――いつか、カミーユと……二人で。
 少女が心の奥底でそう夢見ていた初体験は、戦場の悪夢の中で汚された。
 見も知らぬ兵士のペニスはファを気遣うこともなく、愛撫もなしに激しいピストン運動を繰り返す。少女の胎内を何度も何度もえぐり込み、彼自身のかたちに変えていく。
「オッ! オッ! オッ! オオオ〜〜〜ッ、締まるうううっ、ウウッ――、出、出るゥ!!」
 突きまくられる中で泣き叫ぶファが目を見開いた瞬間、男はひとり勝手に少女の中で達する。男のピストン運動のペースが速まり、そして再奥に尖端を止めた瞬間、ファはそれを悟って絶叫した。
「いやああああああっ!! カッ、カミーユゥーーーッ!!」
 放たれた濃厚な精液が、ファの膣奥を満たす。子宮口にぶち撒けられた数億の精子が、少女の卵子を目指して荒々しく突き進んでいく。
 そして少女は先週、生理を終えたばかり――今日が、彼女の排卵日だった。
「――おおおおおお……。いい、ぞぉ……」
 最後の一滴までを彼女の中に注ぎ終えると、兵士はたっぷりの余韻とともに逸物を引き抜いた。
 ごぷり、と音を立てて鮮血混じりの白濁液が溢れ出し、腿と尻を伝って草地に落ちていく。
「……かみー、……ゆ、……」
 己の胎内に熱い迸りを感じた少女はびくんと震えると、そのまま瞳の光を失い、力尽きたように崩れた。
「へへへ……さすがエゥーゴの工作員だ、訓練がいい。武装は処分したあとだったようだな」
「よし、次は俺が尋問を――」
 自身の男根を拭き取りながら一人が退き、もう一人がそこへ入って兵士たちは笑う。だが全裸に剥かれて凌辱されたまま放心状態のファを見下ろしながら、彼らはエレカの接近音を聞いた。誰かが下車してくる。
「何事かっ!? ――この少女はどうした!」
 エレカで乗り付けてきたのは、ティターンズMPのマトッシュ中尉だった。服装を直した兵士たちは何事もなかったように敬礼し、報告した。
「エゥーゴの工作員一名を確保しました! 工作員同士の仲間割れで、強姦されていた模様です」
「仲間割れで強姦だと!? この急時にか!?」
 異様な情景と報告に食ってかかったマトッシュに、兵士たちは不意に真剣な表情を浮かべて小声で囁いた。 
「それが、中尉殿! ……この少女、実は――カミーユ・ビダンの女、らしいのです」 
「何っ!?」
「間違いありません。以前にも何度か一緒にいるところを見た者がおります。カミーユ・ビダンはMS奪取計画を実行に移し、そのまま彼女を見捨てていったものと思われます」
「そういえば、確かに……以前の報告にあった。この少女……間違いない!」
 犯された少女をまじまじと眺めながら、マトッシュの表情に確信が、そして瞳に暗い光が宿る。
「あの小僧、カミーユ・ビダンの女か……! よし。お前たち、彼女を拘束し、本部へ搬送しろ! 本部も大打撃を受け、混乱している。お前たちは私の指揮下に入り、尋問を支援するのだ。……協力してもらうぞ」
「了解であります、中尉殿!」
 敬礼しながら、二人は去りゆくマトッシュの背中に笑みを向ける。気絶したファに手錠をかけると車両の荷台へ搬送し、そしてティターンズ本部へ出発していった。
 捜査、尋問と称する凌辱を延々と受け続けたファ・ユイリィが解放され、エゥーゴ旗艦アーガマと合流するのは、それから約二ヶ月後のことである。
 一部の記録によれば、グリプス戦役が佳境を迎える88年1月、彼女はアーガマ艦内で男女の双子を出産したとも言われている。