「何? 嫉妬?」
 彼女らの間で繰り返されているであろう会話。けれどその他愛なさの中に、文字通り他人からの愛を拒絶する絶対的な空気を感じ取れる。
東条は彼女のことを信頼していないわけではない。けれど、釘を刺しに来たのだ。これからも、一番の美女を侍らせる男としての自尊心を守り抜くために。
「そんなんじゃねえよ。じゃあな」
 不真面目な学生――いや、「一般的な学生」の証の茶髪が揺れ、こちらに向かってくる。日本最難関と呼ばれるこの大学では、髪を染めるような不届き者
なんていないと想像していたのも、昔の話だ。