【不良女子小説】
由美子は、研一をおんぶして走り出した。しかし、なかなか加速できない。70キロの研一は重い。
スピードは、早歩きよりほんのちょっと速いていどの速度しかだせない。まあ、よく小走りに街中で
走ってる女の子の走りが、早歩きの男の人よりちょっと先に行けるていどだという光景はよくみる
ように、、由美子のおんぶ走りはまさにそんな感じだった。
研一は「おい由美子。さっき、交差点の手前で青信号にまにおうとして走ったときに比べると、
ぜんぜんスピード出てない気がするぞ。みんなが見てるんだから、もっと本気で走ったらどうだ?」
由美子は、言葉返すよゆうなんかなく、ただただできるかぎりの力で走ってみるが、たしかに、
スマホで撮影してくる子供たちに追い抜かれている。
 真澄は走るのを最初からあきらめて、隆治をおんぶしてヨタヨタと歩いているが、途中で立ち止まって
「もう、ダメここで。降りて、お願い」と。隆治は「由美子は走ってんだぞ、歩けよ」。
しかし、真澄はしゃがみこんでしまった。これ以上乗り続けたら、公衆の面前での女性虐待に
なってしまいそうなので、隆治は、真澄の上からどいた。
 それからしばらくすると、由美子と真澄が駅前になんとか到着して、こっちを見ていた。
由美子が「もう駅前についたんだから、サッサと降りてよ、いつまで乗ってるのよ」と。
研一は「真澄は仲間だろ。真澄が到着するまで、待ってやれよ」
由美子は「真澄は、もう隆治を下ろしちゃってるじゃない」
研一は大きな声で「おい、真澄。由美子がまだおんぶを続けてるんだから、真澄もおんぶでここまで
来いよ。仲間だろ? おまえたちが来ないと、由美子は俺をおろせないんだぞ。隆治、乗れよ」と怒鳴った。
隆治は「わかった。乗るよ。ってことだよ、真澄ぃ。またよろしくな」
「えええぇぇ、もう歩けないよ」
「お前が歩かないと、親友の由美子が研一をおろせないんだぞ。じゃあ、乗るぞ」
と言いながら、ぴょんと飛び乗り、真澄は、その勢いで、数歩ほど前にトントントンと歩いたが、
なんとか転倒せず崩れずに踏ん張った。沿道の見物客から「おおーっ」と歓声。
隆治は「真澄、まだまだ余裕で歩けるじゃないか。走れよ。そのほうが、由美子は早く研一を
下ろせるんだぜ。研一は俺より4キロ重いんだ。由美子のために走れよ