午後3時過ぎに駅の階段をゆっくりと昇っていくOLのかかとのストラップを靴底にかけた青ストッキングの足を追いかけた。
横目で俺を認めるとことさらゆっくりと歩調をゆるめ熱っぽい視線を愉しんでいる風だった。
女は駅のチケット売り場でチケットの列に並んだ。足癖のよくない娘で、自分の番が来るまで、いや、来てからも
ストラップを外したサンダルの上でさまざまな足の姿態を俺にじっくりと鑑賞させてくれた。
俺の鼓動は高まりついに欲望を我慢できずしゃがみこんで至近から足を玩味した。
なおたまらなくなり、意を決して
女が(みて!みて!)とばかりにぐっと浮かせた土踏まずの縦筋とサンダルの底の間に
指を差し込み体重のかかる足指の付け根あたりをさわった。火照りと汗と脂の感触を手指に刻み付けたのと
ひぃっ!と女が背を反らしたのが同時だった。
自分のしたことが怖くなりそのまま俺は立ち去った。
振り向くと女は何が起きたのか理解できない風で手を口元に当てぼうぜんと俺を見送っていた。
痴漢の現行犯で捕まらなかったのはもっけの幸いだった。