(続く)
【4、下着】
性転換してから、一瞬だが、女の下着にも興味をもったことがある。
ちょうどブラジャーがおっぱいを保持するためにカップ状にできているように、
女物のパンツは女の平らな股間に合わせて社会の窓はなく股のところはぴったり
閉じた構造になっている。その感触は悪くない。
それと、股のところがホックやボタンになっていて脱がずに小便できる構造の下着
にちょっと興味をもったが、金を出してまで買おうとは思わなかった。男物の
ブリーフが一番いい。もはや存在意義を失って開かれることのない社会の窓。男物
なのに中身を失ってぺしゃんこの自分の股間は今でも眺めているだけで興奮して
くる。拭き方が悪かったり、切れが悪かったりすると、小便のシミができる。それ
をみたいから、いつも色は白だ。小便のシミをみて、なんておれはダメな奴だと
思う。そして女性用の尿漏れパットを買ってくる。パンツを汚すのはほどほどに
しないと、馬鹿馬鹿しくなってきて興奮が冷める。

【5、オルガスム】
恥丘のふくらみと膣は無いが、陰核・陰唇はオナニーをしていない時でも、ただ
あるだけで性的な刺激を感じるし、尿道口や肛門そばにかけての内股のあたりも
敏感な性感がある。オナニーするとなると、自分の女性器にまつわるおれのフェチ
と、排尿時の感触の記憶、トイレの恥辱妄想などが絡み合って、おれは
オルガスムスに達し、射精してしまう。しかし射精では終わらない。性転換以前
ほど極端な絶頂は感じないがそのかわり長く続くようになった。

【6、性転換の目的】
女のような小便をしたい(女の外陰部をもちたい)というおれの子供の頃からの望み
こそ、性転換手術を望む本当の理由だった。
むろん、性転換前には、このことはセラピストにもトランス系の知人にも誰にも
明かさなかった。性転換の計画を支援してくれなくなるだろうと心配したからだ。
女装趣味者・ゲイ・オカマ・性同一性障害者、誰もおれの理解者ではなかった。
おれは孤独だった。
今おれは幸福に包まれている。外見上男として暮らし続けつつ、パンツの下には
女性器がある。