誰からそれを聞いたのか。思わずぞっとする。
 そしてこの後、さらなる衝撃を受ける事になる。
 さきほど帰宅した子、女子生徒から電話がかかってきたのだ。
 母親から携帯の番号を聞き出したというが、その用件は。

 『ニイジマを撮影した動画がSNSや動画サイトで拡散されていて、インターネット上が大騒ぎになっている』

 それはどんな動画か。言える範囲でいいから答えてほしいと尋ねる。そうすると

 『気持ち悪いアダルトサイトみたいな事させられてる。一人でいて辺りをビクビク気にしながら、服を脱いでいってパンツまで・・・』

 ここでこちらで遮った。これ以上言わせる事はできない。
 というか、もう疑問はない。
 ありがとうと言って電話を切る。
 ・・・。

 自分に言い聞かせる。今一番優先すべき事は何か。それは言うまでもない。
 ニイジマは極めて危機的な状況だ。たとえ犯人が直接接触するのでなくても
 自ら――

 近くにいた警察の方に声をかけ、件の事伝える。するとすぐに無線で連絡をまわしてくれた。話し終えるのを待ち
 「私は、学校の屋上を見てきます」
 「了解しました。お気をつけて。」
 この事も無線で伝えてくれた。
 そして学校に向かう。大通りでもない所にそう都合よくタクシーが通るはずもない。それでもなるべく急いで向う。(続く