僕の隣の家は、陳腐な建売住宅でそこには父、母とその間に生まれた三人の子供の５人家族が住んでいた。
優柔不断なお父さんがリストラになった後、パートで家計を支えるしっかり者のお母さんとの喧嘩が絶えずついには離婚となり今では母親一人で子供三人を必死で育てていた。
家庭が荒れていたためか、母親の愛情も届かず、子供たちの素行もあれていて、長女も長男も高校卒業後、夜の仕事につき今では音信不通との噂も。
一番下の次女とは幼稚園や小学校が一緒で僕の幼馴染でもあったけど、今は、いわゆる地域の底辺女子高に通っていた。怪しいバイトもしていて夜遅くに派手な恰好で出かけていく姿もちょくちょく目にしていた。
一方、僕の家は、手入れの行き届いた大きな注文住宅で、厳格で誠実な父親と美しく優しい母親そして僕の３人家族。
父は都内の大手商社に務めており、母は専業主婦として家庭を支えていた。夫婦仲もよく、週末は家族で美術館に出かけたり長い休みには海外旅行を楽しんだりしていた。
僕も、小学校のころから有名進学塾に通い、中高一貫の私立進学校に進学し、今年の春にはサッカー部を引退し難関国立大学への受験準備に全力を尽くしていた。
はずなのに…