直前、マリナはすっとガゼルのようにジャンプして重火器が入った肩を槍の先端で突き刺した。
「ぐ、おのれ……!!」
そのまま敵の肩を勢い良くキックして頭上に飛ぶ。
「よくも、踏み台に……!!」
「覚悟しなさい!」
雨のようなアローの嵐。それを幾つかが降りかかるが傷付いたのは肩と腕大半。
失格を避けるためか他国以上に頑丈に作られた頭はほぼ無事だった。
そして、斧を回転させ矢の幾つかを弾き返すギルのオーレス。
パワフルさと繊細で柔軟なモーションが合わさった見事な斧捌き。
「きゃぁぁぁ!!」
ダメージ受けつつも体勢を立て直し弓を槍にチェンジさせ突撃するマリナ。
斧で受けとめるオーレス。互いに一歩も引かない鋼の攻防。
「なぜだ、お前はそこまでして闘う?女であるのに……!」
「関係ないわ。私は皇女として皆に幸せになって欲しくて……」
「その言葉、鼻につくな。俺には、国よりも、負けていった男の方が大事だ……!」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています