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 まだ熱い体のままの彼らに、「休憩終わり、集合!」の掛け声が無情にもかけられる。もたもたしてい
るわけにはいかない。集合の遅いものは部員全員で取り囲んで順に掛かり稽古を強要されるのだ。彼らは
防具を着けたままの動きの制限された体でも、ぎこちなく、しかしすばやく起きあがり集合していった。
 彼らが去っていった後の道場の隅には、背中の汗が床を濡らした跡が、刻印のようにあちこちに残って
いた。