あるサラリーマンが地下鉄の駅で取り調べを受けていた。
「いや、ムラムラしてて……」
「だったら風俗でも行けばいいじゃない」
捕まった駅は偶然にも浅草、風俗街がある駅だ。とはいえ浅草は基本的に外国人向けの風俗しかないから使うことはあまりないのだが……
「それはそうと、あんたもあんたよ。なんで和姦しちゃったの」
サラリーマンの隣にいる女性は痴漢被害者、ではなく痴漢に応じた痴女だ。
駅員室の部屋の隅には「痴漢・痴女は しない・させない・応じない!」というポスターが貼ってある。喧嘩両成敗・和姦両成敗は当たり前のルールだ。
公共の場でいきなりセックスを始めて精液や愛液で汚し、周りの人達を興奮させてしまうのは良くない。片方が合意してないなら強姦だから一方的にヤッた側の責任だけど、もう片方が応じてしまったら両者が悪い。
「風俗帰りだったんですよ……時間が足らなくて挿入までしてくれなくて、それで悶々としてて……」
彼女は女子高生のようだ。バイトで貯めたなけなしのお金で吉原の30分コースに行ったのだが、吉原は東京で一番格式高い風俗――いや風俗というより「遊郭」と呼ぶべき場所だ。だから前戯がかなり長く、30分があっという間に過ぎてしまった。
一番高まっているタイミングで店を追い出され、日本橋駅から電車に乗ったところ、尻を触られたものだから性欲を抑えられなかった、という供述だった。
「なるほどね……どこまで行ったの?そこで再現して見せて?」
鉄道警察のおばさんは例のごとくがっついていた。元々お節介な上に職務で淫談が聞けるとなればより深く聞こうとするのが人情だろう。
2人は立ち上がって痴漢の再現を始めた。
「最初は後ろから尻を触ったので、後ろに振り返ってまんこに手が当たるようにしてきました」
「それでチャックからちんちんを出して、私がキスして、お尻をもみながら……」
2人はキスし、尻をもみ合った。途中女子高生が部活で鍛えた筋肉でサラリーマンを持ち上げ、まるで肉バイブのように乱暴にちんこを自分に突き刺した。
鉄道警察のおばさんもこころなしか股間をくねらせており、どうやら濡れてきているように見える。
「……こんな感じでヤッてたらあなたに取り押さえられたんです」
「……わかったわ。書いておくね。じゃあ罰金を払ってくれる?」
性犯罪は軽犯罪の代表格だ。罰金は交通違反の反則金並だし、点数がつかない分交通違反よりも軽い罪と言える。
「あの、私払えません。吉原で全部消えちゃって……」
「はあ?全部風俗で溶かしちゃったの!?」
痴漢の罰金はたった7000円だが、それも払えないほどだった。
「……私も女だから、風俗で擦っちゃう気持ちはわかるけど……ならこっちの男に身体売りなさいよ」
「え?」
女子高生はキョトンとした顔でサラリーマンの顔を見た。
「どうせ相性良かったんでしょ?なら出世払い含みで買ってあげなさいよ。宿直室使っていいから」
「わかりましたよ」
サラリーマンは14000円をおばさんに出すと、女子高生を連れて宿直室に入っていった。しばらくするとあえぎ声が聞こえだす。
女子高生は買う方から買われる方になり、買ったときよりも遥かに良い満足感を得たのだった。