5
あまりの具合の良さに夢中で、彼女も僕にしがみつき、何度もいって…
すぐ果てるかと思っていたのに、自分にも少し驚いた。

…ようやく全てを出しきって僕は彼女の体を解放した。
サイトの内容を信じれば、意識は戻っているはず…
ほどけた三つ編みもしどけなく、性行為の名残もそのままにぐったりと倒れ息を乱している。
そのさまに、満足と言うよりむしろ心配になり声をかけた。
「しっかりして…」

藪下さんは、ちらりと僕を見てふうっ…とため息をつく。
「…大丈夫です…」
声が聞けて僕はほっとし、彼女の髪を撫でた。
もうこんなサイト見せちゃ駄目だ。パソコンを消そうとして…ドキリとした。
小さく書かれた注意書き、内容について追及された時に逃れる為のいわゆる保険だろう…そのひとつ。
“催眠術が成功しても体への衝撃等で暗示が解ける場合があります”
や、やっぱりか。そんな気はしたが…
腹をくくって両肩をつかんだあの時から、既に藪下さんの意識は戻って…!
は、は、恥ずかしい!

藪下さんは頬を染めてジトッと僕を見ている。
「谷口さん……あんなに突然、野獣のように襲いかかって来られては困ります」
誰の口が言ってんだよ。
「…そもそも挑んで来たのは、きみですよ」
「なぜか朦朧として、事のいきさつをあまり明確に記憶していないのです…
谷口さんと性行為をしたい、とは思っていた気がします」
「だよな…まあ、とりあえずシャワー浴びましょう…」
うなずき浴室へ向かった彼女の背中を見て、僕はひっそりとパソコンの電源を落とした。糸の付いたコインを回収するのも忘れない。

狭い浴室で一緒にシャワーを浴びる。
「谷口さんがあんなに性行為に激しく燃えるかただとは、新たな発見でした。
マグネシウムが燃焼するような激しさ…」
藪下さんが恥ずかしそうに言う。完全に誤解されている。
「…もう、それでいいです」
説明する気にもなれず僕は諦めた。
「…ところで谷口さん、私はあなたから何かお借りしていましたか?」
「え!あれはその…ゲホ!ゴホ!」
慌てて振り向いたせいで、僕の顔にはまともに湯がかかった。

終わり