>>73
「本当にアイツらは、ただ自分達可愛さでいち早く島から逃げただけ、じゃないんだな?」
「しつこいわね〜そうだって言ったでしょ?なら、この島が沈没し終わるまで
あの車内で私とS〇Xし続ける?」
「わ、分かった…もう言わない」
(アレ?もしかしてそこまでしても良かったのか、俺?)
二人はお互いの今の状況を話し、やむを得ずとした「呉越同舟」的な流れでの同行中であった。
(まさか男の人に「泣かれる」なんて…むしろ泣きたいのはこっちなんだけど)
里奈は自身に襲いかかってきた暴徒の一人と道中を共にする事を一瞬躊躇ったが、
他に今は「頼れる足」(島の地理に明るい)がいないとした事に思い当たり、
害意が抜けてる今なら、一時的に彼を味方にしてもいいか、と危険ではあっても背に腹は変えられないとした楽観論で
車から出て、あの二人の行方を追いかける事を彼に申し出た。
その際、里奈は彼の顔から流れた一滴の「滴」に気づいたのだ。
(誰だって死たくはない…よね)
そして自らが背負った「十字架」を意識したのも、この時だった―

「足が…挟まって……抜け…」


里奈の中の記憶の中で。

一人の女性が焼け上がっていた。