勝てるワケねー。いやマジで。
誰だよ?!こんな鬼畜な「鬼」呼んだの!
あ、私か。あっはっは!類は友を呼ぶって言うしね。今この場で「鬼」て言ったらそりゃ私しかいないし。クソが。
にしても身体ボロボロ。泣きそう。いや涙くらいは出しましたよ。うん、嘘は良くない。
いやしょうがないじゃん?だって女の―
だ〜か〜ら!!

私ゃもう人じゃない、て〜の!
「を〜っほっほっほ!ザマぁないですわね!!」
……は?

「あの詩音さんは、この程度の傷と負傷で挫ける程度の弱虫さんでございましたか!
ま〜ったくわたくしの足元にも遥かに及びませんでしてよ!」

こ、こんガキャああッっ!?

(いや待て?!私はあの沙都子に何をしたよ――)
幻だ。

それは分かってる。生きているハズ無いんだ。だって私が実際に※※したんだし…
なのに。

その沙都子の幻は―

「さあ、立って戦いなさい」
と言わんばかりに、今の(私)に慈愛の顔を向け、その手をさしのべて来て。
「我の興が醒めた」
(私も……目が覚めたよオッさん。いや「鬼」さんよぉぉッ!!)

「誰が立てない…だと……!」
あの沙都子は!今の私よりも!もっともっともっと!苦しんだ!辛い思いをしてたんだ!
なら!
この程度のことで私がおネンネなんかできる訳ないだろおおぉぉッッ!

「ぐ、ぐああああああッッ!!」
「鬼」は立った。
「…アンタに言っておくよ。この雛見沢の旧称は「鬼ヶ淵村」ってんだ」
「ぬ?」

「アンタがどこの猛者でどれだけ優れた「鬼」かは知らないけどさ―」
僅かに、理性がふと詩音の頭の中に蘇る。
(生まれてきてごめん、みんな…だけど最後にカッコつけさせて)
「今!この村での「鬼」は!この私!!雛見沢御三家筆頭・園崎家現当主「園崎魅音」様だああああッッ!!」
その咆哮、名乗り上げに対して相手の「鬼」は。

「見事なり。なれば我も言わせてもらおう」
自らもその身の正体を名乗る。
「我は拳を極めし者!うぬらの無力さ、その身体で知れぃ!!」

―鬼の宴が始まる。
内容に差異はあれども。その熱量だけはいつの時代も変わらず。闘いの中の真実だけが受け継がれゆく―

――そして物語は結末、「終末」へと続く。(了)