>>71 この長ったらしいssがこれでまとめられてるんだけど…エスパーかな?
長いです。ごめんなさい。


「それで、結局魚はとれたんだけど、親父にこっぴどく叱られてね…。」
「いやだわ、うずねったら…」
ベットの上であぐらをかいたうずねが、面白おかしく村で起こった話をしてくれる。身体が弱くあまり外に出られない櫻子はその話を聞くのが楽しくてしかたなかった。
身ぶり手振りを加えるたび、大きな胸が弾むように揺れる。
精悍な顔立ちに短く黒い髪。しかしうずねは一度も男と間違えられたことはない。うずねの乳房は平均を大きく超えて発達し、彼女の性を必要以上に主張していた。
その姿は櫻子の目からみてもあまりになまめかしく、はだけた着物からのぞく谷間を見つめてしまう。あぁ、惜しげもなく見せつけられるこの胸にどれだけの男の目が注がれているのだろう。口惜しい。独り占めしてしまいたい。
 
思わず手を伸ばそうとしたその時、ドアをノックする音がした。  
「お嬢様、お薬をお持ちしましたよ」
家政婦のみつの声だった。
「まずい、もう行かなきゃ!」
またね、とうずねは櫻子の額にキスをして、ストンとベットから飛び降りた。滑るように縄を降りると、あっという間に屋敷周りの森のなかへ隠れてしまった。



「入ってよくてよ」
「失礼いたします」
20代半ば程の、柔和な表情の女性が顔をだした。薬と水谷を盆に載せている。
「お嬢様、今日は顔色がようございますね。お加減がよろしいのかしら。」
着物に白いエプロン姿の家政婦、みつは、嬉しそうに目を細めた。上品に微笑む、美しい女性だ。いつもぴたりと分けた前髪は几帳面な印象を与えるが、彼女の持つ柔らかな雰囲気が、棘を感じさせなかった。
赤く艷やかな髪をまとめているレースのリボンは、いつか櫻子がみつにあげたものだ。
肉感的だが手足はすらりとしていて、その凹凸が際立つ。稀に櫻子と外出をすると、漁村の男たちの目線は櫻子よりもみつの、特にその身体に注がれているようだった。
「みつはとても嬉しゅうございます」
「みつ、いつもありがとう。」
そう言ってコップを手に取った櫻子を見ながら、みつが一度すんと鼻をならした。
情事の残り香を嗅がれたような気がして、櫻子はハッとした。しかしみつは何も言わなかった。気づかれないように、そっとシーツの乱れを直した。
「お嬢様、そろそろ湯あみの時間ですよ」
「ええ」
夕刻、薬を飲んで湯あみをする。これもいつものことで、別段変わりはない。大丈夫、気のせいだ。バレていない。
胸をなでおろし、櫻子は浴場へ向かおうと扉に手をかけた。
だからその後ろで、みつがじっとベットを見つめていたことには気付かなかった。そのあとで、窓をきつく睨みつけていたことにも。