迷宮の出入り口、次の瞬間二人の男女が何の前触れもなく現れ、リルガミン市街へと足を向ける。
ただし……二人とも身体には何も身につけてはおらず、生まれたままの姿を外気に曝していた。
少女は恥ずかしげに淫靡さを纏う身体をもじもじとくねらせ、発育の良い胸と恥毛の生えた股間に時折手を伸ばしながらも、下ろすという動作を繰
り返す。
少年の方はまるで女性と見間違えるほどの中性的な顔・身体つきで、全裸であるのがまるで自然体かのような素振りで歩き続ける。
ただ一つ……その股間に天に向かってそびえ立つ、荒々しいペニスがない限りは……。
そんな二人が何も着ないで市街を歩くのだから周囲の視線を集めないわけがない。
男性は少女の肢体と恥じらいを見せる姿に前屈みとなり、女性もまた少年の中性的な魅力と股間の荒々しいモノとのギャップに釘づけとなっていた。



「ああ……折角の今日の稼ぎがあああああ…………」
リルガミン市街を歩きながら、僕の隣で悲嘆に暮れた顔をしながら彼女が項垂れる。
同時に重力に引かれた乳房が乳首を頂点に、たゆんと地面へと垂れたのを道行く人々が凝視したのを見逃さない。

「仕方ないよ。ホラ、命あっての物種って言うじゃないか」
「でもでもぉ! 今日は大量にレアアイテムが回収できたのに……不意打ちとトラップのコンボに追い詰められてロクトフェイト使っちゃった……」
流石に羞恥を気にする余裕もないのか、胸や股間に手を伸ばして躊躇いながらも下ろす仕草を繰り返せないくらい落ち込んでいる彼女。
ここまで描写されればもうおわかりかもしれないが、僕と彼女は忍者、それも高レベルの。
この領域に達した忍者は見た目に反して、下手な武器や防具など邪魔でしかない程の強靭な肉体を誇るようになる。
よってその特性を、性的魅力も含めて最大限に活かす為、何も着ないで戦うという、戦闘スタイルが生まれるのも必然と言えるだろう。
反面己の羞恥心とも戦わねばならず、僕は羞恥心を制御できるようになったけど、彼女はまだ完全に制御できず、探索時以外は性器を隠そうとして
しまう。

「ところで……それ、なんとかならない?」
彼女は顔を真っ赤にしながら、僕の股間にあるギンギンになった肉棒に視線を移す。

「……ごめんね。迷宮に潜った後だと気が昂ぶって、それをコントロールしようとすると股間に集中してこうなっちゃうんだ……」
僕の言葉に頷くように、まるで別の生き物かの如く、ペニスはビクンと跳ねる。

「あ…後でおとなしくさせてあげるから……もうちょっと我慢してね……」
彼女はか細い声でそう呟くと、僕達が滞在しているギルガメッシュの酒場へと急いだ。



「で、今回の返済金はまけてくださいって言いたいのね?」
ワードナの事件の時代から幾年月、現在のギルガメッシュの酒場の店主、彼女の姉は威圧感を纏いながら問い掛ける。

「お、お姉ちゃん……これには深い訳が「言い訳はしない!」はい……」
怒鳴られた隣の彼女をチラ見すると、心なしか薄い恥毛が仄かに濡れているようにも見えた。
そう、僕達は冒険者になってからお姉ちゃんに多額の支援を受け、つまり借金をしている。
お姉ちゃんは、なんだかんだ言いながらも姉バカで、おかげで早い内から高レベルの忍者に駆け上がる事ができた。
彼女の相棒である僕もその恩恵を受けられたが、世の中そんなに甘くはなく、返済は出世払いという事になった……。
返済元は迷宮で回収した財宝やアイテムで、二人で活動しているのも他の仲間に報酬を支払うのを少しでも節約する為だ。
高レベルの忍者は全裸でも高い戦闘力を保持できるのもあり、その分多くのアイテムを回収できて返済に充てられるという利点は無視できない。
反面少人数故に、不意打ちやトラップ等の対応には後手となる事があり、その際はロクトフェイトですぐに脱出するようにお姉ちゃんに厳命されて
いる。
このロクトフェイトという魔法がくせ者で、安全に脱出できるのだか所持している資金、装備、アイテムを失ってしまうというデメリットがあるの
だ。
文字通り裸一貫で戦える以上、装備を失うデメリットはないが、借金返済に充てるアイテムやお金がパーになるのは命あっての物種であっても痛い……。

「じゃあ今夜も、いつのもをやってね♪」
「ええっ! どうしてもやらなきゃ<ドクンッ>こらぁ!こんな時におちんちん反応させないでよぉ……」
「だって稼げなかった僕達が悪いんだし……だったら別の形で補わないといけないでしょ?」
「それは……そうだけどぉ……本当に、心の底からそう思ってる?」