だねぇ…さて、暇潰し(ひぐらし無関係)投下

>>35から

 自身の女体化、それに不相応な仕草で街の周囲の人々に引かれる反応に狼狽する中、
佐々木は見覚えのある男の姿を見つけた。
 「…あ!安中!」
 今回の元凶とも言える、自分を「女」に変えたであろう薬の持ち主―!
 しかし。
 (いや、待て…いきなりこの姿で―)
 さっさと俺を男に戻せ!と近づいて怒鳴りちらしても、こちらの状況もろくに説明しないままでは、
端から見れば見知らぬ赤の他人に急にわけわからん言いがかりをつけらる被害者のできあがり、か。
 (…ふむ、ならば)
 佐々木は、口の端を少し歪め、ニヤリとした笑みを浮かべる。
 「はあ…明日も残業か…ついてな――?」
 「ちょっといいですか、そこのお兄さん?」

 交差点で信号待ちをしていた安中の手を、街のティッシュ配りなんかのキャッチセールス嬢さながらに
にこやかな笑顔を浮かべた佐々木が握っていた。

 「え?あ、はい…」
 (ふふふ……焦ってる焦ってる!)
 「お時間ありますか?良かったら、近くでお食事でもどうですか?」
 「え?!え、あの!そんな、いきなり…って、まず先に!時間ならありますけども」
 「良かった!別にお高いところで贅沢しましょう、って気はないから安心してください」
 (とは言え…いきなりマoクとかじゃまた引かれるかな?)
 などと、ありえない安デートみたいなプランを思い描いてると―
 「僕の知ってる店で美味しい店があるのでよければ奢りますよ!」
 (…女って便利だなー(棒))
 安中の興奮ぶりとは逆に、佐々木は魂が抜けた思いだった。
 この後の悲(喜?)劇を知る由もないまま―