「女体化ぁ?!」
「おい!声デカいって!」
「あ、悪りぃ…って言われても、いきなり信じられんな」

「俺自身もだよ!ったく…この近くみかけた昔懐かしい(ガチャガチャ)を回して、
カプセルを取り出してカパッと開けたら、いきなりコレだ」
佐藤はわざとらしく両手を広げ、自分が女性化した事、その姿をアピールする。
スマホに着信歴にまちがいなく自分のデータが表示されている事で、佐藤は明らかにバレる嘘よりも
観念して相手に打ち明けてみる事に踏み切った。
(と言うか、うまく誤魔化せる方法が、他に考えられなかっただけなんだけど…)

「その、頭とかはヅラ、衣装は変装とかじゃないのかよ?」
同僚の鈴木はまだ半信半疑。
うん。
至極真っ当な、当たり前の反応、模範解答ではないだろうか。
「だったらどんなに良かったか…この胸も!アソコも!完ッ全再現だったんだぜ!?」

「あ…アソコもかよ?!」
「ああ…驚いたわ、流石に」
「ま、まあそりゃあそうだよなぁ」
不意に。
ぐにっ。
「ほんもの……が?!」
「す、鈴木ッ!?言っとくが、次にいきなり胸を揉んだりしたら、泣くまで殴るからな!」
「わ、悪かったよ。いやでも…確かに本当に「女」だな、コレ…」
「ったく。でも本当に困った。まさか声まで変わるとはなぁ」

「本当にビックリもんだ。俺も最初「誰だ!?この女!?まさか…アイツ、彼女でもいたのか?」って思ったし」

「…うっさいわ!この大金持ちの道楽息子めが」
「お、いいのか?今、この俺を敵に回したりして?」
「ん?敵って―」
「会社への連絡、だとかさぁ」

………。

「鈴木様、この度の無礼な発言、平にご容赦を」
(世の中、逆らえん波風はあるものだ)